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【ライブレポ・セットリスト】ずっと真夜中でいいのに。ZUTOMAYO FACTORY「鷹は飢えても踊り忘れず」day2 "ob_start" at. さいたまスーパーアリーナ 2022年4月17日(日)

去年の後半から今年の前半にかけて、ずっと真夜中でいいのに。は全国ホールツアーを行っていた。

 

自分は静岡公演に参加した。そのライブのMCでACAねは「さいたまスーパーアリーナでライブをやることが目標の一つでした。だから静岡のみなさんにも、来てもらいたいです」と語っていた。

 

 

さいたまスーパーアリーナに対して、特別な想いを持っているとは知らなかった。ずとまよにとって重要なライブになるということだろう。

 

そしてさいたまスーパーアリーナ公演の当日。最寄駅であるさいたま新都心駅についた時点で、今までのライブとは気合の入り方が違うと感じた。

 

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駅の構内には大きな横断幕が飾られていて、会場に入る前からファンの感情を昂らせていたからだ。駅に着いた瞬間からライブが始まっているようなものだ。

 

会場前のビジョンにはずとまよ関連の動画が流され続けていたし、グッズの展示方法もいつも以上に凝っていた。これもワクワクする。

 

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会場の中に入るとさらにテンションが上がる。壮大なステージセットが観客を開演前から待ち構えていて、そのスケールに圧倒させられてしまうからだ。

 

廃墟になり雑草が生い茂っている工場をイメージしたセットだろうか。ずとまよのワンマンはいつもセットが豪華ではあるが、今回はいつも以上に大きくて迫力がある。

 

開演時間をすぎてステージが暗くなると、ピアノにスポットライトが当たり、”弾く”というよりも”叩く”と表現すべき激しいピアノソロからライブが始まった。

 

このソロを弾いていたのはスペシャルゲストのけいちゃんである。YouTuberとしても有名なピアニストだ。始まり方からしてもいつもとは違う特別さを感じる。

 

バンドメンバーとしてはお馴染みの村山☆潤も、当然ながらバンドメンバーにいる。つまり今回はキーボーディストが2人いるのだ。これにも特別さを感じる。

 

ピアノソロが終わると一呼吸置いて、ACAねが繊細な表現で歌い始めた。それに合わせてピアノは繊細な音を響かせる。

 

 

 

ピアノと歌だけで始まった1曲目は『ばかじゃないのに』。音源とは違うミニマムな演奏から始まった。

 

そこからバンドの演奏が加わり、壮大なサウンドへと変化していく。総勢10名を超える大所帯バンドの演奏は、アリーナ規模でも小さいと感じるほどに迫力がある。

 

演出は幻想的だ。レーザー照明が横に広がるように客席へと伸び、会場全体を光で覆う。その景色は美しくて見惚れてしまう。

 

ステージセットの電話ボックスに入って歌っていたので姿が見えなかったACAねだが、後半にはステージ前方まで出てきた。身体を大きく揺らしながら歌う姿が印象的だ。

 

しかしいつもと少し様子が違う。ところどころで声が震えたり掠れたりしている。普段よりも感情的な歌唱にも感じた。

 

調子が万全ではないのかと心配にもなったが、すぐに持ち直していたので不調ではないようだ。

 

逆光で顔を隠すような照明なので表情は確認できなかったが、もしかしたら感極まっていたのかもしれない。

 

目標であったステージに立ち、その会場を埋め尽くす客席に感動していたのだろう。やはりさいたまスーパアリーナは特別な会場なのだ。

 

しかしここからは良い意味でいつも通りのライブに変化していく。歌唱も少しずつではあるが、いつも通りの安定した歌唱へと戻っていった。

 

ライブ定番曲の『低血ボルト』『勘冴えて悔しいわ』を畳みかけるように連続で披露し、一気に盛り上げる。

 

爆音の演奏とそれに負けないACAねの声量が凄まじい。演出もド派手だ。炎が噴き出たりレーザーが飛び交っている。それも圧巻である。

 

『マイノリティ脈絡』が始まった頃には、すっかり声はいつも通りに戻っていた。むしろ感情が爆発している分、いつもよりも物凄い歌声に感じるほどだ。

 

ずっと真夜中でいいのに。です。

 

