2023-11-23 【ライブレポ・セットリスト】櫻坂46三期生『新参者 LIVE』 at THEATER MILANO-Za 2023年11月6日(月) 櫻坂46 ライブのレポート 坂道グループが1ヶ月間同じ会場を貸し切って、各グループが順番に連日ライブを行う。しかも会場はキャパ900人のTHEATER MILANO-Za。ドームやスタジアムでライブを行ったり、全国ツアーでアリーナを埋められるグループとしては、かなり小さな規模の公演だ。 とはいえライブタイトルに『新参者』と名付けられているように、加入したばかりの新人メンバーが出演する公演ではある。経験を重ねて実力のある先輩メンバーや、センターを何度も務めたグループの顔となるメンバーは出演しない。 そのためキャリアや実力を考えたら、2時間のワンマンで観客を最大限に楽しませることを考えると、適正なキャパなのかもしれない。そもそも1ヶ月の間に1グループ10公演ずつ行う。武者修行的な意味もある公演なのだろう。 自分は櫻坂46三期生の『新参者』初日へ行くことができた。加入からまだ1年も経っていない三期生だけで、初めて約2時間のワンマンライブを行った日だ。 そんなライブだからメンバーも緊張しているのだろう。開演前に注意事項のアナウンスを、小田倉麗奈と的野美青と向井純葉の3人が行っていたが、原稿を読んでもかみまくっていたし声も強ばっていた。だが緊張するほどに気合いがあるとも言える。 開演時間を過ぎ『Overture』が流れると、盛大な手拍子と歓声でメンバーを迎え入れようとする観客。ステージセットはシンプルだ。中央にグループのロゴが書かれたセットが置かれているだけ。今回は演出を最小限にして、パフォーマンスで魅せるライブにしたいのだろう。 ロゴが書かれたセットの下から登場するメンバー。やはり緊張した面持ちではある。だがパフォーマンスが始まるとスイッチが入ったのか、みんなが笑顔になり「これがプロのアイドルか」と感じるようなオーラが放たれた。 1曲目は『夏の近道』。衣装も『夏の近道』のMVと同じ物を着ている。谷口愛季がセンターに立ってパフォーマンスし、間奏では谷口が「せーの!」と言って観客のコールを煽ったりと、先程までの緊張した様子が嘘のように堂々としていた。 中村優月がセンターを務める『Anthem time』と三期生曲が続く。ポップで明るいパフォーマンスで盛り上がる姿は、新参者とは思えないほどにアイドルとしてキラキラしている。きっと相当なレッスンをして、このレベルにまで達したのだろう。 だが大勢の人前で話すことには慣れていないようで、MCではメンバー全員が初々しい。小島凪紗は「最初は心臓の音がみなさんに聞こえるんじゃないかってぐらいドキドキしてた」と話す。だが的野美青にお尻を叩いてもらったらリラックスできたという。赤ちゃんをあやす時と同じことを的野にされたようだ。 こここらは先輩メンバーが歌い継いで来た楽曲も、三期生だけで披露されていく。まずは『思ったよりも寂しくない』。今回は的野がセンターに立っていた。全員で寸劇のような可愛らしいパフォーマンスをしていたのが印象的だ。観客もペンライトをオレンジ色にしてライブを盛り立てる。 「もっと声を聞きたいよ!1階席!2階席!3階席!三期生はBuddiesに負けずに声出せ!」と山下瞳月が叫ぶように煽り『それが愛なのね』が続く。彼女の気合いが入った叫びに応えるように、観客も全力でコールをしていた。 かと思えば次の曲では小鳥の囀りと目覚まし時計の音から始まる、穏やかなサウンドの楽曲『君と僕と洗濯物』。メンバーが寝転んだりスマホをいじったりする日常生活をイメージした寸劇を交えたダンスが魅力的だ。センターに立つ向井純葉は寸劇の主人公のような立ち振る舞いで、楽曲を鮮やかに彩っていた。 