2024-09-07 【ライブレポ・セットリスト】日向坂46「四期生ライブ」at 日本武道館 2024年8月29日(木) 日向坂46 ライブのレポート 正源司陽子と藤嶌果歩が、開演前の注意事項アナウンスの影ナレをしていた。それを聞いた時点でライブ開演前なのに、日向坂46四期生の成長を感じた。 自分は1年半前に四期生がファンの前で初めて長時間ライブをやった『おもてなし会』という公演も観ている。その時もメンバーがアナウンスをしていたが、緊張からか言い間違えたり噛んだりして、グダグダなものになっていた。それが今ではスムーズに注意事項を伝え、さらには観客を煽って盛り上げるセリフまで言っている。その影響もあってか、開演前から会場の熱気が凄い。 日本武道館で3日間行われた、日向坂46四期生のライブの最終日。開演前から「これは良いライブになる」と確信してしまうような良い空気が流れていた。 今回のライブのために編集された四期生の映像とともに『Overture』が流れ、観客の地響きのようなコールとともにライブがスタート。 クールなダンストラックが流れ、ド派手で大きなステージセットのいたる場所にメンバーが一人ひとり順番に登場し、自己紹介代わりかのようにクールなダンスを披露していく。観客はそれに湧き上がり歓声をあげている。過剰に演出に頼ることはせず、メンバーのパフォーマンスよって観客を引き付ける。四期生の成長を言葉ではなくパフォーマンスによって、強い説得力を持たせて伝えるかのようなスタートだ。 1曲目は『 どうして雨だと言ったんだろう』。台風も近づき外は雨が降っている今日にピッタリな選曲だ。元々は先輩メンバーのユニット曲だったが、正源司をセンターにした四期生11人でのパフォーマンスになっている。『青春の馬』のMVで使われた青と水色のワンピース衣装を着たメンバーがクールに歌い踊る姿は圧巻だ。その姿も『おもてなし会』の時とは違い堂々としていて、プロのアイドルになったことを実感させられる。 続けて披露されたのは『 月と星が踊るMidnight』。センターを務めたのは小西夏菜実。彼女が艶っぽい表情でクールにパフォーマンスをする姿に惹かれる。ステージ上のミラーボールが回転し、会場を星空のような光で照らしたりと演出も素晴らしい。 そこから『青春の馬』とキラーチューンを続ける流れにもグッとくる。センターに立った清水梨央の堂々としたパフォーマンスが印象的だ。中盤はオリジナルとは違う振り付けになっていた。おそらく四期生のイメージに合わせて変化させたのだろう。 石塚瑶季「ただいまあああ!!!」 観客「おかえりいいい!!!」 他のメンバー「なんかツアーで地方に行った時みたいだね」 最初のMCでは東京出身の石塚瑶季が「自分は四期生で唯一の東京出身だから」という理由で、石塚と観客とで「ただいま」「おかえり」の茶番やりとりが強制的に行われた。メンバーの反応は少し冷めていた。 小西夏菜実によるコールアンドレスポンスの声出しを合図にパフォーマンスが『ロッククライミング』から再開。 カラフルなブロックや配管をイメージとした映像が流れ、その映像と同じようにカラフルな衣装にチェンジしたメンバーが歌い踊る。ステージセットの階段を使って実際にロッククライミングしているかのような寸劇を挟んだパフォーマンスが楽しい。日向坂46のワンマンライブでは寸劇を交えた演出を行うことが少なくないが、今回も寸劇を挟む演出が多かった。 竹内希来里と渡辺莉奈による人形劇の寸劇も印象深い。サーカスのチケットを無くしてしまった竹内にサーカスの支配人を演じる渡辺が「四期生で1番かわいいのは誰か?」というクイズを出し、それに正解したら新しいチケットをプレゼントしてあげるという内容の寸劇だ。 竹内「渡辺莉奈ちゃん!かわいいだけじゃなくて、頭もいいし、優しいし、最年少なのに大人っぽいし......」 渡辺「何枚でもあげちゃう!!!」 竹内「じゃあ武道館に来たみんなとサーカスが見れるね!」 茶番的な寸劇はハッピーな形で終わった。 そんな寸劇の設定を引き継いでパフォーマンスされたのは『君しか勝たん』。メンバーがフラフープをしたり、バタントワリングや新体操のリボンを華麗に回したり、一輪車に乗ったりと、本当のサーカスかのようなパフォーマンスをしている。 石塚瑶季「わたし、藤嶌果歩ちゃんに懺悔します!」 藤嶌果歩「!!!」 石塚瑶季「一緒に公園でたこ焼きを食べた時にに、果歩ちゃんの服にたこ焼きのソースをこぼして汚しちゃいました!クリーニング代出すから許して!」 