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『関ジャム J-POP20年史 2000~2020年プロが選んだ最強の名曲ベスト30』で漏れた重要な曲があるので独断と偏見で追加で30曲選んでみた

テレビ朝日系列の音楽番組『関ジャム完全燃SHOW』で「J-POP20年史 2000~2020年プロが選んだ最強の名曲ベスト30」という企画が放送されていた。

 

アーティスト、作詞家、作曲家、プロデューサーなど音楽のプロ48人が選んだ、J-POP20年間の名曲を集計して発表するという内容だ。

 

個人的には無難で納得できるランキング結果だった。20年間のヒット曲で重要なものはある程度網羅されていると感じた。

 

それでも48人の回答を集計した多数決による結果なので「この曲がランクインしなかったの?」「このアーティストがいないの?」と思ったりもする。

 

20年間をたった30曲にまとめることは不可能だ。仕方がないことではある。しかし他にも重要な楽曲があるので紹介はしたい。

 

何を基準にJ-POPとするかは難しいが、「ジャンルの壁を超えて多くの人に受け入れられた」と自分の独断と偏見で感じる楽曲をJ-POPとして定義し、番組内でランクインしなかったアーティストの楽曲から30曲を選んでみた。

 

楽曲が優れているだけでなく、時代を創った楽曲かどうかや、その後のJ-POPシーンへの影響力の強さ(良くも悪くも)も考慮して選曲した。この記事ではランキングではなく年代順に並べている。

 

 

aiko『ボーイフレンド』(2000) 

 

aikoのデビューは90年代後半で。ブレイクのきっかけとなった『花火』や『カブトムシ』は90年代の楽曲である。

 

しかしJ-POPシーンを20年間第一線で走り抜けているアーティストの一人なので、無視するわけにはいかない。それに20年間ずっと影響を残して続けてきた。

 

「aiko進行」と呼ぶ人もいるコード進行は個性的だし、細かく刻むメロディはボーカロイドなどネット発の音楽とも繋がる部分がある。Oficial髭男dismやクリープハイプ、川谷絵音などaikoからの影響を公言している後輩アーティストも多い。

 

『ボーイフレンド』はaikoで最も売れたシングル曲で初めて紅白歌合戦に出場した曲でもある。ポップなメロディとリズムは聴いているだけで楽しくなるし、〈宇宙に靴飛ばそう〉など歌詞のセンスは独特で耳に残る。

 

Tシャツにジーパンで歌う姿は、着飾って歌う女性シンガーが多かった時代では逆に新鮮で、他のアーティスト以上に親近感を持たせていた。ここまで素朴なファッションでメディアに登場する女性アーティストは、aiko以前には少なかったと思う。

 

確実にaikoは2000年代のJ-POPシーンに大きな影響を与えているのだ。

 

くるり『ばらの花』(2001)

 

大ヒットした曲ではないものの、多くの人に支持され愛され続けている楽曲である。『関ジャム』でキリンジをJ-POPとしてランクインさせていたので、それならばくるりもランクインさせるべきだと思った。

 

発売から数年後にドラマ『オレンジデイズ』の挿入歌に使われたり、2019年にはサカナクション『ネイティブダンサー』とのマッシュアップ楽曲が作られたりと、最近も『ばらの花』の影響力は衰えていない。

 

くるりの楽曲で最も多くカバーされている楽曲でもあり、それもJ-POPとして後世に大きな影響を与えた事がわかる。

 

ロックバンドでありながら様々なジャンルの音楽を取り入れて楽曲を作ってたくるり。その姿勢も「ロックバンドは自由に音楽を作れる」という価値観を作ったかと思う。

 

くるり以降にサカナクションなどロックと別ジャンルを組み合わせたバンドが増えたことも、くるりの音楽活動が大きく影響しているはずだ。

 

ゴスペラーズ『ひとり』(2001) 

 

アカペラで多人数がハーモニーを美しく響かせる歌唱がJ-POPに定着したことは、ゴスペラーズの実績が大きい。

 

彼らがブレイクしなければLittle Glee Monsterなどのグループがヒットすることもなかったかもしれない。

 

特に『ひとり』はアカペラのシングル曲としては、多大な影響の残している。アカペラのシングル楽曲としては日本最大のヒット曲であり、「アカペラ」という表現方法を日本に広めたきっかけの楽曲でもある。

 

ハモネプやRAG FAIRによる影響も大きいが、その後にアカペラブームがあったことも、ゴスペラーズ『ひとり』の影響によるものがあるはずだ。

 

ZONE『secret base 〜君がくれたもの〜』

secret base 〜君がくれたもの〜

secret base 〜君がくれたもの〜

  • ZONE
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

歌詞の構成や表現方法が当時のJ-POPとしては独特で個性的だった。

 

