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【ライブレポ・セットリスト】東京事変 配信ライブ『2O2O.7.24閏vision特番ニュースフラッシュ』

東京事変が再生する瞬間

 

「Starting incidents…」という文字がスクリーンに浮かび上がり『新しい文明開化』を椎名林檎が拡声機を使って歌い始めた時、ようやく東京事変が「再生」されたことを実感した。

 

新しい文明開化

新しい文明開化

  • 東京事変
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すでに音源を発表したりテレビ出演をしてはいたが、作品を聴いてもテレビ出演を観てもイマイチ現実味を感じなかった。音源では姿は見えないし、テレビ出演は時間が短いからだ。まだ夢を見ているような気持ちだった。

 

それが配信ライブといえども、フルセットのライブで何の制限もなくバンドが演奏する姿を観ることで、ようやく東京事変の再生が現実のものだと実感したのだ。

 

途中で手旗を投げ捨ててギターを掻き鳴らしながら拡声機に向かい叫ぶ椎名林檎。その姿は最近のソロ活動では観ることができなかった。

 

そして何よりも「東京事変」の個性的な演奏を再び聞けることに興奮した。自分が大きな影響と衝撃を受けたバンドの復活に感動した。

 

2月29日からスタートしたものの、東京公演以外はコロナの影響で中止になってしまった東京事変の復活後の最初のツアー。

 

今回の配信ライブはそれを再現する目的がある。配信によってライブ参加が叶わなかった愛好家にもバンドが再生される瞬間を見せることができたのだ。

 

1曲目が終わると雪崩れ込むように2曲目『群青日和』へと続く。

 

群青日和

群青日和

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拡声機を使って音源よりも荒々しく感情的に歌う。音源を超えるBPMで激しく演奏される。林檎が「ギター!」と叫び浮雲がギターソロを弾く。アウトロではドラムの刄田綴色以外がステージ前方に出てきて一列に並ぶ。

 

「これが東京事変だ」と画面の向こうに伝えるかのような佇まい。自分が待ち望んでいた東京事変が帰ってきたと思った。

 

前半

 

「オマタセシマシタ。オマタセシスギタカモシレマセン。トウキョウジヘンデス」

 

ロボットボイスのナレーションが流れて『某都民』へ。

 

某都民

某都民

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浮雲、伊澤一葉、椎名林檎とバトンを繋ぐようにボーカルが入れ替わる。先ほどまでとは違い落ち着いた演奏でアダルトな雰囲気を作り出す。曲の中盤では亀田誠治のベースソロに聴き入ってしまう。それをしっかり支える刃田のドラムも素晴らしい。

 

この5人だからこそできる歌と演奏だ。

 

そのままミラーボールが回るステージで『選ばれざる国民』をジャジーな演奏で届ける。再生が発表されたタイミングでリリースされた楽曲だ。過去の曲から違和感なく自然に繋がるセットリスト。バンドの個性や魅力を、再生後の楽曲でもしっかりと受け継いでいることがわかる。

 

赤い照明に照らされながら『復讐』が始まった。ミドルテンポで重低音が響く重いサウンドで、ジワジワと胸を刺激していくような演奏。

 

そして赤と青の薄暗い照明の中で『永遠の不在証明』へと続け、美しいメロディとクールな演奏の組み合わせで怪しげな世界観を作り出した。

 

赤いハットを手に持ちながら歌う椎名林檎に魅せられる。亀田師匠のベースソロ、浮雲のギターソロ、伊澤一葉のキーボードソロへと繋げる展開に痺れてしまう。

 

永遠の不在証明

永遠の不在証明

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ひたすらクールなパフォーマンスだが、アウトロでは後ろのスクリーンに「ひきづつきお楽しみください」という文字が浮かんでいたりと遊び心もあって良い。

 

東京事変は音楽性が幅広い。一瞬で空気を変えてしまうほどに曲によって雰囲気が変わる。その中でも『絶体絶命』は今回のセットリストでは空気を変える役割を担っていた。

 

