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大森靖子とYogee New Wavesはゲスの極み乙女。を聴いて落ち着こう

穏やかではないですね 

 

ミュージシャンなどの表現者は、自分の思想や作品をとても大切にしてある人が多い。

それは人気ミュージシャンだけではなく、音楽を本気でやっている人はみんなそうなんだろうなと思う。

 

どちらも好きなんですよ。

CDも持っているしライブも観たことがある。

大森靖子とYogee New Waves。

 

大森靖子とYogee New Wavesも思想や音楽性は違えど、音楽に対する想いは同じように真剣で大切にしているのではと思う。

それ故にすれ違いや勘違いや衝突もあるのかもしれない。

そしてそれが時と場合とタイミングによっては大きなトラブルになってしまうのだろう。

 

大森靖子とYogee New WavesがBAYCAMPという野外音楽フェスに出演した際の出来事でトラブルになっている。

どちらが正しいか正しくないかという話ではないとは思う。

正しさの視点で考えるとどちらも正しい。

それぞれの考えや主張があってそれを表現しただけだから。

 

しかし、どちらが悪いか悪くないかについてはあるのではと思う。

これについては大森側とヨギー側の双方に同じぐらい。

 

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何があったの?

 

事件があったのは2017年9月9日に行われたBAYCAMPという野外音楽フェスティバルの会場だ。

 

大森靖子はヨギーが出演者のする直前のステージで「音楽を捨てよ、そして音楽へ」という曲を演奏し披露していた。

「音楽は魔法ではない、でも音楽は」というフレーズが印象的な曲。

この曲をパフォーマンスしたすぐ後のステージで角舘氏が「音楽は魔法だよ」と言ったことが事件のきっかけだ。

 

大森靖子はこのことを知りTwitterでヨギーのファンのツイートを引用リプライすることでヨギーを批判するツイートをした。

「音楽を捨てよ、そして音楽は」に込めた想いを理解していない同業者に、いじられるような一言で自信の音楽や思想やライブを観て感動したお客さんまで否定されたのではと感じ怒りを感じ、この発言を聞いてショックを受けて帰宅したファンもいたことを知り怒りを抑えられなく

なったのだろう。

 

他にも大森靖子のバンドのベースを無断で使用した疑惑など情報が錯綜し、情報量も多すぎるためややこしいことになっている。

概要をまとめた他のサイトの記事を見てください。

 

「音楽は魔法」MCに大森靖子が怒り Yogee New Wavesが謝罪文

 

消されたブログやTwitterの文面は全て掲載されているわけではないし、上記の記事でもすべての情報は網羅していない。

なぜ大森靖子が激怒したのかについてもきちんと触れることができてはいないとは思う。

どうしてもすべての情報が気になる人がググりまくってください。

 

 川谷絵音も同じころ炎上しかけていた

 

BAYCAMPが行われた日、東京では『PIA 45th Anniversary MUSIC COMPLEX 2017』(通称ぴあフェス)という野外音楽フェスが行われていた。

9月9日と10日の2日間にわたって行われた音楽フェス。

この両日に唯一出演していたミュージシャンがいる。

 

川谷絵音(ゲスの極み乙女。/ indigo la end)だ。

 

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初日にindigo la endが出演し2日目にゲスの極み乙女。が出演した。

そして川谷絵音はどちらのステージでも自信のステージの前に出演した出演者に対してMCで言及している。

それも、BAYCAMPのヨギーとは違って、明らかに前に出た出演者をネタにして馬鹿にしているととらえられてもおかしくない発言をしたのだ。

 

言及した相手はベッド・インとKANA-BOONの二組だ。

今まで多くの炎上をさせてきた川谷絵音だが、今回の発言については炎上はしていない。

ほのかにKANA-BOONへの発言がSNSで話題になったぐらいだ。

 