藤嶌果歩「!!!」 石塚の懺悔から始まったのは『真夜中の懺悔大会』。ポップでかわいらしいダンスによって、会場をハッピーオーラで包みこむ。服を汚された藤嶌も楽しそうではある。最後に改めて石塚は「クリーニング代だすから許して!」と懺悔をしていたが、藤嶌は笑顔で「いいよ!」と許していた。 ここで再びMCへ。この日が最終日ということもあり、演出の裏話トークが繰り広げられた。山下葉留花はオープニングのダンスで、最後のキメで指を4本立てて四期生をイメージしたポーズをメンバー全員がそれぞれ違う表現でししていたことを明かす。 竹内は渡辺と行った人形劇は録音を流した訳ではなく、自分達が人形の動きもセリフも生でやっていたことを伝え、清水は『青春の馬』で清水がメンバーそれぞれと一緒に踊る、今回のための特別な振り付けに変えてもらったことを語っていた。今回のために様々な施策をしていたようだ。 序盤はキュートで明るいパフォーマンスが多かったが、ここで披露されたのは幻想的なパフォーマンスが印象的な『川は流れる』。衣装も新たなものにチェンジし、川の流れをイメージした映像をバックにメンバーが繊細に表現する。彼女たちは魅せるパフォーマンスもできるのだ。 個人的に今回のライブで特にグッときたのは『シーラカンス』だ。深海をイメージした映像の中、海の底でメンバーがパフォーマンスしているかのような演出に引き込まれる。特に最後のサビ前に正源司がステージ中央に立ち、そのままステージが上昇する演出が印象深い。まるで深海から地上へとあがっていくような演出で、その時の彼女の表情が美しくて忘れられない。 宮地すみれのクールなソロダンスから始まった『ガラス窓が汚れてる』は、まさに彼女たちのクールな一面を知れる楽曲だ。白い照明の中で先ほどまでの笑顔とは違う凛とした表情でキレのあるダンスを踊る姿には痺れてしまう。 続く『夢は何歳まで』もかっこよさが際立つ。この楽曲は正源司、藤嶌、竹内、平尾、山下、渡辺の六人のユニットで披露された。特にセンターを勤めた正源司は先ほどまで可愛らしさや美しさを感じるパフォーマンスしていたのに、それとはギャップを感じるクールな姿に心を掴まれる。 小西、石塚、清水、平岡、宮地の5人による『You're in my way』もクールだ。赤い照明の中でセリフパートも見事にこなす5人が最高である。 全体のパフォーマンスに戻り、渡辺がセンターを勤めた『アディショナルタイム』でもクールなダンスで魅せる。渡辺のダンスは特にキレがあり、メンバー加入後に特にパフォーマンス能力が向上したメンバーだと思う。最年少ながらもそれを実感させるようなパフォーマンスでメンバーを引っ張っていた。 しかしMCはほのぼのしている。平尾が「正源司が関西弁で謝る姿が好き」という話から正源司が「ごめんやで」と関西弁を披露したものの、見事に滑り会場が静まり返ってしまった。恥ずかしそうに顔を背け平尾に抱く正源司がアザトカワイイ。 ここから後半戦。ダンスブロックでキレのあるダンスで盛り上げてから、山下センターでの『キツネ』へとなだれ込む。観客のコールの声はどんどん大きくなっていくし、最後のサビ前の〈コンコンコン〉の観客のコールはステージの音がかき消されるほどに大きかった。 MVの世界観をそのままライブで再現したかのような演出の『雨が降ったって』は、きっとアイドルだからこそできたパフォーマンスだろう。カラフルな傘や帽子やサングラスをメンバーが着用し可愛らしく踊り、花瓶に花を刺して水をあげる寸劇などを挟み、まるでミュージカル化のようなパフォーマンスが続く。サビで椅子に座り机の前でメンバーが一列に並び踊る姿は圧巻だ。 そのままなだれ込むように『君はハニーデュー』が続く。センターはオリジナルバージョンと同様に正源司。この曲シンプルながらも真っ直ぐな歌とダンスで魅せ、演出は最小限でパフォーマンスによって盛り上げる。 十分すぎるほどに会場は熱い空気で満たされているが、メンバーはまだまだ足りないのだろう。「日本一の声援を聞かせてください!!!」と藤嶌が叫ぶ。それに対して観客も、この日1番に感じる歓声で応えた。 その勢いのままパフォーマスされたのは『見たことない魔物』。藤嶌の熱い煽りがあったからか、地面が揺れるほどの盛り上がりになっている。さらには最後のサビ前で「武道館!!い゛く゛ぞおぉぉおお゛!」とさらに煽る。荒ぶるかほりんがカッコいい。 ラストは『夕日Dance』。センターの渡辺が放課後の学校に忍び込む寸劇を挟んでからパフォーマンスされた。新たなライブ定番曲になりそうな、ポップで盛り上がる楽曲だ。