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【ライブレポ・セットリスト】藤原さくら『Sakura Fujiwara Live 2021 SUPERMARKET』@ 中野サンプラザ 2021.4.9

スーパーマーケット

 

中野サンプラザで行われた、藤原さくらのワンマンライブ『Sakura Fujiwara Live 2021 SUPERMARKET』。

 

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客席に入った瞬間、違和感を覚えた。

 

開演前のBGMがおかしい。スーパーマーケットで流れていそうな、チープな打ち込みサウンドのBGMが流れている。

 

スーパーへ買い物に来た気分になってしまう。牛肉を買おうかしらと思ってしまう。

 

しかも藤原さくらの楽曲を、チープなサウンドにしたもの。ライブ前から彼女の音楽を聴けることは嬉しいが、牛肉のことを思い浮かべてしまう。

 

牛肉で頭がいっぱいになっていたが、途中でBGMの意図に気づいた。

 

今回はアルバム『Super good』のレコ初ライブ。

 

つまりアルバムやライブの世界観を「スーパーマーケットで流れてそうなBGM」によって、開演前から表現しているのだ。

 

この時点でライブが最高になる予感しかしない。

 

藤原さくらが登場する前から、彼女の音楽を受け入れる準備が完全に整っているのだから。

 

前半

 

開演時間を過ぎて注意事項のアナウンスが流れる。

 

「藤原さくらに呼ばれて来たから」という理由で声優の櫻井孝宏が話していた。意外なサプライズである。

 

そういえば藤原さくらはアニメ『おそ松さん』のファンで、「推し松はおそ松」とインタビューで話していた。

 

おそ松の声は櫻井孝宏である。二人は相思相愛だ。自分は嫉妬に狂う。

 

アナウンスが終わると、再びスーパーマーケットで流れていそうなチープなBGMが流れる。流れているのはアルバムのリード曲『Super good』。

 

少しずつBGMの音量が大きくなると、客席が少しずつ暗くなる。世界観に浸らせた状態で、ライブが始まった。

 

6名のバンドメンバーを従えた藤原さくら。

 

薄暗い照明のステージへ登場すると、椅子に座り鍵盤のシンセサイザーを、ゆっくりと丁寧に弾き始めた。

 

1曲目は『生活』。

 

生活

生活

  • 藤原さくら
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

途中でハンドマイクになり、リラックスした様子でしっとりと歌う。普段はギターを弾きながら歌うことが多いアーティスト。ハンドマイクで座りながら歌う姿は新鮮だ。

 

『Waver』でスタンドマイクで歌う姿や、『Ami』のインディーロック感ある演奏も新鮮だった。

 

しかし刺激があるだけでは無い。これらはミドルテンポの落ち着いた楽曲。心地良さもある。少しづつ丁寧にライブの空気を作っているようだ。

 

「みなさん、こんにちは!元気でしたか?よろしくお願いします!」と明るく挨拶する藤原さくら。

 

そした『Sunny Day』を演奏。

 

Sunny Day

Sunny Day

  • 藤原さくら
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ホーン隊の音が目立つアレンジになっており、原曲の爽やかさや明るさがより強調されている。気持ちの良い演奏だ。

 

次の曲は『かわいい』。こちらも明るくて華やかな曲。藤原さくらが歌う姿も「かわいい」。

 

「かわいい」

「かわいい」

  • 藤原さくら
  • J-Pop
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今回のライブではポップさとオシャレさが共存したアレンジになっている。

 

そのアレンジも「かわいい」。ギターを弾く姿も「かわいい。生きているだけで「かわいい」。

 

この2曲はファンも手拍子をしたりと盛り上がる。一瞬でステージと客席の心の距離が近づいた。心の距離だけは密だ。

 

みなさん元気でしたが?あなた達は喋ることを禁じられた人間なので、喋らないでください。

 

『SUPERMARKET』というアルバムを去年出しました。自分のやりたいことを詰め込んだアルバムです。その中から聴いてください

 

「喋ることを禁じられた人間」とサディスティックな発言をする藤原さくら。

 

