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【ライブレポ・セットリスト】藤原さくら 「野外音楽会 2021」2021年9月20日 日比谷野外大音楽堂

藤原さくらにとって、日比谷野外大音楽堂は特別な場所なのだろう。

 

彼女がここで初めてライブを行ったのは2018年。その際に「野音でやることが夢だった」と語っていた。汗だくになりながらも、終始笑顔で歌い演奏する姿は幸せそうだった。ファンも夢を叶える姿を祝福するように楽しんでいた。

 

だからか3年ぶり2度目の野音公演である『野外音楽会2021』も、他のライブを超える満面の笑みでステージに登場していた。3年前と同様に素晴らしいパオーマンスだった。

 

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しかし3年前と違う部分はある。

 

3年前は野音公演ができるレベルまでキャリアを重ねた上での「集大成」的な部分があった。それに対して今回は、野音を利用して「新しい挑戦」を行っていた。

 

1曲目の『Kirakira』からも新しい挑戦を感じた。

 

バンドメンバーによるジャムセッションから始まった楽曲。快晴の空の下で聴く演奏が心地よい。

 

藤原さくらはイントロの途中で登場した。ハンドマイクで上手から下手まで、満面の笑みで歩きながら歌う。

 

そのまま黒いタンバリンを華麗に叩きながら『Super good』を披露。これほどまでに黒いタンバリンが似合うアーティストの登場は、チバユウスケ以来だ。

 

久々に披露された『Someday』でもハンドマイクでステージを練り歩いていた。原曲は王道J-POPなアレンジだったが、今回は快晴の野外が似合う心地よいバンドサウンドに進化している。

 

『Someday』のアウトロから曲間なしで繋げた『君は天然色』も素晴らしかった。大瀧詠一のカバーで「ダイハツ ムーブ」のCMで流れている楽曲だ。

 

原曲の魅力を損なわずに、藤原さくらの色を点けている。こちらもハンドマイクで練り歩き、ステージセットに座ったりと魅せるパフォーマンスを繰り広げる。

 

彼女はギターを弾きながら歌うイメージが強いが、今回はハンドマイクで登場し4曲連続で歌っていた。

 

4月に中野サンプラザで行ったライブでもハンドマイクで歌っていたが「初めてステージを練り歩いたw」とMCで語っていた。まだハンドマイクは数える程しかやっていない。

 

そんな新しい挑戦が既に様になっている。自身のパフォーマンスとして昇華できている。このライブは進化した姿を見せる意図もあるのかもしれない。

 

ここでエレキギターを持ち、ミドルテンポの『Waver』をしっとりと披露。

 

暗くなっていく空とオレンジの照明のコントラストが美しい。演出と野外の自然が楽曲の魅力を引き立てる。今までの個性ををさらに強化した演奏もしっかり披露していた。

 

今回はリリースツアーではない。事前にファンから聴きたい曲を公式サイトで募っていたりと、自由にセットリストを組んでいたようだ。

 

4年前から存在しているものの音源としてリリースされていない『Just the way we are』というレア曲も、そんな自由なライブだからこそ披露したのかもしれない。この演奏も最高だった。早く正式にリリースしてくれ。

 

こんにちは藤原さくらです。みなさん元気でしたか?晴れて良かったですねえ!めっちゃ気持ちいい!

 

また野音でみんなと音楽をやりたいと思っていたので嬉しいです。万全にして今日は臨んでいますから。

 

ライブ前に日比谷公園を走って体力をつけました。どうやら何人かに目撃されていたらしいです。先週は整体に4回行ってきました。揉み返しで身体がバキバキになっています。痛いです。

 

でも万全の体制で行ってますので楽しんでください。

 

シュールなMCをしてから『Oh Boy!』を披露。

 

原曲はフォーキーな音色が印象的だが、今回はまさかのレゲエアレンジ。歌詞がなければ原曲がわからないほどに大胆にアレンジされている。

 

原曲から大きくアレンジを変えると失敗することもある。レゲエは藤原さくらのイメージからは、かけ離れている。勇気がいる挑戦だったと思う。

 

しかし見事に歌いこなし自分の音楽にしていた。それに驚き興奮した。

 

 

 

ライブ定番曲の『かわいい』もゆったりとしたリズムのアレンジで披露され、初期の名曲『Ellie』までもレゲエのリズムを取り入れていた。アフリカの楽器であるカズーをイントロで吹いていた『Give me a break』も最高だった。

 

新曲も初期曲も全て大胆にアレンジし、ひたすらに「最新の藤原さくら」を表現している。だから演奏は心地よいのに、新しい発見がいくつもあって刺激的。感情が様々な方向に揺さぶられるライブだ。

