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【レビュー】Sexy Zone『RUN』が名曲で安心した

海外進出するのか?

 

Sexy Zoneの新曲『RUN』を聴いて安心した。

 

この曲はデビューから9年間所属していたポニーキャニオンを離れ、ユニバーサルミュージックに移籍して初のシングル曲である。

 

移籍の理由について「今後は日本国内だけでなく、本格的な海外進出も視野に入れて活動していく」と発表していた。

 

移籍に対して期待する気持ちはあったが、不安も強かった。

 

レコード会社移籍により方向性が変わるアーティストもいる。特に海外進出を目指すとなると、ガラッと雰囲気が変わってしまうことも少なくない。

 

Sexy Zoneは「J-POPとして」素晴らしい音楽が多いアイドルだと自分は思っている。

 

海外志向になり海外のトレンドに合わせてしまったり、コアでマニアックな方向性になってしまったとしたら、彼らの音楽の魅力がなくなってしまうのではと懸念していた。

 

だから『RUN』でも変わらずに「J-POPとして」クオリティの高い作品となっていて、メンバーも日本語をしっかりと伝える歌唱をしていることに安心したのだ。

 

そして「J-POPとして」名曲を大切に歌うことこそが、海外でも成功する理由にもなるのではと思う。

 

『RUN』の曲構成について

 

『RUN』は珍しい曲構成で複雑な展開の楽曲になっている。

 

J-POPの基本はAメロ→Bメロ→サビという流れが多い。これが数十年前から定番で王道だ。米津玄師もあいみょんもOfficial髭男dismもこの曲構成が多い。

 

Sexy Zoneも王道J-POPな曲構成が多いが『RUN』はAメロ→Bメロ→Cメロ→サビという流れで展開が多い。2番が終わった後は大サビ→Cメロという変則的な構成になり、最後はサビを畳み掛ける。

 

このように構成が複雑だと長い曲になりがちだが、それぞれが短いフレーズで終わっているのでコンパクトで聴きやすい。展開が目まぐるしく変化するのに、曲が始まってからサビに辿り着くまで約1分と早い。

 

JPOPはサビが1番の聴きどころだ。そこになかなかたどり着かないとリスナーは飽きてしまう。ファン以外も聴くことが多いシングル曲ならば、1分以内でサビになることが聴いてもらうために重要な要素の一つだ。

 

『RUN』は聴いてもらうための要素が揃っている。それでいて展開が複雑に変化することが刺激的なので、聴いていて飽きない。

 

構成が変わるごとに盛り上がりを加速させていく。サビを最高潮に盛り上げるために段階をしっかり踏んでいく。そのように計算されているのだ。

 

メロディも複雑だ。1番と2番とではメロディが変化しているし、サビの中でもいくつものメロディがある。

 

しかしBメロでは韻を踏み続ける歌詞を続けていたりと、歌詞やメロディが覚えやすく聴いていて気持ちいい。メロディの変化は大きくて複雑でもポップスとしてキャッチーさは損なわれていないのだ。

 

海外で流行っている音楽はAメロ→サビとシンプルな構成がトレンドだ。メロディも同じフレーズを繰り返している曲やラップが人気。

 

『RUN』のような曲構成やメロディは珍しい。J-POPの個性を発展させた展開とメロディは日本人アーティストだからこそ作れる音楽だ。海外のトレンドとは真逆な楽曲である。あえてJPOPとして優れた楽曲を作ろうとしているように聴こえる。

 

『RUN』でグループが本格的な海外進出をするわけではないが、移籍後の第一弾シングル曲は重要だ。話題性はあるし今後の方向性を示す楽曲として扱っても問題はない。

 

だから自分は「今までの方向性でJ-POPとして良い作品を作り海外でも勝負する」という姿勢だと感じた。

 

Sexy Zoneは時代に合わせようとしているのではなく、時代を創ろうとしている。

 

 

演奏と編曲について

 

演奏はメロディを奏でるようなストリングスの音が前面に出ていて、それをバンドサウンドが支えるような形。

 

複雑な演奏ではないし、前衛的なこともやっていない。シンプルな演奏に感じた。しかしシンプルゆえに疾走感がある衝動的でエモーショナルな演奏が真っ直ぐ胸に刺さる。

 

それが複雑な曲構成やメロディと組み合わさると、絶妙なバランスが取れて個性に変わる。演奏も曲を魅力的にするために計算されているのだろう。

 

 

『RUN』を作詞作曲編曲した渡辺拓也のツイートを見て納得した。

 

一流のミュージシャンがあえて衝動的に演奏したからこそ、シンプルでも魅力的な疾走感のある演奏になったのだ。

 

メンバーの歌唱も魅力的ではあるが、関わっているミュージシャンも魅力的である。手を抜かずに本気で良い作品を作ろうとしている。

 

 

これからのSexy Zoneに期待すること

 

「本格的な海外進出も視野に入れている」という言葉が書かれたレーベル移籍のニュースを見た時、自分はそのことについても文章を書いている。

 

 

そこには「Sexy Zoneだからこそできる音楽や、日本のアーティストだからこそ作れるJ-POPで勝負してほしい」という自分の想いを綴った。

 

海外を意識して変化するよりも、J-POPの魅力とありのままのSexy Zoneを届けて成功して欲しいと思う。変化よりも進化した姿で勝負してほしい。

 

ただ『RUN』を聴くと自分の「海外を意識して変わってしまうのでは?」という不安は杞憂だと察した。今後も変わらずに素晴らしい活動を続けてくれるのだと確信した。

 

常識も非常識も君とならばぶち壊せるよ

(RUN / SexyZone)

 

『RUN』の歌詞には上記のフレーズがある。

 

今後本格的な海外進出をするのならば「日本人アーティストは海外ウケを狙ったことをやるべき」という常識をぶち壊して欲しいし、日本のアイドルは海外で本格的な活動はできないという非常識もぶち壊して欲しい。

 

変化よりも今の魅力を伸ばすようなSexyZoneの進化論を見せて欲しい。そしてメンバー4人でどこまでも走り抜けて欲しい。

 

いや、メンバー5人でどこまでも走り抜ける未来を期待したい。

 

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  • アーティスト:Sexy Zone
  • 発売日: 2020/08/05
  • メディア: CD