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【ライブレポ・セットリスト】YUKI concert tour “Terminal G” 2021 at 大宮ソニックシティ 大ホール 2021.5.28(金)

 YUKI concert tour “Terminal G” 2021

 

※ネタバレあり

 

全くもって隙がない。音楽ライブとして完璧。エンタメとしては最高峰。

 

ここは埼玉ではない。日本でもない。そんな大袈裟なことを言いたくなる。

 

それぐらいにYUKIのコンサートツアー“Terminal G”の大宮ソニックシティ公演は凄かった。夢の出来事と思うほどの演出だった。歌も演奏も一流だった。

 

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個性と魅力と才能を感じる歌とステージング。予想を超える極上の感動。こんなライブはYUKIにしかできない。

 

彼女を支えるバンドも素晴らしい。開演前にモーリス・ラヴェルの『ボレロ』がBGMとして流れていたが、それは生演奏だった。

 

開演前から観客の期待を煽る。演奏によってYUKIが創る夢の世界へ行くための橋を架けている感じ。

 

だから開演した瞬間に期待を超える感動と、予想を超える興奮を感じたのだ。

 

前半

 

YUKIレベルの天才になると、本人の姿が見えなくてライブが成立する。歌声だけで最高の空間を創り出す。

 

1曲目の『My lovely ghost』の前半。青く薄暗い照明の中で歌と演奏が始まる。照明が暗すぎて、客席からはYUKIもバンドも姿が見えない。

 

My lovely ghost

My lovely ghost

  • YUKI
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

それでも歌声に唯一無二の存在感があるから引き込まれる。むしろ見えないからこそ、音だけに集中して音楽に浸れる。歌も演奏も生々しく感じる。

 

曲の後半で姿が見えた。白く美しい衣装のYUKI。華麗に舞うようにステージを歩いた時、さらにライブに引き込まれる。音と視覚が組み合わさる時、さらに音楽が魅力的に彩られる。

 

『good girl』ではホーン隊が中心に出てきて、彼らのソロから曲が始まった。声を出せない客席は拍手で興奮を表現する。

 

『NEW』では明るい照明の下で客席を見渡しながら歌うYUKI。歌と動きで会場を完全に掌握する。まだライブは前半。それなのに唯一無二の世界観を完璧に作り上げている。

 

YUKI concert tour “Terminal G”へようこそ。スポットライトの下で待ち合わせをできることを楽しみにしてた。本当にありがとう。新しいアルバム『Terminl』の曲だけでなく、昔の曲も色々と用意しました。新しいアルバムのタイトルには、わたし人と人が出会って別れて、また再開を約束す場所という意味を込めてつけました

 

 ここまで最新アルバムの曲を3曲続けたが、短いMCの後からは過去の名曲を披露していく。

 

『うれしくって抱き合うよ』でバレエのように舞いながら歌い魅了し『2人のストーリー』で伸びやかな声を響かせて感動させる。人気のシングル曲を続けて披露することで、ステージと客席の距離をグッと近づける。

 

うれしくって抱きあうよ

うれしくって抱きあうよ

  • YUKI
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

さらにYUKIはファンと心の距離を近づける。

 

「大宮!」と煽るような叫びから始まった『ロックンロールスター』。客席は手拍子でYUKIの煽りと音楽に応える。音楽さえあれば、コロナ禍でも心は密になれる。

 

大きな窓とソファーが置かれたステージセット。おそらく部屋の中をイメージしたのだろう。そんなセットが最も魅力的に思えたのは『聞き間違い』が披露された時だ。

 

聞き間違い

聞き間違い

  • YUKI
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

窓の方を見ながら歌うYUKI。窓の向こうからは真っ赤な照明がステージを照らす。まるで夕日に照らされた部屋で歌っているように見える。

 

大きなホール会場が、プライベートな小さな部屋に思えてくる。やはり心の距離は密にさせてくれる。

 

歌詞を書いていると不思議な気分になる。自分の知らなかった色々な自分が出てくる。セラピーみたい。歌っていると自分は自由だと思う。自分は幸せだと思う。暗闇に光は勝つから。私は光だから。

 

MCを挟んでから歌われたのは『Baby, it’s you』。この曲は光だった。

 

Baby, it's you

Baby, it's you

  • YUKI
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

〈今日の月は綺麗なのは そう 君が笑っていからさ〉という歌詞を、YUKIは歌わずにポエムを読むように話した。

 

それを聴いた時に光だと思った。自然と笑顔になった。想いのこもった言葉を思いを込めて言われたから、光を感じた。

 

 

後半

 

転換映像が流れてから、後半戦が始まる。

 

ステージ中央の壇上にはグランドピアノが出てきた。パーティ会場のように華やかに彩られたステージセットへと変化した。

 

黒いマントを羽織った衣装にチェンジしたYUKIが、ピアノに持たれながら『泣かない女はいない』をしっとりと歌う。

 

泣かない女はいない

泣かない女はいない

  • YUKI
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

ピアノの音が印象的なジャジーな曲。さきほどまでステージを縦横無尽に自由に待っていたYUKI。今度は歌声から自由さを感じる。キュートに明るく歌う姿から、繊細に色っぽく歌う姿へと変化した。

 

続く『プリズム』でステージ中央にやってきて、スポットライトを浴びながら感情的に歌う。音源よりもバンドの音が力強い。歌声にも力が入る。ライブだからこその迫力が加わり圧倒させられる。

 

このライブで盛り上がりが最高潮になったのは『JOY』だ。

 

