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【ライブレポ・セットリスト】THE YELLOW MONKEY TOUR 2024/25 Sparkleの惑星X -ネ申- at LaLa arene TOKYOBAY 2025年9月3日(水)

久々にTHE YELLOW MONKYのワンマンライブを観る。なかなかワンマンライブのチケットが取れなかったのだ。


今年もライブ自体はSUPER BEAVERとの対バンやアラバキロックフェスで観たが、それは1時間あるかないかの短い時間。どちらも素晴らしく、病明けの吉井和哉の喉の調子も悪くはなかったが、ワンマンの時間を歌えるほどに回復はしているのだろうかと、少しだけ心配していた。


そんな期待と不安を抱えつつ、全国ツアーの追加公演が行われるララアリーナへと足を運んだ。

 

だがそんな心配は杞憂だったのだと、ライブを観て思った。むしろバンドとしての絆はより強くなり、バンドだからこその魅せ方を以前に増してしているように思ったからだ。

 

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開演予定時刻を15分ほどすぎて客席が暗点する。幕が貼られたステージに光が灯るとメンバーのシルエットが幕に浮かび上がる。その瞬間に客席から響いた大歓声は、シルエットだけでもオーラを放つロックスターであることを示しているようだ。

 

力強い演奏が響きステージ幕が降りて始まった1曲目は『マリーに口づけ』。吉井和哉の歌声は心配が杞憂だったと確信するほどに力強い。観客は大きすぎるほどに盛大な手拍子を鳴らす。30年前の楽曲とは思えないほどに今のバンドとして音を鳴らしている。

 

吉井の「ララアリーナ!」という煽りから続いたのは『CAT CITY』。最新曲だ。スクリーンには歌詞が出てきたりエフェクトのかかったメンバーの映像が出てきたりと演出でも魅せる。観客はサビを一緒に歌っていて、新曲ながらも既にライブのキラーチューンになっていた。

 

ようこそ!初のララアリーナです!

 

メンバーのワガママで追加されたツアーの追加となるオカワリ公演です。早くもお腹いっぱいになってきました(笑)

 

でも俺はまだまだ欲しい!ライブをやった分だけ腹が減る!

 

吉井はご機嫌な様子で楽しそうだ。「ツアー最終日!最高の夜にしましょう!」とさらにご機嫌な様子で煽ってから『Sweet&Sweet』へと続く。吉井の歌声も菊地英昭のギターソロも妖艶でクールだ。

 

『FINE FINE FINE』のドラムから始まり、ベースが重なり、ギターが続くアレンジはバンドメンバーの演奏の個性を最初かは十二分にはっきされていた。吉井はハンドマイクで煽りながら歌う。観客みんなでのサビの合唱も楽しい。

 

「今日は先日まで行われていたツアーの良い所と今夜だけの部分を組み合わせた1夜限りのライブです!次はこちらのエロいギターの人が作ったエロいナンバーです!」と吉井が言ってから始まったのは『イエ・イエ・コメスティック・ラブ』。たしかに演奏からは妖艶でエロい色気を感じる。跳ねるようなリズムに合わせ、やはり観客もサビを一緒に歌っていた。

 

そこから間髪入れずにギターリフが響き重厚な演奏の『嘆くなり我が夜のFantasy』が続く。こちらも色気がありなかなかにエロい。サビで壮大な音がなり日々がところは、アリーナやドーム規模でもライブをやってきたモンスターバンド故の迫力や貫禄を感じる。

 

照明が落とされて音源通りにアコースティックギターの音と伴美奈子の歌声のオケが流れてから始まった『RED LIGHT』も素晴らしかった。オケが流れてからギターの轟音が響き始まる瞬間のカッコよさなんて最高だ。最後のフレーズを妖艶かつ何かに憑依されたような表情で歌う吉井の姿にも引き込まれる。

 

会場の空気が一瞬で変わったのは『ROCK STAR』だ。間髪入れずに曲が始まると空気はパッと華やかになる。吉井はステージを練り歩き煽りながら歌い、他のメンバーもステージを縦横無尽に歩きながら演奏する。「君たちがロックンロールスター!」と吉井は叫んでいたが、その吉井の姿こそがロックスターにも思う。

 