クールなダンストラックを挟み披露されたのは『偶然の答え』。今度はダンストラックと同様にクールなパフォーマンスで観客を魅了する。センターに立ったのは谷口愛季。千利休も過呼吸になるほどに、パフォーマンスを引っ張る彼女の姿はクールだ。 『ブルームーンキス』の村井優はアイドルらしさが溢れていて最高だった。「あ、キスしちゃった」というセリフパートを、ぶりっこな感じでキュートに言う。最高だった。最高だった。最高だった。 元々は二期生の森田ひかるのセンター曲で森田が担当していたセリフではある。村井はそれを凌ぐぶりっこな表現をしていた。最高だった。最高だった。最高だった。 自分がライブ前半のハイライトに思ったのは『桜月』だ。桜色の照明の中で華麗に踊るメンバーの姿が美しくて見入ってしまった。特にセンターの小田倉麗奈が落ちサビでスポットライトを浴びながら、中心で舞うようにパフォーマンスする姿は息を呑むほどに素晴らしく思う。 MCでは「これほど多くの曲数をやる長いライブを三期生だけでやることも初めてだったし、みなさんと直接お会いできるのもまだ数えるほどだったので、このような機会があって嬉しい」とはにかみながら話す石森瑠花。観客の熱気にも驚いているようで遠藤理子は「イヤモニを通り越して声援が聞こえてくる!」と嬉しそうに話していた。 中嶋と小島がメンバーの名前を使ったコールアンドレスポンスを観客と行い会場を温め、ここからライブも中盤に入る。 『W-KEYAKI FES. 2021』の衣装に着替えたメンバーがダンストラックを踊り、そこから『Nobody's fault』が続く。センターに立ったのは村井。『ブルームーンキス』でセンターを務めた時はキュートな表現だったのに、今度は何かが憑依したかのようなクールな表現で圧倒させた。 そこから『なぜ恋をして来なかったのだろう』へと雪崩れ込み、一気に盛り上げていく。センターの的野に他のメンバーが細い糸を巻き付けて踊る斬新なパフォーマンスも、しっかりと先輩から引き継いで行っていた。 村井センターの『半信半疑』へと雪崩れ込み、さらに激しいパフォーマンスをするメンバー。この熱さや勢いは先輩にも負けていない。 だがMCになると初々しさが目立つ。言葉に詰まりながらも「ブルームーンキスでみんなの歓声が聞こえて嬉しかった」と照れながらセンターに立った感想を話す村井。あれはとても可愛らしく素晴らしかったので、観客から再び彼女を称賛するかのような歓声が巻き起こっていた。 山下は「『それが愛なのね』のわたしの煽り、しっかり届きましたか?人生で一番ぐらいに大きな声を出しました」と、こちらも照れながらセンターを務めた楽曲の感想を話す。 向井も自身がセンターに立った『君と僕と洗濯物』に言及していたが「リハでメンバーに似合ってて可愛い言われるのが、いじられてるのかと思った」とメンバーにクレームを入れていた。本当に似合っていたので、メンバーもいじりではなく本心なはずだ。向井には自信を持って欲しい。 ライブも後半。パフォーマンスが再開すると、MCでの和やかな空気は一転した。次に披露された『静寂と暴力』が、あまりにも衝撃だったからだ。 MVのイメージに近い白い照明が薄暗いステージを照らし、その中をメンバーが舞う。特にセンターの山下は凄まじい存在感を放っていた。髪で顔が全て隠れたとしても気にせず、直向きに曲と向き合い入り込んだようなパフォーマンスをしている。それはアイドルというよりも表現者として圧倒的だった。 〈思考を停止させる 静寂は暴力だ〉というセリフを山下が言うと、そこから曲間なしで村井センターの『Dead end』へと雪崩れ込む。終盤に向けてさらに勢いを加速されるつもりのようだ。さらに『BAN』を続ける流れもアツい。「まだ体力が余ってたの?」