詩的な表現はほとんど使わずに状況説明するような内容の歌詞。詞というよりも短編小説のように物語を綴るような歌詞だ。

 

会話をするテンポと同じぐらいのBPMの楽曲。休符をいくつも挟む歌メロなので、歌詞がすんなりと頭に入ってくる。そのため物語の世界に没入してしまう。

 

70年代のフォークソングではこのような物語形式の歌は少なくはなかった。しかし2000年代になってからはこのようなタイプの歌詞は少なかったと思う。歌詞も当時のJ-POPとしてはと長い方だ。

 

そして説明形式で物語を綴る歌詞を、JPOPのサウンドに乗せることは珍しく新鮮だった。

 

『secret base 〜君がくれたもの〜』によって具体的に説明するようなJ-POPソングは増えたと感じる。良くも悪くも詩的な表現を使うJ-POPは少なくなった。

 

しかし同じような曲構成の『君の知らない物語』のような名曲が生まれてヒットしたことは、ZONEの影響もあるのではないだろうか。

 

J-POPの歌詞や楽曲構成の変化に影響を与えた楽曲だ。

 

MONGOL800『あなたに』(2001)

 

 

名曲とそれが拡まるきっかけさえあれば、無名のインディーズバンドでも日本の音楽シーンのド真ん中に食い込める。MONGOL800はそんな夢物語が現実になることを示したバンドである。

 

CMに『あなたに』が使われたことがきっかけで、同曲が収録されたアルバム『MESSAGE』は280万枚の大ヒットになった。

 

今でもカラオケの定番曲であり、発売当初は生まれていない若者も含め、今でも老若男女に愛され続けている楽曲だ。

 

またメロコアにJ-POP的なメロディと歌詞を組み合わせてヒットさせたことも、MONGOL800が最初に思う。

 

この音楽性はWANIMAなど今の若手バンドにも影響を少なからず与えたはずだ。

 

KICK THE CAN CREW『クリスマス・イブRap』(2002)

クリスマス・イブRap

クリスマス・イブRap

  • KICK THE CAN CREW
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

 J-POPシーンにHIPHOPを拡めたことにおいて、RIP SLYMEとKICK THE CAN KREWは大きな功績を残している。

 

特にKICKは紅白歌合戦に出場したりと大きな舞台に積極的に立って、HIPHOPを拡めようとしていた。

 

また『クリスマス・イブRap』はサンプリングというHIPHOPの手法を使って、40万枚のヒット曲にしたことが偉大に思う。

 

それはHIPHOPの文化も含めて、世間のより幅広い多くの人に伝えたと言える。

 

 

ケツメイシ『トモダチ』(2002)

 

ケツメイシはメロウなラップをヒットさせた数少ないグループである。『トモダチ』はHIPHOPの文化をほとんど感じさせないラップソング。そのような楽曲がヒットしたことは初めてなはずだ。

 

J-POPのバラードのようなメロウなリズムと音色の楽曲。しかし歌の構成はほとんどがラップ。リスナーもJ-POPとして受け入れていたと感じる。

 

KICKやRIPのようにHIPHOPの文化も大切にして「J-POPシーンでHIPHOPをやっている」という音楽とは少し違った。ケツメイシは「ラップでJ-POPをやっている」という音楽に感じる。

 

2000年代はラップを使ったJ-POPが急増した。ラップという表現方法が世間的に定着したのだ。その事にケツメイシは大きく貢献している。

  

ORANGE RANGE『上海ハニー』(2003) 

 

MONGOL800のブレイクによって沖縄のバンドが注目されていた00年代初頭。

 

その中でも「沖縄から出てきた意味」と「今までにない新しさ」最も持っていたのはORANGE RANGEに思う。

 

『上海ハニー』はキャッチーな歌メロとラップが組み合わさった歌と、ユーモアに溢れた歌詞が印象的。そしてミクスチャーロックをJ-POPよりの構成やアレンジにして世間に拡めた楽曲に思う。

 

沖縄のダンスカチャーシーを取り入れたパフォーマンスや、沖縄民謡の掛け声を収録したりと、なんでもありな楽曲になっている。

 

ORANGERANGEの良くも悪くも元ネタがわかりやすい引用をした音楽性は、音楽ファンの間で賛否が分かれた。

 

しかし複雑な構成ながらポップスとして違和感なく聴ける楽曲を制作する手腕や、ロックもポップスもなんでもありで組み合わせて成立させる力技は評価するべきに思う。

 

大塚愛『さくらんぼ』(2004)

 

当時の女性のシンガーソングライターは、可愛いに全振りするような曲を出すことは珍しかった。それが大塚愛のブレイク以降で変わったと感じる。

 