JOY

JOY

  • YUKI
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

スタンドマイクで踊りながら歌う姿に合わせるように、ファンも一緒に踊る。「死ぬまでドキドキしたいわ!死ぬまでワクワクしたいわ!」と叫ぶYUKI。腕をあげたり拍手をして応えるファン。

 

どれだけ凄いパフォーマンスだとしても、一方通行ではなく、コミュニケーションがきちんと取れている。

 

ライブにユーモアを取り入れているのも面白い。MCや曲の合間で寸劇も挟んでいるのだ。

 

『ご・く・ら・く terminal』では「空港のターミナル」と「terminal」をかけたのだろうか。空港の荷物検査で引っかかる寸劇を挟み曲が始まった。

 

それは演劇やミュージカルとも通ずる部分がある。様々な視点から様々な楽しみ方ができるライブなのだ。

 

再び転換映像を挟みライブは後半戦へ。ステージセットは再び大きな窓がある部屋のセットに戻る。ここからはバックバンドの存在感がさらに強い楽曲が続く。

 

歪んだエレキギターのソロから始まった『Sunday Service』では、重低音響くロックサウンドが鳴らされ、ファンの胸に突き刺さる。

 

大所帯バンドであることが最も活きたのは『チューインガム』だ。華やかで力強い演奏。それでいて全ての楽器の音が引き立つアレンジの楽曲。

 

チューインガム

チューインガム

  • YUKI
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

この曲でメンバー紹介と各自のソロプレイが組み込まれた。バンドの魅力が最も伝わる楽曲だから、バンドが目立つ構成にしたのだろうか。YUKIのライブは最高のバンドと共に作られていることが伝わってくる。

 

ここからライブは佳境に入った。クライマックスに向けてキレッキレな歌と演奏を畳がける。

 

ポップでキャッチーな『ベイビーベイビー』で会場を明るく彩り、自然と手拍子が巻き起こった『ランデブー』で最高の盛り上がりを創り出す。何度も「サンキュー!大宮!」と叫ぶYUKIが印象的だった。

 

ランデヴー

ランデヴー

  • YUKI
  • J-Pop
  • ¥255
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これでライブが終わるのかと思った。それぐらいに圧倒的で多幸感に満ちた空気になっていた。

 

しかしまだライブは終わらない。

 

『灯』で多幸感を超えた感動を創り出す。繊細さと感情的が組み合わさったYUKIにしか出せない歌声を響かせる。演奏が彼女の歌を支える。そんな音楽に鳥肌が立つ。ただただ「物凄いものをみた」という気持ちしか生まれなくなる。

 

わたしたちは楽しい時もそうでないときも、ずっと一緒にいたじゃない。ありがとう。さようならは言わないよ。

 

最後のMC。ファンへのメッセージに感じた。こんな時代だからこそ伝えようとしている想いに感じた。

 

最後の曲は『はらはらと』。バンドメンバーがアコースティックな楽器に持ち替えていた。

 

先程までの頼もしくて力強い演奏とは違う、優しくて包み込んでくれるような演奏だ。 

 

はらはらと

はらはらと

  • YUKI
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

YUKIの歌声も優しかった。この曲が一番あたたかかった。客席の一人ひとりに語りかけるように思えた。

 

演奏が終わった後の長い拍手も、優しくてあたたかかった。ステージに立っている演者だけでなく、ファンも同じように優しくてあたたかい。

 

アンコールはなかった。それでも拍手は鳴り止まない。それに応えるためにミュージカルのカーテンコールのように、何度も再登場してお辞儀をするYUKIとバンドメンバー。

 

YUKI コンサートツアー! “Terminal G” 2021 at 大宮ソニックシティ 大ホール!きてくれてありがとうございました!

 

最後にマイクを通さずに笑顔で叫ぶように挨拶をし、お辞儀をしたYUKI。この日一番大きな拍手で讃えるファン。やはりステージも客席も、みんな優しくてあたたかい。

 

日本を代表する一流のボーカリストと、それを支える一流のバンドによるライブだった。演出も日本最高峰と言えるほどのこだわりとクオリティだった。

 

非現実の夢の世界に連れて行ってもらったような気持ちになった。

 

それでも一方的にファンが受け取っているという感情にはならなかった。「ライブを鑑賞した」というよりも「ライブに参加した」という気持ちである。

 

それはステージのYUKIもバンドメンバーも客席に音楽の力で、想いを伝えようとしていたからだ。演出もただ最高のものを用意したのではなく、そんな想いを汲んでいたからだ。

 

ライブの本質は「これ」なのだ。「これ」が大前提なのだ。

 

YUKIのライブは歌や演奏や演出が一流なだけではない。想いを伝えることにおいて一流なのだ。受け取るファンも「想いを受け取って返すこと」に対して一流なのだ。

 

夢のような感動的な体験は、夢ではなく現実だった。ステージと客席を繋ぐ呪文を唱えることに成功したから実現した、夢を超える素晴らしい現実だった。

 

 2021 at 大宮ソニックシティ大ホール 2021.5.28(金)

■セットリスト

1.My lovely ghost
2.good girl
3.NEW!!!
4.うれしくって抱きあうよ
5.2人のストーリー
6.ロックンロールスター
7.聞き間違い
8.Baby, it’s you
9.泣かない女はいない
10.プリズム
11.JOY
12.STARMANN
13.ご・く・ら・く terminal
14.Sunday Service
15.チューインガム
16.ベイビーベイビー
17.ランデヴー
18.灯
19.はらはらと