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第70回NHK紅白歌合戦(2019年)の曲目が発表!紅組の出場歌手&曲の紹介&楽曲の感想・レビュー

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紅組

aiko(14)『花火』 

作詞・作曲 aiko

 

 1999年に発売されたaikoの代表曲の1つ。ポップなのにジャジーな雰囲気も微かに感じる曲。AメロもBメロもサビも三連符があるところが印象的。歌詞の視点や使われている言葉のセンスが個性的。

 

「三角の目をした羽ある天使」という一言でどのような顔や性格の天使なのかイメージが頭に具体的に想像できる歌詞。比喩表現や独特な言葉の組み合わせをするのに、風景や登場人物の感情がはっきりと浮かんでくる。その表現力がすごい。

 

そして「花火を上から見下ろす」という表現はaiko以外に使った人はいないのではと思う。使う言葉のチョイスだけでなく、視点も他にはない個性がある。これは『花火』に限った話ではなく、aikoの歌詞はどれもが個性的な表現と視点の曲にあふれている。

 

代表曲であり、aikoとはどのようなシンガーソングライターかを説明できる曲に思う。

 

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いきものがかり(11)『風が吹いている』

作詞・作曲 水野良樹

 

2012年のシングル曲。ロンドンオリンピックのテーマソングだったので、来年の東京オリンピックに向けて今回歌うことになったのかもしれない。

 

7分を超えるバラード。おそらくいきものがかりの曲で最も長い曲。一般的なJ-POPと言える構成でメロディも王道J-POPという感じ。それでも聴いていて飽きがこない理由は、そもそものメロディが良いことと、吉岡聖恵の伸びやかな歌声が心地よいからだと思う。

 

「時代は今変わっていく」

 

歌い出しのフレーズは平成から令和になり、2010年代の終わりの年だからこそ、より響くものがある。

石川さゆり(42)『津軽海峡・冬景色』 

作詞 阿久悠

作曲 三木たかし

 

この曲はベースラインが独特で好きだ。変わったベースラインではない。同じようなフレーズを引き続けている。しかし曲をしっかり支えつつも、演奏の主役なれるような演奏をしている。

 

特にAメロとBメロは曲の要になっているのではないかと思うぐらいベースが印象的。

 

ベースがしっかりしているので、他の楽器が引き立てられているように思う。そして石川さゆりの歌声もより映える演奏になっている。

 

演奏が素晴らしく、メロディも流れるように美しい。演歌だがポップス的なキャッチーさを感じるのは、Aメロ→Bメロ→サビの構成でメロディも大きく上下するからに思う。

 

そのため長く愛される曲で、演歌に馴染みがない人もこの曲を知っていて口ずさめるのだと思う。

AKB48(12)『恋するフォーチュンクッキー~紅白世界選抜SP~』 

作詞 秋元康

作曲 伊藤心太郎

 

個人的にAKB48史上1番の名曲だと思っている。1970年代に流行っていた「フィラデルフィア・ソウル」の影響を感じるが、メロディや構成はJ-POP。このミックスにより個性的な作品になっている。

 

フィラデルフィア・ソウルはストリングスで華やかで甘いサウンドが特徴。『恋するフォーチュンクッキー』に近いサウンド。

 

ミドルテンポだけど踊れる生演奏のディスコチューンでもある。打ち込みのEDMが流行っている中に投下された『恋するフォーチュンクッキー』。メジャーど真ん中で活動するアイドルでありつつ、視点を変えてみるとシーンの中心に一石を投じるカウンター的な曲でもあったように思う。

丘みどり(3)『紙の鶴』 

作詞 さいとう大三

作曲 弦哲也

 

不思議なサウンドだと思う。音数が少なめな演奏ながら、様々な音が代わる代わる出てくる。次に何の音が出てくるのか期待してしまう演奏。

 

そしてメロディが美しい。歌ってる丘みどりも美しい。

 

