2021-02-10 【ライブレポ・セットリスト】ALI 『LOVE, MUSIC AND DANCE 2021』第一部@SHIBUYA CLUB QUATTRO 2021.2.5 ALI ライブのレポート 始めて観たALIのライブ ALIのライブを観た。とんでもないライブだった。 演奏の迫力に序盤から圧倒され、その勢いがラストまで落ちることなく続く感じ。演奏が上手いことはもちろんだが、メンバーのステージでの立ち振る舞いも完璧。 ほぼ全曲でラッパーのゲストが次々と参加するライブ構成も、熱気を維持する上で重要だった。 渋谷クラブクアトロで行われた、ALIのメジャー1stEPのリリース記念ライブ『LOVE, MUSIC AND DANCE 2021』。 アニメファンには「呪術廻戦のエンディングに楽曲が使われていたバンド」という認識はされているかもしれない。しかしまだ世間的には知名度が高いわけでもなく、バンドの存在が広がっているわけもない。熱心に音楽を聴いている人でも、まだきちんと聴いたことがない人も多いだろう。 しかし今のALIのライブを観ると、これから日本の音楽シーンのド真ん中に食い込んで、新しい歴史を作ってくれる予感を感じてしまった。それぐらいにライブに圧倒させられた。 前半 開演前で客席の電気が付いているうちに、ボーカルのLEOを除くバンドメンバーが登場し準備を始める。リラックスした様子のメンバーと、拍手をしたりとすでにテンションが上がり始めたフロア。そのギャップとアンバランスさが面白い。 そしてメンバーがSEの代わりにファンキーなセッションを開始。この日のバンドは10人編成。多人数の演奏による迫力でフロアを温めていく。セッションが終わりフロアから盛大な拍手が贈られるながで、ボーカルのLEOとゲストのKAZUOが登場。 「ALI、始めます!」と挨拶してから『Wild Side』が始まる。力強いKAZUOのハイスキルなラップがバンドの力強い演奏と相性が良い。 Wild Side ALI オルタナティブ ¥255 provided courtesy of iTunes 「最高の夜にしましょう」と煽ってから『KEEP YOUR HEAD UP』へとなだれ込む。横揺れのリズムが心地よい。 フロアから手拍子が鳴らされたりと、ALIはライブでにかく踊らせまくる。バンドもフロアもテンションが下がることがない。 KAZUOがステージを去ると、ライブの熱気を覚める暇をあたえずに梅田サイファー(KOPERU,peko,KZ,R-指定)が続いて登場。最新EPの1曲目『FEELIN'GOOD』を披露した。4人がラップを繋いでいく様子に圧倒される。 FEELIN' GOOD (feat. 梅田サイファー) ALI オルタナティブ ¥255 provided courtesy of iTunes 「梅田サイファーとALIのセッション、最高に楽しんでいってください!」とR-指定が煽ってから、『Temptation』が始まる。この曲は音源で梅田サイファーが参加しているわけではない。このライブだけの特別なセッションでサプライズだ。 ラップパートは音源とは全く違うリリックになっていた。おそらく「梅田サイファーとしての『Temptation』」にするために、特別にリリックを書いたのだろう。そんなサプライズにまたしてもテンションが上がる。 熱気を最高潮まで持っていって、梅田サイファーの出番は終了。間髪入れずにDos Monosが出てきて次の曲が始まる。 『VIM』だ。音源ではDos Monosは参加していない楽曲。こちらもまさかのサプライズ。 やはりライブのみの特別バージョンで披露していた。予想外のサプライズを連発で盛り上げてくれる。 そして音源でもDos Monosが参加している『BETTER DAYS』へ。バンドの演奏がライブアレンジになっており、それにもまたテンションが上がる。 BETTER DAYS (feat. Dos Monos) ALI オルタナティブ ¥255 provided courtesy of iTunes 「このような状況下でも会えることを嬉しく思います。好きに踊って、好きに写真や動画を撮って楽しんでください」 改めてLEOが来場者への感謝を伝え、次に招かれたのはHIYADAM。 ここまではハイテンションでひたすら盛り上げる楽曲が中心に披露されていた。しかしHIYADAMと一緒に披露した『METROPOLIS』はタイプが少し違う。落ち着いていて怪しげな曲だ。 METROPOLIS (feat. HIYADAM) ALI オルタナティブ ¥255 provided courtesy of iTunes それはHIYADAMが持つ雰囲気や佇まいも影響しているとは思うが、ここで明らかにライブの雰囲気が変わった。ALIのバンドとしての音楽性の幅広さや個性を感じる。 後半 なみちえ、6B、ALONZOを招いて『MUZIK CITY』を披露し、再びフロアの熱気をあげていく。 MUZIK CITY (feat. なみちえ, Alonzo & 6B) ALI オルタナティブ ¥255 provided courtesy of iTunes タイプの違うラッパー3人がぶつかり合うようにラップを繋いでいく。それをバンドの演奏が支えて、さらに盛り上げるような感じ。 6BとALONZOが去ると次はGOMMESが招かれ、『FAITH』へと続けた。 FAITH (feat. なみちえ & GOMESS) ALI オルタナティブ ¥255 provided courtesy of iTunes 重低音響く演奏とドープで重いGOMMESとなみちえのラップが重なる。そしてLEOの歌声によって、より重厚な音楽に変化していく。 続いてJ-REXXXを招き「早くも後半戦です。最後一緒に騒ぎたい奴はどれだいけいるんだよ!」