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【ライブレポ・セットリスト】私立恵比寿中学 Best at the moment series『6Voices』@ パシフィコ横浜 国立大ホール 2021.4.30

 Best at the moment series「6Voices」

 

エビ中のライブは、観る都度に違う感動がある。

 

ツアーごとにコンセプトや演出は大きく変わるし、同じツアーでもセットリストを大きく変えてくることも多い。メンバーは今でもライブを重ねる都度に進化している。

 

そんなパフォーマンスや演出に感動し続けてきた。今回のツアーもそうだ。新しい感動があった。

 

でもその感動は、今までのライブと少しだけ違う。「楽しかった!」「凄いライブだった!」という簡単な感想では片付けられない。

 

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『私立恵比寿中学 Best at the moment series「6Voices」』というライブタイトル。

 

このタイトル通りに、6人のエビ中による最高の瞬間を歌で届けるような、集大成的なライブ。

 

集大成と言っても、そこには様々な想いが込められている。これも簡単な感想では片付けられない。

 

新メンバーの加入を発表しているエビ中。そのオーディションも終わったばかり。つまり現体制でのライブは限られた状態。

 

今回のライブは新メンバー加入前に、6人の歴史や想いをライブで昇華させる趣旨があると感じた。

 

自分は現体制の最終回的なライブであり、新体制への準備をするためのライブだと受け取った。

 

だからライブが終わった後は、楽しさの余韻だけではなかった。まるでシン・エヴァンゲリオンを観終わった時のような、ほんの少しの喪失感もあった。

 

前半

 

いつも通りのようで、いつもと違う始まり方だった。

 

SEのebitureでメンバーが登場したことはいつも通り。しかしステージ後方のビジョンには、6人体制になってから行われたライブの映像がダイジェストで流れている。

 

まるで6人のエビ中の歴史を振り返るように。

 

そして中山莉子の映像で止まり、パフォーマンスが始まる。

 

1曲目は『オメカシ・フィーバー』。「6voicesファイナルー!」と叫ぶ中山莉子。この曲は中山が特に印象的に見える楽曲だ。

 

オメカシ・フィーバー

オメカシ・フィーバー

  • 私立恵比寿中学
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そして『制服“報連相”ファンク』を続けて披露。アルバム『エビクラシー』に中山莉子のフィーチャー曲として収録されている曲だ。

 

自分は2曲目でライブの意図を理解した。

 

6人それぞれがフィーチャーされる曲が、ブロックごとにまとめられている。6人それぞれが主役になるタイミングがある。

 

それによってグループの歴史とメンバー個人の歴史を伝えようとしているのだ。それによって6人のエビ中として、最高の瞬間を作ろうとしているのだ。

 

想いを感じた瞬間に、鳥肌が立った。泣ける曲でもないのに、涙が出そうになった。〈人類基本報連相!〉と歌っている曲に、泣ける要素なんてないのに。

 

パフォーマンスには鬼気迫るものがあった。いつも以上に全力で感情をぶつけるように歌い踊っていた。

 

『放課後ゲタ箱ロッケンロールMX』では、いつも以上に叫ぶように歌う。

 

放課後ゲタ箱ロッケンロールMX(中卒ver.)

放課後ゲタ箱ロッケンロールMX(中卒ver.)

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熟練したパフォーマンスなのに、パンクバンドの初期衝動を感じるような勢いと熱気。

 

真山りかは歌の序盤で「もっと自由に楽しんじゃっていいんじゃないの?」とからかうように煽る。ドMな真山推しは興奮してさらに盛り上がる。

 

再び6人のエビ中を振り返るライブ映像がダイジェストで流れる。そして小林歌穂の映像で止まる。次は小林がフィーチャーされる番だ。

 

カノジョのブロックの1曲目は『感情電車』。小林のフィーチャー曲であり、6人のエビ中にとって特に大切な曲の一つである。

 

感情電車

感情電車

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優しく包み込むような歌声と楽曲。横浜でこの曲を聴くと、なぜか歌声がいつも以上に涙腺に響く。

 

そんな余韻を『SHAKE SHAKE』で明るく塗り替える。

 

星名美怜が「みんな踊れる準備できてますか!?最高の思い出を作って行きましょう!」と煽った『ラブリースマイリーベイビー』で、さらに突き抜けた明るい空気を作り出す。

 