当時はわかりやすい可愛さについてはアイドルに任せて、そこを避けるような表現をするアーティストが多かった。

 

しかし大塚愛は『さくらんぼ』でアイドル顔負けのあざとさとぶりっ子を見せつけた。それを音楽によって表現していた。

 

コーラスワークも曲間の掛け声は、アイドルソングでも珍しいぐらいに可愛さに全振り。良い味でのあざとさがクセになる。

 

かといってアイドルとは違うポップスとして成立されている不思議な曲でもある。ジュディマリ以降のポップロックに思わせておいて、編曲は複雑で様々な音色が使われている部分も面白い。

 

そしてなによりも「もう1回!」というキラーフレーズを作ったことがすごい。

 

スピッツ『スターゲイザー』(2004)

 

スピッツの影響力は物凄い。

 

マニアックな音楽をやっているサブカルバンドも影響を受けていることは多いし、J-POPシーンのド真ん中で活躍している人気バンドにもファンがたくさんいる。

 

彼らのすごいところはロックである軸や自らの音楽性は絶対にブレさせずに、一見同じことをずっとやっているように思わせつつも、進化や変化を繰り返していることだ。

 

例えば『スターゲイザー』は世間のイメージするポップな演奏ではない、骨太なロックサウンドである。しかしメロディはスピッツのキャッチーで耳に残る個性で溢れていてJ-POPとして受け入れられう要素を残している。

 

90年代がバカ売れしたせいで2000年以降は目立っていないイメージはあるが、それはコンスタントに良曲を出してヒットさせているからだろう。

 

「この曲がすごい!」というよりも「バンド自体が凄い」と言えるような、どれか1曲が飛び抜けているわけではなく、良い曲を量産できる安定したバンドだ。

 

チャットモンチー『シャングリラ』(2006)

 

ガールズバンド(個人的にこの言い方は好きではないけれども)もカッコいいロックができるということを最も示たバンドに思う。

 

チャットモンチーのすごい部分は難しいプレイをしていないのに、耳に残るフレーズを全楽器が行っていることだ。

 

特に『シャングリラ』はその傾向が強い。イントロのドラムやベースの音は、シンプルなのに聴けば一発で覚えてしまう。

 

そしてロックフェスではロックバンドとしてメインステージに立ちつつも、テレビ番組にも積極的に出て演奏していたことも印象的だ。

 

当時のロックバンドはテレビの音楽番組でパフォーマンスすることが少なかったが、チャットモンチーは出演してロックを鳴らしていた。

 

それはロックとJ-POPの架け橋になる活動でもあり、ロックに興味を持つ入り口になったバンドの一つになれていたのではと思う。軽音楽部に入っていた女性はチャットモンチーを一度はコピーしたことがあるのではないだろうか。

 

ロックシーンでもJ-POPシーンでも、チャットモンチー以上に解散後も語られ続ける女性メンバーだけのバンドは、もう二度と出てこないかもしれない。

 

平野綾、茅原実里、後藤邑子『ハレ晴レユカイ』(2006)

ハレ晴レユカイ

ハレ晴レユカイ

  • 平野 綾、茅原実里、後藤邑子
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

自分は『涼宮ハルヒ』のアニメは観ていなかった。しかし『ハレ晴レユカイ』のことは知っていた。めちゃくちゃ流行っていたからだ。

 

おそらくアニメは観たことない人も聴いたことがある人がたくさんいると思う。なんならアニメを知らずともダンスを踊れたりする。アニメを飛び越えてポップスとして受け入れられていた。

 

2006年はニコニコ動画が開設された年。

 

2007年前後に「踊ってみた動画」という一般ユーザーが好きな曲で踊る動画を投稿するコンテンツがニコニコ動画内で流行り始めた。これはサービスが飛躍するきっかけの一つと言われている。

 

『ハレ晴レユカイ』の「踊ってみた」が最初に投稿されたとも言われていて、特に多くのユーザーがこの曲を踊っていた。

 

音楽として優れていたり音楽シーンに影響を与えただけでなく、アニソンやJPOPの枠を飛び出して、さらに多くの場で影響曲があった名曲である。

 

マキシマムザホルモン『恋のメガラバ』(2006)

恋のメガラバ

恋のメガラバ

 

 

マキシマム ザ ホルモンをJ-POPにカテゴライズすることに賛否は分かれるかもしれない。

 

しかしテレビで演奏する機会は一切ないとしても、オリコン1位になりアルバムを40万枚も売っているバンドではある。普段はロックを聴かない層にも確実に届いている。

 