というか、丘みどり、かわいい。

欅坂46(4)『不協和音』 

作詞 秋元康

作曲 バグベア

 

2017年の紅白歌合戦でも歌われた『不協和音』。しかしパフォーマン中に一部のメンバーが体調不良になったりと、100%のパフォーマンスができたとは言えない状態だった。今回また歌われることで「リベンジ」とも言える。

 

歌詞は反抗精神にあふれているフレーズが散りばめられているのに、ポップスとして成立している。それは四つ打ちのノリやすいリズムとキャッチーなメロディによることが理由に思う。

 

ポップスとして成立しているからこそ、歌詞のメッセージがしっかりと届く。そして音作りもこだわっているように思う。話題の人気グループの曲だからヒットしたわけではなく、楽曲の完成度が高いからこそヒットしたのだと思う。

 

欅坂46の中でも完成度の高い楽曲だと思う。これからも『不協和音』レベルの良い曲をリリースしてくれなきゃ「僕は嫌だ」。そんなこと平手友梨奈が言ったから新曲のリリースは延期になったのかな?

 

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坂本冬美(31)『祝い酒 ~祝!令和バージョン~』 

作詞 たかたかし

作曲 猪俣公章

 

 坂本冬美の力強い歌声が印象的。紅白ではカットされるかもしれないが、後半のギターソロが個人的に好み。

 

しかし、この曲は1988年の楽曲。坂本冬美の楽曲では『また君に恋してる』に次ぐヒット曲ではあるが、なぜ今の紅白でこの曲を歌のだろうか?

  

椎名林檎(7)『人生は夢だらけ~お願いガッテン篇~』 

作詞・作曲 椎名林檎

 

元々は高畑充希が出演するCMで高畑充希が歌うために作られた楽曲。時間もCMの放送分の時間しかない曲だった。それを歌詞を書き換え時間を延ばし1曲にしたもの。

 

椎名林檎のアカペラから始まり、そこにピアノの音が重なり、しっとりと始まる曲。すこしずつピアノの演奏は激しくなり、椎名林檎も感情の込め方を強めていく。

 

そして他の楽器も加わり華やかな演奏になる瞬間が最高。まるでミュージカルの曲を聴いているような多幸感に溢れた楽曲。

 

紅白では「お願いガッテン編」となっているのでNHKで放送されていた「ためしてガッテン」のテーマソングで椎名林檎が書き下ろした『ジユーダム』も加えた編曲で披露するのかもしれない。

 

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島津亜矢(6)『糸』 

作詞・作曲 中島みゆき

 

 オリジナルは中島みゆきの名曲。多くのアーティストがカバーしている「カバーの定番曲」でもある。

 

そのためカバーされたところで既視感であふれていて「またか」という気分にもなりがちな曲でもある。しかし島津亜矢ではそう思わない。素直に感動してしまう。

 

歌の表現力が素晴らしいのだ。技術があるだけでなく、心に響く、想いを感じる歌声に思う。それでいて自身のオリジナリティも感じる。一流の楽曲は一流の歌手が歌うと足し算ではなく掛け算のように何倍も魅力的に感じる。

Superfly(4)『フレア』

作詞・作曲 越智志帆

 

NHK朝のテレビ小説『スカーレット』の主題歌だった『フレア』。Superflyの楽曲の中では異質とも感じる楽曲。

 

シングル曲では楽曲提供を受けていたり、元メンバーで現在は裏方に回った多保孝一との狭窄が多かった。今作の作詞作曲は越智志帆。そのためか他の楽曲とは雰囲気が違う。

 

カントリー風な演奏と優しいメロディが特徴的。力強いボーカルやバラードでの伸びやかな歌声のイメージが強いが、最初から最後まで優しい歌声でいい意味で力を抜いて歌っているように思う。それに新しい魅力を感じる。

 

サビの2拍子が心地よく自然と体が動いてしまう。異質というよりも新しい魅力といったほうが正しいかもしれない。

天童よしみ(24)『大阪恋時雨』 

作詞・作曲 半崎美子

 