 

すっかり陽が落ちて暗くなった野音。照明演出が映える時間になってきた。

 

薄暗いステージで青の光に照らされながら演奏した『ラタムニカ』は、特に照明演出で楽曲の魅力が引きたっていた。妖艶で幻想的。そんな空気に吸い込まれそうになる。

 

まだ照明の凄みを感じる楽曲は続く。『Monster』では照明が点滅し、演出によりファンを盛り上げる。真紅の照明も楽曲のクールさを引き立てる。

 

この曲も以前の藤原さくらのイメージからかんがえると、新境地と言えるロックナンバーだ。しかし今ではライブでは欠かせない鉄板曲になっている。

 

新曲の『mother』は、愛について書こうと思った曲です。

 

愛は近くにいるかとか、思いやっているかというものの、さらに先にあると思っています。離れていても、会えなくても、それでも近くにいるように感じることが愛なのかなと思います。

 

みなさんのことも考えながら、支えられているなあと思っています。そう考えながら作りました。

 

愛は水を与えることというか「与えなさい、さすれば与えられる」みたいな。なんですかこれは?宗教の話ですか?

 

宗教の話でファンを信者にしてから、新曲の『mother』が歌われた。

 

夜の暗さを活かすように薄暗い中に、一筋の光を射すような照明。そこに洗練された音色が奏でられ、繊細な歌声が重なる。吸い込まれるような不思議な感覚になる。

 

そんな空気感が残った中で『ゆめのなか』で明るい空気を作り出す。この流れで聴くと、よりグッときて感動する。

 

こういう状況の中で集まってくださった方、配信で観てくださっている方、ありがとうございます。

 

これからどうなっちゃんだろうと思って不安になることもたくさんあって、でもみんなと一緒なら回り道でも楽しめるかなと思っています。

 

少し前に作った曲ですが、今の自分が歌いたい気持ちだなと思ったので、『NEW DAY』という曲を歌います。今日はアンコールはありません。気をつけて帰ってください。

 

最後の挨拶をしてから『NEW DAY』始まる。優しくて温かくて希望に溢れた曲。ポップなメロディと演奏が心地よく、歌詞のメッセージが胸に沁みる。

 

さぁ 変わってく New day
いまここで あたし
ほら 笑ってる New day
一歩ずつ 歩いていこう

(藤原さくら / NEW DAY)

 

3年前の曲だが今の世の中にも響く歌詞だ。そしてこの日のライブについて歌っているようでもある。

 

この曲は3年前の野音で初披露された曲だ。それが2回目の野音で重要な曲として披露されてた。野音で演奏されるべき楽曲なのかもしれない。

 

ラストは『お月さま』。可愛らしい歌詞とメロディが印象的な楽曲。夜の公園という最高のシチュエーションで聴くと、最高な気分になる名曲。

 

8年ぶりに満月だった中秋の名月の前日に、このライブは行われた。この日も空は晴れていて、綺麗な満月が浮かんでいた。それは『お月さま』を聴くための完璧なシチュエーションである。

 

夜になり吹く風は冷たくなってきたのに、音楽を聴くだけで心は温かくなっていた。そんな余韻が終演後も残っていた。

 

1時間半程度のライブ時間で、普段のワンマンライブと比べると短かかった。おそらく緊急事態宣言が出ている中でのライブだったので、人が集まる時間を短くしたかったのだろう。

 

MCを少なくする代わりに、曲間を短くして楽曲を詰め込む構成にしていると感じた。制限がある中でも最高のライブをやるための工夫がなされていた。だからライブ内容に不満はない。

 

でも、もしも通常通りのライブ時間だったなら、野音で再びライブをやったことへの想いを、本人の口から直接聞けたのかもしれない。

 

楽しそうにステージに立つ姿を見ていたら、もっと演奏したい曲や伝えたい想いがあったのかと思ってしまった。

 

いつか野音で思いの丈を十分に語り、たくさんの曲を歌い演奏する藤原さくらを観てみたい。次に野音でライブをやれる時は、コロナは終息しているだろうか。

 

日比谷野外大音楽堂が藤原さくらにとっての「日の暮れたいつものあの場所」になることを願って、次の野音ライブも楽しみに待っておこう。

 

■セットリスト

01. Kirakira
02. Super good
03. Someday
04. 君は天然色 ※大瀧詠一のカバー
05. Waver
06. Just the way we are
07. Oh Boy!
08. Lovely Night
09. 「かわいい」
10. Ellie
11. Give me a break
12. ラタムニカ
13. Monster
14. mother
15. ゆめのなか
16. NEW DAY
17. お月さま

 

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