昨日もこの場所でやったんですけど、こうしてこの場所でみんなに会えて嬉しいです。良い1日にしましょう。なにとぞ、なにとぞです。

 

歌声は物凄い声量なのに、MCで緊張した様子で話す声は消え入るようにか細い。空調の音の方が大きく感じるほどだ。

 

それをファンは耳をそばだて、集中して聴いている。そして彼女の言葉に反応して拍手を贈る。ファンの温かさを感じる瞬間だ。この空気感はファンがあってからこそなのだと感じる。

 

「日常の中にある爆弾についての歌をやります」と告げてから披露されたのは『JK BOMBER』。ライブで披露されるのは久々の楽曲だ。

 

感情を操るかのような、段丘のある複雑な展開をする楽曲なので、ライブで聴くとまんまと感情を操られてテンションが上がってしまう

 

 

 

1曲目を除きアップテンポの楽曲を続けて盛り上げた序盤だったが、ずとまよの音楽は様々なタイプの楽曲がある。ロックもR&Bもファンクもヒップホップも、どんなジャンルも取り入れて自身の音楽にしてしまうアーティストなのだ。

 

次に演奏された『違う曲にしようよ』はジャズの影響を感じる演奏である。

 

落ち着いた演奏ではあるが、心地よいリズムで自然と体が動いてしまう。ACAねは表情豊かな声色を出して、しっとりと聴かせていた。

 

迫力ある歌唱だけでなく、繊細な歌唱もできるのだ。楽曲の方向性が幅広いだけではなく、ACAねの歌唱表現も幅広い。

 

ACAねを支えるバンドメンバーの演奏力は凄まじい。それを見せつけるようなバンドメンバーのソロプレイもライブでは披露された。

 

ツインドラムとブラウン管で作られたテレビドラムのソロプレイが始まったかと思えば、そこにベースとパーカッションが加わり、リズム隊の演奏だけでビートを作り出し観客を踊らせる。

 

そこから三味線やギターキーボードなど他の楽器も加わり華やかな音色で彩っていく。技術力の高さを見せつけるような演奏だ。

 

そこから自然と『機械油』の演奏へと変化していき、ACAねの歌声が重なる。和を感じるサウンドとブラックミュージックのリズムを楽曲だ。

 

やはりずとまよの音楽性は幅広い。また違う方向性の楽曲で会場の空気を変えてしまう。

 

さらには多幸感に満ちた空気にすることもできるのが、ずとまよの凄さでもある。

 

パーカッションのソロプレイが盆踊りを彷彿とさせるリズムを鳴らすと、他のバンドメンバーはそれに合わせてしゃもじを左右に振りながら叩いてしゃもじ拍子を鳴らす。

 

観客も同じようにしゃもじを振りながら叩いている。1万5千人で盆踊りをやっているような空気感だ。

 

ライブはステージだけで完結するものではない。特にこの楽曲は観客のしゃもじ拍子の音も演奏の一部になっている。その音によって楽曲が完成しているのだ。

 

この規模で鳴らされる一体感あるしゃもじ拍子の音は圧巻だったし、しゃもじに付けられた緑のライトが輝く景色は美しかった。その空間は多幸感に満ちていて、温かな空気が流れていた。

 

ちなみにACAねはこの楽曲で電子レンジをハンマーで叩くことが定番である。

 

いつもは1つの電子レンジをボコボコに叩いていたが、今回は電子レンジが4つもあった。それを順番にボコボコに叩くACAねの姿は猟奇的だが、楽しそうなのでほっこりしてしまう。ギャップ萌えである。

 

「見たことがないしゃもじ音頭と、聴いたこともないしゃもじ拍子でした///」と言って照れ笑いするACAね。

 

しゃもじ音頭としゃもじ拍子という言葉を当然のように使っているが、おそらく他のアーティストのライブでは理解されない言葉だ。

 

そんな歌と演奏としゃもじによって生まれた多幸感に、『袖のキルト』で明るさをさらに加える。

 

白く明るい照明が客席まで伸び、ACAねの後方も白く眩しい光で照らされる中で演奏が始まった。そんな照明演出によって楽曲の魅力が引き立っていた。

 

叫びたい気持ちを 恥じらって
歌うのは 僕のキルト

 

このようにサビで歌っているが、この日のACAねは叫ぶように声を張り上げて歌っていた。

 

