オトニッチ

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くるりの代表曲ロックンロールのタイトルと歌詞の意味を考察と解釈

くるりとは

さよならストレンジャー

 

 

くるは去年結成か20周年をむかえた、京都出身のロックバンド。

立命館大学在学中に結成され、何度かメンバーチェンジを重ね、現在はフロントマンである岸田繁とベースの佐藤征史、トランペットのファンファン(産休中)の3人組のロックバンドだ。

 

楽曲のクオリティが高く、音楽性も幅広い。

アルバムごとに音楽性が変化している。

マイナー調の少し暗めの曲やダウナーなロックを演奏することが多いバンドゆえか、J-POPファンよりも、音楽にうるさいコアなロックファンに人気がある。

 

去年には主に作詞作曲をしている岸田繁は、京都市交響楽団のために、交響楽を書いたりと、ベースの佐藤征史は木村カエラのバックバンドを勤めたりと、くるり以外の活動も活発に行っている。

毎年9月には京都音楽博覧会という野外フェスも開催したりと、日本の音楽シーンにとって重要なバンドになっている。

 

くるりの代表曲は

 

 20年活動しているバンドなので、「代表曲は何か?」とファンが聞かれても悩むところだ。

 

“東京”

“ばらの花”

“ロックンロール”

 

曲の好みはそれぞれでも、代表曲と聞かれたらこれら3曲のどれかを答えるファンが多いかと思う。

 ちなみにこの中で、“東京”と“ばらの花”はタイトルが歌詞の中に出てくるが、“ロックンロール”は曲のタイトルが歌詞の中に出てこない。

 

そして、曲や歌詞の内容も、何故ロックンロールというタイトルにしたのかが、1回聴いただけではわからないのだ。

そもそも、世間のイメージする“ロックンロール”とくるりの曲のロックンロールは音だけ聴くとイメージが少し離れている。

 

ロックンロールの定義とは

 

そもそも、ロックの定義とはどういう事なのか、ロックンロールとはどういう意味なのか。

わかっているようで、はっきりとした定義や意味は曖昧だ。

 

最初期の多くのロックは既成概念や体制に対する反抗心や怒りを強く表現することが主体で、対抗文化(カウンターカルチャー)としての存在意義を持っていた。

 

Wikipediaなどにはロックンロールの定義として、こういったことが書かれている。

今のロックはカウンターカルチャーとしての存在意義も薄れてきているとは思う。

しかし、今でもロックンロールと言えばそういうイメージもある。

 

それは、今でも日本でロックンロールをやっていたミュージシャンと言えば、忌野清志郎など、そういった一面を持っていたミュージシャンが思い浮かぶからだ。

しかし、そういったミュージシャンたちがやりたかったことは、反発することではなく、自分の思いを嘘偽りなくまっすぐ伝える事で、それこそをロックとしての行動と考えていたのではと思う

自分の意思を伝えようと思わなければ、反発もしないからね。

 

ということで、ここではロックンロールの定義を自分の思いを嘘偽りなく表現するという定義だと仮定する。

 

くるりのロックンロールの歌詞の遊び心

ロックンロール

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進めビートはゆっくり進む

足早にならず確かめながら

 

これはくるりのロックンロールのAメロの歌詞。

ちなみに、くるりのロックンロールのリズムはエイトビートだ。

昔からロックのリズムはエイトビートが多い。(wikipedia参照)

 

ロックンロールの音楽的特徴としては、リズム・アンド・ブルースのほぼ均等なや、ブルース・ジャズのシャッフル/スイングしたビート、ブルースのコード進行や音階(スケール)を応用した楽曲構成を挙げることができる。

 

もしかしたらロックンロールについて歌うので、意図的にリズムもエイトビートにしているのかもしれない。

そして、歌詞の通り曲のBPMもそれほど早くはない。

こういった遊び心があるところも、くるりの歌詞の面白いところ。

 

2番の最後のサビの歌詞も遊び心がある。

 

