オトニッチ-音楽の情報.com-

ニッチな音楽情報と捻くれて共感されない音楽コラムと音楽エッセイ

赤い公園のFUYU TOUR 2019 Yo-Hoのセットリストには特別な意味があるように思える 〜ライブレポート・感想・セットリスト 〜

確信した瞬間

 

メンバーがステージに登場すれば客も歓声や拍手で迎え入れる。ライブの始まりはテンションが上がる。自然と盛り上がる。

 

f:id:houroukamome121:20191208002151j:image

 

メンバーが立ち位置につく。そして、ゆっくりと演奏を始める。CDとは違うアレンジだ。ボーカルも前任の佐藤千明の曲。

 

勇敢なこども

勇敢なこども

  • 赤い公園
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

1曲目は『勇敢なこども』。石野理子は佐藤千明とも違う自分の表現方法で歌っているように思えた。その表現に合わせるようにバンドの演奏も音源よりもゆっくりと落ち着いた演奏に聴こえた。

 

『熱唱サマー』というアルバムの最後に収録されていた曲。佐藤千明のボーカルとしては最後のアルバムに収録されていた曲。

 

歓声を上げたり拍手をしていた客は曲が始まると静かに聴き入る。思わず聴き入ってしまう。1曲目から圧倒させられたのだ。石野理子の佐藤千明とは違う表現方法とバンドの演奏の進化に。

 

過去のボーカリストと今のボーカリストを比べてどちらが優れてるかという話ではない。

 

佐藤千明の魅力を石野理子は持っていない。その代わり違う魅力を石野理子が持っている。それによってバンド自体が新しい方向に変化や進化している。それが刺激的だったのだ。

 

1曲目が終わり2曲目のイントロが流れる。その瞬間空気が変わる。

 

ギターの津野米咲とベースの藤本ひかりがステージ前方へ出てきて客を煽る。石野理子が腕を上げて叫ぶ。

 

「赤い公園です!」

 

11月10日のEXシアター六本木。赤い公園の新作『消えないEP』を引っ提げだツアー。石野理子の最初の挨拶を聞いて今日のライブが素晴らしいものになると確信した。

 

バトンタッチに思えた

 

このツアーでで佐藤千明から石野理子へのバトンタッチが完了するのだと思った。 

 

前半は以前から赤い公園のライブ定番曲や代表曲を連発した。『KOIKI』『NOW ON AIR』『絶対的な関係』。この3曲を詰め込んできた。そのどれもが素晴らしい演奏とパフォーマンスだった。

 

絶対的な関係

絶対的な関係

  • 赤い公園
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

特に『絶対的な関係』のパフォーマンスには圧倒された。

 

石野理子はこれほど感情的に歌うボーカリストだったのかと驚いた。加入当初は前ボーカリストの佐藤千明と比べると歌唱力はまだまだにも思えた石野理子。しかし今はバンドのフロントマンとして歌唱力と表現力でバンドを引っ張っている。それだけの成長をしている。

 

新体制になった直後の演奏は不安定だった。ボーカルが変わったばかりの頃なので仕方がないにもしれない。ボーカルは特に重要ポジション。そこが入れ替わることは新人バンと変わらない1からのスタートのようなもの。

 

それがライブを重ねることで演奏の一体感も増し、過去の曲も「今の赤い公園」として表現し演奏している。

 

今のライブを観て過去と比べる必要はないのだと思った。過去と比べて優劣を決める必要はないと確信した。

 

佐藤千明時代の曲もしっかりと歌い継ぎ、今の赤い公園として表現している。それは別物でもあり続きでもあるような不思議な感覚。

 

過去も大切なものとして受け入れた上で今の赤い公園を表現している。それが佐藤千明から石野理子へのボーカリストのバトンタッチに思えた。

 

『絶対的な関係』で盛り上がりを最高潮に持っていった次の曲は『ジャンキー』。

 

まだ音源化されていない楽曲。過去の赤い公園の魅力も感じるロックナンバー。新曲でも盛り上がりを持続させていた。

 

石野理子はバンドのフロントマンとして素晴らしいパフォーマンスを観せていた。この時がしっかりとバトンタッチされた瞬間に思えた。

 

新曲で勝負する赤い公園

 

「今日は即位のパレードが行われていて、そういう日にこの歌を歌えることを運命的に思います」

 

この日は11月10日。天皇即位パレードが行われた日。このMCの後に歌われた曲は『HEISEI』。新体制で初めてリリースされたEPに収録されていた曲。

 

HEISEI

HEISEI

  • 赤い公園
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

アップテンポの曲が続いた前半。この曲はミドルテンポで雰囲気も違う。盛り上げるというよりも心に突き刺すような演奏と歌声。

 

片道切符で僕ら未来へ行こう

see you Goodbye, loved HEISEI

思い出の日々は君にたくした

 

『HEISEI』のサビの歌詞。この曲の後のセットリストは前半とは違う方向性に思えた。ここから先は赤い公園が片道切符で未来へ行くようなセットリスト。

 

未発表の新曲を次々と披露していったのだ。

 

その新曲は方向性も様々。バンドの音作りもリズムも曲ごとに違う。過去の赤い公園にはなかったタイプの曲もあるし、今までの延長線に感じる曲もある。音楽性の幅がさらに広がっているように思えた。

 

誰も知らない新曲が続くとライブは中だるみしがちだが、全くそんなことはなかった。良い曲ばかりなのだ。今の赤い公園が良い状態であることを感じる。新曲でもフロアにしっかりと赤い公園の音楽が届いている。

