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【レビュー】『いいね!光源氏くん』主題歌の岡崎体育『二二二二二』を聴いて思ったこと (歌詞・感想・評価)

頭から離れない

 

岡崎体育が歌うNHK総合のドラマ『いいね!光源氏くん』の主題歌『二二二二』が頭から離れない。イントロもAメロもBメロもサビも歌詞も耳にこびりついている。

 

キャラクターやパフォーマンス、MVの演出などで岡崎体育の存在を覚えて印象に残っている人が多いと思う。いわゆる「ネタ曲」が中心で音楽以外で勝負していると思っている人もいると思う。

 

ポケモンの主題歌も担当していたが「子ども向けの歌」と思っている人もいるだろう

 

キミの冒険

キミの冒険

  • 岡崎体育
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

しかしそんな人まで『二二二二』を聴けば口ずさんでしまうだろう。気づけばメロディや歌詞が頭から離れなくなるはずだ。それぐらいの力を持っている。

 

ポップでキャッチーで魅力的。それでいて岡崎体育の”ミュージシャンとしての個性”も感じる。彼のミュージシャンとしての才能や実力が伝わる曲だ。

 

「笑い」以外の岡崎体育の個性を詰め込んでいる歌詞と曲

 

ニニニニニ

ニニニニニ

  • 岡崎体育
  • J-Pop
  • ¥255
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シンセサイザーのリフから始まり、途中からバスドラムの音が重なりリズムが重なっていく。さらに音を重ねることで、リスナーに音の変化を楽しませることで盛り上げていく。和を感じるメロディの打ち込み音は、曲が進むにつれフレーズも音色も細かく変化させている。

 

一つひとつが洗練された音色で、細かく調整された編曲インストでも通用するような作り込まれた高いクオリティだ。

 

歌詞はメッセージもしっかり伝わる内容でありつつ、気持ちよく聴ける工夫がなされている。

 

世に知らぬ心地こそすれ有明の
月の行くゑを空にまがへて

 

風情だし 情緒もあるし 綺麗だし
時折見せる 笑顔がキュート

 

端的に言うと

 

好きー 好きー 好きー 好きー 好きー
奥ゆかしさなんか微塵もない アホ丸出しな恋心
好きー 好きー 好きー 好きー 好きー
五七五七七じゃ字足らず 二二二二二で精一杯

 

めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に
雲がくれにし 夜半の月かな

 

時空を超え 簾の先の光なむ
ひとつありける これは恋かな

 

恋まほしかるべけれ

 

好きー 好きー 好きー 好きー 好きー
文学性なんか微塵もない アホ丸出しな恋心
好きー 好きー 好きー 好きー 好きー
五七五七七じゃ字足らず 二二二二二で精いっp

 

好きー 好きー 好きー 好きー 好きー
奥ゆかしさなんか微塵もない アホ丸出しな恋心
好きー 好きー 好きー 好きー 好きー
五七五七七じゃ字足らず 二二二二二で精一杯

 

 

最初はリズムよく〈 五七五七七〉を繰り返す。日本語ではあるのだが、この言葉だけでは意味をなさない。

 

聴き慣れた言葉が英語のような聴こえ方になるのだ。その珍しさで曲に引き込まれる。

 

よにしらぬ

ここちこそすれ

ありあけの
つきのゆくえを

そらにまがへて

(Aメロの歌詞)

 

1番のAメロは五七五七七で歌詞が綴られている。そのメロディは歌を唄うというよりも、短歌を詠むようだ。そのため誰もが聴いたことがあるメロディになっている。

 

めぐりあひて 

みしやそれとも 

わかぬまに

くもがくれにし 

よわのつきかな

(2番Aメロの歌詞)

 

2番には6文字のフレーズも組み合わせている。しかしメロディは短歌を詠むメロディ。いわゆる「字余りの短歌」だ。1番と違う文字数にすることで変化をもたらし、同じメロディでも新鮮さを感じるのだ。

 

耳馴染みがあるのでキャッチーに感じる。それでいてポップスの演奏に乗せて短歌を詠むことはないので違和感もある。その組み合わせが斬新で印象に残ってしまう。そして1番と2番とでは文字数を細かく変化させているので、飽きることもない。

 

サビでは「好き」という言葉を繰り返す。誰もが聴き慣れた言葉を繰り返す。だからキャッチーに感じる。

 

語尾のやメロディが途切れる部分で母音を「い(i)」で揃えているのでノリも良く心地よく感じる。

 

きー 好きー 好きー きー 好きー
奥ゆかしさなんか微塵もな アホ丸出しな恋心
きー 好きー 好きー 好きー 好きー
五七五七七じゃ字足らず 二二二二二でせいっぱ

 

 

この手法はJ-POPでは定番であるが簡単ではない。工夫して歌詞を組み立てなければならない。Official髭男dismが使うことが多いテクニックでもある。髭男がヒットした理由の1つかもしれない。

 

BメロはAメロやサビのようにキャッチーにするための工夫はしていない。しかし「Aメロとサビをよりキャッチーに感じさせる工夫」はされている。

 

音の数も減らしリズムも変化させている。メロディはAメロやサビよりも不安定。しかし安定の中に不安定を組み合わせることで引っかかりを作っているのだ。長すぎると違和感が大きくなってしまうので、Bメロの長さは短い。

 

心地よいAメロで引きつけたあと、不安定なBメロの変化で刺激を与える。そのあと心地よくノリの良いサビを続ける。だからリスナーは飽きずに引き込まれて最後まで曲を聴いてしまう。そして好きになってしまう。

 

1曲の中に様々な工夫がなされているのだ。『二二二二二』は岡崎体育がネタ曲ばかりではなく、良質で個性的なポップスを作ることができることを証明しているような楽曲だ。

 

五七五七七じゃ字足らず

 

ここまで岡崎体育『二二二二二』の魅力を語ってきたが、こんなにややこしく伝える必要はないかもしれない。というか難しく考えすぎた。無理があった。

 

この曲の魅力の魅力なんて聴けば伝わるし、感想なんて一言で伝わる。

 

好きー 好きー 好きー 好きー 好きー。

 

この曲の魅力を伝えるには、二二二二二で精一杯。

 

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