文面だけ見ると明らかに絵音の方が相手を批判するような内容に感じる発言だった。

それにも関わらず炎上もせずトラブルにもならなかったのはなぜだろうか。

それぞれの発言について考えてみよう。

 

ベッド・インへの発言について

 

「さっき出ていたベッド・インのギター弾いてるほう、大学時代のサークルの先輩なんですよ」

 

indigo la endの終盤のMCでベッド・インの中尊寺まいが大学の先輩だとカミングアウト。

ベッド・インはindigo la endのちょうど1つ前に出演していた。

そしてこのように話す。

 

「今度小藪さんや野生爆弾のくっきーさんとバンドを組んでプロデュースするんですけど、最初ギタリスト候補にベッド・インのこの人がいたんですよ。でもクビにしました。自分がこの人と組んだら何を言われるかわからないし何されるかわからないじゃないですか。あの人とバンドをやるとか絶対に無理だ」

 

これはこの部分だけ切り取るとベッド・インを馬鹿にしているように受け取れる部分もあるし、否定しているように聞こえる部分もある。

しかしこの発言は全く炎上もしなかったし、ベッド・インのファンも笑って聞いていたし、ベッド・イン本人もネタにしたぐらいだ。

 

 

KANA-BOONへの発言について

 

2日目にはゲスの極み乙女。としてステージに立った川谷絵音。

KANA-BOONがステージを終えて次の出演だった。

そのステージでも絵音はベッド・インの時と同様にMCでKANA-BOONについて言及した。

 

「KANA-BOONも毎回ライブで謝らなくてもいいのに。しかもボーカルが謝ってるけど鮪くん(KANA-BOONのボーカル)は全く悪くないじゃん。毎回ボーカルが謝って可哀想だよね。まあ、KANA-BOONとは仲が良いわけじゃないんで別に良いんですけど。ギターの古賀くんとは鍋もいっしょに食べたけどね」

 

KANA-BOONは2017年の2月ごろベースの飯田氏の不倫が発覚した。

それ以来ライブの都度MCで不倫のことを謝罪し心を入れ替えて活動していくといった内容を話している。

不倫報道については先輩である川谷絵音がそこの部分についていじったのだろう。

「何回も不倫について謝るべっきーではないよ!」と。

 

この発言はSNSで一部のKANA-BOONファンが話題にはしていたが、炎上はせずライブのMCでこんなことを話していたという情報として伝わっていった。

 

川谷絵音とヨギーの角舘健悟の発言の違い

 

なぜ川谷絵音は炎上せずヨギーの角舘健吾は炎上してしまったのか。

それには3つ理由があるのではと感じる。

 

1つは相手との関係性だ。

 

川谷絵音とベッド・インは大学のサークルで先輩と後輩。

デビューする前から面識はあるしお互いがどのような人間かを知っているのだろう。

そのためMCでネタにしていじっても許されていたのかもしれない。

ベッド・インの場合はキャラクターによっていじりやすかったりいじった方が本人たちも喜ぶ面があるけども。

 

KANA-BOONとの関係性も「仲が良いわけではない」と言いつつもギターの古賀氏とは鍋を食べるような仲だ。

同世代のバンドとして意識もしているだろうし、リスペクトもしていると思う。

そのため何度もライブも観たことがあるから謝罪を毎回していることも知っているのだろう。

そういったライバル意識やリスペクトがあり、本当は仲も悪くないからこそネタにしていじったのではないだろうか。

 

それに対して大森靖子と角舘健悟は特に面識があるわけではない。

同じフェスやイベントに過去出演することはあったかもしれないが、お互いのことをよく知っているわけではないようだ。

そのためお互いに信頼関係もなかったため、ネタにしたりいじることが失礼に当たってしまったのだと感じる。

 

もう1つはいじった対象についてだ。

 

 絵音はベッド・インのキャラクターやKANA-BOONのMCについてネタにしていじった。

それに対してヨギー角館は大森靖子の歌の歌詞をネタにした。

 