8の字描くように無限のビートグライダー飛ぶよ

 

ここもエイトビートが刻まれ続けていることをビートグライダーという表現で表しているのではと思う。

 

この歌のロックンロールな部分はどこか

 

 そして、結局、くるりのロックンロールの歌詞のどこが”ロックンロール”なのか。

 

自分は、2番のAメロの歌詞が特に”ロック”だなと思う。

 

たったひとかけらの勇気があれば

ほんとうの優しさがあれば

あなたを思う本当の心があれば

僕はすべてを失えるんだ 

 

この部分がくるりのロックンロールの歌詞で、最もロックンロールを感じる部分だ

 

くるりの歌詞はひねくれたものや、少々わかりづらい比喩や複雑な表現が多い。

そして、ロックンロールのリリース時のくるりは、”人気も上昇中の今注目のバンド”だった。

そして、くるりの歌詞は複雑な表現やひねくれた表現を使うことも多く、散文詩的な歌詞も多い。

それゆえに、文学的な歌詞と言われたり、変わったバンドと言われることも多かった。

そして、曲もマイナー調の曲が多かったり、ダウナーなロックをやることが多く、明るいイメージがなかった。

 

しかしだ、2番のAメロの歌詞は、びっくりするぐらいまっすぐな表現だ。

まっすぐ”あなたを思う気持ち”を歌っている。

ここまでまっすぐ歌うくるりの歌詞は、ロックンロール以前はなかった。

 

ひねくれものの岸田繁は、”文学的な歌詞を書くバンド”という世間のイメージに反発する意味で、あえてストレートな表現の歌詞を書いたのではないだろうか。

 ひねくれものだからこそ、まっすぐ表現をすることで、”変わっている”という世間の声に反発をしたのではないだろうか。

 

つまり、くるりのロックンロールは、こんなストレートな歌詞もかけるんだという表明でもあり、文学的な歌詞だといわれ、売れ始めてきたくるりというバンドに対するイメージへの反発なのかもしれない。

 

そして、くるりの曲はマイナー調の曲や、ダウナーなロックが多い

しかし、ロックンロールのキーはAで、くるりの曲の中では明るいイメージを感じる曲だ。

 

それについても、明るい曲もできるんだからなという表明でもあり、暗いというイメージやダウナーという音楽関係者や音楽ファンが持つイメージへの反発だったのかもしれない。

 

 ↓画像クリックで動画が開きます。


くるり - ロックンロール (LIVE)

 

本当の意味は

 

あくまでここまで述べたことは自分の仮定だ。

 

実際、なぜこのこの歌詞とこの曲で”ロックンロール”というタイトルにしたのかは、ソングライターである岸田氏やくるりにしかわからない。

一説には当時のメンバーだったクリストファー・マグワイヤがライブで「ロックンロールはすきですか!?」と言ったことが理由という説もある。

 

しかし、これだけ多くの人に愛されている名曲で代表曲。

それ以外にもタイトルに思いがこもっているのではと思ってしまう。

 

まとめると、世間のくるりへ持っているイメージへの反発の歌ということになる。

 

ロックンロール以降のくるり

 

この曲以降、くるりもストレートな表現をすることも増えてきた。

ロックンロールが収録されたアルバム、アンテナの次にリリースされたNIKKIは音もストレートで歌詞もストレートな曲も多い。

NIKKIくるりのアルバムの中では全体的に明るい雰囲気だ。

 

NIKKIの中には”BABY I LOVE YOU”という今までのくるりだったら歌わなかったであろうストレートなタイトルと歌詞のラブソングが収録されている。

 

これはロックンロールを歌ったことで、それまでのくるりのイメージを新しく上書きして、さらに音楽性の幅を広げたからこそ、リリースできた曲ではと思う。

 

ロックンロールの本当の意味はわからないが、くるりにとっても、ファンにとっても一つのターニングポイントになった曲なのではと思える名曲だ。

 

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