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【イベントレポ】VIVA LA ROCK 2022 中夜祭!! at さいたまスーパーアリーナ 2022年5月2日(月)

それにしてもこの日の鹿野淳はよく喋る。綾小路きみまろかと思うほどに話が止まらない。

 

きっとビバラが無事に開催できていることが嬉しいのだろう。そんな気持ちが彼の話ぶりや表情から溢れていた。それを観客も感じとったから、彼の話を温かな気持ちで受け入れている。

 

トーク内容はどんどん拡がっていき、ついには「ネットカフェは旅館業じゃないんで、朝まで休めるとか夜通し遊べると表現しているんですよ!泊まれると言っちゃったら旅館と同じ設備を作る必要が出てきてしまうので、絶対に宿泊と言わないようにしています。裏技みたいなものですね」と、音楽業界やフェス運営とは無関係な豆知識まで披露していた。

 

5月2日。ゴールデンウィーク期間に挟まれた平日なので、この日はビバラロックもお休みである。

 

しかし何もしないことは勿体ないということで、『中夜祭』として、夕方から特別なイベントが開催された。

 

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四星球がどのようにリハーサルを行なっているのかを解説付きで観れて、片平実と石毛&ノブのDJもしくは会場のさいたまスーパーアリーナ内部のガイドツアーに参加できるというイベント内容だ。しかも無料。太っ腹である。

 

自分は四星球のリハーサルと、たまアリのガイドツアーに参加した。

 

 

四星球の「HOW TO リハ」

 

最初に行われたのは四星球の『HOW TO リハ』。客席アリーナ前方に観客が集められ、そこで機材の搬入から音作り、リハーサルを観れるという内容だ。

 

鹿野淳は注意事項を説明するために出てきたはずだが、関係ない話を交えてしまったため長尺のトークになってしまったようだ。最大3万5千人入る会場で気持ちよさそうに1人で喋り続けている姿は、もはや『鹿野淳 トークライブ in さいたまスーパーアリーナ』である。

 

10分ほど話し終えたところで、今回リハーサルを行う四星球のボーカル北島康雄が登場した。

 

北島「1人でどれだけ喋るんですか?さいたまスーパーアリーナでこんな長時間1人で喋ったのは岡崎体育以来ですよ!」

鹿野「昔ビバラの前説で3分押しちゃったことがあるんですよ/////」

北島「今日は3分どころじゃないですよ!」

鹿野「四星球は今日徳島から来てもらったばかりなんだよね」

北島「本番の前日入りして今日はイベントに参加してるのに、楽屋の広さが来てないDragonAshの5分の1しかなかったんですけど?」

 

楽しそうに会話する2人。なかなかイベント本編が始まらない。観客は「これは既に時間が押してるな」と悟る。

 

ようやく本編が始まろうとする頃には20分ほどは経っていたと思う。かなり時間が押している。ここからライブの裏側の解説に入っていった。

 

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楽器も機材も置かれていないステージ。搬入からリハーサルまでの流れを見せるということだろう。

 

最初に「バミリ」の説明がされた。出演者の立つ位置や楽器や機材を置く位置を示すビニールテープのことだ。

 

鹿野「バミリの色は打首獄門同好会が水色で、四星球が黄色で、HEY-SMITHがピンク」

北島「色に意味はあるんですか?」

鹿野「バンドのイメージカラー。HEY-SMITHの猪狩くんはピンクって感じじゃん。ピンクが似合う♡」

北島「どこがですか!?あと打首獄門同好会も絶対に水色じゃないでしょ!それと僕らのイメージって黄色なんですか!?」

 

真面目に解説を進めていたはずが、鹿野淳の天然発言によってトークが思いもよらぬ方向に拡がっていく。

 

そんなトークを遮るように楽器や機材の搬入が始まった。四星球はメンバー自らが搬入やサウンドチェックを行う。この日もメンバーが行っていた。それもあって今回の企画に四星球が選ばれたのだろう。

 

バミリの位置通りに機材や楽器を設置するメンバー。こうして実際に準備をしている姿を見るとバミリの重要性がわかる。普段とは違う真剣な表情で準備を進めるメンバーの姿も印象的だ。