叫びたい気持ちどころか、叫びすらも彼女は歌にしてしまう。そんな歌に聴き手は感動して救われる。これがずとまよのキルトなのだろう。

 

 

 

ここからは再び会場が熱気で包まれた。

 

『MILABO』のイントロが鳴った瞬間に、客席全体がしゃもじを掲げる。そしてACAねが「しゃもじ」と言ってしゃもじを振ると、観客も一緒に踊りながらしゃもじを振った。それによって会場に再び一体感が生まれる。

 

ステージのミラーボールが回ったりと、どんどん派手になる演出にもテンションが上がる。ACAねは上手や下手へと動いて客席を煽ったりと楽しそうだ。

 

さらに代表曲『脳裏上のクラッカー』を続けて、さらに熱気を上昇させていく。

 

MVのアニメーションを彷彿とさせる歯車型の照明の光が現れたりと演出も粋で良い。ACAねと一緒の動きをしてしゃもじを掲げ、タイミングよく飛び跳ねる客席の景色も最高だ。

 

アウトロでは「ここまで叫ぶことは今までなかったのでは?」と思うほどに、声を振り絞るような物凄い声量で叫んでいた。彼女は元々ボーカリストとして素晴らしい才能を持っているが、今回のライブでさらに覚醒したと思うほどの凄みに感じる。

 

クライマックスかと思うような熱気に包まれる会場。しかしライブはまだまだ続く。

 

再び電話ボックスにACAねが入り、再びか細い声で話し始めた。

 

自分には頑張れと応援するような歌は作れないし、頑張ろうという精神状態になれない時も多いですです。

 

そんな時に作った曲をやります。この曲に込めた気持ちは、今も変わらないです

 

そう言ってから披露されたのは『Dear Mr「F」』。

 

公衆電話のダイヤルを回して、受話器越しに語りかけるような演出で歌っていた。繊細なピアノの音と優しくも切ない歌声も素晴らしいが、演出も素晴らしい。

 

そして『暗く黒く』へと滑らかにライブが進んでいく。

 

ピアノと歌だけの演奏から、他の楽器が加わりロックサウンドになっていく。この楽曲はプログレ的な展開が魅力的で、後半に行くに連れ印象がガラッと変わる。それを生演奏で再現されると、鳥肌が立つほどに刺激的だ。

 

ライブも後半戦。ここからはキラーチューンが連発していく。

 

テレビドラムの画面に「強」という文字が浮かぶ様子がビジョンに映されると、次の曲が何かを察した観客から拍手が巻き起こった。この文字が出てきたということは『お勉強しといて』をやるということだ。

 

そしてテレビドラムのソロを挟んでイントロが鳴った瞬間、爆発したような盛り上がりになった。ACAねはギターを掻き鳴らしながら歌っている。この曲は今までハンドマイクで歌っていた。彼女もギターを弾くことで、今まで披露した時よりもさらに演奏に厚みが加わっている。

 

演出も凝っていた。ここまでの楽曲はビジョンにステージの様子がリアルタイムで映されていただけだったが、この楽曲ではエフェクトも加えられていた。そんな映像演出にもテンションが上がる。

 

 

 

個人的に特に驚いた楽曲は新曲の『ミラーチューン』だ。

 

何に驚いたかというと、新曲なのにライブの要と感じるほどに盛り上がっていたし、音源を遥かに超える凄まじい楽曲に化けていたことだ。

 

生演奏だと音源よりもずっと疾走感がある。ACAねの歌声も音源以上に力強い。最高のロックチューンになっている。これは新しいライブ定番曲になるだろう。

 

演出も凄まじかった。ハートや動物がドット絵になったアニメーションがエフェクトでビジョンに登場し、ステージの映像をポップに彩っている。レーザー照明はいくつもの色が使われてカラフルだ。それが客席に無数に伸びていく景色は迫力満点である。

 

アウトロの前にACAねは、声を張り上げて「ゲッチュー!」と歌っていた。これほどまでに魂を込めて「ゲッチュー!」と言える人物が、木村拓哉以外にいるとは思わなかった。

 

ここで過ごす時間は身勝手上等!空騒ぎ上等!没頭してここで分かち合える一瞬に価値があります!

 

最後、一緒に踊りましょう!いや、違う!最後じゃない!最後じゃないよ〜〜〜!

