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【ライブレポ・セットリスト】私立恵比寿中学 バンドのみんなと大学芸会2020 エビ中とニューガムラッド@東京ガーデンシアター 2020.12.26

バンドのみんなと大学芸会2020 エビ中とニューガムラッド

 

ここまで高揚感のあるライブのスタートは久々だ。

 

エビ中のライブとしては、自分が行った中で最もテンションが上がる始まり方だった。

 

開演時間を過ぎ暗転してから聴こえてきたのはバンドの演奏。いつもメンバー登場時に流れるSEの『ebiture』が生演奏された。

 

ebiture

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  • 私立恵比寿中学
  • J-Pop
  • ¥255
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エレキギターの音が前面に出ていて、音源とは違うライブアレンジ。階段状になった壮大なステージに立つ13名のバンドによる迫力ある演奏。

 

最大キャパの半分以下しか客数はいないものの、久々に見たアリーナ規模の輝くペンライトの海は美しい。演奏とともに会場の雰囲気にも感動してしまう。

 

今までとは違う意外性のある始まり方と、今までと変わらない会場の景色。それが組み合わさったことで、自分はエビ中のライブの中で過去一番テンションが上がった。

 

f:id:houroukamome121:20201227014515j:image

 

東京ガーデンシアターで行われた私立恵比寿中学のライブ『バンドのみんなと大学芸会2020 エビ中とニューガムラッド』の初日。

 

最初の高揚感を保ったまま、最後まで駆け抜けたようなライブ。

 

1年前からすっかり世の中は変わってしまったし、エビ中にとっても悔しい出来事や悲しい出来事もあった。

 

それでも感動的な演出やMCをするわけでもなく、最後までアイドルとしても音楽としても楽しませることに徹底していて、多幸感に満たされているライブだった。

 

前半

 

エビ中は音楽にこだわっているアイドルだ。そして今回のライブはいつも以上に「音楽で勝負するライブ」に感じた。

 

1曲目の『Family Complex』の始まり方から、歌の力で圧倒させられてしまう。柏木ひなたの物凄い声量と繊細な表現のアカペラで曲が始まったからだ。

 

Family Complex

Family Complex

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静まり返る会場。それはコロナ禍で客席から声を出すことができないからではない。彼女の歌声に聴きってしまい、音楽に集中しているからだ。

 

スタートの高揚感を保ったまま聴き入らせるという、物凄い空気。

 

そして他のメンバーの歌唱とバンドの演奏が加わり、高揚感をさらに爆発させる。6色のメンバーカラーのエビのロゴがステージ後方のスクリーンでくるくると回っている。その映像がポップで可愛い。

 

音源よりもBPMを落としているもののロックアレンジになっていることもあり、「バンドのみんなと」という言葉がライブタイトルに使われている意味を実感する。バンドもこのライブの主役なのだ。

 

そのまま曲間なしで『制服”報連相”ファンク』をファンキーに演奏し、「声を出せなくても一緒に踊って最高のライブにしましょう!」という星名美怜の煽りから『ラブリースマイリーベイビー』へ。

 

ラブリースマイリーベイビー

ラブリースマイリーベイビー

  • 私立恵比寿中学
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まるでライブができなかった夏を取り戻すかのように盛り上がる客席。ピンクのハートがスクリーンに映ったりと、演出もライブを引き立てる。

 

ストリングス隊がベートーベンの第九交響曲第4楽章『歓喜の歌』を演奏してから『ハイタテキ!』をパフォーマンス。

 

ハイタテキ!

ハイタテキ!

  • 私立恵比寿中学
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全力で振りコピする客席。しかしコロナ禍で声を出せないこともあり、今日は誰も中山莉子に惚れたことを告白しなかった。

 

メンバーの短めの自己紹介を挟み「不況だと言われているけど、売れてお金持ちになりたいなあ」という今のご時世を気にしない中山莉子のMCから『売れたいエモーション!』へ。

 

売れたいエモーション!

売れたいエモーション!