ラブリースマイリーベイビー

ラブリースマイリーベイビー

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エビ中はアイドルとして一流だ。彼女たちのパフォーマンスや音楽は聴くと必ず元気をもらえる。

 

しかしアーティストとしてもパフォーマンスは一流だ。柏木ひなたがフィーチャーされるブロックでは、それを特に感じる。

 

『I'll be here』を歌い始めた瞬間に、ひなたの歌声に圧倒させられる。

 

I’ll be here

I’ll be here

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繊細に感情を表す表現の歌声。ペンライトを振ることすら忘れるほどに引き込まれる。

 

彼女のフィーチャー曲である『紅の詩』での伸びやかな高音も胸に刺さる。『スーパーヒーロー』で〈まだまだ負けない〉と感情的に歌う声には胸が震える。

 

スーパーヒーロー

スーパーヒーロー

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ひなたのブロックは、特に「歌の凄み」を感じるブロックだった。

 

柏木ひなただけが凄いのではなく、他のメンバーも同様に技術も表現力を持っている。それは今まで培った経験で得たものだ。

 

演出やセットリストだけで集大成を表しているわけではなく、パフォーマンスの進化からも集大成であることを感じる。

 

しかし良い意味で進化や変化をしていない部分も感じる。

 

星名美怜のブロックでの1曲目『未確認中学生X』は、エビ中が長年創り続けたキングオブ学芸会だった。

 

未確認中学生X

未確認中学生X

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「ダイオウイカ参上~」と緩く歌ってから始まった曲。CDジャケットが出てくるだろう。パフォーマンスはキレッキレだが楽曲はぶっ飛んでいる。

 

それでいてユーモアに溢れている。アイドルにしか歌えない楽曲だ。

 

そして『藍色のMonday』ではカラフルな照明の中で、かわいらしくポップに歌い踊るメンバー。

 

かと思いきや『PANDORA』ではラウドロックとアイドルソングをミックスさせたような激しいナンバーで、暴れるように歌い踊る。

 

PANDORA

PANDORA

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これらも何でもありな「アイドルだからこそ」できるパフォーマンスだ。そして様々な音楽にアイドルとして」挑戦したエビ中だから成立するパフォーマンスだ。

 

 

 後半

 

今は安本彩花が休業中なので、ステージには5人しかいない。

 

この日も5人しかいなかったが、それでもメンバーは安本の想いや魂を受け取り、6人のつもりでステージに立っていたと思う。

 

6人がステージにいると感じる瞬間もあった。安本がフィーチャーされるブロックだ。本人不在でも当然のように彼女がフィーチャされる演出が組み込まれていたのだ。

 

ステージ後方のビジョンに、過去に行ったライブでの安本の様子が映る。そして彼女のパフォーマンス前の歌フリが流れた。

 

「この後の曲でみんなと笑えたらと思います。聴いてください。・・・・・・絶対負けない!」

 

安本の力強い台詞から『涙は似合わない』が始まる。

 

涙は似合わない

涙は似合わない

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ここからの3曲は事前に録音されていた安本の歌声も一緒に流れる。久々に6人のエビ中としてパフォーマンスをしている。

 

必要以上に感動的な演出をするわけでもなく、特別ではなく当然のことのように他のメンバーはパフォーマンスしている。

 

ファンも同じだ。

 

〈笑え 笑え 笑え〉と何度も言われたとしても、泣いてしまっているファンがいた。この時間だけは緑色のペンライトが増えた気もした。それは普段とは違うかもしれないが、彼女がステージにいることを当然のこととして受け入れ、彼女たち6人のパフォーマンスを受け取っている。

 

彼女のフィーチャー曲である『君のままで』では、久々に安本彩花の胸に突き刺さるまっすぐな歌声をライブで聴けて、心が震える。

 

その次の『ジャンプ』もそうだ。今のエビ中の在り方を歌っていると言っても、過言ではない楽曲。この曲でも彼女のエモーショナルな歌声が印象的である。

 

久々に6人のライブを生で観て、感慨深くなって泣けてくるわけではない。ただただ6人の圧倒的なパフォーマンスに感動して泣けてくるのだ。

 

圧倒的なパフォーマンスはまだまだ続く。

 

次の真山がフィーチャーされるブロックでは、エビ中のパフォーマンス力の高さを感じる楽曲が中心だった。

 

スタンドマイクを使って大人ぽく表現した『愛のレンタル』。

 

