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【ライブレポ・セットリスト】SUPER BEAVER vs THE YELLOW MONKEY『現場至上主義 2025』atさいたまスーパーアリーナ 2025年4月6日(日)

この組み合わせはなにがあっても絶対に見逃してはならない対バンライブだと思った。なんせSUPER BEAVERとTHE YELLOW MONKEYの組み合わせなのだから。

 

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SUPER BEAVERが以前から主催開催していた対バン企画の『現場至上主義』。今回はバンド結成20周年企画の一環だからか、規模が大きくなりさいたまスーパーアリーナで行われた。

 

どちらのバンドも自分はファンで、どちらのバンドのワンマンにも足を運んでいる。両バンド共にフェスに出演すれば確実にステージを観る。それほどに好きな2組だ。

 

しかもどちらもアリーナやスタジアムも埋められるであろうモンスターバンド。キャリアや世代は違うものの、ロックスターとしてのオーラがあることも共通している。音楽性の相性も良さそうだ。

 

この2組が対バンすれば、互いに刺激し合って物凄いライブをやってくれる予感がする。運良くチケットを手に入れることができた自分は、会場のさいたまスーパーアリーナへ向かった。しかも座席はアリーナAブロック2列目。間近で伝説を目に焼きつけることができた。

 

THE YELLOW MONKEY


先に登場したのはゲストのTHE YELLOW MONKEY。

 

開演時間を過ぎるとエレキギターをアドリブで掻き鳴らしながら菊地英昭が登場。たった1人でアリーナを飲み込むような圧巻のギター奏法で、観客の心を一瞬で掴んでしまう。そんなギターの音をSE代わりにするかのように、他のメンバーがゆっくりとステージに登場した。大物だかこその貫禄と余裕を感じる佇まいだ。特に吉井和哉が登場した時の歓声は大きくて、ワンマンと変わりない。

 

「SUPER BEAVER20周年おめでとうございます! THE YELLOW MONKEYに少し時間をください!」と吉井が叫んでから始まったのは『Make Over』。ゆったりとしたリズムながらも演奏は重厚で、ロックバンドとしての凄みを伝えるような始まり方だ。

 

手拍子する人々が映るアニメーションがスクリーンに映り、観客もそれに合わせて手拍子をする。主催がSUPER BEAVERということでイエモンのファンの方が少なかったが、それでも最初から観客をしっかりと盛り上げることが流石だ。〈この僕はきっと君を探すだろう〉というフレーズを語るように歌い客席を指さす吉井の姿が印象的だった。

 

序盤で最も観客の熱狂が爆発したのは、1曲目の終わりから曲間なしで雪崩込むように始まった『SPARK』だ。吉井が「SUPER BEAVER!おめでとうございます!」と叫びながら花道を走り抜けセンターステージで客席全体を眺めるように歌う。ビーバーのファンと思われる観客も歓声を上げていたし、吉井が時折叫ぶように歌う都度、大歓声が巻き起こった。スタンドの後ろの方まで立ち上がり腕を上げている景色も圧巻だ。

 

スーパービーバー20周年おめでとうございます!平均年齢が60歳近いバンドなのに呼んでもらえるとは、光栄です。

 

この日を目一杯祝います!よろしくお願いします!

 

曲中の煽りだけでなくMCでの挨拶でも、何度も何度もSUPER BEAVERの20周年を祝う吉井。そんな言葉を発するからこそ、彼らの世代ではないビーバーのファンもイエモンを好意的に受け入れているのかもしれない。

 

最新アルバムからのナンバー『ソナタの暗闇』では貫禄ある演奏でしっかりと盛り上げ、自然と客席から手拍子を巻き起こす。過去の名曲にも引けを取らない盛り上がりだ。

 

そこから「桜が咲いても熱帯夜!」という春だからこその煽りから往年の名曲『熱帯夜』が続く。花道やセンターステージだけでなく、上手や下手まで歩いて煽り盛り上げる吉井。覚えやすいメロディだからか、サビではビーバーファンと思われる観客も一緒に歌っていた。アリーナに響く大合唱にも圧倒させられる。

 

渋谷くんを初めて見たのはTwitterに流れてきた画像でした。長髪でメイクをして柄シャツも着ていて、烏滸がましくも「この写真は俺か?」と一瞬思いました(笑)

 

でも肌がツヤツヤで髪も綺麗だったので、外国のお姉さんだろうなと思いました。そのお姉さんが気になって調べたら、SUPER BEAVERというバンドのボーカリストで日本人の男の子だとわかりビックリしました(笑)

 

でもタトゥーがいっぱい入ってる人だから自分と関わることがない世界の人だと思いました。それなのに今回熱烈なラブコールを受けまして、共演することになったわけです。

 

SUPER BEAVERのお客さんは俺のことを渋谷くんの親戚のおじさんだと思っていいよ。たぶん血は繋がってると思うよ!

