2025-09-03 【ライブレポ・セットリスト】kanekoayano Hall Tour 2025 “⽯の⽷” at LINE CUBE SHIBUYA 2025年8月5日(火) カネコアヤノ kanekoayano ライブのレポート カネコアヤノが自身をサポートしているメンバーとkanekoayanoという名前の正式にバンドを結成してから約8ヶ月後。kanekoayano名義としては初めてのアルバム『石の糸』がリリースされた。 このアルバムを聴いた時、もしかしたらファン層は入れ替わるかもしれないと思った。サウンドや曲調など様々な部分で、ソロ名義のアルバムとは雰囲気が違う作風になっていたからだ。ライブまで追っていたファンは変化を察していたとは思うが、それにしても予想していたよりも大きな変化を感じたのではないだろうか。 そんな中、kanekoayano名義としては日本国内で初のライブツアーかつ、アルバムのレコ発ツアーが開催された。 自分はLINE CUBE SHIBUYAで行われた公演に参加した。そのライブは確かに音源と同様の変化を感じるものではあったが、それ以上に軸となる部分は変わらないことも実感するライブだった。 SEを使わず無音の中、ゆっくりと登場するメンバー。パーカッションの後方からだけ光が差し、そのわずかな光だけがステージを照らしている。薄暗い部屋に案内されたような空気感だ。 1曲目は『noise』。音源よりも長い時間、カネコアヤノがエレキギターをストロークして歪んだ音を響かせる。その音への観客の集中力が高まったところで、弾き語りで丁寧に歌い始める。中盤からバンドの演奏が加わり、音に厚みが生まれる。これがkanekoayanoというバンドの音だと宣言しているかのような轟音だ。 2曲目は『日の出』。先ほどまでとは打って変わって照明は明るくなり、それに比例するように演奏も明るくなっていく。中盤のギターソロをかき鳴らす姿も観ていてテンションが上がる。 ステージと客席の心の距離が一気に近くなったらのは『愛のままを』のイントロが鳴った瞬間だ。ドラムのカウントを合図に音源よりも速いBPMの衝動的な演奏が始まると、客席から歓声が湧き上がる。座っていた観客も立ち上がったりと、一気に会場が熱気に包まれた。ギターの林宏敏と向き合い演奏するカネコアヤノの姿も印象的だ。 曲間なしでDJの曲繋ぎのように始まった『僕と夕日』では、イントロから音源よりも長いジャムセッションが取り入れられるアレンジになっていた。kanekoayanoがカネコアヤノのワンマンバンドではないことを、言葉でなく音で伝えるような演奏だ。 『ごあいさつ』も音源とは違うジャムセッションを取り入れていたし、サウンドも演奏も音源以上に激しい。もちろん叫ぶように歌うカネコアヤノの歌声も最高だ。 そこから続く『明け方』も音源よりもBPMが少しだけ速いロックサウンドで届けられる。だが音源の持つ繊細さは残っていた。このいい塩梅の演奏にグッとくる。音源と全く違うものにするのではなく、ライブに適した味付けがされているのだ。 カネコアヤノと林がが向き合い、息を合わせながらイントロを弾いた『さよーならあなた』は、音源よりも跳ねるようなリズムの演奏だった。だがサビでは音源よりもスローでミニマムな演奏になる。1曲の中で段丘をつけることで、聴き手に刺激を与えるような演奏だ。これも音源とは違う魅力があって良い。 最新アルバムからの選曲『WALTZ』は音源よりもサウンドは煌びやかで、ドラムやベース、パーカッションのビートは強まっており迫力ある。今回のライブの選曲の中では音源に忠実な方のアレンジだったが、カネコアヤノの感情を込めた歌唱はライブだからこそのものだった。 曲間無しでドラムの演奏が続き、メドレーのように『さびしくない』が始まる。ミニマムな演奏か段々と壮大になる演奏に、音に吸い込まれるような気持ちになる。サビでのカネコアヤノの歌声は感情むき出しで〈さびしくない〉と叫ぶように歌い、バンドもそれに比例して演奏が激しくなっていた。この日、最も叫ぶように歌っていたのがこの曲だ。 そんか感情的な歌や演奏とはとはギャップを感じる形での披露だった『朝になって夢からさめて』も素晴らしかった。こちらは優しい音色の演奏に合わせ、歌も叫ぶことなく優しく語りかけるように歌唱していた。歌も演奏も表現力が高い。 『爛漫』も優しさを感じる歌と演奏だった。だがその中にも力強さがあって、特にサビではカネコアヤノの表情も含め、強く観客に訴えかけるような歌唱になっている。 そのまま次の曲へスムーズに繋がるかと思いきや、イントロを弾いてから演奏を止めた。どうやらチューニングがズレていたらしい。 苦笑いしてジェスチャーで「ごめん!」と伝えるカネコアヤノ。ミスではあるが客席の空気が穏やかになって、より良い雰囲気になった気がする。 気を取り直してもう一度演奏され直したのは『気分』。ゆったりとしたリズムで繊細な音色を鳴らしながら、温かな歌声を響かせる。 だが後半は演奏がシューゲイザーのようなノイズになり、カネコアヤノは〈理想ばかりじゃ生きられないな〉という歌詞を叫ぶように歌う。