2017-06-12 アイドルは大人にやらされている?-ハライチ岩井氏のツイートについて考察- 音楽コラム コラム・エッセイ 欅坂46 BiS ハライチのツイートが話題に 3次元アイドルにあまりハマれない理由がわかった。曲中、歌詞で結構良いこと言ってるのに歌ってる本人たちが思ってない感じが見え隠れする所に大人にやらされてる感じが見えて可哀想になってしまう。 — 岩井勇気 ハライチ (@iwaiyu_ki) 2017年6月11日 ハライチの岩井さんがツイートしたこの内容。 一部のアイドルファンの間で話題になり炎上しているようです。(主に乃木坂や欅坂のファンに) でも、この内容には個人的には共感ですよ。 実際殆どのアイドルは用意された曲と歌詞で振付師に振り付けを考えて教えてもらって、用意されたセットリストでパフォーマンスをする。 だから、本人たちが好きでもない歌を歌わされて、やりたくもないパフォーマンスをさせられることもあると思う。 特にAKBグループやジャニーズJrなど、人数が多いグループは個々の個性もファン以外にはわかりにくかったりするわけだし。 人数が多ければ全員が全員、大人に指示されたことを喜んでやれないアイドルも増えてくるとは思う。 そのカウンターとしてセルフプロデュースするアイドルだったり、作詞や振り付けを自分で行うアイドルも出てきているのだとは思うが、人気どころの殆どは現状大人にやらされている。 自分もアイドルは嫌いではないしライブに行くほど好きなグループもある。 でも、殆どのアイドルがバンドやシンガーソングライターと違って。1から音楽を作り上げてライブを行うことはできない。 正確にいうと、バンドでもプロデューサーがいたり、シンガーソングライターでも楽器はギターしかできず編曲ができないというパターンも多いけどね。 しかし、大人にやらされているアイドルがつまらないのかというと、そんなことはないと思う。 やらされているからこその面白さも生まれるのではないだろうか? 兵士のアイドル 幻の慰問雑誌に見るもうひとつの戦争 押田 信子 旬報社 2016-06-02 Amazonで購入 Kindleで購入 楽天ブックスで購入 楽天koboで購入 やらされているからこそ面白いアイドルの曲 例えば、欅坂46。 このグループ、やらされているがゆえに面白い曲になっていると思うんですよ。 だって、大人にやらされているのに、”大人たちに支配されるな”と歌わされているんですよ。 もちろん、楽曲の完成度がかなり高いから普通に聴いていても良い曲だと思うし、名曲だと思う。 そこに、ちょっとした皮肉も効いていてより楽曲に深みが出ているのではと思う。 例えば、BiS。 このグループこそ”大人にやらされ続けてきたグループ”だと思う。 売れるためには手段を取らず、全裸でMVを取ったり、24時間連続ライブをやったり、車中泊、炊飯器持参で全国ツアーを回ったりと話題作りでのし上がった。 楽曲もクオリティが高く、音楽ファンや音楽関係者にも評価されていたものの、それだけでは売れないからと、やりたくないようなこともやらされ続けてきたグループだ。 それも、アイドル本人たちの意思ではなく、運営する大人にやらされてのことだ。 本人たちが作詞する曲があったことも理由ではあるとは思うが、やらされている中でもがくメンバーや、それでも必死に活動するメンバーがいるからこそメンバーの感情が歌やライブパフォーマンスに現れていた。 そこに”歌詞で結構良いこと言ってるのに歌ってる本人たちが思ってない感じが見え隠れ”することはなかった。 会社員と自営業の違い 自分たちで曲を作れるバンドやシンガーソングライターをレコード会社から業務委託をされている自営業とすると、アイドルは会社員と例えられるのではないだろうか。 バンドは自分たちで曲も作ってパフォーマンスするが、クライアントの求めるものを作っていかなければならない。 そのため100%自由ではないし、妥協しなければならない部分もあるが、アイドルと比べると自由な部分は多いだろう。 逆に、アイドルは会社に所属して担当を決められて、”アイドル”という仕事を担当していると考えてみよう。 そのため、曲を作る担当や歌詞を書く担当はほかにいるので、アイドルは自らの与えられた担当の仕事を最大限こなせばよい。 普通の会社は零細企業でない限りは、営業担当と開発担当が同じということは少ない。 それぞれ役割分担が違う。 しかし、営業に対して客が「お前が作った商品じゃないから説明されても信頼できない。