 

鹿野「モニタースピーカー(出演者が聴く音が流れる演者の足元のスピーカー)の位置は近いんですね」

北島「いや、他のバンドも基本的にはこんなもんだと思いますよ。アリーナやドームでワンマンをやるような国民的アーティストは違うかもしれないですけど。あと僕はステージの前に出ることが多いんで、出やすいように通路を開けるようにスペースを空けて置いてます」

鹿野「そういえばMONOEYESはモニタースピーカーが間隔空けずにピタっとくっつけてるよね。だからめちゃくちゃメンバー同士が密接して演奏してる」

北島「たしかに細美さんのバンドはどれもメンバーの距離が近いですね。あと細美さんのバンドもメンバーが搬入搬出してるんですけど、いつも酒を飲みながらやってて楽しそうです(笑)」

 

モニタースピーカーもアーティストごとにこだわりがあり、ライブの規模や方向性によっても違うらしい。またモニタースピーカーにはセットリストを貼るアーティストが多いらしいが、四星球の場合は小道具を隠すための壁としても使っているそうだ。

 

鹿野「これからサウンドチェックでしょ?邪魔だったら俺は袖に行ったほうがいい?」

北島「いや解説をする役割としてステージにいてもらったほうがいいです。でもさっきから自分が主役みたいな顔してセンターに立って喋り続けてますけど、鹿野さんの立ち位置は絶対にそこではないですwww」

鹿野「すみっこに行きます//////」

 

機材のセッティングが終わり、ここからサウンドチェックが行われていく。センターに立って気持ちよさそうに喋っていた鹿野淳はすみっこに移動した。その背中は少し寂しそうである。

 

彼はセンターに立つことが好きなのだ。誰と写真を撮ったとしても、いつもセンターにいる。

 

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ミスチルやスピッツと撮るときは自身が一番目立つポージングでセンターに立つし、バンプと撮るときは自身もメンバーのような振る舞いをしながらセンターに立っている。藤原基央の表情は「なんでこの人、真ん中にいるの?服装も俺と被ってるし」と目で訴えているように見える。

 

サウンドチェックはドラム⇨ベース⇨ギターの順番で行われた。演奏の屋台骨を支えるリズム隊からライブの音は作られていくのだ。

 

バスドラムから始めて順番に他のタムも1つずつ鳴らしていき、サウンドチェクを進めるモリス。なぜか無言のドヤ顔だ。北島から「なんで喋らないんですか?俺はドラムで語るみたいな顔するの止めてもらっていいですか?」とツッコみされるほどのドヤ顔である。

 

音を大きくしたり小さくしたり生音になったりと、少しずつ音を調整して観客にとって最も良い音に聴こえる音色と音量へと調整されていく。会場の規模や客数によって毎回バランスを変えなければならないらしい。

 

鹿野「今はお客さんに聴こえる音を調整しているんですか?それともメンバーが聴く音を調整しているんですか?」

PA「両方ですね。PAの自分はお客さんに聴こえる音を調整していて、ステージ袖にいるモニター担当が同時にメンバーの聴く音を調整しています」

北島「基本的にモニターさんが作ってくれる音を僕らは聴くんで、お客さんが実際にどのような音を聴いているのかはわからないでんすよ」

鹿野「でもどんな音にしたいかの注文はするんでしょ?」

北島「そうですね。でも最終的な音は僕らは実際に確認できないんで、PAさんを信頼して任せている感じです。これは他のバンドも同じやないかな」

モリス「ドラマーは音作りのためにスネアをいくつか持っていて、曲ごとに欲しい音色を鳴らすために変えるバンドもいます。でも自分はライブでスネアを1つしか使っていなくて、音色を変えたいときはPAさんに変更してもらっています。その部分でもPAさんを信頼しつつライブをやってる感じですね」

 

PAの重要性について語る四星球。PAはライブの要となるほどに重要な役割を担っているのだと実感する。

 