 

テンションが上がったのか、MCの声が大きくなったACAね。しかしテンションが上がりすぎて、うっかり間違えた説明をして焦っていた。かわいい。

 

そんなうっかりトークの後に披露されたのは『あいつら全員同窓会』。MCの言葉から察した人もいるであろう、ライブ定番曲だ。

 

「ぴょんぴょんぴょんぴょん!!!」とアザトカワイイ言葉で煽るACAねも良い。その煽りで興奮してぴょんぴょん跳ねている観客もかわいい。

 

おそらく他のアーティストなら「飛べ!」とカッコよく煽っている。しかしサビで1万5千人がしゃもじを振って飛び跳ねる景色は圧巻だ。

 

最後は代表曲の『秒針を噛む』。

 

イントロが鳴った瞬間から、大きなしゃもじ拍子が客席から響いた。サビで1万5千人がしゃもじを振る景色もやはり圧巻だ。

 

中盤は「このまま奪って 隠して 忘れたい」というサビに合わせて、1万5千人のしゃもじ拍子が鳴らされた。

 

ACAねは「右側の方」「左側のあたり」「後ろの上の方」「その辺」と曖昧な表現でブロックごとに手拍子を煽る。そんな曖昧な表現も汲み取って、見事にブロックごとにしゃもじを叩く客席の適応力の高さに感動する。

 

最後は全てを出し切るように、物凄い声量で叫ぶようにACAねは歌った。その歌声はもちろん、歌を支えるバンドの演奏も最高だった。

 

アンコールはACAねがステージセットのすべり台を滑って登場した。かわいい。本編では被っていなかったキャップを被っている。それもかわいい。

 

 

 

バンドメンバーもステージ袖から出てきたものの、登場したのはピアノとリズム隊のメンバーのみ。このメンバーでアンコール1曲目をやるようだ。

 

変則的な編成で演奏されたのは『またね幻』。

 

音源よりもゆったりとしたリズムで、変則的な編成だからこその、不思議なアレンジでの披露だ。それが斬新で引き付けられる。アンコールで新境地を見せたとも感じる。

 

この曲を終えるとバンドメンバーはステージからいなくなり、ステージにはACAね1人だけになった。

 

そして言葉を選びながら、ゆっくりと語り始めた。

 

ずっと真夜中でいいのに。をやる前に一人で路上ライブをやっていました。お客さんが全然いなくて、いても1人や2人しかいませんでした。誰にも見つけてもらえないと思っていました。

 

その頃からさいたまスーパーアリーナでライブをやることが夢でした。行ったこともなかったのに。でも、そんな大きな会場でやれるミュージシャンになりたいと思ったんです。

 

それなのに人前に出て顔を見られながら歌うことが怖くて苦手で、路上ライブをやっても全然楽しめなかったです。

 

でも音楽は続けたいし届けたいから、どうすればたくさんの人に見つけてもらえるのかと悩んでいた時、ネットでボカロ曲を歌いました。それをきっかけにボカロPのぬゆりさんや100回嘔吐さんと出会えて、連絡をとって曲を一緒に作らせてもらったりと助けてもらいました。

 

ずっと真夜中でいいのに。を始めてからたくさんの人と出会うことができて、みんなにも見つけてもらえました。

 

今日は集大成ではないです。ここからが始まりです。「ob_start」です。そんな決意を込めて、100年ぶりに弾き語りをやろうと思います。

 

100年振りの弾き語りで披露されたのは『サターン』。『正しい偽りからの起床』という4年前のEPにも弾き語りバージョンが収録されていたが、それの再現だ。

 

しかし今のACAねが歌うからか、より深みが増したとも感じる。基本的にはギターでコードを弾いていたが、そのリズムの取り方が独特だった。まるでリズム楽器のようなビートをギターで奏でながら歌っている。

 

ずとまよの楽曲はビートを大切にしていて、それを乗りこなすように歌うACAねのボーカルが大きな魅力だと思う。

 

それはシンプルな弾き語りでも変わっていない。これが絶対にブレない、ずとまよの音楽性の軸なのだと実感する。

 

弾き語りで歌い終えると同時に、ビジョンにイナズマが走る映像が何度か映った。

 

1つイナズマが走る都度にバンドメンバーが1人ずつ登場した。そして全員が揃うと『サターン』のアウトロをバンドバージョンで演奏した。

 

