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【ライブレポ・セットリスト】SHISHAMO ファンクラブ限定ツアー「しゃもサポだけの秘密やで2020」@Zepp Tokyo 2020.12.12

秘密のツアー

 

SHISHAMOはひねくれ者だ。東京では11ヶ月ぶりに行われたライブを観て、そう思った。

 

開演前の影アナウンスで、「椅子から立ち上がり盛り上がってもらえたら嬉しいです」と言っていたボーカルの宮崎朝子。

 

それなのにセットリストは演奏力の高さに唸ってしまうような、ミドルテンポで渋いロックナンバーが中心。後半に入るまで盛り上がる要素は皆無。

 

ひねくれている。

 

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今回はファンクラブ限定ライブ。

 

それもあってかヒット曲やライブ定番曲はほとんどない。新曲やライブで披露することが少ない曲が多かった。

 

それもひねくれている。

 

でもひねくれ者だからこそ、カッコいいバンドだと思う。

 

ポップな存在のようで思想や行動はロック。親しみやすさかある音楽なのに、棘もある独特なバランス。それがSHISHAMOの個性であり魅力なのだ。

 

しかしひねくれとは少し違う部分とも思った。

 

ただただ今の自分達が届けたい音楽を鳴らしているのだと思った。今のSHISHAMOだからこそ魅力的になる曲を演奏しているのだと思った。

 

そしてファンクラブに入るほどにSHISHAMOを愛してくれているファンを信用しているからこそ、良い意味で「ひねくれたセットリスト」のライブをやったのかもしれない。

 

この日のSHISHAMOは、水を得た魚のように、素晴らしい演奏をしていた。

 

前半

 

1曲目の『人間』を聴いて「最新のSHISHAMO」を披露したいのだと思った。

 

人間

人間

  • SHISHAMO
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

この曲は配信リリースされたばかりの新曲。

 

盛り上げるというよりも演奏の凄みで圧倒させるクールなロックナンバー。3人のアカペラのコーラスから曲が始まる展開に、バンドの新境地を感じた。

 

そして最新アルバム『SHISHAMO6』収録曲の『君の大事にしてるもの』と『二酸化炭素』を続ける。

 

どちらもミドルテンポで骨太な演奏のロックナンバー。ロックの魅力で少しづつフロアを魅了するライブ構成だ。

 

君の大事にしてるもの

君の大事にしてるもの

  • SHISHAMO
  • ロック
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「お久しぶりです」と1人づつ挨拶をしてMCが始まる。約11ヶ月ぶりの東京でのライブ。メンバーも少し緊張しているようだった。

 

いつもなら最初のMCでコールアンドレスポンスをしているが、今日はファン側から声を出すことができない。

 

そのため「声を出したくなったら、代わりに拍手をしてください」と朝子が言って、声の代わりに拍手で応えるコールアンドレスポンスを行った。「声を出せなくても意思疎通はできるね」と喜ぶメンバー。

 

「毎月ファンクラブ代金として400円払ってもらっている感謝を込めて演奏します」と、生々しい理由の感謝を伝えてから演奏が再開。

 

続けて披露されたのは『同窓会』と『昼夜逆転』。

 

切ないメロディと歌詞が印象的なミドルテンポの楽曲だ。じわじわと胸に沁みいるような演奏。

 

昼夜逆転

昼夜逆転

  • SHISHAMO
  • ロック
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最新アルバム『SHISHAMO6』は落ち着いたリズムの楽曲が多かった。今のSHISHAMOはしっかりと歌と演奏を聴かせることを重要視しているモードなのかもしれない。

 

セットリストに含まれている過去の楽曲は、最新曲と親和性が特に強い楽曲が多いように感じる。

 

その次に演奏された『旅がえり』もそうだ。

 

これも骨太な演奏ではあるが、切ない歌詞と美しいメロディが特徴的。前半からこれほど落ち着いた曲を連発することは珍しい。

 

そこからも音楽をしっかり聴かせることを重視していることを感じ取れる。

 

旅がえり

旅がえり

  • SHISHAMO
  • ロック
  • ¥255
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心地よい演奏にに酔いしれて穏やかな空気で満たされている会場。それを一瞬で切り裂いて空気を塗り替える演奏が始まる。

 

次の曲は『きっとあの漫画のせい』。

 

アップテンポで尖った歌詞。SHISHAMOのロックな部分が抽出されているような楽曲。

 

先ほどまでゆったりと聴いていてファンも、みんな腕を上げて盛り上がり始める。カラフルに光る照明が楽曲の魅力を引き立てた。

 

きっとあの漫画のせい

きっとあの漫画のせい

  • SHISHAMO
  • ロック
  • ¥255
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今も私があなたを想って
泣いているなんて思うの?
笑わせないでよ