ステージ袖にいるモニターの仕事も、バンドが演奏する上で重要だ。ライブ中にステージのメンバーが袖を向いて身振り手振りで何かを伝えていることがあるが、あれはライブ中でも最も演奏しやすい音を作ってもらうための指示を出しているのである。

 

続いてシンバルのチェックが行われた。タムは1つずつ丁寧にチェックを行ったが、シンバルは全て同時に鳴らしてチェックをしていた。どうやら鹿野淳はそれが気になったらしい。

 

鹿野「なんでタムは1つずつチェックしたのにシンバルは全部一緒にチェックするの?さっきと比べて雑じゃない?」

北島「雑ってwww。でも確かに何でですかね?PAさんに聞いたら教えてくれるんじゃないですか?」

鹿野「そうか!PAさん、モリスの演奏、雑じゃないですか?」

モリス「!!!!!!」

北島「聞くのはそこじゃないでしょwww。雑だって言うわけないですよ!」

鹿野「そうか。なんでシンバルは同時に鳴らすんですか?同時に鳴らした時の反響音がシンバルは重要ということですか?」

PA「そうっすねー」

北島「鹿野さんのせいでPAさんの返答も雑になっちゃったじゃないですか!!!」

 

サウンドチェックが始まってからは真面目に進行していた鹿野淳だが、自身の天然ぶりは隠すことができなかった。天然が滲み出てしまった。衝撃の天然発言によって四星球とスタッフと観客に衝撃を与える。

 

鹿野「ドラムはサウンドチェックに時間がかかるんだね。X JAPANのYOSHIKIは搬入とサウンドチェックだけで疲れちゃうんじゃない?機材は多いしタムもシンバルも多いからライブ前にYOSHIKIは疲れちゃうよ」

北島「YOSHIKIさんほどの大物は自分で搬入搬出とサウンドチェックはしないでしょwww」

 

鹿野淳の天然ぶりは勢いが止まることがない。是非ともX JAPANをビバラに呼んでサウンドチェクを観てほしい。

 

続いてベースのサウンドチェックが行われた。エフェクターを使っていない素の音と、エフェクターを使った音の両方を1つずつ順番にチェックされていく。

 

鹿野「U太、ベーシストにしてはエフェクター多くない?いくつ使ってるの?

U太「9個使ってます。ストレイテナーのひなっちよりも数は少なくて、the telephonesの涼平くんよりは多いです」

鹿野「じゃあ多くもなく少なくもなくの数しか持ってないのか......」

U太「ちょっとだけ多い方です!ていうか数が多ければ凄いわけじゃないですからね!」

 

ベースのサウンドチェックには、他の楽器以上に興味津々な鹿野淳。エフェクターが変わる都度、U太に質問をしていた。

 

鹿野「意外と器用にベースを弾くんだね」

U太「付き合い長いのに、今まで器用に見えてなかったんですね......」

 

鹿野の天然ぶりは時間が経つにつれ勢いが増していく。だんだんと四星球と鹿野淳によるコントに見えてきた。

 

U太「マイクチェックします。ヘイヘイ!ハー!ハー!」

鹿野「ヘイヘイ!ハー!ハー!ってどういう意味ですか?」

U太「い、意味??? ヘイヘイ!ハー!ハー!の意味???は???違う音域の声を出しているんで、マイクチェックに適している言葉ですかね......」

北島「ヘイヘイ!ハー!ハー!の意味なんて聞かないでしょ普通www」

 

完全にコントである。

 

続いてギターのサウンドチェックが行われた。ベースと同じようにエフェクターごとに確認をして、中音と外音を丁寧に作っていく。

 

まさやん「ブーストやります」

鹿野「・・・・・・」

まさやん「次はフェイザーです」

鹿野「・・・・・・」

まさやん「ワウペダルのチェックします」

鹿野「・・・・・・」

北島「ギターは興味無いんですかwww ベースの時と違ってずっと無言で食いつきが悪いんですけどwww」

鹿野「エフェクターの数、まさやんはギタリストなのに少ないんだな。ベースのU太よりも少ないじゃん......」

まさやん「別にいいでしょ!エフェクターが多ければ勝ちじゃないですから!バカにしてるんですか!?」

 

やはりコントである。音楽的な質問は減ってきた代わりに、鹿野の絶妙なボケ発言が増えてきた。

 

まさやん「マイクチェックします!アアアアア!オオオオ!イエエエエエエ!」

鹿野「なんでライオンキングみたいな声出してんのwww」

まさやん「別にいいでしょ!気合が入るんですよ!やっぱりバカにしてるでしょ!