MCやキャラクターについていじるならまだしも、曲や歌詞をいじる場合はタブーの1つでもあると思う。

ソングライターが曲や詞に込める想いは強いものだからだ。

それは大森靖子やYogee New Wavesに限らず。

曲や歌詞に同業者が言及し、それに対して自分の意見を主張する場合、かなり慎重に扱わなければならないと思う。

 

「音楽は魔法ではない、でも音楽は」と叫ぶ大森靖子に対し、「音楽は魔法だよ」と真逆のことを言って批判しているともとらえかかねない主張をした。

もちろん悪気があって言ったわけでもないと思う。

 

ヨギーはライブで「音楽は魔法だよ」と毎回言っているわけではないが、似たようなニュアンスの言葉をライブで発することは多い。

隣のステージから聴こえてくる大森靖子の歌を聴いて、それへのアンサーとして言いたくなっただけかもしれない。

ちなみに大森靖子に今回の件を弁明に行った際は「大森さんのライブをYouTubeで観て感動して、本当は音楽は魔法なんだといいたいと思いました」とのことを言っていたらしい。

 

しかし大森靖子とヨギーは仲がいいわけではない。

面識があったかもしれないが信頼関係はない

その状態で悪意がなくても言及され、否定ともとられてしまいそうな発言をしては相手を怒らせても仕方がないかもしれない。

 

3つ目の理由は結局のところ自虐ネタだという事だ。

 

ベッド・インに対して一緒にバンドをやりたくないと言った理由は絵音自身のスキャンダルネタをいじられるからという理由だ。

それだけスキャンダルや問題を自分は起こしているという自虐ネタだ。

 

KANA-BOONに対して不倫について謝罪しなくても良いと言ったことも自虐に繋がる。

毎回謝罪することで誠意を見せているKANA-BOONに対して、自分は開き直ってるゲス野郎だという自虐の意味も込めていると感じる。

 

つまり、相手をいじってはいるが自分よりも下げている訳ではなく、自分自身を自虐しているのだ。

 

ヨギーの今回の発言は少なくとも自虐ではない。

大森靖子を下げているわけではないとは思うが、そう捉えられても不思議ではないニュアンスの表現だ。

 

真心ブラザーズは丁寧だった

 

真心ブラザーズの曲に「素晴らしきこの世界」という曲がある。

 

👇画像をクリックで動画になります。



 この曲の歌詞の一節に「少なくとも校舎の窓は割らないよ」というフレーズがある。

これは尾崎豊の卒業という曲の「夜の校舎窓ガラス壊して周った」というフレーズを引用し捩ったものだ。

尾崎豊と真心ブラザーズでは全く真逆のことを言っている。

真心ブラザーズが尾崎豊の歌詞を否定しているようにも感じる。

 

👇画像をクリックで動画になります

 

しかし、真心ブラザーズがこの曲で尾崎豊のファンに批判されることはなかったかと思う。

それはなぜかというと、尾崎豊へのリスペクトや尾崎豊の主張を理解した上での歌詞だからだ。

 

そしてこのフレーズだけを切り取ると真逆ではあるが、両者が伝えたいメッセージは同じように感じる。

思春期の頃に感じる衝動や反抗心などの感情を歌にしているように思う。

 

尾崎豊はその感情をぶつける先として「夜の校舎窓ガラス壊して周った」という行動に出ることを歌ったが、真心ブラザーズは尾崎豊の卒業の主人公と同じような感情は持ちつつも、窓ガラスを壊すことができなかった人のことを歌っているように感じる。

本当は校舎の窓ガラスを割るほどの衝動を持っているが、それができない人間だから何をしようかという歌だ。

 

そのことをかなり丁寧に曲にし、歌詞にして一つの楽曲として成立させている。

これは真心ブラザーズの代表曲の1つでもあり、人気のある曲の1つにもなった。

 