元々は2015年にシンガーソングライターの半崎美子が大阪のご当地ソングとして制作し。それ以降半崎美子のライブで披露し続けていた曲。CDとして音源化はしていなかったが、天童よしみへの楽曲提供として音源化が実現した。

 

切ない恋の歌。それを天童よしみが歌うことで、より哀愁を感じる。懐かしの歌謡曲といった編曲になっており、それも心に染みる。

 

メロディの歌詞も素晴らしい名曲だと思う。  

TWICE(3)『Let’s Dance Medley 2019』

 

今年新しいアルバムを発売したTWICE。メドレーとして複数曲パフォーマンスするようだが、何をやるのだろう。新譜の楽曲が中心になる予感はする。

 

とりあえず、TWICEはツウィが一番かわいい。

 

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乃木坂46(5)『シンクロニシティ』

作詞 秋元康

作曲 シライシ紗トリ

 

シンセサイザーのリフに言葉を詰め込んだような三連符のメロディの歌が乗る。静かに始まり耳をすませて聴いていくうちに、だんだん盛り上がっている曲展開に耳が離せなくなる。

 

この曲は盛り上げるポイントと落ち着かせるポイントを交互にくるような編曲に思う。Aメロが終わると音が大きくなり、Bメロでは落ち着き、サビでは最も盛り上がる。 曲の構成は一般的なJーPOPに多い構成だが、編曲やメロディの変化で独特な聴こえ方がする。

 

きっと 誰だって 誰だってあるだろう

ふいに気づいたら泣いていること

理由なんて何も思い当たらずに 涙がこぼれる

 

それは そばにいる そばにいる誰かのせい

言葉を交わしていなくても

心が勝手に共鳴するんだ 愛を分け合って

 

サビが印象的で一度聴くと覚えてしまうことにも工夫がされている。「誰だって誰だって」や「そばにいる そばにいる」と同じ言葉をテンポよく繰り返すことでノリやすさも生まれ、同じ言葉が繰り返されることで印象に残りやすくなる。

 

超人気トップアイドルの楽曲だけあって、かなり考えて作り込まれているように思う。

Perfume(12)『FUSION - 紅白Ver. -』

作詞・作曲 中田ヤスタカ

 

2018年のシングル『無限未来』のカップリングとアルバム『Future Pop』に収録された楽曲。今年の曲でもないし有名曲でもない。その曲を紅白でやることに意図はあるのだろうか。

 

意図があるとしたら『テクノポップではない最新のPerfume』を見せて魅せるという意図があるのではと思う。

 

この曲は歌詞がない。途中で「わたしとFUSION」と言ったり「ヤア」という掛け声があるだけ。重いサウンドのダンスミュージック。作り込まれたトラックでクオリティは高いとは思うが、Perfumeファンやダンスミュージックが好きな人向けのコアな曲。

 

しかし「紅白Ver」とつけているので、特別な演出で披露するのだと思う。コアな楽曲を大衆音楽番組の頂点と言える紅白歌合戦でどのように表現するのか楽しみだ。

日向坂46(初)『キュン』 

作詞 秋元康

作曲 野村陽一郎

 

日向坂46のデビュー曲であり勝負曲と感じる曲。

 

この曲は「キュン」というフレーズが印象的。サビが2種類あるような構成であることが個性的だ。

 

サビは「君のその仕草に萌えちゃって」のフレーズから始まる部分ではあるが、その部分と同じぐらい楽曲の盛り上がりのピークが「キュン」が連発する部分だ。

 

サビの後に違うサビが続けてくるような感覚。それによって盛り上がりが長時間持続する。しかもサビの前にはセリフもあり、そのセリフでサビの盛り上がりを加速させる。

 

そのセリフを言う声は「可愛い」。

 

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Foorin(初)『パプリカ -紅白スペシャルバージョン-』