 

ユーモアを混じえながらSUPER BEAVERとの出会いを語る吉井。

 

冗談はさておき、まだ日本にロックスターのようなボーカリストがいるSUPER BEAVERのようなバンドが人気であることを、個人的にもイエローモンキーとしても嬉しく思います。


そんなロックバンドの美学を持ったSUPER BEAVERみたいなバンドのことを歌った曲があります!

 

この言葉の後に演奏されたのは『ROCK STAR』。 間奏で「SUPER BEAVERが次のロックスターだ!」と吉井が叫ぶ姿も印象的だった。イエモンからビーバーへの、後輩に向けられた意気な愛とリスペクトの表明なのだろう。

 

サビの〈ロックスターになれば羽が生えてきて〉という歌詞で羽根のように手を動かす吉井の姿は、ロックスターのオーラをまとってはいるがキュートだ。吉井と廣瀬と菊地英昭がセンターステージで小さくまとまりながら演奏する姿は、ロックスターとしか言いようのない佇まいだ。

 

「新しい曲です!好きに踊ってください!」と言ってから披露されたのは『ラプソディ』。この楽曲ではユニークな演出もあった。ステージ裏で仕事をしているスタッフや客席で警備をしているスタッフに扮したダンサーが、カメラを向けられると踊り出したのだ。それまで観客もスタッフと認識していた人たちが突然キレッキレなダンスを披露したのだから衝撃的すぎる。どうやらこの演出は今回のライブのみでの特別なものだったらしい。

 

吉井も負けじと独特なダンスを自由に踊りながら歌っていた。観客も自由すぎるステージに自然と笑顔になって、本当に好き勝手に踊り楽しんでいたように見えた。

 

「知っている人は歌ってください!」と言ってから始まった『太陽が燃えている』ではサビで大合唱が巻き起こる。ゆっくりとステージや花道を練り歩きセンターステージで歌う吉井の姿は神々しく見えた。この楽曲では特に菊地英昭のギターソロが素晴らしかった。

 

サポートキーボードの鶴谷崇が美しい旋律のピアノの音色を奏でると、それに合わせて吉井が語り始めた。

 

SUPER BEAVER、改めて20周年おめでとうございます。

 

昨年我々は35周年を迎えました。そのうち10年ぐらい解散してたんで活動期間はビーバーとあまり変わらないんですけども(笑)

 

自分たちは解散したことでファンを悲しませてしまいました。自分が解散を決めました。それから何年か経って、自分からメンバーにもう一度バンドを一緒にやって欲しいとメールを送りました。自分が終わらせたから、自分から再開させたかったんです。


コロナがあったり、自分の喉のトラブルだったりと、再開後も活動休止した時期があります。そして去年、復活のライブを去年東京ドームでやりました。そこに渋谷くんがきてくれて、初めて彼とお会いしました。初対面だったけれど、本当に魅力的な人だと思いました。

 

SUPER BEAVERはメンバーの絆が深いし、ファンとも同じように深い絆で結ばれていると思います。これから30年40年50年と、ずっと続いていくバンドだと思います。


これからSUPER BEAVERにも予想外の様々なことが起こると思います。でも困難に立ち向かう時こそが、バラ色の日々だと思います。全部が満たされても味気ないですからね。

 

これからも困難があってこその人生ですし、困難があってこそのロックバンドとロックバンドのファンだと思います。

 

渋谷くんの言い方を借りるならば、あなたたち一人一人に次の曲を届けようと思います!