メロディはキャッチーなものの歌詞は何を言っているかわからない。音楽性も激しいハードロックやラウドロック、パンク。メディアの露出も少ない。

 

CDでのリリースのみで配信もしていない。当時流行していた着うたもない。YouTubeにMVがないリード曲やシングル曲だらけ。

 

それまでのヒット曲が生まれる定義とは真逆な活動とリリース形態だ。

 

しかしそんな定義もぶっ壊して日本を代表するバンドになった。

 

そして彼らは影響力はあるはずなのに、フォロワーバンドをほとんど生み出していなき。個性が強烈すぎて真似出来ないし真似する気にもなれないのだ。誰も適わないのだ。

 

彼らはJ-POPシーンにおける突然変異的なブレイクをしたバンドだ。

 

嵐『Love so sweet』(2007)

 

関ジャムのランキングに嵐がランクインしなかったことには驚いた。むしろ是が非でも入れるべきだと思った。

 

ここ20年間のJ-POPは嵐が作ってきたといっても過言ではないぐらいに、シーンを引っ張ってきた存在なのだから。

 

しかしランクインしなかったことも理解はできる。名曲やヒット曲が多すぎて票が分かれるからだ。

 

嵐の代表曲と言って思い浮かぶ曲は人それぞれ違うだろうし、様々な音楽に挑戦しているグループだからだ。

 

グループの存在自体が偉大すぎて、1曲に絞れない。

 

しかし嵐は存在も音楽も後世に残すべきだ。自分は悩んだ末にラストライブの最後に披露された『Love so sweet』を選んだ。

 

初音ミク『みっくみくにしてあげる♪【してやんよ】』(2007) 

 

初音ミクの存在には触れなければならない。

 

ボーカロイドは大きな発明だと思うし日本の音楽シーンに大きな影響を与えた。初音ミクをきっかけに埋もれていた才能がたくさん発見された。

 

米津玄師だって初音ミクがなければ音楽をやらなかったかもしれないし、才能が見つかることもなかったかもしれない。

 

『みっくみくにしてあげる』は初音ミク楽曲で初めてバズったヒット曲と言われている。

 

楽器を買ったりバンドを組んだりしなくても、より自由に誰もが音楽を作れるきかっけを作ったボーカロイド。

 

そして「ボーカロイドがあればこんな凄い音楽を作れるのか!」と思わせて、多くのボカロPを誕生させるきっかけを作った『みっくみくにしてあげる』。

 

この曲自体はJ-POPではないかもしれないが、今のJ-POPには強い影響力を持った楽曲でもある。

 

 

フジファブリック『若者のすべて』(2007)

 

『若者のすべて』が世間に受け入れられていく流れは、他のヒット曲とは違う不思議なルートだった。

 

リリースから数年かけて少しづつ受け入れられていき、リリースから10年経った頃には、夏を代表する名曲となっていた。

 

切ないピアノの旋律が印象的な楽曲。ギターロックが全盛だった頃にリリースされたこともあり、リリース当時から印象的ではあった。

 

個性的な演奏が強みなフジファブリックとしても、これほど真っ直ぐな楽曲を歌うことは珍しかった。

 

いつものフジファブリックとは違う方向性だったため、ファンの間でも評価は分かれていた。しかし楽曲の持つ力でじわじわと魅力が浸透していった。

 

このようなリリースから時間差でのヒットは増えてきているが、ここ20年でこのようなタイプのヒットをしたのは『若者のすべて』が最初かもしれない。

 

「良い曲を作れば評価される時がくるかもしれない」という希望を与えた曲でもあり、消費されがちなJ-POPシーンにおいて、長く聴かれる名曲を作り出したとも言える。

 

相対性理論『LOVEずっきゅん』(2008)

 

ネット発でブレイクしたバンドは、相対性理論が最初かもしれない。彼らはMySpaceというユーザーが音楽を投稿できるSNSサービスをきっかけにブレイクしたのだ。

 

そこに投稿された『LOVE ずっきゅん』が話題となり、YouTubeに投稿されたMVによってさらにバズが加速した。そして1stEP『シフォン主義』が全国流通して人気バンドになった。

 

当時ライブ以外では顔出しもしていなかった。それも現代のネット発アーティストと通ずる部分がある。

 

複雑でマニアックな演奏に素朴なボーカルが組み合わさった音楽も刺激的だった。相対性理論の登場以降はロックバンドの演奏は複雑なものが増えたと感じるし、やくしまるえつこに影響を受けた歌唱をするボーカルはJ-POPシーンでも見かけるようになっている。

 

顔出しせずネットを中心に活動しても、バンドは音楽は多くの人に届けられるという大きな成功例を作ったバンドだ。

 

ユニコーン『WAO!』(2009)

 