愛のレンタル

愛のレンタル

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ロックな一面を感じるエモーショナルな歌唱の『大人はわかってくれない』。この2曲は今のエビ中が高い技術を持っていることが、ダイレクトに伝わってくる。

 

表現力の高さを感じたのは『春の嵐』だ。

 

春の嵐

春の嵐

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斬新で個性的なダンス。先ほどとは違う繊細な表現で歌うメンバー。表情まで違う。そんな姿に魅了され引き込まれる。

 

これも今のエビ中だからこそできるパフォーマンスだ。

 

MCなしで18曲連続披露したエビ中。ここでようやく自己紹介を含んだMCになる。もちろん安本の自己紹介も映像を使った行った。

 

ストイックなパフォーマンスから一転してゆるいトーク。すでに18曲披露したのに「ライブが始まりました!」と今更言う柏木ひなた。

 

「あとちょっとで終わりなんですけれど、この景色を胸に刻んでください」

 

中山莉子が笑顔で話す。そして次の曲が始まる。メンバー6人で作詞した『HISTORY』だ。

 

HISTORY

HISTORY

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安本彩花が歌う映像もビジョンに映る。もちろん歌声も聴こえる。6人によってエビ中のヒストリーを歌で伝えてくれる。

 

聴いていると安心感凄い。本当に最高。

 

次の曲は『Family Complex』。6人のヒストリーを歌で伝えた後に、ファンへの感謝や想いを伝える曲を披露した。

 

Family Complex

Family Complex

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私立恵比寿中学には、様々なことがあった。悲しい出来事もあった。

 

ファンとしても「楽しい」「元気になれる」という気持ちだけで応援することが、難しい時期があった。グループのことは好きとしても、自分の心が限界になって離れたファンがいることも知っている。

 

それでも今日の愛に満ちたライブ構成や想いのこもったパフォーマンスを観ていたら、彼女たちの軌跡を追い続けた自分は、間違いではなかったと思った。

 

〈後悔はしないよ させないよ〉という歌詞が、いつも以上に力強かった。

 

「次が最後の曲です。わたしたちにとって、大切に温め続けていきたい曲です」

 

ひなたが言葉を選びながら、ゆっくりと話してから始まったのは新曲『イエローライト』。

 

〈最高だよって笑うため わたしは足踏みしたりするんだ〉という歌詞が印象的な曲。

 

今までの歴史を振り返るライブではあった。しかし最後は新曲で未来を感じさせてくれた。

 

心地よい余韻を残してステージを後にするメンバー。しかしすぐに学芸会の裏側の中学生が騒いでそうな寸劇アナウンスが流れる。

 

真山「あっさり帰り過ぎたんじゃない?

星名「え?いいよ!インスタのストーリー撮ろう!はい!チーズ!」

真山「おいおいおい!ちょっと待て!小林何やってる?」

小林「チョコボールを食べてる」

真山「星名!写真撮らない!」

中山「喧嘩しないで!ここは一つ、あの曲で締めよう!」

 

再びステージに舞い戻るエビ中。「エビ中がこんなんで終わるわけないだろ!最後まで楽しんでいけ!」と星名美怜が叫んでから『サドンデス』が始まった。これが最後の曲だ。

 

サドンデス(716 LIVE VERSION)

サドンデス(716 LIVE VERSION)

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エビ中の楽しさで満ちた楽曲。それでいて〈満身創痍の全力エンタテイメント〉というエビ中の魅力を一言で現す歌詞がある曲。

 

『サドンデス』をツアーファイナルのラストソングにしたことにも、意味があるのだと思う。メンバーが増えても、根っこの部分は変わらないことを、パフォーマンスを通して伝えたのだと思う。

 

ここでパフォーマンスは終了したものの、最後に「彩花から手紙を預かっている」と伝え、柏木ひなたが手紙を代読した。

 

お待たせしました安本です。ライブは楽しかったですか?いいなあ。行きたかったなあ。

 

6人の集大成という大事なライブに参加できなかったことは悔しいです。でもみなさんの胸の中でわたしも参加できていたならば嬉しいです。

 

6人の物語は3年半前の武道館で行った『ebichu pride』から始まりました。「今日のライブを見て応援するか考えてほしい」と勇気を持って言ったことを覚えています。

 

楽しいことばかりではない過酷な道だったけれど、今があるのは大切な仲間のおかげです。私が病気だとわかったときは、メンバーも一緒に泣いてくれました。そんな仲間と夢をもっと叶えて笑い合いたいです。

