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【ライブレポ・セットリスト】Cody・Lee(李) SUPER GALAXY TOUR at Zepp Shinjuku 2025年9月23日(水・祝)

ライブが終わった後に真っ先に感じたことがある。それはCody・Lee(李)はさらなる高みを目指すため、新しいライブの形を模索し始めているのではということだ。より音楽に集中させるライブというか、音楽をしっかり聴かせることを重視したライブというか。


そんなことをバンド史上過去最大規模の日比谷野外大音楽堂での公演を成功させた後の全国ツアー『 Cody・Lee(李) SUPER GALAXY TOUR』のセットリストやライブの構成から感じた。

 

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開演時間をすぎ、幻想的な音楽が流れる中、会場の明かりが落とされる。すると天井からフロアの下方に吊り下げられていた丸いライトが美しく点灯した。ツアータイトルに含まれる言葉“GALAXY”を表現しているかのような、宇宙空間をイメージした演出だろうか。Zepp規模だかこそできる幻想的な演出だ。

 

そんな演出により空気が出来上がった会場に登場したメンバー。いつも通りにサポートコーラスの東風あんなとサポートキーボードの中野郁哉を含めた布陣である。

 

1曲目は最新EP『SILVER』収録曲の『月面接吻』。どっしりと構えるかのような安定した演奏でしっかりと曲を聴かせる。アウトロの演奏の迫力は確実に音源を超えていた。

 

美しいピアノの旋律をバックに高橋響が「SUPER GALAXY TOUR、お越しいただきありがとうございます」と丁寧に挨拶をしてから始まったのは『トゥートルズ』。音源よりもピアノの音が映えるサウンドになっていて心地よい。メンバーを照らすスポットライトの色は紫や赤や緑とカラフルで美しく、天井から吊るされた丸い電球も同じように輝いていて美しい。

 

『異星人と熱帯夜』では高橋と東風の歌声の重なりが美しく聴き入ってしまう。東風は綺麗な声質だがライブだと声量が少し小さく感じることが以前はあったが、この日のライブは真っ直ぐと声が突き抜けさせていた。サポートと言えども彼女がバンドにとってさらに重要な存在になったことを感じたし、彼女自身の成長や進化も感じた。

 

ここまでゆったりとした曲でしっかりと音楽を聴かせていたが、次に演奏されたのは代表曲の『我爱你』。疾走感ある演奏と高橋が「東京!」とサビ前に煽る声によって、観客のボルテージは一気に最高潮に。序盤の3曲を大人しく聴いていた観客も踊っている。天井から吊るされた丸い電球も上下に動きながら光ったりと演出でも盛り上げる。

 

この曲は普段のライブでは後半に演奏し、盛り上げる展開にすることが多い。序盤に早々と披露するとは、かなり珍しいセットリストだ。

 

「Cody・Lee(李)です。2ヶ月ぶりのライブ、最後まで楽しんでください」と高橋が簡単に挨拶して、すぐに演奏に戻る。普段のCody・Lee(李)はMCが長くなりがちなので珍しい。

 

演奏は『chérie』から再開。まったりとした演奏でオシャレなピアノの音色が印象的だ。観客も心地よさそうに聴いている。

 

そこから続く『冷やしネギ蕎麦』では高橋がハンドマイクになり、じわじわと盛り上げていく。観客は自然と手拍子したりと楽しそうだ。

 

疾走感ある『ほんの気持ちですが!』ではサポートの2人が観客の手拍子を煽り、一気に熱量あるパフォーマンスで魅せる。ギターソロは音源よりも、前回観た時のライブよりも、さらに情熱的な演奏に感じた。

 

インタールードかのようなライブオリジナルのピアノのイントロから始まった『ストロベリーエンジェル ~Don't Say Goodbye~』のシティポップを感じるオシャレな演奏もよい。ここまでのセットリストから感じるに、今回のライブは様々なタイプの曲をやりつつも、軸は音楽をしっかり聴かせることを重視しているように感じる。

 

観客に集中して音楽に浸って欲しいからか、今までのCody・Lee(李)からは想像できないほどにMCが短く簡潔だ。

 

「今日は2ヶ月ぶりのライブです。暇な夏でした......」と高橋が自虐的に一言だけ話し「暇な夏に出ためっちゃ良い曲やりまーす」と言ってから最新EPから『未知』を続ける。音源よりもビートが力強く身体に響く。ギターを背中に回してハンドマイクでラップをする高橋の姿も印象的だ。

 

「オンベース!ニシマケイ!」と高橋が言ってニシマのベースから『ダンス扁桃体』が始まると、観客のボルテージは一気に最高潮に。この曲の演奏は衝動的で、それによってテンションが上がった観客は自由に踊りまくっていた。

 

さらに雪崩込むように『悶々』を続ける。今回のライブは落ち着いていてしっかり聴かせる方向性かと思い込んでいたが、衝動的なロックで心も熱くさせてくれる。それはCody・Lee(李)の音楽性がバラエティ豊かであることの証明でもある。アウトロでメンバーのソロ回しを取り入れるアレンジになっていたことも最高だ。

 

