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【ライブレポ・セットリスト】でんぱ組.incFC限定イベント『あつまれ!でんぱとう基地局〜DEMPARKはどこですか?!〜』at 恵比寿LIQUIDROOM 2022年5月25日(水)

開演直前、ステージ裏からメンバーが気合いを入れるための掛け声が聞こえた。マイクを通していないのに、客席まで聞こえるほどに大きい声だ。

 

でんぱ組.incのファンクラブ限定イベント『あつまれ!でんぱとう基地局〜DEMPARKはまだですか?!〜』。コアなファンが集まっているからと甘えることなく、気合いを入れて気迫のあるパフォーマンスをするつもりなのだろう。

 

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いつも通りのSEが流れメンバーが出てくると、盛大な手拍子を贈る観客。まだコロナ禍なので歓声をあげることも、メンバーの名前を呼ぶこともできない。ファンはそのルールをしっかり守り、拍手に全ての想いを乗せている。

 

1曲目は『千秋万歳!電波一座!』。高咲陽菜のパントマイムを取り入れたダンスで観客を引き付け、そこから曲が始まる。1曲目から全力でパフォーマンスをする9人。その熱気はフロアにも伝わり、比例して観客の熱気も急上昇する。

 

自分は最近のでんぱ組.incについて、応援するモチベーションが下がりつつあった。ライブも久々に観る。根本凪がライブに参加しなくなってからは初めての参加である。

 

自分が出会った頃にいた最上もがと夢眠ねむと成瀬瑛美はグループからいなくなったし、古川未鈴は現在ライブ活動を休止している。その後「根本凪が今後歌唱面を引っ張っていくのでは?」と思い期待し推していた矢先、ねもも卒業してしまった。

 

今は過去の思い出と感謝の気持ちによって、なんとか気持ちを繋げている状況だ。

 

しかし1曲目のパフォーマンスを観て、一瞬でモチベーションが回復した。今のでんぱ組もライブの熱量は変わっていなかったからだ。

 

むしろ久々に観た新メンバーたちは、さらにパフォーマンスに磨きがかかって魅力的になっている。先輩メンバーは貫禄を見せつつも、後輩に負けない勢いで歌い踊っている。

 

さらに『破!to the Future』を間髪入れずに続け客席から手拍子を巻き起こし、新曲『でんぱせいばぁ☆』でも過去の名曲と変わらない盛り上がりを作り出した。いつも以上に衝動に満ちたパフォーマンスだ。

 

MCは長々とはやらない。全員が一言ずつ挨拶をすると、ピンキーが「今日は湿気が凄いね!。この湿気を飛ばしていくぞ!」と叫んで『ギラメタスでんばスターズ』へと雪崩込む。とにかくパフォーマンスででんぱ組の凄さを見せつけたいのだろう。

 

この楽曲もアップテンポでダンスも激しい。メンバーもファンも休む間もなくひたすらに盛り上がっている。しかし会場の熱気で湿気を吹き飛ばしたかったようだが、全員が汗をかいたせいで湿気は酷くなった気がする。

 

ここまで衝動的なパフォーマンスでひたすらに盛り上げていたが、でんぱ組の魅力はアゲ曲だけではない。豊かな表現で魅了させることもできる。

 

続いて披露された『あした地球がこなごなになっても』は、まさにそのような楽曲だ。繊細に歌い魅せるダンスをする。薄暗い照明に包まれるメンバーの幻想的な姿には引き込まれてしまった。

 

その余韻を楽しんでいた観客だが、余韻に長く浸る暇はなかった。。ステージ袖からメンバーがリボンスティックを持ってきて、『でんでんぱっしょん』が始まったからだ。

 

この楽曲は新体操で使われるリボンスティックを使ってパフォーマンスをする。9人が華麗にリボンを操り踊る姿は圧巻だ。

 

新体制になってから、しばらくライブで披露していなかった楽曲でもある。後半に卒業したメンバーのえいたその名前が歌詞にあり、しかもえいたそのキャラクターを意識した歌詞だからだ。披露することが難しかったのだろう。

 

でんぱ組の歌詞にはメンバーのパーソナリティが反映されたものが多い。そのためメンバー編成が変わると披露が難しくなる楽曲もある。

 