跳ねるようなリズムとポップなメロディ。スクリーンにはメンバーの顔や演奏する姿が映る。タンバリンを叩く椎名林檎はキュート魅力的。先ほどのダウナーな雰囲気を一瞬で明るい雰囲気に変えた。

 

東京事変はライブでの「曲のつなぎ方」が上手くて個性である。それは今回のライブでも感じた。

 

『絶体絶命』から『修羅場』へ繋げ方も個性的で魅力的だった。『絶体絶命』のアウトロに打ち込みの音を取り入れたアレンジを採用し、そこから少しづつ『修羅場』の演奏に変化させるように繋げる。

 

次の曲への期待を煽りつつも新鮮さを感じさせるような編曲と曲繋ぎをするのだ。

 

絶体絶命

絶体絶命

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曲が終わるとすぐにタイマーの画面がでてきて3分のカウントダウンが始まる。次は『能動的三分間』だ。

 

少しづつ時間が減っていくスクリーンのタイマー。旗を振りながらゆったりと歌う椎名林檎。リラックスしているようなのに三分間ちょうどで終わらせなければならないので、演奏には緊張感もある。

 

この緊張と緩和のバランスが絶妙でクセになる。椎名林檎が最後のフレーズを歌い、三分ちょうどで曲が終わる。緊張が溶けるこの瞬間が気持ちいい。

 

間髪入れずにスクリーンの映像が変わり「電波通信」の文字が浮かび上がり、力強いドラムの音が鳴り響く。この曲繋ぎもカッコ良すぎて最高だ。

 

電波通信

電波通信

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もちろん次の曲は『電波通信』。疾走感あるロックナンバー。

 

照明もレーザーが飛び交ったりと演奏を盛り上げる。林檎が客席の後方を指差す。そこに観客は居ないが、まるで画面の向こうの視聴者が客席にいる姿が見えているように、林檎は客席を見ている。

 

少しの無音の時間が過ぎてから、ゆったりとしたピアノの伴奏に合わせ、丁寧な歌唱で『スーパースター』が始まった。サビになると他の楽器も加わり壮大な演奏になる。

 

しかし歌を引き立てるような演奏にアレンジされているため、歌詞の言葉が音源以上に胸に沁み入る。

 

『乗り気』では浮雲、伊澤一葉、亀田誠治の3人がステージ前方に出てきて、3人に向けて林檎が手旗を振って盛り上げる。

 

そのまま疾走感ある演奏の『閃光少女』を曲間を開けずに投下。手旗を真っ直ぐ客席に向けて伸ばしてハンドマイクで歌う。

 

アウトロでは客席を見ながら、手を振るように手旗を横に振る。やはり画面の向こうの視聴者が客席にいることを想像しながら演奏し歌っているように見える。

 

キラーチューン

キラーチューン

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そして『キラーチューン』で華やかで多幸感溢れた雰囲気を作り出す。間奏でホイッスルを吹く椎名林檎の姿を久々に見て、懐かしさと嬉しさでエモーショナルな気持ちになってしまった。

 

2番では旗を振りながらステージを歩きパフォーマンスする林檎。東京事変の音楽は私の一生物と思ってしまうほどに素晴らしい演奏とパフォーマンスだ。

 

 

後半

 

刄田綴色のカウントから『今夜はから騒ぎ』へ。

 

今夜はから騒ぎ

今夜はから騒ぎ

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白いドレスを脱ぎ捨てて黒いドレスへと一瞬で衣装を変える椎名林檎。

 

ここから後半戦であることを表現しているのだろうか。明るくもジャジーでお洒落なバンドの演奏と艶ある歌声が最高だ。

 

間奏ではドラムの刄田綴色を見ながらとセッションするかのように、笑顔でタンバリンを叩く林檎。笑顔がまぶしいね。見おさめ小雨。

 

刄田綴色が「あああああああ!」と叫びカウントするとライブの定番曲『OSCA』へ。

 

鬩ぎ合うように個性を爆発したプレイをぶつけるバンドメンバー。バックスクリーンにはメンバーの名前が順番に映し出される。

 