 

不器用だけど優しい真山。

明るくて太陽みたいな美怜。

厳しくも愛で支えてくれるひなた。

布団のように温かい歌穂。

そして中山莉子。

 

涙目で聴いていたメンバーが動揺し笑う。真剣に聞いていたファンも笑う。

「おい!やってくれたな!」とイジられたことを笑いながら怒るリコ中山。

 

この雰囲気がエビ中とエビ中ファミリーだよなと、改めて思う。

 

嘘です(笑)

 

震える小鹿みたいだったのに立派なお姉さんになった莉子。

そして大好きなエビ中ファミリー。

 

こんな最高な仲間に出会えて幸せです。新しいメンバーが増えることも楽しみです。

 

会いたくて会いたくて震えます。ここにいるお客さんと同じように、わたしも若い女の子に興味津々です。

 

突然の西野カナを感じる言葉と、ファンをロリコン扱いする言葉に動揺する客席。笑いを抑えられなくなるメンバー。感動的な手紙なのに、少し変だ。

 

でもこの雰囲気がエビ中とエビ中ファミリーだよなと、改めて思う。

 

わたしたちはどんな困難も吹き飛ばすのでついてきてください。エビ中第三章の始まりです。

 

ふざけたことを言いつつも、手紙の最後は力強い言葉だった。

 

エビ中はアイドルだが、ファンに連れてってもらうのではなく連れていくアイドルだなのだ。

 

今までは大人に指導されて言われたことを黙々とやってきたけど、6人になってからはみんなで色々と考えて活動するようになって、そんな関係になれたことがすごい嬉しい。

 

仲間のことを全員が自分のことように考えている今の空気感が大好き。新メンバーが入ってきても、この空気感は伝えていきたいなって思います。

 

星名美怜の最後の挨拶も、泣きながらではあったが力強かった。グループへの愛と、大切なグループを守り抜く決意を感じた。

 

エビ中には新メンバーが加入する。それは大きな変化だ。

 

しかしデビューから積み重ねてきた歴史や経験は裏切らないし、この6人がいるならば軸がブレることはないはずだ。きっとスタッフも全力で支えてくれるだろう。

 

メンバーやスタッフだけでなく、ファンも変わらずに愛を持って応援し続けるのだと思う。

 

自分の右斜め前にいたお客さんは、ずっと緑のペンライトを振っていた。

 

他のメンバーが代わりに歌っていたとしても、安本のパートではペンライトを高く上げていた。その想いはステージにも伝わったはずだ。

 

青いペンライトをずっと振っていた人がいることも知っている。

 

自分の席は1階席の後方だったから、青いペンライトが沢山あることもしっかり見えた。その想いも伝わっているはずだ。

 

今日は5人でも6人でもなく、7人に感じた瞬間もあったのだから。メンバーもファミリーも、これからも、君とここにいる。

 

このライブは6人の集大成ではある。それと同時に応援し続けたファンにとっての集大成かもしれない。

 

そしてこれから始まる「エビ中第3章」に向かうため、準備の意味があるライブにも感じる。グループにとっても、ファンにとっても。

 

でも変わらないものもある。

 

それはライブを観ても感じたが、ステージを去る時の挨拶を聞いて、強く感じた。

 

真山「みんな、体調に気をつけてね!」

中山「うん!」

真山「wwwwwwwwww」

 

ファンに向けた真山の言葉に、うっかり返事をするリコ中山。

 

こんな「永遠に中学生」な天然ボケを聞いて、グループの形が形が変わったとしても、エビ中の軸は永遠に変わらないと確信した。

 

『私立恵比寿中学 Best at the moment series「6Voices」』@ パシフィコ横浜国立大ホール 2021.4.30

▪️セットリスト

1.オメカシフィーバー

2.制服“報連相”ファンク

3.放課後ゲタ箱ロッケンロールMX

4.感情電車

5.SHAKE SHAKE

6.ラブリースマイリーベイビー

7.I'll be here

8.紅の詩

9.スーパーヒーロー

10.未確認中学生X

11.藍色のMonday

12.PANDORA

13.涙は似合わない

14.君のままで

15.ジャンプ

16.愛のレンタル

17.大人はわかってくれない

18.春の嵐

19.HISTORY

20.Family Complex

21.イエローライト

22.サドンデス

 

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