サビ前の小源子〈Dancs with me!〉という掛け声は、音源以上にかわいい。見事に釣られた。 最高のパフォーマンスを終えて、メンバーそれぞれが自身の個性を出しながら順番に一人ひとり最後の挨拶をしてステージを後にした。宮地は「武道館から帰る前に、すみれと付き合おう///」と言って去っていった。早くも『日向坂で会いましょう』でのネタを活用している。 まだまだ元気が残っている観客のアンコールに応えて、グッズのTシャツに着替えたメンバーが再登場した。そして藤嶌の「絶対よそ見しちゃダメだよ///」というアザトカワイイ煽りから『アザトカワイイ』が始まる。アイドルらしいかわいいパフォーマンスで、再び会場を盛り上げるメンバー。 そして小西の「全員叫べえええええ!!!」という力強い煽りから『NO WAR in the future』へとなだれ込む。ステージサイドの花道まで来て観客を煽ったりと、2時間以上本編でパフォーマンスしたとは思えないほどに熱く盛り上げていた。 山下「ずっとふわふわしていたけど、ようやく足に地がついた!」 他のメンバー&観客「??????」 山下「地に足がついた!間違えるぐらい楽しかった!」 他のメンバー&観客「wwwwww」 天然ぶりを発揮する山下。だが山下は日本武道館に特別な思い入れがあるらしい。今度は丁寧に言葉を間違えることなく、語り始めた。 オーディションの最終審査の前日に東京に前乗りして家族と泊まってたんですけど、緊張で全然寝れなくて.......。 それで気分転換に家族と一緒に武道館の前まで散歩しました。武道館の前で「いつか武道館でライブができますように」と祈ったりして。 それから2年越しに、日本武道館でライブができました! 会場に温かい拍手の音が響く。ステージも客席もハッピーオーラで包まれている。日向坂46だからこその空気を四期生はしっかりと受け継いでいるようだ。 平岡「次が最後の曲です!」 観客「まだ来たばっかり!」 平岡「そうだよね!わたしたちはさっき起きたばっかり(笑)」 観客とメンバーとで優しく楽しい茶番が繰り広げられる。でも、本当にあっという間に終わったと思うぐらいに、今回のライブはめちゃくちゃ楽しかった。 そして「まだ帰りたくないし、おひさまのみんなと一緒にいたいから」という平岡の発案で、少しでもステージに立つ時間を伸ばせるようにと、四期生での円陣がステージ上で行われた。普段はライブ開始前に行っているものなのだろう。マイクを通さないメンバーの地声が武道館に響く。その声量はマイクが必要ないほどに大きかった。 「わたしたちが最初にもらった大切な曲です」と清水が言ってから最後に披露されたのは『ブルーベリー&ラズベリー』。ハッピーオーラに溢れた明るさがあるパフォーマンスだった。だがそれでいて今の四期生の実力を見せつけるような熱いパフォーマンスでもあった。 これにて終演かと思いきや、あまりにも素晴らしいライブに興奮した観客は、さらなるアンコールを求めて盛大な拍手を続ける。 それに応えて再び登場した四期生。正真正銘のラストソングは『誰よりも高く飛べ』。平岡や渡辺が全てを出し切るように、ロックバンド顔負けの熱い煽りをする。正源司は勢い余って転んだ。 自分が1年半前に観た『おもてなし会』での四期生は、良くも悪くも初々しくて、観客は“パフォーマンスを見守る”という気持ちでライブを楽しんでいた。 でも今は“見守る”なんて言うのは烏滸がましいほどに貫禄が出てきた。アイドルとして一流のライブを四期生だけでやってのけた。ファンが見守るのではなく、ファンがメンバーに引っ張ってもらうような、エンタメとして高いレベルのライブへと進化したいた。 日向坂46「四期生ライブ」は“エモい瞬間”だらけのライブだった。 ■日向坂46「四期生ライブ」at 日本武道館 2024年8月29日(木) セットリスト 1.どうして雨だと言ったんだろう 2.月と星が踊るMidnight 3.青春の馬 4.ロッククライミング 5.君しか勝たん 6.真夜中の懺悔大会 7.川は流れる 8.シーラカンス 9.ガラス窓が汚れてる 10.夢は何歳まで? 11.You're in my way 12.アディショナルタイム 13.キツネ 14.雨が降ったって 15.君はハニーデュー 16.見たことない魔物 17.夕日Dance アンコール 18.アザトカワイイ 19.NO WAR in the future 20.ブルーベリー&ラズベリー ダブルアンコール 21.誰よりも高く飛べ