マゾヒストなファンは素直に言うことを聴く。喜んで言う事を聞く。

 

演奏は『marionette』で再開。

 

marionette

marionette

  • 藤原さくら
  • J-Pop
  • ¥255
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ブラックミュージックの影響を感じるリズムが心地よい。薄暗い照明の中で響く艶のある歌声も最高だ。

 

彼女にとって新境地と言える音楽性である。

 

そんな新境地な楽曲はいくつもあった。『MONSTER』もそうだ。

 

Monster

Monster

  • 藤原さくら
  • J-Pop
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  • provided courtesy of iTunes

 

このロックサウンドは音源リリース時から「これが藤原さくらの曲?」と驚かれていた。しかもライブではクールなパーカッションの音も加わったりと、新たなアレンジが加えられている。

 

『spell on me』もそうだ。アコーディオンが目立つサウンドへと進化していた。

 

「ライブのためにたくさん準備をしてきた」と本人がMCで語っていた通り、徹底的にこだわって作り込んでいる。

 

バンドメンバー紹介では、藤原さくらのサドな部分が再び披露される。

 

キーボードの別所和洋が「感無量」と言ったことに対して、「他に言うことはないんですね。はい。じゃあ次の人」と冷たく遇らう。

 

ギターの斎藤拓郎には「Tシャツにたくさんの虎が描かれていますね。数を数えてください」と、その場で虎の数を数えさせた。

 

「私のためにみんなは何でもしてくれます」と嬢王様発言をする藤原さくら。それを聞いて笑顔になるバンドメンバー。

 

バックバンドもファンも同様にマゾヒストである。

 

藤原さくらのサディストな行動は続く。「バンドメンバーを紹介したばかりですが、次は弾き語りをやります」とバンドメンバーに放置プレイをカマす。

 

演奏されたのは『楽園』。

 

楽園

楽園

  • 藤原さくら
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笑顔で弾き語りを聴いているバンドメンバーとファン。藤原さくら以外全員マゾ。

 

 

後半

 

弾き語りが終わると、再びマゾなバンドメンバーの演奏が始まる。

 

しかし聴いたことがない曲だ。藤原さくらは鍵盤を弾き演奏に加わる。

 

インストのジャムセッションが始まった。まるでフリージャズのように、自由でハイレベルなテクニックを駆使した演奏。

 

シンガーソングライターのライブと言えば、バックバンドは歌を引き立てる演奏であることが多い。

 

しかし藤原さくらのバンドメンバーは、引き立て役ではない。時として主役にもなる。だから音楽として魅力的なライブになるのだ。

 

セッションは『Super good』へと綺麗に繋がった。ここでも藤原さくらの新境地を感じる。

 

Super good

Super good

  • 藤原さくら
  • J-Pop
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タンバリンを持って、ハンドマイクで歌う。客席を煽りながらステージ全体を練り歩く。

 

意外なパフォーマンスに沸きあがる客席。藤原さくらのタンバリンに合わせて手拍子する客席。このようなパフォーマンスを彼女が行うことは初めてだ。

 

そして『BPM』で熱気をさらに上げるて。タンバリンを上に上げて叩き客席を煽る藤原さくら。それが「かわいい」。

 

最新アルバムを再現するどころか、進化させて披露した中盤。しかしここからは過去の名曲が連続で演奏される。

 

『The Moon』では鳥肌が立った。

 

The Moon

The Moon

  • 藤原さくら
  • J-Pop
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全体的に薄暗い照明の中で、僅かな光に照らされる藤原さくらとバンドメンバー。

 

演出や照明も相まって、壮大な演奏に飲み込まれそうになる。彼女の楽曲で最もライブで化ける曲に思う。

 

真っ赤な照明に包まれたステージで披露された『赤』も素晴らしかった。

 

赤

  • 藤原さくら
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楽曲の世界観を表現するような演出。ライブは歌と演奏だけでは成立はない。スタッフ全員によって最高のステージは創られるのだ。

 

壮大な楽曲で圧倒させたかと思いきや、温かな演奏の『Cigarette butts』でグッと距離感を近づける。このギャップも魅力である。

 

