オトニッチ

ニッチな音楽情報と捻くれて共感されない音楽コラムと音楽エッセイ

【ライブレポ・セットリスト】ゲスの極み乙女・礼賛・roi bob『Music Splash!!』 at EX THEATER ROPPONG 2025年8月29日(金)

ゲスの極み乙女と礼賛の対バン。この組み合わせは、川谷絵音や休日課長のファンには歓喜する組み合わせである。どちらのバンドも2人が参加しているし、今まで対バンはありそうでなかったからだ。

 

f:id:houroukamome121:20250922105713j:image

 

そこに共演相手として呼ばれたのは、若手バンドのroi bob。川谷絵音が選び呼んだ若手だという。つまり今回行われたイベント『Music Splash!!』は、川谷絵音プロデュース公演と言っても良いようなイベントなのである。

 

礼賛

 

トップバッターは礼賛。メンバーが1人ずつ登場する都度に歓声が巻き起こる。このバンドを期待し楽しみにしていた人が多いのだろう。

 

力強いドラムのビートから演奏が始まると、少し遅れてボーカルのCLRが登場。「ミュージックスプラッシュ!礼賛です!よろしくお願いします!」 とCLRが叫ぶと、さらに大きな歓声が響く。観客はドラムのリズムに合わせ盛大な手拍子を鳴らし、CLRは手拍子のリズムに乗せるようにキレッキレなラップを披露する。後ろまで手が上がる景色は圧巻でワンマンライブかのようだ。


CLRが「スケベな音楽好きをチェックします!」と客席を眺めてから始まった『スケベなだけで金がない』の盛り上がりも凄まじい。「我こそはスケベという人は大きな声で返してください!」という煽りに対しても、観客が大きな声でレスポンスする。この会場、スケベだらけだ。

 

そんなスケベな観客は『GOLDEN BUDDY』でさらに興奮した様子で騒ぐ。高比良くるまのラップは音源をオケで流してはいたものの、CLRのラップは生歌だしキレッキレで最高だ。もちろんバンドの生演奏も迫力があり圧巻である。


「皆さん仕上がってますね!こんなギュウギュウのEX THEATERは久々です!」と言って観客の熱気に喜ぶCLR。そして「家に帰ったらみなさんら鏡に恋してみてください」と告げてから『鏡に恋して』を続ける。複雑な演奏にメロディアスな歌の組み合わせが良い。中盤のギターソロも最高だ。

 

ここまでアップテンポの曲で盛り上げてきたが、ここからはミドルテンポの楽曲続く。『マシ』では横揺れの心地よいビートを鳴らして観客をゆったりと踊らせる。だがサウンドや歌はクールで痺れてしまう。

 

「新曲をやります。1週間にできたばかりでレコーディングもしてないです。忙しい日々を歌った曲です」と言ってから披露された新曲『超BUZY』では、重低音響くドープで怪しげな演奏に、言葉を詰め込んだようなラップが重なる。照明も薄暗くなっていたし、他の楽曲とは少し違うクールで怪しげな雰囲気になっていた。

 

礼賛は演奏技術が高いメンバーが揃っている。それを見せつけるようなジャムセッションも披露された。

 

春日山のテクニカルなベースソロに手数の多い foot vinegarのドラム、そこに晩餐と簸の個性的なギターが加わる。そのジャムセッションだけでもライブが成立すると感じるほどに凄まじい演奏だ。

 

そんなジャムセッションが自然に『TRUMAN』のイントロになる。演奏されたのはもちろん『TRUMAN』。観客もライブならではの展開にこうふんし再び手を挙げたり飛び跳ねたりと盛り上がる。

 

ライブも後半。「みんなと熱帯夜をすごしたいです!」というCLRの言葉から始まったのはRIP SLYME『熱帯夜』のカバー。ライブでは定番の楽曲だ。

 

CLRと春日山は「すごいスプラッシュ///」「ああ!テレ朝スプラッシュ///」「顔にかかるスプラッシュ///」とライブタイトルをイジりつつセクシーかつシュールなやり取りをイントロでしていた。

 

そんなやり取りの後に「このテンションについてきてください(笑)」も苦笑いしていたが、スケベなだけの観客は当然ついてきて盛り上がっている。晩餐もハンドマイクになりラップを披露したり、他のメンバーも前方に出てきて煽りながら楽器を掻き鳴らす。その様子は熱帯夜よりも熱く思えた。

 

続けて演奏されたのは新曲『ホレタハレタ』。疾走感のあるロックサウンドでメロディはキャッチー。初めて聴いた観客ばかりなはずなのに、サビはみんな手を挙げて盛り上がり、一緒に歌っていた。今後ライブで楽曲が育ったは重要なキラーチューンになりそうだ。

 

川谷さんがやっている別のバンドと対バンできて嬉しかったです。また会えるように頑張ります。

 

新曲を2曲もやったということは、近いうちにリリースされることでしょう。だから皆さんの前にフレームアウトして戻ってくるので、また会いましょう!

