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私立恵比寿中学 バンドのみんなと大学芸会2019 エビ中のフルバッテリー・サラウンド@ 幕張メッセイベントホール(ライブレポート・感想・セットリスト)

バンド編成

 

「エビ中は音楽が良いグループ」「アイドルだけど音楽でも勝負している」

 

ファンが以前から言い続けている言葉。もっと多くの人に聴かれて愛されるべき音楽と信じて言い続けている。

 

『MUSiC』というタイトルのアルバムを発売した時、運営側からもそのような発信があった。

 

 

素晴らしい楽曲がジャンルレスで揃っていて、それを表現するメンバーのスキルも今は備わっている。

 

 

しかしライブでの音は基本的にオケを使っている。それでもメンバーのパフォーマンスは素晴らしいと思うが、ライブで音楽の魅力を最大限に伝えるには「カラオケ」では不十分だとも思う。

 

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幕張メッセイベントホールで行われた私立恵比寿中学のライブ。約3時間の計30曲。このライブは「全編バンドセット」で行われた。

 

過去にバンドセットのライブを行ったことはある。しかし特別なコンセプトがない全曲バンドセットワンマンは初。いつもエビ中がやっている王道のエビ中ライブが、バンドによってアプデートされた感覚。

 

自分はずっとワンマンライブでガッツリとエビ中の音楽を聴きたいと思っていた。ジャンルレスで幅広い音楽性のエビ中楽曲は生演奏でこそ最も輝くはずだ。

 

生演奏で行われた幕張メッセでのライブ。自分にとってエビ中ライブの理想形に最も近い形だった。忘れることができない大切なライブになった。

 

 

激しい曲はより迫力を

 

白い幕が張られたステージ。幕が貼られたまま客席の照明が暗くなりライブが始まる。

 

1曲目は『半世紀優等生』。エビ中が五五七ニ三ニ〇という別名義で発表した楽曲。1曲目から「バンドの凄み」と「今日がバンドセットである必然性」を感じた。

 

 

五五七ニ三ニ〇の『半世紀優等生』はエビ中がバンドを組んだと言う設定でリリースされた楽曲。設定を活かしている音楽性で、楽器の音が特徴的で印象的。歌よりも演奏が主役とも言える楽曲。

 

白い幕の向こうでメンバーの影だけが映る。アイドルはルックスやダンスが魅力の一つでもある。しかし『半世紀優等生』ではメンバーの姿が見えないまま演奏が終わる。

 

それでもお客さんの歓声は大きかった。

 

楽曲の性質上、生バンドが最も似合うであろう曲。カラオケとは違う音の迫力と凄み。アイドルのライブだが、お客さんはみんな「音楽」に対して気持ちが高まり興奮していた。

 

『半世紀優等生』が終わり白い幕が降りる。歓声がさらに大きくなる。2曲目は『Family Complex』。岡崎体育が提供した楽曲。音源では打ち込みを多用した楽曲だが、今日は13人編成の生バンドで再構築されている。

 

Family Complex

Family Complex

  • 私立恵比寿中学
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

心配はいらないよ 任せといてよ

ここにいるときの私は いつもよりちょっぴり強いんだよ

 

バンドの迫力に負けないぐらい、エビ中の歌声はいつもよりも力強く感じた。バンドに合わせて歌うと言うよりも、ボーカリストとしてバンドを引っ張っているようにすら思えた。

 

岡崎体育がエビ中のことを想い書いた歌詞に、より説得力を感じた。

 

曲が終わると雪崩れ込むように『イートザ大目玉』『放課後下駄箱ロッケンロールMX』とアップテンポの楽曲が続く。

 

激しいドラムの音とゴリゴリなベースの演奏が体に響く。音が体に響く感覚は普段のエビ中ではあまり体験できない。音の迫力によって、いつも以上にテンションが上がる。

 

後半に演奏された『PANDORA』や『HOT UP!!!』もロックサウンドが印象的な楽曲。

 