(SHISHAMO / きっとあの漫画のせい) 

 

このフレーズをニヤリと笑いながら、嘲笑うように歌う宮崎朝子の表現に背筋がゾクっとする。

 

MCでは現在レコーディング中で良い曲が続々とできていると話すメンバー。

 

ドラムの吉川美冴貴が「新曲、できざんまい!」と言ってすしざんまいの社長のポーズをしたが、感染症対策で客席からは声を出せない。そのため笑い声も出ない。スベったように見えてしまった。実際にスベってはいた

 

次に演奏されたのは、まだ未発表の新曲。

 

疾走感ある演奏とキラキラしたメロディが印象的だった。〈化粧をしなくてもキラキラしてる あの子の顔で生きてみたい〉というサビの歌詞が耳に残って離れない。

 

キャッチーな楽曲で、新たなライブ定番曲になる予感がする。

 

 

後半

 

切ないバラードを3曲続けて演奏したブロックが、個人的にライブのハイライトに思う。

 

新曲を演奏してから少しの間を作り一呼吸を置いたメンバー。そして演奏を始めたのは『冬の唄』。

 

バンドが高校時代に制作したアルバム『卒業制作』の収録曲で、高校生であったメンバーの等身大の想いが込められているような切ない片思いソング。

 

冬の唄

冬の唄

  • SHISHAMO
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そして少し大人だけ大人の失恋を歌った『夏の恋人』へと繋げる。

 

SHISHAMOの演奏と歌声はスッと胸に入ってくる。だから音楽や歌詞の世界に一瞬で入ってしむうのぇ、自然と感情移入してしまう。

 

夏の恋人

夏の恋人

  • SHISHAMO
  • J-Pop
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そして切なさを畳み掛けるように『夢で逢う』を続けた。こちらも切ないメロディと歌詞が印象的が楽曲。

 

しかし後半では長めのギターソロを含んだバンドのセッションパートがあったりと、演奏力の凄さにも圧倒させられてしまう。バンドだからできるロックバラードだ。

 

夢で逢う

夢で逢う

  • SHISHAMO
  • ロック
  • ¥255
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自分の斜め前の座席にいた大学生ぐらいの女の子が、この3曲が演奏されている時に涙をタオルで拭っていた。それぐらい心に響く名演だった。

 

そんな切ない余韻が残る中、ワンマンライブでは恒例の『吉川美冴貴の〇〇な話』という吉川が小咄をするコーナーが始まった。ものすごい振り幅である。

 

そこでは小学2年生の頃に両親が車の中に隠していたクリスマスプレゼントを見つけてしまい、それが両親にバレてから毎年クリスマスには妹の枕元にプレゼントを置く仕事を与えられ、プレゼントをもらう側からプレゼントを渡す側になってしまったという話をしていた。

 

この日は感染症対策で客席は声を出すことができない。笑い声も出せない。そのため吉川の小話がスベったような空気感になってしまった。

 

吉川の心が折れないか心配だ。それなりに面白い小咄だったので、吉川を励ましてあげたい。

 

「ここから終盤戦です!」と言うと、声を出せないので「えー」と言う代わりに拍手で応えるファン。

 

それに対して「ライブが終わることを喜んでるみたい(笑) 嫌な気持ちを拍手で表してくれるからややこしい(笑)」と笑っていた。

 

それに対しても「喜んでないよ!」という意味を込めた拍手をする客席。ややこしい。

 

でもしっかりとバンドにも想いは伝わっていたようで「もう意思疎通ができてるから大丈夫」と反していた。声を出さずともバンドとファンはコミュニケーションは取れる。

 

落ち着いた曲が多かったので、ここからは楽しい曲を演奏していきます!」と言ってから演奏を再開。

 

その言葉通りに明るくて華やかな『フェイバリットボーイ』を披露。

 

フェイバリットボーイ

フェイバリットボーイ

  • SHISHAMO
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最新アルバムの収録曲で、有観客ライブで披露するのは今回のツアーが初めてだ。しかしフロアは楽しそうに身体を揺らしたり手拍子をしたり、腕を上げたりと盛り上がる。

 

そしてベースの松岡彩が「タオル回す準備はいいですか!」と煽り、ライブ定番曲『タオル』へと続く。

 

今回のライブは入場特典でタオルと缶バッジが配られていた。

 

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そのため客席全員がタオルを持っている。SHISHAMOのライブツアー史上、初めて「持ってない人はあなただけ」が発生しない状況だ。

 

全員がタオルを回しているので、誰も物販コーナーまで行く必要がない。

 

熱気に満ちた会場に明るさを加えるように『量産型彼氏』をポップな演奏で届ける。

 