曲名を叫んでから雪崩れ込むように『赤裸々GO!GO!GO!』が始まると、観客もサビで叫ぶように歌う。中盤にして最高の盛り上がりになっている。〈蟻地獄で会いましょう〉という歌詞を歌う時のからかうかのような歌唱表現も最高だ。

 

「そうだ!ライブビューイングしてるんだった!会場のみなさん拍手して!全国の映画館でご覧のみなさん!ありがとうございます!」と挨拶する吉井。今回のライブは全国の映画館でライブビューイングされている。それほどまでに即完した今回のライブを観たかったファンがたくさんいるのだ。

 

久々のフルセットのワンマンだからか「最近はずっと一緒にいるわけじゃないから楽しいね///」とメンバーにデレデレする吉井。かわいい。

 

続く『“I”』ではシンセサイザーの音とギターのカッティングが印象的な演奏でしっかりと聴かせる。だが吉井は叫ぶように歌うし、スクリーンに歌詞が出てくれば観客も一緒に〈Fuck me〉というフレーズを叫ぶ。一流のバンドだからこそのクオリティ高い演奏と、ロックバンドだからこその熱さが共存している。

 

ここでギターの菊地英昭だけを残し、他のメンバーはステージを後にした。すると彼だけでギターを激しく弾き始めた。

 

1万人規模のアリーナを圧倒させるほどに凄まじいギターソロだ。技術だけでなく魂もこもっていて熱い。たった1人でギターの音だけで場を掌握している。かなり長尺だったが、それが気にならないどころかもっと聴きたいと思うほどだ。

 

会場の熱気が最高潮になったところでメンバーが全員が再び登場し始まったのは『Make Over』。ここまで20年以上前の過去の楽曲が中心だったがこの曲は近年の曲。だが客席から盛大な手拍子が鳴り響いたりと、過去の名曲に負けないほどに盛り上がっている。

 

今度はドラムの菊池英二だけがステージに残り、ドラムソロが繰り広げられる。彼もたった1人のドラムプレイだけで観客を魅了していた。プレイがキレッキレなだけでなく、観客を煽ったり大きく動く叩き方をしたりと魅せるプレイをする。

 

そこにベースの廣瀬洋一が加わり、今度は廣瀬がドラムのリズムに合わせベースソロを弾き倒す。やはり廣瀬も他のメンバーと同様にアリーナ規模でもソロプレイだけで観客を沸かしていた。改めて凄いメンバーが揃っていると実感ふる。

 

そんなソロプレイが終わるタイミングで吉井が再び登場し歌われたのは『ソナタの暗闇』。こちらも近年の曲だ。迫力ある演奏で観客を圧倒させている。

 

まだまだ新曲でも沸かしていく。「踊りましょう!」という煽りから続く『ラプソディ』では観客は自由に踊りサビでは大声で歌っていた。ライブビューイングがあるからか、吉井は「映画泥棒!」と言って映画泥棒のキャラクターのモノマネをしていた。カオスである。

 

1番のサビを歌い終えると「間違えたでしょwww」と言って廣瀬を指差し爆笑する吉井。ミスさえもパフォーマンスのひとつにして盛り上げる材料にできてしまうのは、百戦錬磨のライブバンドだからこそだろう。

 

最近の曲も最高にカッコイイことを証明するように立て続けに披露した後に演奏されたのは『太陽が燃えている』。メンバーはステージを歩き回り、客席全体を煽るように盛り上げる。ステージ後方の見切れ席にも手を振って「いらっしゃいませ!元気!?」と言う吉井のサービス精神も素晴らしい。

 

やはり観客はサビでマイクを向けられれば大合唱で応える。ここまで来たら観客もバンドメンバーと言っても過言では無いほどだ。

 

「ラアラアリーナは2024年にできたばかりだそうです!完成おめでとう!」と言って観客に拍手を求めララアリーナを祝おうとする吉井。

 

吉井「ララアリーナはどう?来るの大変?Kアリーナとどっちが大変だった?」

観客「wwwwww」

吉井「でも仕方がないよねえ。完成したなら使わないと......」

 

吉井は新しくできた会場のアクセス事情に詳しいようだ。

 

今回のライブは本当に急に決めました。スタッフに頼み込んで空いてる会場を見つけてもらって、開催することができました。福岡では福岡サンパレスって名前のところでやったけれど、この間やったのが5回目だから福岡ゴパレスになりました(笑)