 

CLRが最後の挨拶をしてから演奏されたのは『フレームアウト』。ミドルテンポで歌は丁寧ではあるものの演奏は轟音で迫力がある。幻想的な照明の光も相まって壮大な景色になっている。観客は吸い込まれるようにステージに集中していた。

 

盛り上げつつも最後は凄みで感動させる。そんか礼賛はスケベなだけではなく実力もあった。

 

◾️セットリスト
1.SLUMP

2.スケベなだけで金がない

3.GOLDEN BUDDY

4.鏡に恋して

5.マシ

6.超BUZY ※新曲

7.TRUMAN

8.熱帯夜

9.ホレタハレタ 新曲

10.フレームアウト

 

roi bob

 

個人的に音源はチェックしていたものの、ライブは初めて観るroi bob。音源の印象ではポップで明るいライブをやるのかと想像していたが、それとは真逆と言えるパフォーマンスだった。

 

ステージが暗転した時からしてそうだ。薄暗い照明の中、環境音を取り入れた長いSEを流していて、メンバー登場前から独特な空気が流れていた。

 

メンバーが登場しても「ずとまよのライブか?」と思うほどに照明は暗く、メンバーの顔が見えない。そんな中、ボーカルのniiが「roi bob、始めます」と挨拶して演奏が開始。


1曲目は『morning』。音源と変わらないシンセサイザーの煌びやかなサウンドとキュートな歌声はポップだが、演奏は重低音が響いていてオルタナ。照明も薄暗い。自分の音源での想像とは違うステージの景色だが、これが正解と思えるほどにマッチしている。


そこから続く『wavy』では、テクノポップに感じるポ煌びやかなシンセの音が響く。メロディも美しくてキャッチーで引き込まれる。やはり照明は薄暗くて、曲の空気感と真逆な景色ではあるが、不思議とマッチしていて面白い。


疾走感あるオルタナな演奏の『mirror』も素晴らしい。彼女たちの軸はロックであることを証明するようなサウンドである。音圧もあって迫力満点だ。

 

結成して年月が経っていないからか、まだ音源として発表していない曲もあるのだろう。次に演奏された曲は、音源化されていない未発表曲だった。リズムはミドルテンポで、ギターは空間系のエフェクトがかかっていてクールだ。


次も未発表曲。こちらもミドルテンポだが、今度は美しいメロディで聴かせる。歌詞は甘酸っぱい情景が浮かぶ内容で胸が温かくなった。


ミドルテンポの曲が続いた後に疾走感ある演奏の『春』が続くと、より演奏が映えて胸が熱くなる。サウンドは重低音響くオルタナで最高だ。キャッチーさは忘れていないが、それと同時にカッコよさも忘れていない。

 

続く『夏休み』でも疾走感ある演奏で盛り上げる。『春』から『夏休み』という季節感あるセトリの流れが粋だ。

 

ラストは『POOL』。ポップなメロディとサウンドながらもやはり重低音が響く爆音で、自らの強みや個性を見せつけるように音を鳴らしていた。

 

礼賛とゲスの極み乙女に挟まれた2番手で、若手の彼女たちは緊張するし、やりづらかったと思う。だがMCなしで最初から最後まで曲を詰め込んだライブで、堂々とした佇まいで演奏をしていた。それは自分たちの音楽に確固たる自信があるからかもしれない。

 

■セットリスト

1.morning

2.wavy

3.mirror

4.未発表曲?

5.未発表曲?

6.春

7.夏休み

8.POOL

 

ゲスの極み乙女


撃鉄『部屋』をSEに登場したゲスの極み乙女。観客の歓声は1番大きい。最近はライブ本数が少ないので、貴重なライブへの期待からくる大きさだろうか。

 

川谷絵音が「もう疲れた?まだ踊れるでしょ?早速ですがキラーボールで踊りませんか?」と煽りいきなり始まった1曲目は『キラーボール』。登場した時を超える悲鳴のような歓声が響く。川谷からマイクを向けられれば観客は大声で歌う。はやもこの日1番と思えるほどの盛り上がりだ。

 

間奏でちゃんまりが音源ではショパン『幻想即興曲』を引用し弾くパートでは、川谷の「礼賛はどんなイメージ?」「roi bobの印象は?」という質問にピアノの演奏と音色でそれぞれのイメージを伝える。礼賛はクールでおしゃれな音色で、roi bobは美しい旋律のメロディだった。川谷も観客も納得し感嘆しているような反応を示す。

 

「休日課長の恋愛は?」という質問もあったが、低い音が短い演奏で奏でられる悲しげなものだった。川谷は「しんだ?」と悲しげな台詞を言っていた。

 

1曲目の勢いをそのままに傾れ込んだ2曲目は『crying march』。最初からめちゃくちゃ大きな手拍子を観客は鳴らしていたし、サビでは飛び跳ねるように盛り上がっていた。

 

休日課長のゴリゴリなベースとほな・いこかの力強いドラムが印象的な『歌舞伎乙女』は薄暗い妖艶な照明の中で演奏された。裏声なのにまっすぐ通る川谷の歌声とサビでのギターのカッティングも素晴らしい。間奏でのちゃんまりのピアノソロも当然に最高だ。

 