  • 私立恵比寿中学
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初期のアイドルらしい楽曲だが、進化した今のメンバーの歌声とハイレベルなバンドの演奏が組み合わさると、クールなロックナンバーに感じてしまう。

 

ファンは声を出せないものの、この曲では定番の客席でのウェーブは成功。声を出せないだけでステージと客席とでコミュニケーションは成立しているのだ。

 

この次に演奏されたのは『SHAKE!SHAKE!』。

 

SHAKE! SHAKE!

SHAKE! SHAKE!

  • 私立恵比寿中学
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客席からクラップが響き、ポップでカラフルなフォントの歌詞がスクリーンに映りライブを彩る。

 

最新アルバム『Playlist』収録曲だが、初期の楽曲から続けて演奏されても違和感はない。どの時代の楽曲も今のエビ中の音楽として昇華しているからだろう。

 

これほど音楽的にレベルアップしているのに『EBINOMICS』は良い意味ふざけていて、「キングオブ学芸会」であることを忘れていないと感じた。

 

バンドの生演奏に合わせて外人コーラス(なぜかオリビアとメンバーに呼ばれている)の歌声に合わせて口パクをする小林歌穂。様々なパターンで口パクする小林歌穂。

 

凄腕の演奏に合わせて口パクするという贅沢なバンドの使い方。

 

これはエビ中だからこそ成立するパフォーマンスだ。一歩間違えば反感を買うような演出なのに、アイドルとしてエンターテイメントに昇華してしまう。

 

ちなみに小林の祖父は彼女が口パクしているとは思っていないらしく「いつの間にか太い声もでるようになったんだねえ」と感心しているとMCで話していた。

 

 

中盤

 

ユーモアに溢れたエンタメなパフォーマンスを観せたかと思えば、次の曲では実力の高さで魅せる歌唱をする。この振れ幅がエビ中のすごさでもある。

 

iriが楽曲提供したR&Bナンバー『I'll be here』は、前半の歌割りの全てを柏木ひなたが担当している。

 

I'll be here

I'll be here

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彼女の歌唱力の高さを特に実感できる楽曲だ。薄暗い照明で感情表現豊かに歌う姿に引き込まれてしまう。

 

そしてジャンルレスでバラエティ豊かな楽曲群もエビ中の魅力だ。

 

『I'll be here』の余韻を良い意味で吹き飛ばすようにアップテンポの『あたしきっと無限ルーパー』を続ける。レーザー照明が飛び交う景色も壮大で圧倒させられてしまう。

 

特に圧倒させあれたのは『使ってポートフォリオ』だ。個人的には今回のハイライトがこの曲である。

 

使ってポートフォリオ

使ってポートフォリオ

  • 私立恵比寿中学
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ジャンルの違う複数の楽曲をミックスさせたような、展開が目まぐるしく変わる曲。プログレッシブロックをアイドルの価値観で作ったような曲。

 

生演奏はかなり難しいはずだ。だからバンドセットのライブで披露するとは思わなかった。

 

しかし今回見事に音源を再現するどころか、ライブアレンジも取り入れてより複雑で魅力的に演奏していた。メンバーも演奏に負けない歌唱とパフォーマンスで食らいつく。後半に真山りかと中山莉子が見つめ合って歌う場面も印象的。

 

披露後のMCでは「まさか使ってポートフォリオをバンドでやるとは思わないじゃん」嘆く真山。

 

そしてまたもや会場の雰囲気を変えるような違う方向性の楽曲へと続く。『曇天』『愛のレンタル』ではあえてダンスはほとんどせず、繊細で大人っぽい楽曲の世界観を表現していた。

 

愛のレンタル

愛のレンタル

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最も魅せるパフォーマンスをしていたのは『PLAYBACK』だ。

 

海底をイメージした映像に歌詞がゆっくりと浮かび上がり、それをバックにしなやかに歌い踊るエビ中。ステージ上のミラーボルが幻想的な雰囲気を創り上げる。

 

盛り上げるのではなく、惹きつけて集中させるパフォーマンスと演出。それに見惚れてしまう。

 

ミラーボールが回る中でステージを去っていくメンバー。ゆっくりと赤い幕が降りてステージが隠れていく。

 