ライブはアルバムを出したらすぐにやることが当たり前だったので、これほどライブをやれなかったことは初めてです。こういう状況の中、来て下さりありがとうございました。

 

改めてライブがやれることは当たり前じゃないと思いました。これからもやりたい音楽を作って、集会のように集まって披露できたらなと思います。

 

今までは人と交流する中で考えたことを歌っていたけれど、『SUPERMARKET』では自分と向き合った中で想ったことについての歌詞が増えまさた。そのことに気づいたら周りのみんなを大切にできるんだなと思いました。

 

アルバムや音楽への想いを語った後に演奏されたのは、『ゆめのなか』。これが最後の曲である。

 

ゆめのなか

ゆめのなか

  • 藤原さくら
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終わることを名残惜しむように、優しく歌っている。演奏もそんな気持ちと共鳴するように、優しく鳴らされる。

 

ファンも名残惜しいのだ、すぐにアンコールの手拍子が響く。

 

アンコールで再び登場した藤原さくら。「感無量ですわ!」と喜び叫ぶ。

 

ツアーに向けて新曲を作りました。1月にライブをやるはずだったけど、今回4月に延期になったから作れました。

 

みんなに元気になってもらいたくて作りました。わたしも元気になりたくて作りました。

 

桜はもう散ったか?でもわたしは満開です!!!(?)

 

短いMCの後に披露されたのは『kirakira』。ライブ当日に配信リリースされた新曲だ。

 

Kirakira

Kirakira

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タイトル通りにキラキラしていて、聴いているだけで明るい気持ちになる曲。タンバリンを叩く藤原さくらもバンドメンバーもファンも、みんなが楽しそうだ。そして「かわいい」。

 

「ありがとうございました!また会いましょう!」と言ってから『Twilight』が始まる。正真正銘、最後の曲だ。

 

Twilight

Twilight

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しかしテンションが上がりすぎたのだろうか。歌い出しすタイミングをミスする藤原さくら。

 

「まだ曲は始まってません。これからです。イントロから!」

 

まさかの開き直り&強引な誤魔化しをして、バンドに指示する藤原さくら。それも「かわいい」。

 

バンドもファンもマゾヒストである。

 

素直に指示に従い、演奏を綺麗に繋げてイントロからやり直すバンド。何事も無かったかのように聴き入るファン。みんなマゾ。

 

ミスを吹き飛ばすぐらいに素晴らしい歌声だった。むしろミスによってホッコリとした空気になって、ライブがより魅力的になったかもしれない。

 

音源よりも長めになったアウトロ。そこで改めてバンドメンバーを紹介した。まるで映画のエンドロールのような多幸感で溢れている。

 

久々のワンマンライブでは、新境地と言えるパフォーマンスが多かった。しかし「良い音楽を良い歌と演奏で披露かする」という軸は変わっていなかった。

 

むしろ軸が強化されたからこそ、新しい挑戦もできて、それが成功したのかもしれない。

 

そして藤原さくらの「かわいい」部分も、サディストな部分も変わっていない。ファンがマゾヒストなことも変わらない。

 

最高の演奏。多幸感に満ちた空間。サディストな発言。マゾなバンドとファン。

 

「好きになった方が負けかなあ」と思いつつも、笑顔になってしまう最高のライブだった。

 

こんなに最高のライブを観ることができるならば、好きになった方が負けで全く問題ない。

 

藤原さくら『Sakura Fujiwara Live 2021 SUPERMARKET』@ 中野サンプラザ 2021.4.9
■セットリスト

1. 生活
2. Waver
3. Ami
4. Sunny Day
5. 「かわいい」
6. marionette
7. コンクール
8. Monster
9. spell on me
10. 楽園
11. Super good
12. BPM
13. Right and light
14. The Moon
15. 赤
16. Cigarette butts
17. ゆめのなか

En1. Kirakira
En2. Twilight

 

◾︎マゾなバンドメンバー

別所和洋(Key)

大内満春(Sax)

佐瀬悠輔(Tp)

松下マサナオ(Dr)

中西道彦(B)

斎藤拓郎(G)

 

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