と煽り、『DESPERADO』で熱気を急上昇させた。 そしてRUEEDも呼んで『FIGHT DUB CLUB』でライブのクライマックスに向け、さらに盛り上げる。フロアも腕を上げたり踊ったりと、この日のハイライトとも言える盛り上がりだ。 FIGHT DUB CLUB (feat. J‐REXXX & RUEED) ALI オルタナティブ ¥255 provided courtesy of iTunes J-REXXXとRUEEDが出番を終え、入れ違いに登場したのはAKLO。ゲストが登場した場面では、この日一番大きな拍手だったかもしれない。 彼が出てきたことで何の曲をやるのかファンは察したのだろう。『呪術廻戦』のEDテーマ『LOST IN PARADISE』だ。 LOST IN PARADISE (feat. AKLO) ALI オルタナティブ ¥255 provided courtesy of iTunes おそらく会場に集まった多くの人が、最も聴きたいと思っていたであろうバンドの代表曲。最後の曲であることを告げてから演奏が始まる。 サビになるとフロアは腕を横に振って盛り上がっていた。クールな曲なのに、不思議と多幸感がある。それは会場が一つになって音楽を楽しんでいたからだろう。 伝えたいことは一つです。それは音楽が素晴らしくて最高だってことだけです。 僕らはハーフがいたりと日本以外の血も混ざっているし性別もバラバラです。でもそんなことは関係なく音楽は楽しめるから最高だと思います。 色々と大変な時代ですが、一生忘れられない出来事が起こっているとは思います。こんな時代でもみんなの希望の光になれるように音楽を届けたいと思います。 アンコールで出てきた後、LEOはこの日一番長いMCをした。 そしてバンドが結成されて最初に制作した楽曲『STAYING IN THE GROOVE』を、AKLOとともに披露した。 日本語で「グルーヴの中にとどまる」という意味のタイトルの曲である。 STAYING IN THE GROOVE ALI ヒップホップ/ラップ ¥255 provided courtesy of iTunes アンコールでのMCと1曲目に、ALIのバンドとしてのあり方やコロナ禍でライブをやることへの想いが込められているように感じた。多くは語らずとも、少ない言葉と音楽で伝えようとしていた。 「最後の曲、最高の景色を作りましょう!」といってからバンドのセッションが始まる。「ALI!」とバンド名をLEOが叫ぶと、バンドも同じように続けて叫ぶ。 コロナ禍で客席が声を出せない代わりバンド内でコールアンドレスポンスをしているのだ。 中盤ではバンドメンバーの紹介とともに、各自のソロプレイで盛り上げる。ここまで力強いグルーヴを作ってきたメンバーは、各自のソロでも強い存在感がある。それが重なることでALIとしての最高の演奏になっているのだ。 ALIの演奏を作り上げているのはメンバーだけではない。会場に集まったファンも作っている。 メンバーソロが終わった後に手拍子を煽り、演奏を止めて手拍子に合わせてメンバーが歌う。ファンもライブを作っている一員なのだ。バンドの強靭なグルーヴと同じように、ファンの盛り上がりも最高のグルーヴを作っているのだ。 コロナ禍になってライブの形は変わった。 ライブハウスのキャパは今までの半分以下にしなければならない。これも出すことができないし、かつての3密によって生まれた一体感や空気感は消滅してしまった。 それでも同じ音楽を同じ時間に同じ空間で楽しむことによって、ライブでしか体感できない感情を共有することはできるのだ。 自分はコロナ禍になってから複数のアーティストのライブをいくつか観てきた。その中でもALIのライブは特に「ステージとフロアの一体感」を強く感じた。このバンドだからこそ、このお客さんだからこそ作ることができた、最高のライブなのだ。 だから「とんでもないライブ」に思ったのだ。このご時世でなかなか体感できなくなった「ライブの一体感」を、2021年でも最高のレベルで感じさせてくれる数少ないバンドに思ったのだ。 LEOは最後に「また遊んでください」と挨拶していた。 「また観にきてください」ではないのだ。提供する側とそのお客さんという立場でファンを捉えていない。まるで友達のように捉えている。 友人にも会うのに躊躇ってしまう最近の社会情勢。そんな中でもALIの音楽は希望をくれた。そして友人のように一緒に遊んでいるような気持ちになるライブでもあった。 ALI 『LOVE, MUSIC AND DANCE 2021』第一部@SHIBUYA CLUB QUATTRO 2021.2.5■セットリスト 1.Wild Side ※feat.KAZUO2.KEEP YOUR HEAD UP ※feat.KAZUO3.FEELIN'GOOD ※feat.梅田サイファー4.Temptation ※feat.梅田サイファー5.VIM ※feat.Dos Monos6.BETTER DAYS ※feat.Dos Monos7.METROPOLIS ※feat. HIYADAM8.MUZIK CITY feat. なみちえ, 6B, ALONZO9.FAITH ※feat. なみちえ, GOMESS10.DESPERADO ※feat. J-REXXX11.FIGHT DUB CLUB ※feat. J-REXXX, RUEED12.LOST IN PARADISE ※feat. AKLO EN1.STAYING IN THE GROOVE ※feat.AKLOEN2.???(忘れた。というか知らない曲だった) LOVE, MUSIC AND DANCE (初回生産限定盤) (DVD付) (特典なし) アーティスト:ALI 発売日: 2021/01/27 メディア: CD