この曲は特にメンバーの演奏技術の高さが要となる楽曲だからこその演出に思う。

 

OSCA

OSCA

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林檎は拡声機で歌いながらステージを動き盛り上げる。解散前のライブと同じように拡声機を客席に向けて歌うように促す。画面の向こうにしっかり届けて「ライブ」をやろうととしているのだ。

 

『OSCA』の熱量ある演奏の余韻をさらに引き延ばすように、『FOUR』を曲間なしで続ける。

 

激しく疾走感ある演奏。レーザーが飛び交うステージ。鋭い目線で叫ぶ椎名林檎。それらが組み合わさって最高のステージが作られる。あまりの迫力に呆然とするほどに圧倒させられてしまった。

 

まるでライブが最高のものになったことについて勝利宣言をするかのように『勝ち戦』をパフォーマンス。

 

さっきまで激しい演奏で圧倒させたのに、今度は包み込むように柔らかい演奏だ。ツンデレな東京事変。

 

曲の後半に東京事変のロゴにも使われている孔雀の映像が出てきて、孔雀の目からレーザーのビームが発射される。シュールな映像なのに演奏が素晴らし過ぎて、ビームにすら感動してしまう。

 

ポップで明るい演奏が始まる。ライブの後半に歌われることが多い『透明人間』だ。

 

透明人間

透明人間

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もうすぐライブが終わってしまうことを実感してしまう。聴いていて少しだけ寂しくなる。でもメンバーはみんな笑顔で演奏している。全員が笑顔を見せた曲は『透明人間』だけだった。

 

ライブでも一つの作品を作り上げるように緊張感ある雰囲気でステージが満ちている東京事変。しかしメンバーは心からライブを楽しんでいるのだ。それが伝わってくる。

 

またあなたに会えるのを楽しみに待ってさよなら

 

最後のフレーズを伸びやかに歌いながら手旗を天に向けて上を見る林檎。その姿が印象的だった。

 

ラストは『空が鳴っている』。

 

空が鳴っている

空が鳴っている

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各々が個性的なフレーズを弾く演奏が魅力的な東京事変だが、この曲はシンプルなフレーズが多い。特にサビではシンプルながら5人の演奏が混ざり合うような歪んだ音が印象的である。

 

今なら僕らが世界一幸せに違いない

 

サビで高らかに歌う椎名林檎。コロナ禍で世の中が変わってしまった状況だとしても、その歌声は力強く言葉に説得力がある。

 

今回の配信ライブは中止になったツアーの再現なので、セットリストはコロナ禍になる前に決まっていたと思う。しかし今の状況だからこそ意味を感じるような、ファンに力を与えるようなセットリストになっていた。

 

曲の後半でステージが煙に包まれていく。照明が少しづつ暗くなっていく。音が小さくなっていき煙が消えていく。そこにはメンバーの姿はなかった。

 

まるで1時間半の間、幻を見ていたような気持ちになる。ただ「東京事変が再生した瞬間を目撃した」ということは事実だ。それは記憶に残っている。東京事変はライブの最初から最後まで最高の演奏で、クールなバンドであり続けた。

 

でもメンバーがたまに見せる笑顔や客席を見渡したりピックを投げる椎名林檎の姿からは、クールさではなくファンへの熱い想いを感じた。

 

MC一切なしのライブだったが音楽で想いをしっかりと届けて、それをしっかりと愛好家は受け取った。

 

今度は生で東京事変のライブを観たい。そんなことを考えながら、またあなたに会えるのを楽しみに待ってさよなら。

 

東京事変2O2O.7.24閏vision特番ニュースフラッシュ

■セットリスト
1 新しい文明開化
2 群青日和
3 某都民
4 選ばれざる国民
5 復讐
6 永遠の不在証明
7 絶体絶命
8 修羅場
9 能動的三分間
10 電波通信
11 スーパースター
12 乗り気
13 閃光少女
14 キラーチューン
15 今夜はから騒ぎ
16 OSCA
17 FOUL
18 勝ち戦
19 透明人間
20 空が鳴っている

 

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