オトニッチ

ニッチな音楽情報と捻くれて共感されない音楽コラムと音楽エッセイ

レビュー

CDや音楽関連グッズを中の人が主観と偏見でレビューします。

【レビュー】ユニコーンが歌うことを止め代わりにAIに歌わせたEP『ええ愛のメモリ』

ユニコーンというバンドは、本当にイカれている。それと同時に、本当にイカしている。 そんなことを配信リリースされたEP『ええ愛のメモリ』を聴いて思った。 ええ愛のメモリ Sony Music Labels Inc. Amazon このEPでメンバーは歌っていない。かと言ってゲス…

【レビュー】『本音と建前』は椎名林檎のセクシーさがSexyZoneに憑依した名曲

椎名林檎は他者へ楽曲提供した時、毎回コメントを発表している。 最近ならば高畑充希『青春の続き』とAdo『行方知れず』を楽曲提供した時にコメントを残していた。その内容は提供先の歌い手への敬意と愛が込められた言葉ばかりで、楽曲提供がやっつけ仕事で…

【レビュー】ずっと真夜中でいいのに。『沈香学』でACAねの歌唱方法が変わった

ずっと真夜中でいいのに。の音楽は、ビートの強さが要だ。自分はずとまよの音楽と出会った時から、そんなことをずっと思っていた。J-POPとしてのキャッチーさを忘れずにビートの強さを極めることで、ずとまよの個性は深まり魅力が増大すると信じている。 ビ…

【レビュー】YUKI『パレードが続くなら』で感じる不思議な感覚について

【外付け特典付き】パレードが続くなら (初回生産限定盤)(紙ジャケット仕様)(特典:YUKIオリジナルトート型エコバッグ付き) アーティスト:YUKI ノーブランド品 Amazon 楽曲だけで評価するならば、アルバムとして統一感があるかというと、それはないように感じ…

【レビュー】礼賛『WHOOPEE』はサーヤと川谷絵音の感性が混じりあった傑作

WHOOPEE 礼賛 J-Pop ¥2139 BiSHのサウンドプロデュースを務める松隈ケンタが、かつて自身のYouTube配信で「作詞作曲は誰でもできる。でも編曲は誰でもできるわけではない」と語っていた。 それは安田大サーカスのクロちゃんが作詞作曲、松隈ケンタ率いるSCRA…

【レビュー】75歳の年金受給者のイギー・ポップが作った新作『Every Loser』について

超ベテランミュージシャンが新作を作る際、後輩のミュージシャンと音楽活動をすることがある。 例えば矢沢永吉は自身よりも30歳以上年下の若手ミュージシャンを集め、Z'sというバントを結成しツアーを回ったことがある。加山雄三も20代から70代までの幅広い…

ばってん少女隊『九祭』を聴いて驚いた

このグループは物凄いことになるかもしれない。去年、ばってん少女隊に対して、そんなことを思った。 それぐらいに去年リリースされた『わたし、恋始めたってよ!』という楽曲が、自分の胸に突き刺さったのだ。 ゴリゴリのドラムンベースに、キャッチーなJPO…

Cody・Lee(李)『DANCE風呂a!』のふざけ方が最高

Cody・Lee(李)の新曲、めちゃくちゃふざけたタイトルである。なんせ『DANCE風呂a!』だ。酒を飲みながらタイトルを決めたのだろうか。 でも、そのふざけ方、最高だと思う。自分はこのようなユーモアが大好物だ。 だからタイトルを観ただけで好感を持ってしま…

Sexy Zone『Forever Gold』の何が凄いのかを分析してみた

ここ数年、Sexy Zoneは音楽へのこだわりを強めていると感じる。新しい挑戦をしていることはもちろん、1曲ごとのクオリティを高めることに注力しているようだ。 『POP×STEP!?』というアルバムをリリースして以降、アイドルファンやジャニーズファン意外にも彼…

【レビュー・感想】SUPER BEAVER『東京』を聴いたら「自分が本当に嫌いな歌」がどんな歌なのか気づいた

真っ直ぐな歌詞はあまり好きではない。前向きな歌は全然心に響かない。 気軽に「頑張れ」と歌われるとイラつくし、成功者の立場から「夢は叶う」と言われると無責任なことを言うなと思う。そんな歌は説教臭いから聴きたくない。 自分は捻くれ者だからか、真…