このように他者の意見に乗っかり自分の意見を主張する場合は慎重に丁寧に行わなければならないのだ。

歌の歌詞へのアンサーならば歌で返すことが礼儀かもしれない。

それも相手へのリスペクトや理解を忘れずに丁寧に。

 

その部分がヨギー側はできていなかったのかとも思う。

大森靖子の歌に対して、他のライブでも言っていた発言だとしてもMCでの発言としてアンサーを返したヨギー。

ヨギー側に悪気がなかったとしても、勘違いされてしまう原因はこういったところにあったのかもしれない。

 

本来ならば褒めるわけでもないのに歌詞の内容をMCで言及することは御法度ではないだろうか。

 

大森靖子も落ち度はある。

 

ここまでヨギー側を悪者にするようなことを述べてしまったが、個人的には中立だ。

どちらも同じ割合で悪い部分があったのではと思う。

 

今回の件で大森靖子に落ち度があるとしたら、Twitterでの発言だと思う。

Twitterで発言しなければ落ち度は100%ヨギー側にあり、ヨギーが真摯に謝罪すれば終わった話かもしれない。

しかし、大森靖子はこの件をTwitterで感情的にツイートした。

自分が魂を込めて真剣にやっていたことを茶化されたと感じたのだから、冷静でなくなることも仕方がないかもしれない。

それだけ大切なものだったのだ。

 

しかし、Twitterで一般人も巻き込んで発言したことにより、今回はヨギーが失礼な態度を取った話から、ヨギーと大森靖子の喧嘩になってしまった。

それでも最初のツイートだけでこの件への言及を止めておけば大事にはならなかったかもしれない。

それにも関わらずツイートの内容はヨギーへの抗議からヨギーへの批判や悪口に変わって行った。

 

「我慢して聞いてみたけどインスタ映えする音楽でした」

 

上記は大森靖子がヨギーの音楽について言及したと思われる発言だ。

この発言は大森靖子がヨギーにされた失礼な発言や対応と同じような事をしている。

ヨギーが大森靖子の音楽をきちんと聴いていなかったことと同じように大森靖子もヨギーの音楽をきちんと聴いていないのではと推測してしまうような発言でもある。

 

この件については先に喧嘩を売られたとしても、冷静さを欠いているし謝罪すべき部分があるのではと思う。

 

両成敗でいいじゃない

 

9月14日、Yogee New Wavesが公式サイトに謝罪文を掲載した。

「音楽は魔法だよ」発言については直接大森靖子に弁明へ行った時の理由とは違うが、ベースを無断で借りたことについては経緯も丁寧に綴られている。

事態は大事になってしまったし、謝罪文の内容にも気になる部分はあるが、解決には向かってきている。

 

ヨギーが謝罪をしたのならば、今度は大森靖子も何かしらレスポンスをする必要があるのではと思う。

個人的には大森さんも冷静になって謝罪すべき点はきちんと謝罪することが収束させるベストな方法だとは思う。

謝罪に納得していないならば「こんな謝罪文で納得するわけない」という抗議でもいい。

 

一応大森靖子の公式ブログで抽象的な表現でヨギーの謝罪の件に触れている記事を書いているようには感じる。

しかし、この件については双方のファンも巻き込んでしまってモヤモヤさせていることはヨギーだけではなく大森さんにも責任はあるかと思う。

ファンのためにも何かしら収束させるためのレスポンスをはっきりと示して欲しいなと思う。

 

難しく考えるより好きになった方がいいじゃない 

好きにならなくても両成敗でいいじゃない

 

川谷絵音はゲスの極み乙女。の両成敗でいいじゃないという曲でこのような事を言っている。

今回の件はお互いの勘違いやすれ違いによる喧嘩だと思う。

自分は今回の件について、この歌詞のようにお互い好きにならなくても両成敗でいいじゃないと思う。

 

だからお互いに謝罪するべっきーだとほのかに思うわけである。

 

両成敗でいいじゃない

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