「新曲をやります。ちゃんまりが途中で笛を吹きます。何度かライブでやってるんですけど、が途中で笛を吹きます。ステージに立っていいレベルの笛ではないんで、温かく見守ってください」という川谷の言葉から始まったのは新曲『シックマン』。

 

初期に近い方向性で台詞パートがあったりとユーモアに溢れた疾走感ある楽曲だ。サビは一度聴いたら覚えてしまうほどにキャッチーである。

 

問題のちゃんまりの笛だが、たしかに拙くて上手いとは言えない。だが味があってむしろそれが楽曲の持つ性質と相性が良い。この拙い笛が楽曲の魅力を引き立てているとも感じる。

 

そこから『サイデンティティ』を畳み掛け、「まだ行ける?」という煽りから最近TikTokでバズった『だけど僕は』を続け、観客のボルテージは一気に最高潮に。

 

個人的に最も圧倒されたのは『人生の針』だ。重厚で迫力ある演奏だけでも圧巻なのに、ひたすらに点滅する照明の光も迫力があって圧倒させられてしまう。他の観客も同じように圧倒させれているのか、傍観してステージを集中している人がたくさんいた。

 

次が最後の曲です。年内はコヤブソニックに出て、ツアーをやって、終わりです。ゲスは今ライブ本数が少ないんで、今日があって良かった。


明日はindigo la Endという仲が悪いバンドのライブなんで憂鬱です......。

 

ライブが嫌なんじゃないよ!メンバーと会うのが嫌なの!漫才師が普段は仲が悪いみたいな感じで、ライブ以外では会いたくないんだよ。

 

ゲスは仲良いよ!ライブがなくても会いたい!礼賛とも会いたい!でもインディゴとはライブ以外で会いたくない!

 

おそらく冗談だとは思うがインディゴの悪口を言う川谷。まさかのこれが本編最後のMCだった。

 

最後に演奏されたのは『アオミ』。繊細な演奏と語りかけるようなボーカルが心地よい。アウトロでは過去の披露時と同じように1人ずつメンバーは演奏を止めてステージを後にする。最後に残ったちゃんまりが繊細ながらも圧巻の演奏で観客を惹きつけ曲を締め、笑顔でお辞儀をして本編は終了した。

 

アンコールは川谷の「ありがとうございまーす」というゆるい挨拶を合図に『市民野郎』から始まったが、やはり演奏はMCと真逆で全くゆるくなくキレッキレだ。川谷が「みんなの声を聴かせて!」と叫んだ後の観客の大合唱は壮大だった。

 

次で最後の曲です。

 

礼賛ともまた対バンをやりたいし、インディゴと礼賛とかの組み合わせもやってみたいです。

 

roi bobが礼賛とゲスに挟まれる悪趣味なタイムテーブルだったけれど、結成1年で堂々とやっていてroi bobはすごいよ。俺は1年目とかほとんど喋って曲をやらなかった時もあったから(笑)

 

感慨深そうにこの日の感想を語る川谷。「久々にやる曲です」と言ってから演奏されたのは『ルミリー』。意外な選曲にどよめきのような歓声が観客から漏れる。

 

美しいメロディと繊細な演奏が耳に残る。メンバーはこの日のライブの余韻を噛み締めながら歌い演奏しているように見えた。

 

全ての演奏を追えると観客から先日誕生日を迎えたほな・いこかに向けて「おめでとう!」というお祝いの言葉がかけられた。

 

いこか「ありがとう!!!みんなテンション高いけど、なんか楽しいことあった?」

川谷「楽しいことは今日のライブでしょう」

 

ほっこりしたやり取りの後、出演者全員と観客とで写真撮影へ。CLRはべろべろに酔っ払っていた。その姿はステージでクールな姿を見せていたCLRではなく、芸人のサーヤに戻っているように見える。

 

CLR「写真撮影なんて聞いてない!びっくりした!」

川谷「だって急に決めたから。この間もぱいぱいでか美が急に写真撮るって言ってたし」

CLR「こんな日にぱいぱいでか美の話はしなくていい!」

川谷「2階席のあそこに今日の主催者がいる」

CLR「みんなが見ちゃうから言っちゃダメでしょ!あれが主催者かって思っちゃうから!」

 

CLRは芸人サーヤのモードになり、川谷絵音はニシダに負けないほどの笑いを観客から掻っ攫う。

 

最後は休日課長の「ろっぽん!」という掛け声に観客が「ぎー!」と応える六本木らしい写真撮影をして終演した。

 

最近のゲスの極み乙女はメンバーの他の活動が忙しいからか、ライブの本数はかなり少ない。だがその少ない本数でも、毎回素晴らしいライブをやっている。それは少ない本数だからこそ、一本のライブに込める熱量が高いからかもしれない。

 

冷めた奴らの目を気にせずに踊れて、最高にランランランな六本木の夜だった。

 

f:id:houroukamome121:20250922105837j:image

 

◾️セットリスト

1.キラーボール

2.crying march

3.歌舞伎乙女

4.シックマン

5.サイデンティティ

6.だけど僕は

7.人生の針

8.アオミ

 

アンコール
9.市民野郎

10.ルミリー