ライブハウスやロックフェスならばウォールオブデスやダイブが発生してもおかしくない演奏とパフォーマンス。客席も序盤から激しく盛り上がっている。「お前らそんなもんじゃねえだろ!」と柏木ひなたは客をさらに煽る。

 

PANDORA

PANDORA

  • 私立恵比寿中学
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

エビ中の楽曲はロックサウンドも多く、それらの曲は生演奏になると特に迫力が増す。エビ中の楽曲はジャンルが幅広い。その中でもロックサウンドは強みの一つなのだ。

 

 

 楽曲を華やかにする演奏

 

一瞬で空気が変わるライブでもあった。

 

様々なジャンルの楽曲が揃っているエビ中。ロックな曲で盛り上げたと思えば、ポップな曲や可愛らしい曲で華やかな雰囲気に会場を一瞬で変えてしまう。

 

最近はライブの定番曲になっていゆ『YELL』。ポップで明るい良質な王道J-POP。定番曲だが生演奏だと、また違った聴き心地になる。

 

YELL

YELL

  • 私立恵比寿中学
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

 ストリングスやホーンの生演奏により、華やかさが際立つ。会場全体が多幸感溢れた空間になる。

 

過去の曲も最新の曲も満遍なく演奏された。

 

『踊るガリ勉中学生』『梅』『キャンディロッガー』など過去の楽曲も披露されたが「今のエビ中楽曲」として表現されていた。

 

最近の楽曲のほうがバンド演奏と相性が良さそうな楽曲が多いようにも感じる。しかし過去の楽曲も、バンドと相性がいいことは変わらないのだと最新曲と続けて聴くことで気づく。

 

ちがうの

ちがうの

  • 私立恵比寿中学
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

『ちがうの』は最新アルバム『playlist』の収録曲。今のエビ中だから表現できる繊細な歌に思う。

 

最新曲と過去曲で時代の違いによる違和感は全く感じなかった。どちらも「今のエビ中」の魅力を感じる演奏とパフォーマンスだった。

 

メンバーの歌唱スキルやパフォーマンス力は、ここ数年でさらに上がっている。歌が下手でも成立していたような面白さや可愛らしさが際立っていた過去曲に、カッコよさも加わった。

 

アップデートされた「今のエビ中の楽曲」として披露された。

 

昔から「アイドルだけど音楽に真剣に取り組んでいる」エビ中の音楽に対する姿勢を、言葉ではなく音楽で伝えることで、説得力を持たせている。

 

 

 バンドだからできるアレンジ

 

『青い青い星の名前』の編曲には驚いた。

 

音源ではバンドサウンドが印象的なロックチューン。音源通りに演奏しても魅力は伝わる曲。

 

しかし、それとは違う編曲によって「バンドの凄さ」を伝えてきたのだ。

 

青い青い星の名前

青い青い星の名前

  • 私立恵比寿中学
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

2本のエレキギターをバックにメンバーが歌い始める。その始まり方は音源と同じだったが、そこから違う編曲になる。

 

音源ではすぐに他の楽器が加わり疾走感ある演奏になる。しかし1番を丸々ギターと歌だけで披露した。

 

ギターの心地よい乾いた音に、メンバーの歌声が重なる。それぞれの歌唱の素晴らしさに引き込まれる。ユニゾンで歌った時、その歌声の美しさに魅了される。

 

メロディの力強さや魅力をより感じる。高橋久美子の書いた歌詞の言葉が、より胸に染みる。

 

1番が終わり他の楽器が一勢に入ってくる。迫力と疾走感が加わる。それを歌いこなすエビ中。

 

1曲の中にも様々な魅力が詰め込まれている。これは生バンドだからこそできるパフォーマンスだ。

 

 中盤は特に「バンドだからできるライブ」を感じる曲が多かった。

 

アコースティックアレンジされた楽曲をダンスをせずに歌だけで表現をした中盤。そこで歌われた曲は『フユコイ』『まっすぐ』『星の数え方』『曇天』の4曲。

 