しかし歌詞が新たに書き換えられ、新メンバーの天沢璃人と小鳩りあの力強いラップが活かされた歌詞とアレンジになっていた。今のメンバーだからこその楽曲へアップデートされているのだ。

 

6曲を終えて早くも「以上!でんぱ組.incでした!」と挨拶する相沢梨紗。今回は純粋なワンマンライブではなく、ファンクラブイベント。それもあってここからはライブではなく特別企画が行われるのだ。

 

「新メンバーの自己紹介をファンの意見を参考に先輩メンバーが考える」という企画だ。事前にTwitterで「#でんぱとう自己紹介」というハッシュタグでファンから案を募集していた。

 

そんな企画が始まる前にサプライズがあった。「スペシャルゲストがいます!」と紹介され、現在ライブ活動を控えている古川未鈴が登場したのである。成瀬瑛美の卒業ライブ以来、久々にファンの前に姿を見せた。

 

ピンキー「なんか衣装の記事が未鈴ちゃんだけレースが多いんだけど!」

古川未鈴「スペシャルゲストということで豪華になっています」

相沢梨紗「本当は急遽の出演だから未鈴ちゃんだけ衣装の生地の発注が間に合わなかったんだけどね」

 

久々にファンの目の前での共演だが、やり取りは以前と変わらない雰囲気である。しかし少し照れた様子の古川未鈴は、少し面白い。

 

古川はいじられ度合いが増したようだ。ぺろりんに「未鈴ちゃんに自己紹介の見本を見せてもらいましょう!」と言われ、咳払いをして照れた様子で久々に1人だけガッツリと自己紹介を行った。その様子が少し面白い。相沢には「2000年振りにやったでしょ?」とさらにイジられていた。

 

どうやら古川未鈴、相沢梨紗、ピンキー、ぺろりんの4人が新メンバーの自己紹介を考えるようだ。椅子に座る先輩の前に、まるで面接のように1人ずつ新メンバーが登場する。

 

最初に登場ひたのは最年少の高咲陽菜。

 

ぺろりん「何か入れたい言葉はありますか?」

高咲陽菜「あります!ひなドリームという言葉を入れたいです!」

ぺろりん「では先輩のみなさん、ひなドリームを入れなくても別にいいんで、自己紹介を考えてあげてください!」

古川未鈴「そこはひなドリームを入れてあげて!」

 

ぺろりんは後輩に対してもドSである。

 

ピンキーは「卵の中からひなドリーム」という案を出し、相沢梨紗は「夢に向かってひなドリーム!山梨からきた超新星!」という案を出した。

 

スペシャルゲストの古川未鈴は「悪ガキムーブ!ひなドリーム!」という案を出したものの「本当はクソガキにしようと思ったけど止めてあげた」と尖った発言をする。でんぱ組は後輩にドSになるメンバーが多いようだ。

 

先輩想いの高咲陽菜は「どれも素晴らしいです!」とお世辞を言いつつも、相沢の案がお気に入りと話していた。

 

続いて登場したのは天沢璃人。やはり先輩メンバーは好き勝手な自己紹介を考え、大喜利のように発表していく。

 

ぺろりんは「シャンパン!シャンパン!」と連呼する自己紹介を考え、古川未鈴は「クッキー大好き!」という言葉を使った自己紹介を考えた。

 

しかし「未鈴さん以外のは良いんですけど......」と、1人だけ案を切り捨てられていた。スペシャルゲストなのに可哀想である。結局のところ、オラオラからのデレデレに繋がるツンデレな自己紹介を考えた相沢梨紗の案が採用された。

 

3人目は小鳩りあ。普段本人が使っている「モチモチ」という言葉を使いつつ、メイドカフェで働いていたことを生かすような文言の自己紹介にしたいということだった。

 

そんな彼女の意見を反映させ「おいしくなあれ」などメイドカフェで使われている言葉が使われた自己紹介案が先輩メンバーから次々と出てくる。しかしなかなか良い案は出てこないようだ。

 

古川未鈴「”明太子の色はピンク!あなたの止まり木になりたい!”これはどうですか!?」

小鳩りあ「止まり木というよりも、私は鳥になりたいので......」

相沢梨紗「ファンの人が止まり木だよね」

小鳩りあ「とりあえず未鈴さん以外のは一度試してみようと思います」

古川未鈴「おいこら💢ちょっと待て💢」

ピンキー「未鈴ちゃん、時間が押してるから!茶番はやめよう」

 