量産型彼氏

量産型彼氏

  • SHISHAMO
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リズムに合わせながら歩いてステージ真ん中に出てきて、笑顔でギターソロを弾く朝子。ファンは腕を上げたり手拍子で彼女のギターソロを盛り上げる。

 

そして『ねえ、』を続けて演奏することで、さらに大きな多幸感が会場を満たしていく。

 

最後のMCでは「マスクをしてるけどみんなの目がキラキラしていた」と語った松岡。

 

吉川は「次の予定を伝えたり約束ができないことがもどかしいけれど、今日のライブが最後ではない」と想いを伝えた。

 

吉川が熱い思いを語っている最中に朝子の鼻息がマイクに入り、「ずーずーと鼻息出すのやめてくれる!?」と注意する姿も、久々に見るSHISHAMOらしい光景だと思ったりする。

 

「ツアーやライブを開催できない状況が続いていたから、ライブができて嬉しいです。客席を半分にしたりお客さんは声も出せなかったりと制約もあるけど、それでもライブができるじゃんと今回開催して希望を感じました。

 

よく考えたら毎年すごい数のライブをやっていたけど、今年は全然ライブやってないなと思います。でも音楽を届ける手段はライブだけではないです。新曲を届作ったりとか、他の手段でも音楽は届けられます。期待していてください」

 

朝子はライブへの想いや音楽への想いを語っていた。

 

今年はSHISHAMOにとって、散々な出来事がたくさんあった。

 

『SHISHAMO6』 という素晴らしいアルバムをリリースしたものの、それを引っさげてのホールツアーは全公演中止。特別で大切なライブになるはずだった、等々力陸上競技場でのスタジアムワンマンも中止。

 

金銭的にも精神的にも厳しい出来事が続いたのかもしれない。それでもSHISHAMOは前を向いて音楽を届けている。

 

今年はコロナ禍になってからも新曲をいくつも配信リリースしている。12月23日には今月2曲目の新曲である『明日の夜は何を食べたい?』を配信リリースするとも発表した。

 

彼女たちはまさに良いことばかりじゃないときに、「誰よりも早く立ち上がるヒーロー」なのだ。

 

そして『妄想サマー』で再びフロアに盛り上げ、最後に〈どいつもこいつも腹立つな〉というパンチラインが刺激的な『明日はない』で、ロックバンドとしての存在感を見せつけ演奏を終えた。

 

明日はない

明日はない

  • SHISHAMO
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新曲から始まり新曲で締めるライブ。

 

やはり「最新のSHISHAMO」をメンバーは最も見せたいのだと思った。

 

そして特にSHISHAMOを応援している人に、真っ先に「最新のSHISHAMO」を見せたいからこそ、コロナ禍になって最初のライブツアーをファンクラブ限定にしたのだろう。

 

演奏を終えてメンバーがステージを去ると、すぐにアンコールを求める手拍子が巻き起こる。それに応えて再登場したメンバー。

 

挨拶もなく吉川のドラムソロから、アンコールが始まる。

 

演奏されたのは『恋する』。ほぼ全てのライブで演奏されているライブ定番曲で、めちゃくちゃ盛り上がる鉄板曲だ。

 

恋する

恋する

  • SHISHAMO
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Bメロでは客席全体で大きな手拍子が巻き起こり、サビではみんな腕を上げて盛り上がっていた。

 

新曲が中心のセットリストではあるが、最後に演奏されたのは初期の楽曲。過去の曲も最新曲と同じように大切に歌い演奏している。

 

演奏を終えてマイクを通さずに3人で並んで「ありがとうございました!」と言って頭を下げるメンバー。盛大な拍手が贈られた。

 

次のワンマンライブの予定は決まっていない。

 

毎年ライブをやりまくっていたSHISHAMOとしては珍しい状態であるが、このご時世では簡単には決められないのだろう。

 

でも「音楽を届ける手段はライブだけではない」と朝子が言っていた通り、来年も様々な形でワクワクさせてくれる活動をしてくれるはずだ。

 

そして新曲をたくさん披露する「最新のSHISHAMO」を伝えるライブをやることで、今後のかつどへの期待を感じさせてくれるライブだった。

 

また誰よりも早く立ち上がるヒーローに、ライブや音源で会えることを楽しみにしておこう。

 

SHISHAMO FC限定ツアー「しゃもサポたけの秘密やで」2020 @Zepp Tokyo 2020.12.12

▪️セットリスト

 

1.人間
2.君の大事にしてるもの
3.二酸化炭素
4.同窓会
5.昼夜逆転
6.旅がえり
7.きっとあの漫画のせい
8.新曲
9.冬の唄
10.夏の恋人
11.夢で逢う
12.フェイバリットボーイ
13.タオル
14.量産型彼氏
15.ねえ
16.妄想サマー
17.明日はない

EN1.恋する

 

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