星の数え方

星の数え方

  • 私立恵比寿中学
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

特に『星の数え方』での3声でのハモリは、バンドの落ち着いた演奏だとより歌声の凄さが際立つ。

 

バンドの演奏は迫力を加えるだけでなく、楽曲の魅力を引き立てるためにも必要なのだ。

 

 

アイドルとしてのエンタテイメント

 

エビ中のライブはエンタテイメント。今回も音楽を聴かせるだけでなく、エンタテイメントとして、みんなを笑顔にしていた。

 

中盤の『涙は似合わない』ではトロッコに乗って幕張メッセ内を周り、座席後方まで行って笑顔でファンに手を振っていた。移動するトロッコに乗ったまま『MISSION SURVIVOR』を歌い、タオルを振りながらお客さんを煽る。

 

『元気しかない』から『サドンデス』の流れでは「誰が1番元気なのかダンスで勝負」をしたり「泣いたりなだめたり写メを撮ったり」と中学生みたいなふざけた茶番かわいらしく面白い小芝居を挟んで、みんなを笑顔にした。

 

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エビ中メンバーだけでなくバンドメンバーにも演奏中にケーキを食べさせたりと中学生みたいなふざけた茶番かわいらしく面白い小芝居をやらせる。

 

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エビ中メンバーだけでなく、バンドメンバーまで永遠に中学生になって、エンタテインメントを一緒に創っている。

 

元気しかない!

元気しかない!

  • 私立恵比寿中学
  • J-Pop
  • ¥255
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これはエビ中がアイドルだからこそ創ることができる音楽によるエンタテイメントにも思う。

 

中学生みたいなふざけた茶番かわいらしく面白い小芝居を取り入れ違和感なく成立させることは、バンドやアーティストには難しい。例えば米津玄師が演奏中にレモンをかじったり、パプリカを投げる小芝居を始めたら空気が凍る。

 

凄腕のミュージシャンを13名集めたバンドは素晴らしい演奏だった。その演奏に負けることない歌声で感動させたエビ中も素晴らしかった。「アイドルだけど真剣に音楽に取り組んでいる」という言葉の通り、最高の音楽ライブだった。

 

それでいて、アイドルとして真剣にアイドルの魅力伝えるようなライブにも思えた。

 

アイドルがやる音楽の素晴らしさ。アイドルだからできるエンタテイメントの面白さ。アイドルだからできる音楽の魅力。

 

それらが全て詰まった3時間。だから自分が思い描いた理想に最も近いライブに思えた。

 

 

素晴らしいライブだと思った1番の理由

 

音楽には技術力が大切だと思う。ライブには作り込まれた演出も重要だ。しかし、それ以上に、音楽やライブによる感動は「想い」が最も必要だと思う。

 

一流ミュージシャンを集めたバックバンドは素晴らしい演奏だった。エビ中の歌も最高だった。照明やスクリーンなどの演出も凝っていて圧倒させられた。それに感動した。

 

でもこのライブで最も感動した部分は他にある。それは歌や演出から「想い」を感じた部分だ。

 

エビ中は今6人組グループ。しかしこの日ステージに立ったのは5人。

 

メンバーの安本彩花が体調不良により無期限でお休みしている。ライブでは安本のパートは他のメンバーが分担して歌っていた。

 

どのメンバーが歌っているかによって、照明の色も変わっていた。基本的には歌っているメンバーのメンバーカラーの照明でステージが照らされる。

 

元々は安本彩花のパートだった部分を他のメンバーが歌っていたとしても、緑色の照明でステージが照らされていた。緑は安本彩花のメンバーカラー。

 

安本彩花がステージに立てなくても、彼女のことをメンバーもスタッフも想ってライブを作っているように感じた。

 

『HISTORY』という曲が演奏された時、スクリーンには別撮りされた安本彩花が歌っている映像も流れた。

 

HISTORY

HISTORY

  • 私立恵比寿中学
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この曲の作詞は「私立恵比寿中学」。メンバー全員で作詞を行った曲。今までの活動への想いや、これからの活動についての想いを歌っている。