作詞・作曲 米津玄師

 

 NHKみんなのうたで使用された米津玄師がプロデュースした楽曲。米津玄師の個性を感じる曲やメロディと歌詞。しかし彼が歌う曲よりも構成はシンプルにも思う。そして米津玄師が歌う場合とは耳障りも違う。

 

米津玄師の歌にはキャッチーなメロディの曲でも憂いがある。どことなく切なげな歌声。それが魅力的なわけだが、Foorinの『パプリカ』に憂いはない。明るくて楽しい雰囲気。

 

それはFoorinが歌っているという理由もあるとは思う。しかしセルフカバーしているものの自信で歌う曲ではない。あえて明るく聴こえる楽曲を作ったのかもしれない。

 

楽曲提供をするとアーティストの新しい魅力を発見することがある。Foorinの『パプリカ』では米津玄師の新しい魅力を見つけたようにも思う。

松田聖子(23)『Seiko Best Single Medley』

 

シングル曲をメドレーでやるらしいけども、全時代のシングルを分散してメロディにすうのだろうか。それならば幅広い音楽性も面白いメドレーになりそうで楽しみだ。 

MISIA(4)『アイノカタチメドレー』

作詞・作曲 GReeeN

 

『アイノカタチ』はMISIA feet.HIDE (GReeeeN) という名義で発表された楽曲。感動的なバラード。できればフルで聴きたくなるような曲。

 

紅白では『アイノカタチメドレー』として他の楽曲を織り交ぜてパフォーマンスするようだ。どのように披露されるのだろうか。気にはなるが、MISIAの素晴らしい歌声があればどんな曲でも構わない。重要なことは1つだけ。MISIAの歌声こそがEverything。

水森かおり(17)『高遠 さくら路 ~』 

作詞 伊藤薫

作曲 弦哲也

 

「涙を捨てる ひとり旅」というフレーズのメロディへの乗せ方が独特で個人的に好み。

 

悲しい恋の歌だが、感情をあえて強めずに淡々と歌っているようにも感じる。淡々と歌うからこそ歌詞もすっと入ってくる。そして淡々と歌ってはいるが、繊細で丁寧な歌声。

 

それが楽曲の雰囲気とも合っている。

 

ちなみに、紅白では世界的イリュージョニスト・メイガスとのコラボでイリュージュンをするらしい。悲しい恋の歌なわけだが、イリュージョンが合うのだろうか...?

LiSA『紅蓮華』 

作詞・作曲 草野華余子

 

社会現象になっているテレビアニメ『鬼滅の刃』の主題歌。アニメと比例して主題歌もヒットした。

 

しかし『紅蓮華』のヒットはアニメのヒットだけが理由ではない。歪んだギターが印象的な曲だが、どことなく和を感じるメロディも耳に残る。それが日本人には好まれやすいのだと思う。

 

サビの後にキメが入ることはアニソンの特徴の1つではあるが(全てのアニソンがそうではない)それも含まれている。

 

ロックのかっこよさと日本人好みのメロディとアニソンの魅力が綺麗にミックスされている。

 

それらの理由で名曲となり受け入れられたのだと思う。

Little Glee Monster『ECHO』

作詞・作曲 今井了介

 

NHKラグビーW杯のテーマソング。R&Bのクールなナンバー。

 

バックトラックの音数は少なめの。そのためメンバーの歌唱力の高さを感じる編曲になっている。音数は少ないものの作り込まれている。そのため歌声で魅了された後にバックトラックにも魅了される。1度で2度美味しい。

 

余談だが、最近、リトグリが可愛くなってきた気がする。特に、アサヒとmanaka。二人の顔にも紅白では注目したい。

 

紅白歌合戦 ウラ話

紅白歌合戦 ウラ話

  • 作者:合田道人
  • 出版社/メーカー: 全音楽譜出版社
  • 発売日: 2019/11/15
  • メディア: 楽譜