と思ってしまうほどに、激しくパフォーマンスをするメンバー。今回のライブは派手な演出はないので、その分だけパフォーマンスで圧倒させようとしているのだろう。 先輩が守ってきてくれた、櫻坂46の歴史があります。今度は私たちが守る番です。 この場所で11人がしっかりと根を貼って、桜の木を守ることを誓います。 激しいパフォーマンスが続いたからか。小島が息を切らせながら話をしていた。それでもしっかりと伝えようと、まっすぐな目で感情を込めながら強く宣言するように話している。それを観客は物音を立てずに静かに見守っていた。 最後に披露されたのは『マモリビト』。今度は丁寧繊細なパフォーマンスだ。それはパフォーマンスによって11人の決意表明をしているようにも見える。 熱いパフォーマンスをやり切ったメンバー。盛大な拍手の中ステージを後にしていったが、すぐに客席からアンコールを求める拍手とコールが響く。 グッズのTシャツを纏ったメンバーが再登場するとグループにとって重要で大切な想いが込められた楽曲『Buddies』を、中嶋をセンターにして披露された。 こちらも繊細な表現のパフォーマンスだ。でも最後のサビの前に「バディーズ!大好き!」とファンに向かってメンバーが声を揃えて叫ぶ姿は、無邪気で可愛らしい。 改めて今回のライブの感想を、メンバーが順番に話していく。石森は「初めてMCを任されて緊張もしたけど、皆さんの顔を見たら緊張がほぐれた」とファンへの感謝を伝え、村井は「後ろのお客さんまで顔が見える近い距離で楽しさを共有できて楽しかった。これを機に三期生のことをもっと好きになってくれたら嬉しい」と言って笑顔を見せる。 そんな中、小田倉だけは悔しそうに涙を流していた。彼女は腰を痛めてしまったため、参加できない曲が複数あった。それが悔しかったのだろう。それでも「悔しいけれど、ひとつの目標に向かって11人で頑張れることは嬉しい」と語る。客席からは温かな拍手が響いていた。 「みなさん、ペンライトをさくらピンクにしてください。これからも満開の桜を届けられますように」と挨拶してから『櫻坂の詩』が披露された。これが今回のライブの最後の曲だ。 この楽曲はグループ全体のワンマンライブでも、最後に歌われることが多い。大切に歌い継がれてきた曲のひとつだ。これからは新参者の三期生も一緒に歌い継いで行くのだろう。 温かな観客の拍手と真っ直ぐな三期生のパフォーマンスにより、感動的な空気に包まれる会場。メンバーは穏やかな笑顔をしている。それはライブをやり切った安堵感と達成感によるものだろうか。 まだ未完成なパフォーマンスに感じる場面もあったし、クオリティの高さよりも初々しい姿に惹き付けられる場面の方が多かった。だが全員がダイヤモンドの原石だと確信できるライブで、未来への希望を感じる内容でもあった。 11月から12月までの1ヶ月間、櫻坂46三期のワンマンライブが10公演行われる。これを全て終えた時、11人はさらにマモリビトとして相応しい素晴らしいアイドルになるはずだ。 ■櫻坂46三期生『新参者 LIVE』 at THEATER MILANO-Za 2023年11月6日(月) セットリスト 01.夏の近道 02.Anthem time 03.思ったよりも寂しくない04.それが愛なのね05.君と僕と洗濯物06.偶然の答え07.ブルームーンキス08.桜月09.Nobody's fault10.なぜ恋をして来なかったのだろう11.半信半疑12.静寂の暴力 13.Dead end14.BAN15.マモリビト アンコール17.Buddies18.櫻坂の詩 【Amazon.co.jp限定】承認欲求 (TYPE-D) (メガジャケ付) アーティスト:櫻坂46 ソニー・ミュージックレーベルズ Amazon