 

6人全員で歌いたかったのだと思う。大切な曲だから、6人で歌う必要があったのだと思う。 そのために映像だけでも安本彩花が出演して、想いを込めて6人で歌ったのだと思う。

 

「これからも6人のエビ中をよろしくお願いします」

 

「緑のペンライトを振ってくれる人もいて、青のペンライトを振ってくれる人もいて、エビ中ファミリーは素敵だなあと思います。いつも支えてくれてありがとうございます」

 

柏木ひなたと星名美怜のライブでの最後の挨拶での言葉。ファンへの感謝だけでなく、この日一緒にステージに立てなかったメンバーや、ずっと見守ってくれているメンバーに対しての想いも感じる挨拶。

 

アンコール最後に歌われた「なないろ」。今は遠くで見守ってくれているメンバーの松野莉奈への想いが込められた曲。特に感動的な歌声だった。

 

形式的に「ペンライトを青色にするのが決まり」とファンが色を青にしたのではなく、自然と幕張メッセが松野莉奈のメンバーカラーでで染まっていったように感じた。

 

その景色も感動的だった。ファンも一緒に最高の空間を創っていた。あの子も来てるのかなと思った。

 

なないろ

なないろ

  • 私立恵比寿中学
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

ファンも想いを持ってライブに参加しているのだ。

 

メンバーも関係者もファンも、エビ中に対して「想い」を持っている。それがひとつになってライブが完成していた。それに自分は最も感動した。

 

メンバーも関係者も「想い」について具体的に説明することは少ない。メンバーのトークは上手ではないし、スタッフのグループ運営は不器用に思うこともある。だから具体的に説明しないし、できないのかもしれない。

 

でも音楽で想いを伝えてくれる。安本彩花への想いも松野莉奈への想いも、音楽で伝えてくれる。

 

メンバーが作詞した『HISTORY』の歌詞でも「歌で伝えるよ不器用なりに」と歌っている。

 

だから応援してしまう。運営に対しても信頼感がある。ファンもそれに対して想いを持って応える。

 

自分が求めている「理想形に最も近いエビ中のライブ」になった。生バンドでエビ中の楽曲をガッツリ聴きたいという願いが叶った。忘れられないライブになった。

 

でも忘れられないライブに感じた理由は、歌や演奏のクオリティに感動したことだけが理由ではない。

 

たくさんの想いが最高の音楽と素晴らしい演奏と歌よって届けられ、それにファンが応えて返すことでライブが完成する光景に感動したからだ。

 

だからこの日のライブを忘れないし、忘れられない。

 

欲を言うならば、いつかは6人でバンドとやる大学芸会も観てみたい。いつになってもいいし、いつまでも待つから観てみたい。

 

そのライブは「自分の理想形に最も近いエビ中のライブ」ではなく「自分の理想通りのエビ中のライブ」になる予感がするから。きっと忘れられないライブが1つ増えるはずだから。

 

私立恵比寿中学 バンドのみんなと大学芸会2019 エビ中のフルバッテリー・サラウンド(DAY2)

◾️セットリスト

SE ebiture
01. 半世紀優等生/五五七二三二〇
02. Family Complex
03. イート・ザ・大目玉
04. 放課後ゲタ箱ロッケンロールMX
05. YELL
06. 踊るガリ勉中学生
07. 梅
08. 青い青い星の名前
09. 愛のレンタル
10. シンガロン・シンガソン
11. ちがうの
12. キャンディロッガー
13. 紅の詩
14. 自由へ道連れ
転換VTR(1)
15. フユコイ
16. まっすぐ
17. 星の数え方
18. 曇天
転換VTR(2)
19. HISTORY
20. 涙は似合わない
21. MISSION SURVIVOR
22. PANDORA
23. HOT UP!!!
24. オメカシフィーバー
25. 元気しかない〜サドンデス(medley)
26. ジャンプ
【アンコール】
27. COLOR
28. 永遠に中学生
29. なないろ

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