伝説のバンドの再結成は、どうしても「同窓会」的な空気感が出てしまう。

 

全盛期を超えることは難しいし、ファンも過去の曲を求めている部分がある。

 

しかしユニコーンの再結成は少しだけ違った。新曲『WAO!』をシングルで発表して活動を再開した。そして全曲新曲のアルバムをリリースして全国ツアーを回った。

 

それは同窓会的な再結成ではなく、現役のバンドとして勝負するような再結成である。それは今までとは違うタイプの再結成だった。テレビなどのメディアにも積極的に出演したりと、解散前を知らない世代にも存在を知らしめた。

 

今でもマカロニえんぴつなどユニコーンからの影響を公言している若手が登場していることは、現役バンドとしての再結成を彼らが行なっからだろう。

 

その後にTHE YELLOW MONKEYやウルフルズなど、解散や活動休止から再開したバンドも再始動時には新曲を用意したことも、ユニコーンの影響があるかもしれない。

 

活動再開と同時に発表された『WAO!』は「これぞユニコーン」と言えるような唯一無二の個性があって、最新で最強のユニコーン楽曲だった。

 

「バンドの再結成はダサい」という偏見をぶち壊して、その後のバンドの再結成のあり方をユニコーンは変えたのだ。

 

薫と友樹、たまにムック。『マル・マル・モリ・モリ!』(2011)

 

 

『マル・マル・モリ・モリ!』については別の記事を書いているので、そちらを読んで欲しい。

 

 

画曲自体が素晴らしいことはもちろん、東日本だ震災の爪痕が残っている時期にリリースされた楽曲で、多くの人に元気を与えたという意味で、とても重要な楽曲に思う。

 

猪苗代湖ズ『I love you & I need you ふくしま』(2011) 

 

震災以後で音楽の持つ力を実感することが増えた。

 

『I love you & I need you ふくしま』は元々は復興支援のために作られたわけではない。被災地の応援ソングとして作られたわけえでもない。

 

しかし「ふくしま」への愛を歌った楽曲は被災地の人に力を与えたし、その他の地域も被災地へ思いを馳せたり支援をしようと思うきっかけを与えたと思う。またCDの利益は福島県災害対策本部に全額寄付されている。心を癒して救っただけでなく、金銭的にも支援しているのだ。

 

猪苗代湖ズはこの曲で紅白歌合戦に出場した。演奏中のモニター前には多くの出演者やスタッフが集まり、演奏後には舞台裏で盛大な拍手が贈られたという。

 

音楽は衣食住のように直接的に人を救うものではないかもしれない。しかし音楽は必要で大きな力を持っている。

 

『I love you & I need you ふくしま』は音楽の力の凄さを示した楽曲なのだ。

 

 

back number『花束』(2011) 

 

back numberは不思議なロックバンドだと思う。そして王道なようで新しい価値観を作ったバンドにも思う。

 

彼らは他のバンド以上に、J-POPと親和性のあるロックを作るのだ。

 

ロックバンドは洋楽の影響を直接的に受けているバンドが多かった。それはJ-POPシーンで人気なバンドでも変わらない。

 

しかしback numberからは洋楽の匂いを感じないのだ。

 

メンバーが影響を受けた音楽として海外アーティストを取り上げることも少ない。彼らは日本の音楽からのみ影響を受けて、それをロックのフォーマットに落とし込んでいるように聴こえる。

 

バンドにとって最初のヒット曲である『花束』は特にJ-POPのメロディや構成の楽曲を、見事にロックバンドとして演奏で表現している。初期のレミオロメンもその傾向はあったが、それでもレミオは洋楽の影響は感じた。

 

back numberは堂々とJ-POPの影響を公言し、それを自らの音楽に落とし込んだロックバンドだ。狙ってJ-POPをやっているというよりも、自らが望んで好きだからJ-POPをやっているように聴こえる。

 

世代によるものもあるかもしれないが、彼らのブレイク以降は洋楽の影響を受けていないロックバンドが増えたように感じる。

 

ロックバンドとして王道J-POPを堂々とやるバンドは、back numberが『花束』をヒットさせる以前は少なかったかもしれない。

 

でんぱ組.inc『でんでんぱっしょん』(2013)

 

でんぱ組.incは女性アイドルソングの王道をぶっ壊して塗り替えた存在だ。『でんでんぱっしょん』のヒットがそれには大きく貢献している。

 

当時はAKB48が全盛期だったし乃木坂46も飛躍し始めた時期。曲展開が複雑な上に高速BPMの「電波ソング」はイロモノであり王道へのカウンターであった。

 

しかしでんぱ組.incのブレイクによってアイドルソングの王道が変わってきたと感じる。彼女たちのフォロワーといえる女性アイドルは続々と登場し、複雑な展開の電波ソングを歌う女性アイドルが急増した。