北島「いや、ライオンキングは褒めてるやろ」

 

鹿野淳の解説とボケを交えたサウンドチェックが終わり、ここからリハーサルが始まる。

 

「リハの時は袖に行ったほうがいい?」と鹿野が尋ねると、北島が「そうですね。袖に行ってください」と答えていた。袖に行く鹿野の背中は、少し寂しそうでもあった。

 

ここからは4人の演奏が交わった時の音をどのように作られていくのかが客前で披露された。

 

まずはステージ内の音だけが鳴っている中で『ギンヤンマ』が演奏された。客席のスピーカーは音が鳴らされていない。最初はステージの中音を作っていくようだ。楽器を1つずつチェックした際は中音と外音を同時にチェックし調整していたが、バンドで合わせる時は別々に行なうようだ。

 

そして客席側のスピーカーも鳴らされて、外音のチェックをかねて再び『ギンヤンマ』が演奏された。音が途中で大きくなったり小さくなったりを繰り返し、だんだんと迫力がありつつも良い音に聴こえる音圧と音色へと調整されていった。曲の後半には観客が普段のライブで聴く音と同じ状態になっていた。

 

北島「こうやって音を作るわけですが、お客さんの数によっても響かせ方も変わってきます。今日は1000人ですが明日は最大2万人来るそうです。今はさいたまスーパーアリーナの前方に1000人しかい時に最も良く聴こえる音を作ってもらっています。つまり同じ会場でも2万人入ったときは音作りも変わってきます。てことは、このリハーサル、明日の本番には役に立たないし意味がない......?」

 

気づいてはならないことに気づいてしまった北島。それでもイベントとして観客は楽しんでいるので気にしないで欲しい。

 

『鋼鉄の段ボーラーまさゆき』もリハとしてバンドで演奏していた。普段は小道具を使ったりとエンタメ性の高いパフォーマンスをする楽曲だが、今回はメンバー全員が演奏に集中している。表情も真剣で普段のライブとは違う。最高のライブを行うためには、裏での努力もあるのだ。それを今回特別に見せてくれているのだと感じた。

 

そして「本番でやる予定のネタをちょっとやろうと思います」と言って、ヤバイTシャツ屋さん『あつまれ PARTY PEOPLE』と打首獄門同好会『日本の米は世界一』、MAN WITH A MISSIONの『FLY AGAIN』をマッシュアップしたようなカバーを披露した。四星球と同日に出演するバンドの楽曲だ。

 

このカバーも本番ではエンタメ性の高いパフォーマンスで魅せる予定なのだろう。しかしこの日は真剣な表情で確認しながら演奏していた。照明についても「ヤバTの部分でミラーボールを回せますか?」と北島はスタッフに尋ねて、ミラーボールが回っている様子を確認するように歌っていた。

 

リハーサルの様子を観れることは貴重だ。解説をしてもらって知識が増えることで、音楽の聞こえ方も変わってくる。このイベントは「楽しい」だけでなく「学べる」という意味でも価値があった。

 

そして何よりも真剣な表情で演奏する四星球の姿を観れたことにも価値があった。コミックバンドが普段見せないし、もしかしたら見せたくないと思っていた裏側かもしれない。それでもビバラのために、あえて見せてくれた。それにグッときたし、心を掴まれた。

 

そして鹿野淳が喋りまくって押した時間を見事に巻いて、時間通りに終わらせた四星球とスタッフの手腕に感動した。

 

 

ビックリ!ドッキリ!?たまアリツアー!!