新メンバーは大先輩である古川未鈴に対して辛辣である。結局のところ本人案とファンの案、先輩メンバー案をミックスさせ「おいしくなあれ!もちもちきゅん!」とという言葉が印象的な自己紹介に落ち着いた。

 

続いて登場したのは愛川こずえ。

 

愛川こずえ「踊ってみたに関わる言葉を入れたいです。でも踊ってみた界の先輩がメンバーにいるので......」

ピンキー「いやいや!あなたは踊ってみたのレジェンドですよ!」

 

お互いに媚を売りあう「踊ってみた」出身の2人。しかしピンキー以外の先輩メンバーからは辛辣な対応をされてしまう。

 

古川未鈴「入れたいワードってなんだっけ???

愛川こずえ「真剣に考えてくださいよ!」

ぺろりん「人生の先輩やぞ!はどうですか?」

古川未鈴「ステージで踊ります。綺麗な花を咲かせます。こんなので良いんじゃない?」

愛川こずえ「他のメンバーの自己紹介は真剣に考えてたのに、わたしだけ雑じゃないですか!?」

相沢梨紗「こずえのずえはベネズエラのズエ!これはどう?」

愛川こずえ「客席の反応は一番良いんですけど、わたしはこれからずっとベネズエラを名乗るるんですか?」

古川未鈴「ステージでクソ真面目に踊ります!」

愛川こずえ「アイドルの自己紹介にクソは入れちゃダメでしょ!」

 

結局のところ愛川は「持ち帰って考えます」と答えて、確定せずに保留となった。

 

最後に登場したのは空野青空。可哀想という言葉を彼女なりにアレンジした「かわいとう」という言葉を入れたいとリクエストしていた。しかしリクエストを聞かずに描かれた自己紹介案が続々と発表される。

 

相沢梨紗「にゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんあおにゃん!」

空野青空「よく13回もにゃんをスケッチブックに書きましたね」

古川未鈴「それでも明るくがんばります」

空野青空「心に刺さりますね......」

ピンキー「ファンの人がツイッターに投稿したものの代筆です。”描かせてください。私とあなたの夢小説”」

空野青空「ファンの人のが一番良いじゃないですか!」

相澤梨沙「今日は歯医者の帰りなの!って言ったらファンの人が”かわいとー!”っていう感じで。可哀想に思われたいんでしょ?歯医者の部分は毎回違う不幸なエピソードに変える感じで」

空野青空「毎日不幸なことを思い出さなければいけないんですね」

 

空野の自己紹介案も本人が「持ち帰って考えます」と言って確定することはなかった。だんだんと先輩メンバーの大喜利大会になっていたので仕方がないだろう。

 

自己紹介会議が終わり、今後のリリースの予定などを発表するメンバー。これにてライブが終了かと思いきや相沢から「せっかく未鈴ちゃんが来てもらったので、全員で1曲やります」と告げられた。

 

「めっちゃ緊張するんだけどーーー!!!」と騒ぐ古川未鈴。しかし緊張しつつも楽しそうである。

 

全員で最後に披露されたのは『くちづけキボンヌ』。古川にとって約1年半ぶりのパフォーマンスだ。この9人で披露されたのは初めてである。しかし初めてとは思えないクオリティで、しかりと歌声を聴かせ、ダンスで魅せていた。

 

ファンクラブイベントということで、通常のライブとは違うメンバーの一面を観ることができた。それでいてグループに良い空気が流れていることも実感できた。

 

古川未鈴はファンクラブイベントを中心に、少しずつ活動を再開していくらしい。彼女の活動再開の場としても、今回のファンクラブイベントは必要で重要な場だったのかもしれない。

 

■でんぱ組.incFC限定イベント『あつまれ!でんぱとう基地局〜DEMPARKはどこですか?!〜』at 恵比寿LIQUIDROOM 2022年5月25日(水)セットリスト

1.千秋万歳!電波一座!

2.破!to the Future

3.でんぱせいばぁ☆

4.ギラメタスでんばスターズ 

5.あした地球がこなごなになっても

6.でんでんぱっしょん

MC自己紹介会議

7.くちづけキボンヌ