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くるり、あてのない旅に出掛けたくなる名曲7はこれか?(おすすめ)

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先日ロッキングオンのくるりに関する記事を読んだ。『くるり、あてのない旅に出掛けたくなる名曲7はこれだ! 』という記事だ。

 

紹介されている楽曲はどれも文句のつけようがない名曲だ。たしかに旅に出たくなるような、聴いていて心地よい楽曲が多い。しかし記事の導入部分に違和感を感じた。

 

冒頭から個人的な話で恐縮なのだが、2年前の4月、宮城県の福浦島というところへ「海が見たい」という理由だけで繰り出した。引き込まれそうになるくらいの真っ青な海や、そこにぽつぽつと浮かぶ小さな岩や島を眺めているうちに、ふと音楽が聴きたくなり、イヤホンを耳に挿してオーディオプレイヤーを起動させる。そして真っ先に聴いたのが、くるりだった。

 

この文章を読んでモヤモヤしたのだ。これはあてのない旅ではない。宮城県福浦島に行って海を見るという目的がある。weblio類語辞典に掲載されている『あてのない旅』の項目には「目的や目的地を持たずに歩き回ること」と書かれている。

 

つまりこれはロッキングオンの記事は「くるり、計画的な旅に出掛けたら聴きたくなった名曲7」なのだ。

 

そこであてのない旅に出掛けたくなるくるりの名曲について改めて考えてみた。これこそが「くるり、あてのない旅に出掛けたくなる名曲7」だ。

 

GUILTY

GUILTY

GUILTY

  • くるり
  • オルタナティブ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

あてのない旅に出る人は大体毎回いつも病んでいる。自暴自棄になっている。そうでなければ計画を立てて旅にでかける。せめて目的地ぐらいは決める。

 

いっそ悪いことやって捕まってしまおうかな

欲しいものはあきらめてる

持ってるものにも飽きてきた

どうにもならんし

(くるり / )

 

 これぐらいの精神状態でなければあてのない旅には出掛けない。あてのない旅に出る精神状態にするためにも、まずは『GUILTY』を聴くべきだ。 

 

ハイウェイ

 

病んで現実逃避のためにあてのない旅にでたわけだが、このタイミングで『ハイウェイ』を聴いてほしい。MVに出てくる妻夫木聡になった気分になれるはずだ。

 

MVを見ればわかるように、妻夫木聡は悪いことをしている。スクーターやトラックを盗んで逃亡している。病んで旅に出て『ハイウェイ』を聴いた者も、同じように盗みを働いてしまうはずだ。

 

いっそ悪いことやって捕まってしまおうかな

 

『GUILTY』で歌われていたことを現実にしていしまう。何も考えずに犯罪を犯してしまう。トラックを盗んでしまう。これが「あてのない旅」だ。

 

HOW CAN I DO?

 

ふと冷静になる「自分は何をやっているのだろうか」と。

 

今後どうすればいいのかと後悔する。反省しきれない。とりあえずコンビニにトラックを止めて考える。罪を償うにはどうすればいいのか。盗んでしまったトラックはどうすればいいのか。

 

「どうすればいい」を英語にすると「HOW CAN I DO」だ。くるりに同名タイトルの曲があることを思い出す。とりあえずコンビニ買ったコーヒーを飲みながらくるりの『HOW CAN I DO?』を聴いて心を落ち着かせる。

 

買ったコーヒーはマウントレイニア。

 

そういえば多部未華子がマウントレイニアCMで『HOW I CAN DO?』を歌っていた。くるりと多部未華子。なかなかに相性がいい。多部未華子を少し好きになる。

 

sanpo

 

多部未華子といえば『リラックマとカオルさん』というNetflixのアニメで主演声優を務めていた。その主題歌はくるりの『sanpo』。くるりと多部未華子はやはり相性が良い。

 

聴いていて晴れやかな気持ちになる優しい楽曲だ。聴いていると散歩をしたくなる。

 

トラックをコンビニに乗り捨てて散歩をすることにした。

 

そもそもどうしたってしょうがない

じたばたしたってどうにもならないの

ねえ 教えてリラックマ

(くるり / sanpo)

 

歌詞が胸に響く。そうなのだ。じたばたしたってどうにもならない。トラックを盗んでしまったこともしょうがない。文句があるなら教えてリラックマ。

 

そんなことを考えながら、あてもなく歩き続ける。ひたすら歩く。これが「あてのない旅」だ。

 

宿はなし

宿はなし

宿はなし

  • くるり
  • オルタナティブ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

ひたすら歩き続けて気づく。「泊まる場所がない」と。周辺にはお店どころか民家もない。あてのない旅だから宿の予約なんてしていない。そもそもここがどこなのかもわからない。

 

何時間あるいたのだろうか。トラックを乗り捨てたコンビニの場所もわからなくなった。あたりは暗くなってしまった。

 

宿はなし。野宿をすることを決めた。これが「あてのない旅」だ。

 

ワンダーフォーゲル

 

野宿するにも寝れそうな場所はない。とりあえずまだ歩くことにする。さっきから坂道が続いている。どうやら山道に迷い込んだようだ。道路は舗装されていない険しい道になってきた。

 

ひたすら山道を歩き続ける。何千マイルも歩いた気分になる。どうしょもない僕のこと認めてくれるだろうか。

 

川に架けられた橋にたどり着いた。しかし床が抜けていてあるけない。このままでは先に進めない。しかし何千マイルも歩いたので引き返すことは難しい。覚悟を決めて川に飛び込む。泳いで先へ進む。

 

登山をしたり、川を泳いだり、これは「ワンダーフォーゲル」だ。 

 

日本海

日本海

日本海

  • くるり
  • ロック
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  • provided courtesy of iTunes

 

 あたりはすっかり明るくなった。朝になったようだ。

 

どれだけ歩いただろうか。どれだけ泳いだだろうか。わからない。でも本気で「ワンダーフォーゲル」をやりきったことで気分は晴れやかで最高だ。

 

山の頂上までたどり着いた。達成感がある。あてのない旅だが、最終的に山の頂上にたどり着くという予想していないゴールに来た。

 

景色も最高だ。海が見える。あれは日本海だろうか。その線は水平線。

 

あてのない旅も悪くはない。予想できないからこそ楽しめることもある。でも今度は計画を立てて旅もしてみたい。海外へ行くのも悪くない。ヨーロッパに行ってみたいな。『遥かなるリスボン』へでも行こうか。

 

これが「あてのない旅」に出かけた結果だ。

 

そういえば盗んで乗り捨てたトラックはどうしようか?

 

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