 

後半はさいたまスーパーアリーナのスタッフが会場内の裏側を一緒に回って解説してくれるガイドツアー『ビックリ!ドッキリ!?たまアリツアー!!』に参加した。

 

こちらはガイドするスタッフの人数が限られていることもあり、90名だけが参加できる貴重なイベントだ。

 

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公式マスコットキャラクターのたまーりんのキーホルダーが着いたパスが配布され、これを首にかけた人だけが参加できる。このキーホルダーとパスは記念品として参加者にプレゼントされた。

 

最初に案内されたのは『Eゲート』と呼ばれる入場ゲートだ。ビバラの開催期間中は閉鎖されており、一般の観客は出入りすることができない。この近くに楽屋が集中しており、ゲートの前で出演者が気合をいれるために集まったり記念撮影をしているという。

 

四星球の楽屋とDragon Ashの楽屋は横並びだった。たしかにDragon Ashの楽屋は四星球よりもだいぶ大きい。格差を見せつけられた気分である。

 

すぐ側にはオンライン配信時にトークをやる配信スペースが設置されていた。廊下の真ん中にこじんまりと作られているのが面白い。

 

それについて鹿野淳が「テレビもそうですけど、ちょっとした収録はスタジオではなく廊下で行われることが多いんです。自分が『笑っていいとも!』の大食い選手権に出た時も、廊下でいなり寿司を大量に食べました」とエピソードを交えて紹介していた。鹿野はかつて大食いタレントとして活動していた過去がある。

 

次に案内されたのはステージ裏だ。機材が置かれていたり出演者がステージに上がる階段があるスペースである

 

機材や大道具が置かれているだけでなく、出演者が直前に身だしなみを整えるための鏡が置かれていたり、ステージで飲むためのドリンクが置かれていた。様々な張り紙も貼られており、そこには重要なチェックポイントや告知事項が書かれているようだった。

 

実際にアーティストがステージに出る直線の袖の付近まで行かせてもらえた。様々な想いを持ってステージへアーティストが進む寸前に立つの場所だと考えると、聖域と言える大切な場所に感じた。

 

ステージ裏では四星球のまさやんが翌日の本番に備えて機材を確認している。物凄く真面目なバンドマンだ。ライブに対して一切手を抜くつもりがないのだろう。

 

そんな彼に対して手を振りながら次の場所に移動するお客さんたち。まさやんは手を振り返している。その光景は動物園の檻の前を通る人と動物のようだ。

 

ここからはさいたまスーパーアリーナ内部の案内へと移る。ガイドは鹿野淳からさいたまスーパーアリーナのオープン当初から働いているベテランスタッフへとバトンタッチされた。

 

次に案内されたのは天井が低く薄暗い場所だった。

 

さいたまスーパーアリーナは座席や天井が稼働する。それによって「アリーナモード」「スタジアムモード」と規模が変わり集客数も増減するのだ。ここはその稼働がされる機械が設置されたスペースである。

 

タイヤの着いた機械がいくつも置かれていて、それが動くことで座席と天井が稼働し会場の大きさが変わるという。

 

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このスペースは写真撮影が許可されたので、機材を撮影してみた。このタイヤが動くことで客席も動くのだ。会場のモードが変わるまでには30分はかからないという。予想以上の速さである。

 

しかし様々な配管や電源コードを外したり移動する必要があるらしい。それらを外す作業と繋ぎ直す作業に、それぞれ約4時間かかるという。つまり天井や客席を動かす時間は短いとしても、それ以外の作業が伴うと1日かけて客席のモードを変更するのだ。

 

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上の写真はトイレの配管だ。万が一にも天井を動かす前に配管を外す作業を外したら大変なこになるらしい。この一帯が💩まみれになる地獄絵図となるだろう。

 

続いてスウィートルームに案内された。ビバラ開催中はキッズスペースとして利用されている場所だ。ここはライブ後に打ち上げ会場として使われることが多いらしい。

 

木村拓哉が工藤静香との結婚発表を行なった場所でもあるという。当時を知るたまアリの従業員の中には、このスペースを「キムラウンジ」と呼ぶ人がいるらしい。そんなことは木村拓哉も知らないだろう。この事実を知ったら「ちょ、待てよ!」と言って怒るかもしれない。

 