「久しぶりのライブですが元気にしてましたから?久々でメンバーの名前を忘れてると思うのでメンバー紹介します」という高橋の皮肉ともユーモアともとれる発言からメンバー紹介が簡単にされた。

 

ニシマ「初めてライブに来た人は喋らず曲を立て続けにやる硬派なバンドだと思ったかもしれないけど、最近MCが長いから反省して短くしてます」

高橋「硬派なバンドではなく反省中のバンドだと思ってください」

 

反省は生かされているようで、この日のライブは素晴らしい内容になっている。

 

ライブも後半。今までのワンマンならばここから盛り上げる展開になることが多かったが、今回は違う。『夜の東京』でほ薄暗い照明の中、スポットライトを浴びながらピアノに合わせ高橋が歌い、サビで壮大になる演奏で観客を楽曲の世界に浸らせる。

 

続く『honest』も壮大で迫力がある。メンバーの熱の込め方も凄まじく、高橋は時折声が裏返りそうになっていた。だがそれほどまでに熱を込めていることが伝わってくるからグッとくる。

 

『drizzle』の幻想的な音と空気も素晴らしい。やはりCody・Lee(李)は派手に盛り上げるのではなく、しっかりと音楽を届けて、しっかりと音楽に惹かれたファンを作ろうとしているのではと思う。

 

ラストは『ダンスする惑星』。最新EPのリード曲だ。明るいカラフルな照明の中、心地よくポップな音色を鳴らすメンバー。最後のサビ前の大合唱と盛大な手拍子は多幸感に満ちていた。

 

ハッピーな空気で本編を締めた後のアンコールはグッズ紹介から始まった。いつもは寸劇が入ったりと長い時間をかけて紹介することが多かったが、今回は簡潔に短時間で紹介していた。前回のツアーでオネエキャラでグッズ紹介をしたところ、評判がすこぶる悪かったらしい。やはり今のCody・Lee(李)は反省中のバンドなのだろう。

 

久々のライブだと、行くのが面倒になって行くのを止めようか悩んだ人もいると思います。めげずに来てくれてありがとうございます。

 

僕も友達との約束を面倒になって前日にドタキャンしたことが2000回ぐらいあるので、皆さんの気持ちは痛いほどわかります(笑)

 

ネトフリで観たいアニメがある中、貴重な2時間をCody・Lee(李)のために頂きありがとうございました。

 

ユーモアと毒を含みつつも、確実にこの場に来た観客に寄り添う言葉を丁寧に残す高橋。美しいピアノの旋律から始まったアンコール1曲目の『Ghost』も丁寧に語りかけるように歌う。

 

この楽曲は台湾のシンガー洪佩瑜がゲストボーカルとして参加しているが、今回の日本のライブには流石に参加できない。そこで東風が代わりに歌っていたのだが、これも素晴らしかった。洪佩瑜とは違った味付けを楽曲に加えて、ライブならではの魅力を加えてくれた。

 

飽きずにCody・Lee(李)を聴いてくれてありがとうございます!

 

これからツアー回ってきます!これからもよろしくお願いします!

 

高橋が明るく最後の挨拶を告げて、ギターをかるく爪弾いてから演奏されたラストソングは『イエロー』。爽やかで疾走感ある演奏で観客を最後にしっかり盛り上げる。

 

だがロックバンドだからこその熱さも忘れていない。アウトロで高橋が「ここで全部出し切る!」と宣言のように叫ぶと、バンドは身体全体で演奏しているかのように、音も動きも激しくなった。音源よりも長く感情的な演奏に鳥肌が立つ。本当に全てを出し切ろうとしているかのように見えて。

 

ラストが『When I was cityboy』で終わらないワンマンライブは珍しい。ライブ時間が約1時間45分で2時間を切ることも珍しい。MCが少なく曲を矢継ぎ早に続けて行く構成も珍しい。

 

思い返すと「珍しい」ことが目白押しのワンマンだった。時間は短かったもののそれはMCが削られたからであって、曲数は17曲と普段とほとんど変わらない曲数だし、内容への満足度も高い。新しいライブの見せ方を意識していて、より良いバンドになるための試行錯誤をしているのだとしたら、それは成功しているのではないだろうか。

 

高橋は最近、SNSでツアーチケットの売れ行きの悪さについてや人気の減退について言及していた。たしかにZepp Shinjukuも全体的に埋まってはいたものの、客が鮨詰め状態の満員というわけでなかった。

 

しかし今のCody・Lee(李)の演奏やパフォーマンスは絶好調だ。今のCody・Lee(李)こそライブを観るべきに思う。

 

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◾️ Cody・Lee(李) SUPER GALAXY TOUR at Zepp Shinjuku 2025年9月23日(水・祝)セットリスト
1.月面接吻

2.トゥートルズ

3.異星人と熱帯夜

4.我爱你

5. chérie

6.冷やしネギ蕎麦

7.ほんの気持ちですが!

8. ストロベリーエンジェル ~Don't Say Goodbye~

9.未知

10.ダンス扁桃体

11.悶々

12.夜の東京

13.honest

14.drizzle

15.ダンスする惑星

 

アンコール
16.Ghost

17.イエロー