2020-04-19 【レビュー】Juice=Juice『ポップ・ミュージック』がオマージュだらけで最高(感想・評価) レビュー Juice=Juice オマージュでもなくパロディでもなく引用 Juice=Juiceのことは全然詳しくない。正直な話、あまり興味はなかった。 それが最近めちゃくちゃ興味が湧いてきている。新曲が最高だったからだ。すごい曲を出してきたと思った。 『ポップミュージック』というタイトルの新曲だ。ラジオで流れているのを聴いて、衝撃を受けた。 知っている曲のイントロが流れてきたと思いきや、知らないメロディで歌うアイドルの声が聴こえてくる。その後も知っている曲のフレーズが次々と聴こえる。それなのに知らない歌詞を知らないメロディで歌い、知らない曲展開になる。 名曲のオマージュが満載なのだ。それを上手く組み合わせて新しい作品にしているのだ。 それに驚いた。そのユーモアを面白いと感じたし、グループの個性まで感じたのだ。 オマージュだらけの楽曲 Pop Pop Pop Pop Pop Music Pop Pop Pop Pop Pop Music 曲始まりから聴いたことがあるメロディと歌詞。よく考えたら曲名が『ポップミュージック』であることからして、狙っていたのだろう。 Mの『Pop Muzik』の印象的なサビを引用している。 ポップ・ミューヂック M ポップ provided courtesy of iTunes 一発屋扱いはされているが、世界で初めてテクノポップをヒットさせた音楽史でも重要な音楽ユニットだ。 『Pop Muzik』のオマージュが終わったかと思いきや、またもやオマージュが続く。ヴィレッジ・ピープル『Y.M.C.A』のイントロをそのまま引用しているのだ。 日本では西城秀樹が『YOUNG MAN (Y.M.C.A)』というタイトルでカバーしたことでも有名である。 『Y.M.C.A』からの引用が終わると、また『Pop Muzik』と同じ歌詞を歌う。 しかしこの部分のオマージュはそれだけではない。バックトラックのメロディに聴き覚えがあるのだ。これはABBAの『gimme gimme gimme』だ。この曲の特徴的なシセサイザーのイントロが引用されている。 Juice=Juice『ポップミュージック』は序盤の30秒間で3曲も70年代洋楽のヒット曲をオマージュしている。引用元がどこかわかりやすいのに、それが組み合わさりメンバーが歌うことで、不思議とJuice=Juiceのオリジナリティを感じる。情報量がめちゃくちゃ多い。楽曲の濃度が濃い。 初めて聴いたのに妙に懐かしくて 陽気なメロディがなんか切なくて (Juice=Juice / ポップミュージック) 3曲オマージュした後の歌詞が”これ”だ。思わず共感してしまう。 洋楽のヒット曲の引用がされているのだから当然ではあるが、たしかにJuice=Juiceの『ポップミュージック』は初めて聴いたのに妙に懐かしい。曲でオマージュしていることを伝えるだけでなく、歌詞でもオマージュについて遠回しに伝えている。そのユーモアが最高。 この3曲でオマージュは終わりかと思いきや、まだオマージュは続く。 1番が終わった後(MVの58秒あたり)のイントロは、ヴァン・マッコイ『The Hustle』のイントロだ。 The Hustle - Original Mix ヴァン・マッコイ ポップ ¥255 provided courtesy of iTunes その後は『PopMuzik』『gimme gimme gimme』『The Hustle』を組み合わせながら曲が進んでいく。もうオマージュはないかと思いきや、まだあった。 3分50秒あたりで曲の展開が変化する。そこでシックの『おしゃれフリーク』を引用し、アレンジを加えて曲に取り入れている。 おしゃれフリーク シック R&B/ソウル ¥153 provided courtesy of iTunes その後はオマージュした楽曲を組み合わせて最後まで曲が進む。 これだけ洋楽をオマージュしているのに、メロディはJ-POP的なのも面白い。様々な要素を組み合わせて『ポップミュージック』が作られている。原曲へのリスペクトを感じる引用方法で、オリジナリティを出している。 もしかしたら自分が気づいていないだけで、『ポップミュージック』には他にもオマージュがあるかもしれない。普通に聴いても魅力的ではあるが、オマージュを探すことでも楽しめる。 オマージュ元へのリスペクトを感じる理由 「パクリ」と「オマージュ」の違いについては、人それぞれ価値観が違うと思う。 個人的には引用元へのリスペクトがあるかが重要に思う。だから『ポップミュージック』はオマージュに思う。リスペクトをしっかり感じるからだ。 ヴィレッジ・ピープル『Y.M.C.A』1978年 M『PopMuzik』1979年 ABBA『gimme gimme gimme』1979年 ヴァン・マッコイ『The Hustle』1975年 シック『おしゃれフリーク』1979年 オマージュした楽曲は全て1970年代後半の洋楽。それでいて世界的に大ヒットしているポップミュージックばかり。楽曲の中で最もキャッチーな部分を引用している。だからすぐに引用しているとわかる。 ディスコやソウルなどダンスミュージックに当てはまるジャンルの曲をオマージュしている。特定の年代の特定のジャンルの名曲を集めているのだ。つまりJuice=Juice『ポップミュージック』は、70年代後半のダンスミュージックの名曲の魅力を改めて伝える役割を持っているとも言える。 しかしただ引用するだけでは面白みもない。楽曲としてオマージュする必然性が必要だ。そおん必然性が『ポップミュージック』にはある。 日本のアイドルが日本語で歌うことで引用元とは違う魅力が生まれている。 メロディはJ-POP的なメロディ。というか楽曲提供者のKANの個性を感じるメロディ。歌詞にはネット、メール、スマホ、タピオカと現代でなけれな存在しない物を歌詞に登場させている。 オマージュしている部分はMの『Pop Muzik』以外は歌メロではなくバックの演奏部分だ。歌はJ-POPとしての魅力や、Juice=Juiceの個性を感じることができる。 名曲を工夫せずに引用するのならば、名曲の魅力や知名度を利用しているだけだ。だからオマージュするならば、中途半端な作品は残すわけには行かない。 「ポップミュージック』は引用しているだけでなくしっかり個性を出している。オマージュだらけなのに、他では聴くことができない楽曲になっている。 Juice=Juice『ポップミュージック』はオマージュだらけで最高だ。 しかしそれは、オマージュしているから最高なのではない。オマージュしつつも唯一無二の個性を出せているから最高なのだ。 ↓関連記事↓ ポップミュージック/好きって言ってよ【初回生産限定盤SP】 楽天市場 Amazon