 

「アイドルソングといえばこういう感じ」という新しいフォーマットをでんぱ組は作った。AKBとは違う方向性での、新しい王道アイドルソングの雛形を作ったのである。

 

またアニメキャラのような芸名をつけるアイドルも増えたが、それもでんぱ組の影響があるはずだ。

 

そして「カラオケで歌われること」を全く想定していないシングル曲を出したことも印象的である。

 

ももクロのようにカラオケで歌うことが大変な曲を出すアイドルはいたが、カラオケで歌うことが1人では不可能な曲を連発するアイドルはいなかった。

 

『でんでんぱっしょん』も展開が複雑でキーも高く、曲間で掛け声やセリフもある。カラオケで歌うことは困難だ。カラオケ文化のある日本では歌えるかどうかはヒット曲において重要だったが、そこをガン無視している。

 

しかし刺激をひたすら与えるような情報量が多量な曲であるため、印象に残ってしまうし中毒性がある。一度聴いたら頭から離れず、だんだんと好きになってしまう。

 

王道へのカウンターを繰り返していたら、気づいたら多くの人に受け入れられて、王道になってしまった。

 

そんな新しい女性アイドルソングの形を作ったのはでんぱ組.incであり、『でんでんぱっしょん』はそれに大きく貢献している。

 

KANA-BOON『フルドライブ』(2014) 

 

2010年代前はロックフェスがレジャーとして受け入れられ始めた。来場者が音楽ファンだけでなく、普段は主体的に音楽を聴かないであろう層も巻き込んでいった。

 

そのため「わかりやすく盛り上がることができる音楽」が求められ始めた。

 

KANA-BOONはそんな時代に出てきたからこそ、ブレイクしてヒット曲を出したのだろう。所謂「四つ打ちロック」の代表的バンドとしてシーンを引っ張っていた。

 

TRICERATOPSやBase Ball Bearなど四つ打ちのリズムで曲を作るロックバンドは存在した。アジカンも『君と言う花』で四つ打ち楽曲は発表していた。

 

しかしそれらは70年代のディスコミュージックに近いテンポである。2010年代前半に流行った四つ打ちロックとは少し違う。

 

BPMが170以上でシンプルなリズムパターン。三連符が多い歌メロ。サビに向けてわかりやすく盛り上げていく展開。このような楽曲が多かった。

 

それはディスコミュージックとは違うタイプの四つ打ちで「いかに激しくオーディエンスを盛り上げるか」という部分に注力していたバンドが急増していたと感じる。

 

『フルドライブ』はそんな盛り上げる要素を、全て盛り込んだ四つ打ちロックである。この曲はAメロやBメロでもテンションが上がる要素を盛り込んでいる。どこを切り取っても盛り上がる要素があるのだ。

 

だから誰もが自然と聴いていて気持ちが昂る。

 

普段はロックを聴かない人もロックフェスに行くようになった時代に、多くの人を巻き込むロックを鳴らせたことにも理由はあるのだ。KANA-BOONをきっかけにロックの楽しさやロックフェスの楽しさを知った人も、きっとたくさんいるのだろう。

 

BABY METAL『ギミチョコ!!』(2014) 

 

今では日本を代表するアイドルというよりも、世界で活躍する日本人アーティストと呼んだ方がしっくりくるBABYMETAL。世界で最も成功している日本人アーティストかもしれない。

 

アイドルとメタルを融合させたサウンドは新しい発明であり、簡単には真似できない唯一無二の個性である。その真逆とも言えるジャンルが組み合わさると刺激的で、不思議とそれがキャッチーに聴こえる。

 

特に『ギミチョコ!!』は日本語であることを活かした楽曲で魅力的だ。

 

この曲は歌詞にオノマトペが使われている。海外は動詞や形容詞から派生した擬音はあるものの、単独の言葉としてのオノマトペは存在しない。それも新鮮で海外でヒットした理由かもしれない。

 

日本人の感性からしても、これほどオノマトペを連発する歌詞は珍しいので新鮮だ。歌詞の意味よりも音の響きを重視した歌詞は聴いていて気持ち良い。

 

BABYMETALも新しいアイドルソングの形を作った。もしかしたら新しいJ-POPの形を作ったと言う方が正しいかもしれない。

 

そして海外にもJ-POPの魅力をしっかりと伝えた。しかもオノマトペなど「日本語にしかない文化や魅力」まで伝えてしまった。物凄いグループだ。

 

岡崎体育『MUSIC VIDEO』(2016)

 