今回はコロナ禍を経て、自分の喉のトラブルから復帰してからの、最初のホールツアーです。たくさんの人が来てくれました。ありがとうございました。


今回は去年出した10枚目のアルバムを軸にしつつ、他は5枚目のアルバムまでの曲を中心にセットリストを組んだツアーです。

 

今のイエローモンキーと大ヒットする前のがむしゃらにやっていた頃とのコラボレーションです。それによって今も昔も魂は変わっていないと改めて気づけました

 

吉井が感慨深そうにツアーを振り返ってから「がむしゃらにやっていた時に、みんなと一緒に青い空に行きたいと歌った曲があります」と話し、最後に演奏されたのは『空と青の本当の気持ち』。

 

大きな背面スクリーンには雲の向こうの青空へと突き抜けるように昇っていく映像が流れ、吉井は両腕を大きく広げながら目を閉じて歌う。バンドは熱くて壮大な音を鳴らす。まるでこれまでの軌跡を想いながら歌い演奏しているように見えた。

 

本編を感動的に締めた後のアンコールでは打って変わって再び盛り上げていく。吉井が「ラアラアリーナ!」と叫んでからギターをかき鳴らしながら歌う『透明Passenger』では、再びライブが始まったかのような新鮮な盛り上がりになっていた。

 

そこから間髪入れずにライブオリジナルのイントロにアレンジされた『SUCK OF LOVE』へと続く。吉井はハンドマイクでステージを駆け回りながら歌い、他のメンバーも上手や下手に移動して観客を煽りながら演奏している。観客の盛大な手拍子で興奮を表現していた。

 

さらに畳み掛けるように『悲しきASIANBOY』が続く。イントロで花火の特効が噴き出て、後方にはバンド名が綴られたネオンが降りてくる。演奏だけでなく演出も熱い。吉井は何度も「ララアリーナ!」と叫び観客を煽り、サビでは観客は大声で歌う。間違いなくこの日1番の熱気だった。

 

熱い余韻が残る中、メンバー紹介へ。サポートの鶴谷崇もしっかりと紹介して「急に決まったおかわり公演なので既に他のアーティストのサポートが始まっています。急だったのにありがとね。また一緒にツアーを回ろう」と感謝を伝える吉井の姿が印象的だった。

 

だがそれ以上に「俺の人生、良いメンバーに恵まれた!」と嬉しそうに話す吉井の姿と、それを穏やかな表情で聞くメンバーの姿が印象的だった。一度終わってしまったものの再始動して続けているバンドのメンバーが話すことに愛と重みを感じる。

 

「最後はこの曲でお別れです。最初から歌いましょうか?」と吉井が話したから最後に演奏されたのは『バラ色の日々』。この日1番の大合唱が会場に響き、それを合図にバントの演奏が始まった。

 

『バラ色の日々』はライブで毎回のように演奏されている。だがこの日の『バラ色の日々』はいつも以上に自分の胸に響いた。

 

それは音楽活動が止まってしまうと不安もあった時期から復活したことを証明したツアーの最後に演奏されたからかもしれない。THE YELLOW MONKEYはバンドの軌跡によって楽曲にさらなる説得力を加えてしまったのだ。

 

本人は「完全復活」と話していた。それも納得の素晴らしいライブだった。とはいえ吉井以外のメンバーのソロパートを増やして喉を休ませる時間を作ったりと、メンバー同士で協力して負担を分散させていたようにも見える。

 

それはバンドだからこそやれることだと思うし、バンドの絆が強く全員が一流だからこそできることだと思う。

 

今回のツアーによってただでさえ凄いBANDのTHE YELLOW MONKEYは、さらに進化したのではないだろうか。

 

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◾️ THE YELLOW MONKEY TOUR 2024/25 Sparkleの惑星X -ネ申- at  LaLa arene TOKYOBAY 2025年9月3日(水) セットリスト

1.考える煙

2.CAT CITY

3.Sweet&Sweet

4.FINE FINE FINE

5.イエ・イエ・コメスティック・ラブ

6.嘆くなり我が夜のFantasy

7.RED LIGHT

8.ROCK STAR

9.赤裸々GO!GO!GO!

10.“I”

11.Make Over

12.ソナタの暗闇

13.ラプソディ

14.太陽が燃えている

15.空と青の本当の気持ち

 

アンコール
16.透明Passenger

17.SUCK OF LOVE

18.悲しきASIANBOY

19.バラ色の日々