そして残ったバンドが『Lon de Don』『紅の詩』『なないろ』とエビ中の楽曲をメドレーにしてインストで演奏。エビ中がいないステージでもペンライトを使って盛り上がる客席。

 

今までの大学芸会では、セットチェンジや衣装替えの間は映像を使っていた。これは今回のライブは今まで以上に「音楽を重視したアイドルのライブ」であることを象徴する演出に思う。

 

 

後半

 

再び赤い幕が上がりエビ中のライブが再開。ステージには先ほどまでなかった可愛らしい花のセットが至る所に設置され、メンバーは黄色い衣装に着替えていた。

 

優しいピアノの旋律から始まったのは 『幸せの貼り紙はいつも背中に』。

 

幸せの貼り紙はいつも背中に

幸せの貼り紙はいつも背中に

  • 私立恵比寿中学
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「大好きだった赤い風船を ふと空に離してしまった」という台詞部分では、ステージの後ろに赤い風船が飛んでいく演出も。メンバーの喜びの歌が空に響いている気持ちになる。会場が多幸感で満たされていく。

 

そんなハッピーな空気を『大人はわかってくれない』でロックな空間に塗り替える。

 

大人はわかってくれない(中卒ver.)

大人はわかってくれない(中卒ver.)

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作詞作曲をしたたむらぱんがゲストで出てきて、一緒に歌い演奏するサプライズで、さらに盛り上がる会場。

 

エビ中のライブは目まぐるしく気持ちを揺さぶってくる。次に演奏された『感情電車』で再び明るくて優しい空間に変えてしまう。

 

感情電車

感情電車

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ピアノを繊細なタッチで弾くたむらぱん。その側に小林歌穂が近づく。

 

そして息を合わせるように小林が歌い出し、それにたむらぱんが続けて歌う。二人の美しいハーモニーが響く。そしてバンドの壮大な演奏が重なっていく。

 

〈咲いているあなたの肌に触れた時に泣いた この空〉というフレーズを歌った時、青い照明がステージと客席を美しく照らした。

 

本当に青空の下でエビ中が歌っているように見えた。青空が見守っている下でエビ中が歌っているように感じた。

 

音楽によって感動的な空間になっているのに、その余韻をリアル中学生みたいなノリのMCでぶち壊すエビ中。

 

たむらぱんを「ぱん様」と謎のあだ名で呼ぶメンバー。ドキンちゃん意外でパンの敬称に様をつける人物がいるとは思わなかった。

 

次に披露されたのは新曲でたむらぱん作詞作曲の『イエローライト』。〈進める時が進める時さ〉という歌詞が印象的な、背中を押してくれるような明るいポップスだ。

 

たむらぱんを見送ってから、ライブが終盤だと伝えて『仮契約のシンデレラ』『YELL』とライブ定番曲を立て続けに披露。『オメカシ・フィーバー』ではバンドメンバーの紹介を挟んだりと、ライブへと盛り上がりを加速させる。

 

オメカシ・フィーバー

オメカシ・フィーバー

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星名美怜は指揮者の真似をして、柏木ひなたはホイッスルを鳴らし、真山りかは紙吹雪を撒き散らしたりと、バンドメンバーの紹介方法も自由奔放。

 

中山莉子は「5階席!オメカシしてるー!?盛り上がっていこうぜー!」と独特な煽りで盛り上げる。これこそキングオブ学芸会だと実感。

 

『HOT UP!!!』では大きなクラップの音が会場に響き渡る。疾走感あるロックサウンドを鳴らすバンドと、それに負けない力強い歌声のエビ中。

 

HOT UP!!!

HOT UP!!!