1人で誰にも見つけてもらえなかった路上ライブ時代。しかし少しずつ見つけてもらえるようになって、仲間が増えていった。そして多くの人に見つけてもらった結果、「ずっと真夜中でいいのに。」が誕生した。

 

今では彼女の才能を見つけて惚れ込んで支えている人たちがたくさんいる。10名を超えるバンドメンバーに支えられて音楽を奏でている。そしてさいたまスーパーアリーナを埋め尽くすほどの多くの人にも見つけてもらえた。

 

そんな歴史と軌跡を演出によって表現していると思った。演出を担当しているスタッフにも見つけてもらえたのだ。

 

このライブは集大成ではないのかもしれないが、これまでの歴史があったからこそ実現したライブでもある。だからこそいつも以上に感情が揺さぶられた。

 

ラストは『正義』。ACAねが鈴のついた指揮棒でけいちゃんが吹く素朴な音色のピアニカを指揮すると、少しずつバンドの音が重なってジャムセッションへと変化していく。

 

その演奏はレゲエやファンクの匂いを感じるようなリズムで、『正義』とは全く違う印象を受けるサウンドだ。

 

しかしセッションが終わると自然な流れで『正義』が始まった。これは楽曲の性質を理解しているからこそなせるアレンジである。ACAねの音楽は仲間に見つけてもらえただけではなく、仲間に深く理解してもらえているのだ。

 

この楽曲では歌も演奏も最後に全てを出し切るような熱気と迫力があった。

 

演出もそうだ。最後に派手なことを全てやりきるかのように、レーザー照明は無数に飛び交いステージでは炎が舞い上がっていた。

 

バンドメンバーの紹介を兼ねた各自のソロプレイをも交えて、ひたすらに盛り上げていく。

 

建前上はACAねのソロプロジェクトとなってはいるが、バンドには固定メンバーもいるし演奏も主役と思えるほど活躍している。実質ACAねをフロントマンにしたバンドに思う。だからバンドメンバーがフィーチャーされるライブアレンジや演出が取り入れられているのだ。

 

ライブをやりきったのか、安堵を感じるような声色で「ずっと真夜中でいいのに。でした」と挨拶するACAね。ステージを去っていくバンドメンバーを鈴を鳴らして見送っていた。その様子はバンドメンバーへの感謝の気持ちも表しているように見える。

 

1人になると登場時に入っていた電話ボックスの中に、ゆっくりと入っていくACAね。そして「また会いましょう」と告げて、すぐにステージが暗転しステージから誰も居なくなった。

 

ずとまよのライブは観る都度に「とんでもないものを観た」という感覚になる。毎回衝撃を受けるし、圧倒されてしまう。この日のライブもそうだった。

 

しかし今回はバンドメンバーやファンにACAねが愛されていることを実感するようなライブでもあって、彼女の才能が認められ努力が実ったことを実感するようなライブでもあって、それに温かな気持ちになり感動するライブでもあった。

 

人が夢を叶える瞬間は、見守る側の心を動かすし力をもらえるのだ。

 

ライブが終わってから過去最大公演数のホールツアーの開催が発表された。ずとまよを見つけた人はどんどん増えているし、今では数え切れないほどに多い。そんな見つけてくれた人たちに会いにいくのだろう。

 

「来てくれてありがとうう またね...」と書かれたACAの手書きメッセージがビジョンに映されたことを合図に、客席の電気が付いて明るくなる会場。

 

それがさいたまスーパーアリーナ公演を無事に終えた瞬間であり、ACAねが路上ライブ時代の夢を叶えた瞬間でもあった。

 

ずっと真夜中でいいのに。ZUTOMAYO FACTORY「鷹は飢えても踊り忘れず」day2 "ob_start" at. さいたまスーパーアリーナ 2022年4月18日(日) セットリスト

1.ばかじゃないのに
2.低血ボルト
3.勘冴えて悔しいわ
4.マイノリティ脈絡
5.JK BOMBER
6.違う曲にしようよ
7.機械油
8.彷徨い酔い音頭
9.袖のキルト
10.MILABO
11.脳裏上のクラッカー
12.Dear Mr「F」
13.暗く黒く
14.お勉強しといてよ
15.ミラーチューン
16.あいつら全員同窓会
17.秒針を噛む

 

EN1.またね幻
EN2.サターン
EN3.正義

 

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