スウィートルームの先の廊下には、鍵付きの部屋がいくつか並んでいた。部屋のドアはホテルのように頑丈で高級感がある。ここはViPルームらしい。関係者の中でも一部の人しか入れない部屋である。

 

この部屋にはGENERATIONSのライブを観にきたHIROや、ジャニーズグループを観にきたジャニー喜多川など、普通の関係者席にいると客席が騒いでしまうような重要な関係者が入る場所だ。皇族がコンサートを鑑賞する時もこの部屋に案内されると言う。

 

部屋の中にはくつろいで観ることができるソファーや、会議や作業ができるテーブル席が設置されている。会場の様子が映るであろうテレビもあった。ステージ側はガラス張りになっていて、そこからステージを観ることができる。そのガラスは防弾ガラスになっている。防犯もしっかりしているのだ。

 

このVIP席へは通常の関係者受付からは入れない。入場口も特別な場所から入る必要がある。

 

さいたまスーパーアリーナには通常の関係者や機材などを搬入するための駐車場だけでなく、VIP専用駐車場がある。VIPはそこの駐車場に車で来て、専用の入り口から入り、専用エレベーターを使ってVIP席に行くのだ。つまり専用のルートがあり、他の場所へは直接いくことができないし、他の場所からは入れない仕組みになっている。

 

専用駐車場はドラマや映画のロケに使われることが多い。最近は『半沢直樹』に出てくる東京中央銀行のエントランスとしても使われていた。

 

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この日は参加者が記念写真を撮れるようにと、わざわざ撮影当初のセットを再設置してくれていた。参加者のことを想っての心遣いに感動した。倍返ししたいほどに嬉しい。

 

VIP出入り口の反対側にも扉があった。そちらは会場でスポーツの試合が行われる時に、選手が入るロッカールームがあるようだ。その際は選手も車でこの駐車場に来ることができるらしい。

 

出演者が多いこともあり、ビバラではロッカールームも楽屋として使っている。ヤバTと10-FEETの楽屋は隣り合わせだった。関西出身バンドだから一緒にまとめたのだろうか。

 

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ロッカールームの奥には広々とした部屋があった。関係者や選手が集まり休憩できるスペースだ。

 

そこの壁の一面には大量のサインが書かれていた。東京オリンピックで女子バスケケットボール日本代表が銀メダルを獲得した際に、テンションの上がった監督と選手が書き残していったらしい。

 

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それならばと記念に保存することにしたという。一般人がやると逮捕される案件だが、結果を残した英雄ならば価値があり大切な記念であり記録になるのだ。

 

ロッカールームのさらに奥には、ビバラで出演者や関係者が食事をするケータリングの部屋があった。


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お祭りの屋台のようにいくつものお店が並んでおり、様々な料理が提供されるようだ。ここで出演者が交流をする目的もあるという。このような場があるからこそ、アーティスト同士の対バンやコラボに繋がっていくのかもしれない。

 

ガイドツアーはこれにて終了。さいたまスーパーアリーナのオープン20周年を記念した展示室前で解散となった。

 

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展示室にはVIVA LA ROCKの特設コーナーがあった。

 

たまアリにとってもこのフェスは重要で、たまアリの歴史にかかせない大切なフェスということなのだろう。

 

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ビバラのマスコットである美腹とたまアリのマスコットであるたまーりんが、参加者と記念撮影をしていた。この2人(2匹?)が並んでいることからも、ビバラとたまアリの深い関係性を感じた。

 

音楽フェスは様々な人が関わって作られている。観客の想像を超える多くの人の努力や真剣な仕事によって成立している。1回の音楽フェスを開催するために、莫大な時間と労力をかけているのはずだ。それを改めて知ることができた。実感することができた。だから今回のイベントは特別な価値があった。

 

音楽フェスは楽しい。ひたすらに楽しい。

 

フェスがあるからこそ生きる希望を持てる人もいるだろうし、フェスに参加することで救われて明日を頑張れる人もたくさんいる。だからこそ、音楽フェスを作ってくれる全ての人をリスペクトして、労って感謝したい。

 

そして、これからも何があっても、鹿野淳の天然ぶりが加速しても、VIVA LA ROCKを応援したいと思った。