開発担当を呼べ」と言っても仕方がない。 例えば、「ももクロの怪盗少女は嘘に聞こえるからヒャダインに歌わせろ」と言ったところで、ヒャダインの怪盗少女が多くの人に響くかと言われると、それは違うのではないだろうか。 アイドルにやらされてる感を感じさせないためには 会社員だとしても、この人は会社にいなければ困る必要だと思われる人材もいる。 社員なんて代わりはいくらでもいると思われがちな部分があるが、「この人には辞められたら困る」と思われるほどの実績や能力がある人もいる。 アイドルの中で存在感を出せる人はそういった人なのではないだろうか。 しかし、会社で実績を残せていなかったり、能力がなかったり、やる気がない人もいる。 そういう人は”会社に仕事をやらされてる感”を周囲に感じさせてしまうだろう。 つまり、やらされている感をリスナーに感じさせてしまうアイドルは、できない社員なのだ。 だが、それはアイドルだけの責任ではない。 それは楽曲を作ったり、マネジメントをしているアイドルの運営にも責任があるのかもしれない。 会社で例えると、性能も新しさもない商品を商品開発担当が作り、営業に売ってこいと言っても、「こんなクソみたいな商品売れないだろ。でも仕事だから仕方がないから売るか」となるわけだ。 商品が良かったとしても給料が安かったり会社自体に不満があれば、「こんな会社のために頑張れない」となる。 アイドルだって微妙な曲や微妙な振り付けをされたり、マネジメントをしっかりしてあげなければ、やる気をなくすだろう。 本人たちが頑張ろうと思っても、空回りしてしまうときもある。 つまり、アイドル運営もアイドルのことを考え、アイドルが活動しやすい環境や、自信をもって活動できる曲などを用意しなければならない。 もしくは、ブラック企業のように洗脳してしまうかだろう・・・・・・。 アイドルにやらされてる感があることは仕方がない? どれだけいい会社でもやる気のない人間はいる。 それは仕方がないことなのだ。 特に社員数が多くなればなるほど、割合は低いとしてもそれなりの数はいるはずだ。 アイドルの場合も同様だろう。 人数の少ないグループだったら、メンバーも運営も全員がやる気をもって活動できているグループも少なくはないと思う。 しかし、人数が多いグループはマネジメントも大変になってくるだろうし、全員が一つの方向を向いて活動することも難しくなってくるだろう。 そういった歌を聴いたとき、ハライチの岩井氏のように”歌ってる本人たちが思ってない感じが見え隠れする所に大人にやらされてる感じが見えて可哀想になってしまう。”という感想を持つ人も出てくるのではないだろうか。 でも、これってアイドルに限らず、バンドでもあることだ。 バンドも方向性の違いやメンバー間のやる気の違いや喧嘩別れなどで活動休止したり、解散する場合も多い。 例えばウルフルズやピロウズなどベテランバンドもそういった理由で活動休止した経験もあるし、ユニコーンも再結成したものの、解散したときはそのような理由だ。 レミオロメンもベースの前田氏もインタビューで”やりたくないことをやらされているような感覚があった”と語っていたことがある。 だから、アイドルに関わらず、活動をしていくうちに”やらされている感”を感じることは仕方がないのかもしれない。 どうすればハライチ岩井氏に3次元アイドルにハマってもらえるか? ハライチの岩井氏は”3次元のアイドル”はと区別してツイートしている。 バンドだけでなく、アニメのアイドルは許せるということだろう。 この違いは何なのか? それは、ただの音楽の好みの違いだろう。 ハライチの岩井氏はアイドルやアイドルの曲に興味がなくて、なんで興味がないのか考えたらそんな気がすると思って自分の考えをツイートしただけだ。 だから、実際はアイドルにやらされてる感があろうがなかろうがどうでもいいのだ。 それは、一般の人から「歌詞をアイドルが作り歌ったら気持ち込められるかな?」というリプライに対しての返信からも、ただの好みの違いだということがわかる。 そうかもしれません。恐らく共感はしずらくなりますが。 https://t.co/p1fxbVVOTC — 岩井勇気 ハライチ (@iwaiyu_ki) 2017年6月11日 しかし、シンガーが自分で作詞作曲をしていないアニメソングは好んで聴いたり過去にはアニソンバンドも組んでいた岩井さん。 だから、まあ、趣味の違いだし、伝わらないものは仕方がないよね。