【レビュー・感想】つじあやの『HELLO WOMAN』でオルタナティブロックをやり始めた件

HELLO WOMAN(初回限定盤:CD+DVD) アーティスト:つじあやの ビクターエンタテインメント Amazon つじあやのの音楽は優しい。声質は柔らかいし、メロディはキャッチーで美しい。それはデビュー当初から、ずっと変わらない。 最新アルバム『HELLO WOMAN』でも、…

【レビュー・感想】ズーカラデルが『JUMP ROPE FREAKS』でサニーデイ・サービスをオマージュしている

JUMP ROPE FREAKS [初回限定盤CD+DVD] アーティスト:ズーカラデル ビクターエンタテインメント Amazon ズーカラデルの音楽からは、サニーデイ・サービスへの愛が溢れている。最新アルバム『JUMP ROPE FREAKS』の2曲目を聴いて、そう思った。 その曲のタイト…

【レビュー・感想】リーガルリリー『Cとし生けるもの』、1月リリースなのに今年のベストアルバムにしたいほどの名盤

Cとし生けるもの (初回生産限定盤) (特典なし) アーティスト:リーガルリリー KMU Amazon 『Cとし生けるもの』で、リーガルリリーは何かが変わったと思った。 決して音楽性が変わったわけではない。演奏はオルタナティブロック。儚くも求心力のある歌声はいつ…

【レビュー】無線ピヤホン3(AVIOT TE-BD21j- pn)は全ての音を主役にするワイヤレスイヤホン

無線ピヤホン3 イヤホンなのに耳で音楽を聴く感覚にならない。音楽を身体で浴びた気分になる。そんな錯覚を持ってしまう不思議さがある。 だからか「ライブ会場にいる気分になる」「今まで聴こえなかった音が聴こえてくる」と評価するユーザーが多い。自分も…

【レビュー・感想】くるり『天才の愛』は大好きだし名盤だと思うけれど『野球』だけは苦手

天才の愛は名盤 くるりのアルバム『天才の愛』の中に、苦手な曲が1つだけある。 アルバムを批判したいのではない。むしろ賞賛したい。最高の名盤だと思う。改めて「すごいぞ、くるり」と思う作品だ。 徹底的なこだわりを感じる音色。それが繊細に積み上げら…

【レビュー・感想】Sexy Zone 『LET'S MUSIC』はライネクと同じぐらい凄い曲だと伝えたい

LET'MUSIC Sexy Zone『LET'S MUSIC』に衝撃を受けた。 高いクオリティの楽曲に驚いたわけだが、MVの映像にもも同じぐらい驚いた。そこに映る菊池風磨のインパクトが物凄いからだ。 MVの50秒〜57秒に注目してみてほしい。 菊池風磨が、おもむろに、ドヤ顔で、…

【レビュー・感想】『筒美京平 SONG BOOK』が他のトリビュートアルバムと比べて異質に感じる件

筒美京平のトリビュートアルバム 『筒美京平 SONG BOOK』を聴いても、トリビュートアルバムを聴いている気分にならなかった。 トリビュートアルバムは敬意を持った上で参加アーティストが楽曲をカバーする企画作品である。参加アーティストは自身の個性を加…

『関ジャム J-POP20年史 2000~2020年プロが選んだ最強の名曲ベスト30』で漏れた重要な曲があるので独断と偏見で追加で30曲選んでみた

テレビ朝日系列の音楽番組『関ジャム完全燃SHOW』で「J-POP20年史 2000~2020年プロが選んだ最強の名曲ベスト30」という企画が放送されていた。 アーティスト、作詞家、作曲家、プロデューサーなど音楽のプロ48人が選んだ、J-POP20年間の名曲を集計して発表…

【レビュー・感想】aikoのアルバム『どうしたって伝えられないから』の歌詞から「あたし」が急激に減った件

ばいばーーい aikoの歌には共感してしまう。 聴いた者を歌の世界観に一瞬で引き込んでしまうような物凄い力をもっているのだ。だから聴けば自分が歌の主人公になった気分になる。 男も女も関係なく、aikoの音楽を聴けば自分もaikoになれる。カブトムシにだっ…

【レビュー・感想】DISH//『X』は『猫』だけのバンドじゃないと気づかせてくれる名盤

『猫』は必要なのか? DISH//は最新アルバムに『猫』を入れるべきではないと思っていた。 これは曲が嫌いだからというわけでもない。むしろ名曲だと思っているし大好きな曲だ。 しかし楽曲自体はは2017年に発表されたもの。そして最新アルバム『X』に収録さ…