音楽は耳で聴くだけでも完結するエンタメであり芸術だと思う。しかし岡崎体育は『MUSIC VIDEO』で耳だけでは完結しない音楽を作り出した。

 

もちろん音だけ聞いても楽しめる。洗練された音色だし繊細で作り込まれた編曲。優れたポップソングだ。

 

しかしこの曲は映像を込みで聴かれることを想定している。映像とセットで完成するのだ。これはYouTubeで音楽を聴く人が増えたことを逆手に取った新しい音楽の伝え方である。

 

以前から初音ミクなどのボーカロイドは映像とセットで表現している部分はあったが、映像がなければ意味や意図が伝わらない音楽ではなかった。『MUSIC VIDEO』の場合は音源で伝わりきらない部分を映像で補完しているし、映像で伝わりきらない部分を音楽で補完している。

 

岡崎体育『MUSIC VIDEO』のヒットには、音楽を伝える手段は多様化しているということを実感してしまう。

 

 

欅坂46『サイレントマジョリティ』(2016)

 

ロックといえば「反骨精神」「若者の代弁者」というイメージの人は多いだろうし、そのような役割を持つ音楽ではあった。

 

それがロックフェスがバブル的な拡大をしたことで、ロックバンドはメッセージよりも「いかにオーディエンスを盛り上げるか」を重視することが増えたように見える。そのため四つ打ちロックが流行ったのだろう。

 

そんなタイミングで欅坂46が『サイレントマジョリティー』で、今までのロックバンドが担っていた役割を奪ってしまった。若者の代弁者として大人への反発を歌にしてメッセージを送った。それも10代のメンバーが歌っているので、若者にとっては存在やメッセージをロックバンド以上に身近に感じたのかもしれない。

 

また「笑わないアイドル」と評されたり、手足だけでなくステージ全体の視覚的効果を意識したダンスも注目された。今までのメジャー資本の女性アイドルの常識を壊した上で天下を取ったのだ。

 

しかし〈大人たちに支配されるな〉という歌詞を書いたのは、「大人」でありプロデュースをしているのも「大人」である。その捩れや矛盾のせいでメンバーは傷ついたかもしれないし、グループの寿命は縮んだのかもしれない。ファンである自分でも、そこに不気味さを感じる部分はある。

 

欅坂46は新しいアイドルの形を作り表現し、今までとは違うアイドルの生き様を見せ、今までと変わらないアイドルの裏側を感じさせる存在だった。

 

Suchmos『STAY TUNE』(2016)

 

Suchmos『STAY TUNE』は世間のバンドに対するイメージを変えた。

 

J-POPシーンにおいて、J-POPシーンにまで食い込むバンドはロックやポップスをやっていることが多い。

 

しかしSuchmosはロックからの影響を受けつつも、R&Bやアシッドジャズなどブラックミュージックの影響を受けて音楽を作っている。また泥臭かったり親近感を持たれるバンドがJ-POPとして受け入れら流ことが定番ではあったが、Suchmosはオシャレな音楽として受け入れられた。

 

おそらく本人たちはJ-POPを作るつもりではなかったと思う。むしろ「売れ線」の曲を作る気などさらさらなく、むしろそのような制作から距離を置いて自分たちの音楽を突き通しているように感じる。

 

そんなバンドがJ-POPとして受け入れられて楽曲がヒットし、スタジアムライブを行ったり、紅白歌合戦に出場するほどブレイクしたことも注目ポイントだ。

 

売れ線を狙うわけではなく自分たちのやりたい音楽をやってブレイクした。それも今までのJ-POPシーンでは珍しいタイプの楽曲でヒットを出した。

 

魅力的な音楽を作れば、売れ線を狙わなくても良い。そんな新しくて良い流れを日本の音楽シーンにもたらしたと感じる。。

 

BiSH『オーケストラ』(2016)

 

 BiSHはアイドルでありながらアイドルとは違う文脈で受け入れられた。

 

過去にはperfumeも同様に他のアイドルとは違う受け入れられ方をしてブレイクしたが、それでもアイドル的な可愛らしさやポップさを含んだ音楽だったし、過去のアイドルソングと親和性が高い打ち込みのダンスミュージックでもあった

 

しかしBiSHの音楽は一部のアルバム収録曲を除き、アイドル的な可愛さやポップさを排除している。ロックやポップスに近いサウンドや歌詞や曲構成。歌唱もアイドル的な歌唱とは違う。音楽だけを聴いたらロックバンドに感じるようなサウンドである。

 

おそらくBiSHをきっかけにアイドルを聴くようになった人もいるだろうし、アイドルとして認識してない人も多いと思う。

 

彼女たちが飛躍するきっかけとなった『オーケストラ』は、壮大なロックバラードとして受け入れられてバズった。MVもメンバー以外の女性俳優がメインで演じていたりと、ロックバンドのMVに近い。