1曲の中での感情の移ろいをしっかりと表現いる。これもkanekoayanoの魅力のひとつだ。 『ラッキー』は赤や紫の妖艶な照明の中、サイケな演奏が繰り広げられる。音源とは違う怪しげなジャムセッションから曲が始まり、音源以上にサイケな演奏が繰り広げられる。 轟音のノイズを出してシューゲイザーになったりと、原曲の軸をズラさずにライブによって進化や変化をさせているかのようなサウンドだ。kanekoayanoにとって異色で新境地と言える楽曲だが、今のバンドにとって最もライブで化ける楽曲だ。 そこから続くのは『わかりやすい愛 丈夫なからだ』。レゲエ風なアレンジになっていて、聴いていて心地よくてほっこりしてしまう。身体を揺らしながらカネコアヤノがリズムに合わせて2番に入る前に2回だけ手拍子をしていた姿も印象的だ。 そのままベースの演奏が止まらずに続き、メドレーのように繋がる始まり方をした『水の中』。ベースとパーカッションの音が印象的で、前の曲から地続きになるようなリズムで、この曲順だからこその気持ちよさがある。だが時折ギターが歪んだ音を鳴らしたりと、尖ったサウンドも取り入れていることが面白い。 『太陽を目指してる』の始まり方も見事だ。あまりにも『水の中』から流れるように繋がるアレンジになっていたので、その見事さに感銘を受けてしまった。だがサウンドはシューゲイザーの影響を受けたものになっていて迫力がある。『水の中』とは違うアプローチなのに、流れるように繋げたバンドの手腕が素晴らしい。 ライブも後半。音源よりも激しく疾走感ある演奏になった『難しい』は最高だった。吐き捨てるように歌うカネコアヤノ。だんだんとアウトロはノイズまみれになっていき、会場が轟音で包み込まれる。それはシューゲイザーとしか言いようのないサウンドで、耳だけでなく身体まで震えるほどの迫力だ。 次の曲が最後です。武道館やりまーす。カッコいいフライヤー作ったんで帰りにもらってください。 武道館は特別な場所なので、また立たせてもらえて嬉しいです。みなさんが来てくれるおかげです。ありがとうございます! この日の唯一のMCは日本武道館公演のお知らせだった。カネコアヤノにとって武道館に立つのは4回目で、バンド名義としては初の武道館となる。 ↑カネコアヤノが言っていたカッコいいフライヤー 武道館が特別な場所であることは、本人も理解はしていると思う。初めての武道館の時は感慨深そうに武道館公演について語っていた。 だが人気も実力も今では当たり前に武道館に立つべきアーティストになっている。だからこそ発表も余裕を持った表現や表情、話し方になったのかもしれない。そして何よりも今のkanekoayanoというバンドに絶対的な自信があるからこその、堂々とした発表だったとも思う。 ラストは『石と蝶』。ゆったりとしたリズムの演奏も優しい歌声から始まり、この日のライブの余韻を穏やかに感じさせてくれるような空気だ。音が心地よくて温かい。だが中盤になるにつれ演奏は激しくなり歌声も荒々しく感情的になってくる。〈愛されないのはもともと〉という歌詞がリフレインされる都度にだんだんと音は激しさを増す。 アウトロでの演奏はマイブラのライブ後半かのような轟音となる。特に林の歪みまくったギターは耳をつんざくほどに爆音だが、それなのに心地よさも感じる不思議な音になっていた。音も動きも全員が全てを出し切るかのように激しくなり、激しさが限界を突破したと感じた瞬間に演奏が終わった。 やり切った表情のメンバーたち。カネコアヤノメンバー紹介をして「ありがとうございました!カネコアヤノでした!気をつけて帰ってください!」と、何かが憑依したかのような表情で歌っていたとは思えないような穏やかな顔であいさつしていた。 アンコールがないことも納得の全てを出し尽くされたかのような名演だった。そして過去の楽曲も最新作の楽曲もどれもが、ライブのためのアレンジがなされていた。音源とライブとでは表現したいものが全く違うと感じるほどにライブで印象が変わる曲もあった。 だがバンドの凄さもカネコアヤノのソングライターとしての個性も、音源と同じように伝わってきた。良い音楽をしっかりと届けるという軸は、音源もライブも変わらない。だからこそライブで突拍子もないアレンジになったとは思わずに、感動し衝撃を受けてしまうのだ。 とにかく今のkanekoayanoは物凄いことになっている。そんな凄いバンドをこのタイミングで観れたことは、ラッキーだった。 ◾️kanekoayano Hall Tour 2025 “⽯の⽷” at LINE CUBE SHIBUYA 2025年8月5日(火) セットリスト1. noise 2. 日の出 3. 愛のままを 4. 僕と夕陽 5. ごあいさつ 6. 明け方 7. さよーならあなた 8. WALTZ 9. さびしくない 10. 朝になって夢からさめて 11. 爛漫 12. 気分 13. ラッキー 14. わかりやすい愛 丈夫なからだ 15. 水の中 16. 太陽を目指してる 17. 難しい 18. 石と蝶 石の糸※12インチアナログ盤 [Analog] アーティスト:kanekoayano PCI Music Amazon