 

バンドはまだまだ進化している。新しい音楽をどんどん創り出している。それに未来を感じてワクワクする。

 

中盤に披露された曲は新曲だけではない。『黄色い花』や『ランドリー』など過去の曲も演奏された。

 

黄色い花

黄色い花

  • 赤い公園
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

 新曲で勝負をしつつも合間に挟むように過去の曲も披露していた。現体制での新しい解釈で。演奏された過去曲はどれも人気曲。新曲と自然に比較してしまうような曲順の並び。

 

自分も自然と比較してしまった。新曲も過去の名曲と遜色がないように思えた。むしろ新しい解釈で表現される過去の曲が新曲のように新鮮に感じた。

 

赤い公園は片道切符で未来に行こうとしている。その覚悟と凄みがある。自分もついていきたいと思った。

 

今の赤い公園が最強である理由

 

後半戦。『カメレオン』が演奏され空気がまた変わる。旧体制最後のアルバム『熱唱サマー』の1曲目。音源では佐藤千明の力強い歌声が魅力的だった。

 

カメレオン

カメレオン

  • 赤い公園
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

 石野理子も力強く歌っていた。ステージを動き回り歌っていた。

 

中盤は落ち着いた曲と新曲が中心でフロアもじっくりと聴くような雰囲気。それが一瞬でぶち壊され後半戦が始まった。序盤のライブ定番曲を連発した時よりも盛り上がっている。

 

しかし盛り上がりのピークはここではなかった。ピークは次の『凛々爛々』と『消えない』だ。

 

凛々爛々

凛々爛々

  • 赤い公園
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

 ドラムのシンバルによるカウントが鳴った瞬間、歓声が湧き上がる。その後ギターとベースの音が混ざりあう。その音の迫力に鳥肌が立つ。

 

『凛々爛々』は新曲にして重要なキラーチューンになっていた。それをバンド自身も理解していたのだと思う。だから後半の重要な位置にこの曲を配置したのだ。

 

「ギター津野米咲、ベース藤本ひかり、ドラム歌川菜穂、ボーカルはわたし石野理子、赤い公園です!」

 

曲の途中でメンバー紹介をした石野理子。自信に溢れ堂々と紹介し「赤い公園です!」と叫んでいた。

 

その叫びが胸に突き刺さった。

 

その時のバンドの姿は新体制になったばかりの不安定な演奏とは違い力強く、石野理子の立ち振る舞いも歌声もバンドを引っ張っていく意志を感じた。

 

次に演奏された曲は『消えない』。『凛々爛々』からなだれ込むようにロックバンドの演奏と歌をフロアに叩きつける。

 

消えない

消えない

  • 赤い公園
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

なのに消えない

消えそうで消えない 

こんなところで消えない

消さない

 

『消えない』の歌詞はCDよりもずっと説得力が強かった。

 

これだけ素晴らしいライブをやっているバンドがこんなところで消えるわけもないと思った。ライブを観た人や曲を聴いた人の心にずっと消えないようなインパクトを残す演奏だと思った。

 

今回のツアーはセットリストを変えていない。そのセットリストにも特別な意味があるように思う。

 

旧体制でのライブ定番曲や人気曲を現体制で披露した前半。佐藤千明から石野理子へボーカルのバトンタッチをしたことを改めて表現しているようだった。

 

未音源の新曲が中心で過去のミドルテンポの名曲を挟んでいた中盤。そこでは未来の赤い公園の姿を見せ、過去の曲と遜色ない新曲を創っていることを伝えているように思えた。

 

後半では『カメレオン』にも負けない『凛々爛々』『消えない』のキラーチューンがあることを証明し、今の赤い公園の凄みを見せつけているようだった。

 

FUYU TOUR 2019 “Yo-Ho”のセットリストにはこの3つを伝える意図があるように思えた。

 

今の赤い公園はカッコイイということを伝え、未来の赤い公園はもっと凄いことになるという宣言をするためのセットリストに思った。

 

赤い公園は新体制になってから何度もライブを行っている。ツアーも行っていた。

 

しかし今回は新体制になってから初の音源を引っ提げての全国ツアー。本格的な再スタートを切ったのはこのツアーからかもしれない。

 

素晴らしいライブだった。それでもまだ完成系とも思えない。まだ進化も変化もする予感がする。今回披露された新曲がアルバムとしてまとまった時、物凄い作品が生まれる気がする。

 

赤い公園はきっと消えることはない。自ら消すこともない。そして赤い公園の音楽を聴いて胸に残った衝撃や感動も消えない。

 

まだ赤い公園を知らない人、かつての赤い公園が好きで離れてしまった人、そのような人にも聴いてもらいたい。機会があればライブも観て欲しい。

 

片道切符で未来に行く赤い公園と一緒に、自分も未来に行きたいと思ってしまうような素晴らしい音楽を奏でてくれるから。

 

 セットリスト

1.勇敢なこども

2.KOIKI

3.NOW ON AIR

4.絶対的な関係

5.ジャンキー(新曲)

6.HEISEI

7.BEAUTIFUL(新曲)

8.新曲

9.いちご

10.夜の公園(新曲)

11.黄色い花

12.ランドリー

13.ショートホープ

14.未来(新曲)

15.Highway Cabriolet

16.Yo-Ho

17.新曲

18.新曲

19.カメレオン

20.凛々爛々

21.消えない

 

↓関連記事↓