 

メンバーの魅力を伝えるというよりも、楽曲や歌声の魅力を伝えるような構成のMVになっている。

 

アイドルシーンにおいてはBiSHの前身的グループの第1期BiSの方が影響力は大きいかもしれない。BiSの登場以降ロックを歌うアイドルは急増したし、BiSHは「BiSの二番煎じ」をキャッチコピーにしていた。

 

しかし多くのリスナー層にリーチしたこともあって、J-POPシーンにおいてはBiSHの影響は大きい。アイドルソングの多様性や魅力を、普段アイドルを聴かないし興味のない層に彼女たちは伝えた。

 

SHISHAMO『明日も』(2017)

 

 SHISHAMO『明日も』はロックバンドが持つ役割が昔と今とでは変わったことを示した楽曲に思う。

 

反骨精神を持つ音楽がロックだった。ロックは嫌な現実を変えようとするメッセージを発することが多かった。嫌なことはやらずに自由に生きていこうというメッセージを含むこともあった。

 

しかし『明日も』は嫌な現実を受け入れて毎日を過ごし、その代わり休日は自分にとってのヒーローに会いに行って、明日も頑張るための活力を貰うと言う曲である。

 

つまり生きづらさを感じている音楽ファンにメッセージを送ることは以前と変わっていないとしても、価値観は以前のロックとは真逆なのだ。

 

だからと行ってSHISHAMOがロックではないかというとそういうわけでもない。実は反骨精神に満ちたロックバンドでもある。演奏は骨太でロックバンドとしか言い表せないし、宮崎朝子の表現する世界は棘や毒もあったりする。そもそも『明日も』は、はみ出し者のための歌である。

 

しかしそのメッセージには普遍性があり時代を表しているので、ロックとしてだけでなくポップスとしても受け入れられた。だからヒットしてSHISHAMOはこの曲で紅白歌合戦に出場した。

 

ロックのあり方や必要性が変わった世の中で、しっかりとロックを鳴らしている。『明日も』はそんな時代の変化を敏感に捉えた楽曲である。

 

瑛人『香水』(2019)

 

 無名で宣伝をしなかったとしても、『香水』のように様々なきっかけが重なってヒットすることもある。瑛人『香水』のヒットは多くのミュージシャンに希望を与えた出来事だと思う。

 

インターネットさえあれば誰もが自由に音楽を作ることができて発表することができる。そんな時代だからこそのヒットの形である。またCDをリリースしていないのに、大ヒットしていることが伝わった珍しいパターンである。

 

また瑛人のブレイク後はアマチュアの弾き語りのシンガーソングライターが次々と台頭してきて、ネットを中心にヒットを飛ばしている。そのようなアーティストがMステなどの音楽番組やメディアに出演することも増えた。瑛人が新しいヒットの形を作ったからこそ発生したムーブメントだ。

 

瑛人『香水』のヒットはドルチェ&ガッバーナのその香水のせいではなく、きっと才能や実力のおかげだ。

 

まとめ

aiko『ボーイフレンド』(2000)

くるり『ばらの花』(2001)

ゴスペラーズ『ひとり』(2001)

ZONE『secret base 〜君がくれたもの〜』(2001)

MONGOL800『あなたに』(2001)

KICK THE CAN CREW『クリスマス・イブRap』(2001)

ケツメイシ『トモダチ』(2002)

ORANGE RANGE『上海ハニー』(2003)

大塚愛『さくらんぼ』(2004)

スピッツ『スターゲイザー』(2004)

 

チャットモンチー『シャングリラ』(2006)

平野綾、茅原実里、後藤邑子『ハレ晴レユカイ』(2006)

マキシマムザホルモン『恋のメガラバ』(2006)

嵐『Love so sweet』(2007)

初音ミク『みっくみくにしてあげる♪【してやんよ】』(2007) 

フジファブリック『若者のすべて』(2007)

相対性理論『LOVEずっきゅん』(2008)

ユニコーン『WAO!』(2009)

薫と友樹、たまにムック。『マル・マル・モリ・モリ!』(2011)

猪苗代湖ズ『I love you & I need you ふくしま』(2011)

 

back number『花束』(2011)

でんぱ組.inc『でんでんぱっしょん』(2013)

BABY METAL『ギミチョコ!』(2013) 

KANA-BOON『フルドライブ』(2014)

岡崎体育『MUSIC VIDEO』(2016)

欅坂46『サイレントマジョリティ』(2016)

Suchmos『STAY TUNE』(2016)

BiSH『オーケストラ』(2016)

SHISHAMO『明日も』(2017)

瑛人『香水』(2019)