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「足りない!もっと盛り上がれ!」と叫ぶ柏木ひなた。「最後まで楽しんで!」と煽る星名美怜。全員が腕をあげたりペンライトを掲げたりと盛り上がる客席。この日1番の盛り上がりだ。

 

明るかった照明が暗くなり、次の曲が始まる。今のエビ中にとっての勝負曲である『ジャンプ』だ。

 

ジャンプ

ジャンプ

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エモーショナルなメンバーの歌声と、それを支えるように重低音を響かせるバンドサウンド。

 

最後のサビでは緑色のレーザー照明が客席に向かって真っ直ぐ伸びていた。ステージに立っているのは5人でも、6人の魂を感じるような名演である。

 

思い通りに行かない人も、悩んでいるひとや苦しんでいる人もいると思います。そんな全ての人に、この曲が届きますように

 

ここまで冗談やふざけたことばかりMCで話していた。でも最後の柏木ひなたのMCはゆっくりと言葉を選びながら、真剣に語りかけるように話していた。

 

今年は世の中が大きく変わってしまった。エビ中にとっても悔しい経験や、悲しくて不安になる出来事もあった。

 

この言葉はファンに向けてだけでなく、メンバーが自身に言い聞かせている言葉かもしれない。

 

最後にパフォーマンスされたのは『スーパーヒーロー』。エビ中がここぞという時に披露することが多い楽曲。

 

スーパーヒーロー

スーパーヒーロー

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僕らスーパーヒーロー
眉しかめてうつむくキミの 手を握って そばに居させて
離れても 見つめているから
そうだ キミもスーパーヒーロー これ以上の悲しみはないよ
胸の中のアクセルを ゆっくりと踏み出してみるんだ

(私立恵比寿中学 / スーパーヒーロー)

 

この曲はなんでもできるスーパーヒーローについて歌っているわけではない。誰でも悩んだり苦しんだりして生きていることを歌っている。それはスーパーヒーローと思われる人も含めて。

 

そして誰もがスーパーヒーローだと、背中を押して力をくれる曲だ。

 

このタイミングでエビ中が歌うことで、この日も力を貰った人がたくさんいるはずだ。

 

歌い終わるとバンドメンバーを改めて紹介したりファンに手を振って挨拶したりと、アイドルとして最高の笑顔をしながらステージを去っていった。

 

興奮したり感動したり、笑ったり泣きそうになったり、感情が2時間弱の間で何度も揺れ動かされる。でも最後は多幸感に満ちた気持ちにさせてくれる。

 

それが私立恵比寿中学の魅力の1つに思う。

 

ライブ中にコロナ禍であることに直接触れることは無かった。病気で療養中の安本彩花についても触れなかった。

 

きっと、あえて触れなかったのだと思う。

 

今までと同じようにアイドルとして、楽しくて多幸感に満ちたライブをやることを最優先にしたのだろう。

 

それに言葉にしなくても彼女たちの歌声やパフォーマンスから、しっかり想いは伝わる。緑や青の照明や映像を使ってったりと、演出にも想いは込められている。

 

エビ中のライブはいつだって、がむしゃらに愛を込めて音楽を鳴らしているのだ。

 

【バンドメンバー】
Arrangement / 音楽監督:橋本しん(Sin)
Keyboard:鈴木栄奈
Bass:高原未奈
Drums:MIZUKI
Guitar:YASHIRO
Guitar:瀬川千鶴
Saxophone:中村有里
Trumpet:山崎千裕
Trumpet:レイチェル
Trombone:石橋采佳
1st Violin:島田光理
2nd Violin:加藤かな子
Viola:筒田咲紀
Cello:大浦萌

 

私立恵比寿中学 バンドのみんなと大学芸会2020 エビ中とニューガムラッド@東京ガーデンシアター 2020,.12.26
■セットリスト

 

 0.ebiture
 1.Family Complex
 2.制服”報連相”ファンク
 3.ラブリースマイリーベイビー
 4.ハイタテキ!
 5.売れたいエモーション!
 6.SHAKE!SHAKE!
 7.EBINOMICS
 8.I'll be here
 9.あたしきっと無限ルーパー
10.使ってポートフォリオ
11.曇天
12.愛のレンタル
13.自由へ道連れ
14.PLAYBACK

転換&バンドによるインストセッション (Lon de Don→紅の詩→なないろ)

15.幸せの貼り紙はいつも背中に
16.大人はわかってくれない w/たむらぱん
17.感情電車w/たむらぱん
18.イエローライト(新曲)w/たむらぱん
19.仮契約のシンデレラ
20.YELL
21.オメカシ・フィーバー
22.HOT UP!!!
23.ジャンプ
24.スーパーヒーロー

 

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