【レビュー・感想】indigo la End『夜行秘密』はBGMに向いていない不思議なアルバム

BGMにできない indigo la Endの『夜行秘密』は不思議なアルバムだ。 このアルバムはミドルテンポからスローテンポの曲が多い。音色の一つひとつにまで拘っているようで、聴いていて心地よい。ロックバンドとしてこの境地に辿り着いた事はすごいことだ。 しか…

【レビュー・感想】Sexy Zoneは『RIGHT NEXT TO YOU』によって何かが変わりそうな気がする

Sexy Zoneがついに勝負をしかけてきた 新曲の『RIGHT NEXT TO YOU』を聴いて、Sexy Zoneがついに「海外進出」へ向けて本格的に動き出したとと思った。 彼らは「海外進出を視野に活動するため」という理由で11年所属したレーベルであるポニーキャニオンから、…

【レビュー・感想】中島愛『green diary』は声優やアニソンが嫌いは人にこそ聴いて欲しい

声優の音楽 声優の発声は独特だ。俳優ともアナウンサーとも違う。 「言葉をしっかり伝えること」が声優にとっては重要にも思う。 そのため滑舌には気を使っているようだし、文字の1つひとつをハッキリと発音している声優が多いと感じる。 それでいて演技をす…

【レビュー・感想】ずっと真夜中でいいのに。『ぐされ』が他の「夜行性」と違う部分について

ずとまよをYOASOBIやヨルシカと一緒にできない YOASOBIとヨルシカとずっと真夜中でいいのに。(ずとまよ)この3組をメディアは「夜行性アーティスト」とまとめて紹介することが多い。 そういえば20年ほど前は、斉藤和義と山崎まさよしと中村一義を「3よし」と…

【レビュー・感想】崎山蒼志『find fuse in youth』

崎山蒼志のメジャーデビュー 「メジャーに行って変わった」 これは多くのミュージシャンが言われた言葉だと思う。特にインディーズ時代から人気や評価を集めていた場合は、特に言われるだろう。 おそらく崎山蒼志に対しても「メジャーに行って変わった」と思…

【レビュー・感想】KID FRESINO『20,Stop it.』に対して個人的に感じた他のヒップホップと違う魅力

KID FRESINO『20,Stop it.』 自分はヒップホップについて、それほど詳しいわけではない。 好きなヒップホップアーティストはいるが、文化については理解できない部分や理解したくない部分も多い。 自分がヒップホップを聴くようになったきっかけは、RIP SLY…

【レビュー・感想】岡崎体育『劇場版ポケットモンスター ココ テーマソング集』を聴いて「ざまあみろwww」と思った

性悪ではない岡崎体育 岡崎体育は変わってしまった。 以前の彼は1人で音楽を作っていたし、孤独だった。 「僕ずっとメンバーが欲しかったんだ」と、布切れに話しかけ現実逃避するほどには仲間を求めて飢えていたようだが、それでもバンドに対して「ざまあみろw…

【レビュー・感想】SixTONES『1ST』はジャニーズやアイドルをバカにしている人に一泡吹かせる名盤アルバム

SixTONESが自称音楽好きに泡を吹かせる 「ジャニーズっぽくない」 世間の反応からすると、SixTONESはこのように評価されることが多いようだ。今までジャニーズやアイドルに興味がなかった層でも、彼らの魅力に気づいている人が少なからず居るようだ。 そもそ…

【レビュー・感想】YOASOBI 『THE BOOK』で行われたEPやアルバムを一つの作品として聴かせる工夫について

THE BOOK YOASOBIがEP作品『THE BOOK』をリリースした。彼らにとって初のCD作品だ。 満を持してのCDリリースだが新鮮さはない。純粋な新曲は1曲のみしか収録されてなく、過去に配信された楽曲を1つにまとめたような作品だからだろうか。 つまり初のCD作品に…

【レビュー】Cody・Lee (李)『生活のニュース』をフジファブリックのファンに聴いて欲しい

夢を叶えたバンド 「フジファブリックと対バンできちゃいました!夢が叶っちゃいました!」 2020年11月22日にぴあアリーナMMで『BYACAMP』という音楽フェスが行われた。そこにオープニングアクトとして出ていたCody・Lee (李)のボーカル高橋響は、自身の演奏…