 

知っている人はご一緒に。

 

様々なことがあった先輩ロックバンドだからこそ後輩バンドやそのファンへ伝えられるようなメッセージを丁寧に言葉を選びながら話してから、代表曲のひとつである『バラ色の日々』が演奏された。

 

最初から大合唱が巻き起こる。その様子はワンマンと変わりない。壮大なサウンドが会場を飲み込む。貫禄と熱さが同居した名演だ。最後の方は声が掠れるほどに吉井は叫んでいた。

 

大団円な空気が流れる中、吉井が「最後にもう一曲!」と叫び始まったのは『LOVE LOVE SHOW』。好き放題に暴れ回る吉井の姿とそれに連れられて花道や上手や下手へ移動しまくり煽る廣瀬と菊池英明。観客も歌ったり踊ったりと自由に好き勝手に楽しんでいる。

 

アウトロでメンバー紹介をしてイエモンのステージは終了。「温まりました!次はSUPER BEAVERです!」と最後まで後輩を立てるような言葉を残す吉井。超ベテランのレジェンドなのに、どこまでも腰が低い。

 

この日はビーバーが主催ということもあって、全体的にイエモンのファンの方が少なかったと思う。ライブを初めて観た観客も多かったと思う。それでも楽曲の魅力とライブの凄まじさとロックスターとしてのオーラで、全ての観客を魅了してしまった。

 

羽が生えたロックスターの凄さを伝えるようなライブで、アリーナをスタジアム規模の壮大な会場に感じさせてしまうほどに圧巻のライブだった。

 

◾️セットリスト

1.Make Over

2.SPARK

3.ソナタの暗闇

4.熱帯夜

5.ROCK STAR

6.ラプソディ

7.太陽が燃えている

8.バラ色の日々

9. LOVE LOVE SHOW

 

SUPER BEAVER

 

百戦錬磨と言えるほどにライブをやりまくっているSUPER  BEAVERも、今回ばかりはステージに出て来までは緊張していたのではないだろうか。それほどにイエモンのライブは圧巻で最強すぎて凄まじかったのだ。

 

しかしSUPER BEAVERは落ち着いていた。いつも通りだった。いや、いつも以上に気合いが入っているようにも見えた。

 

渋谷龍太がスタンドマイクの前に立ちスポットライトを浴びながら、集中した様子で少しの間を空けてから始まった1曲目は『人として』。盛り上げるよりも先に、しっかりと地に足をつけるような丁寧な歌と演奏で観客をステージに集中させる。観客は息を飲むように静かに聴き入っていた。

 

しかし「21年目の新人、SUPER BEAVER始めます。準備できてますか?それじゃあ始めようぜ!」と渋谷が煽り『ひたむき』が始まると、先ほどまでの静かな空間が嘘かのように観客は騒がしくなる。渋谷が「寝てます?」「小さな拍手ありがとうございます」と挑発的に煽ると、その都度に観客は叫び、盛大な手拍子を鳴らしていた。

 

20周年のお祝いをこのような形でやらせてもらえて嬉しいです。このイベントはライブがカッコいい人しか呼ばないと決めているイベントです。本当に大好きなバンドを呼んでいます。

 

一言だけいいですか、イエモン、かっこいい......。意味がわからん......。

 

先ほどは血のつながった親戚の叔父がお世話になりました(笑)

 

渋谷も観客と同様にイエモンのライブに衝撃を受けたようだ。「意味がわからん」という、褒め言葉に使うことが少ない表現を使ってしまうほどにやられてしまったようだ。吉井和哉のMCへのアンサーもしていた。

 

THE YELLOW MONKEYは SUPER BEAVERに持っていないものをたくさん持っている。吉井さんは俺にないものをたくさん持っている。今日、打ちひしがれる瞬間の連続を間近で見せつけられた。本当に凄すぎた。

 

でもSUPER BEAVERはTHE  YELLOW  MONKEYにないものを持っているし、俺には吉井さんにないものを持っている。

 

俺たちの20周年は俺たちのためではなくて、あなたが楽しいと思える20周年にしたかった。だからイエモンをどうしても見て欲しかったんだよ。先輩に凄まじいライブ見せつけられて感動していたけれど、言葉を選ばずにいうと、そんなことよりもあなたが大事だ。

 

俺たちの20周年を使って楽しんでくれますか?最後までよろしく!

 

先輩へのリスペクトをしつつも、自分たちのやり方や想いを貫く姿勢を表明する渋谷。これが彼の魅力のひとつであり、ビーバーの魅力のひとつでもある。

 

そして「愛すべきあなたのお手を拝借」と言って観客に手拍子をさせると、それに合わせて『バラ色の日々』のサビを歌い始めた。驚きに満ちた大歓声が響く中、サビを歌い終えると「俺たちにはバラ色の日々ならぬ美しい日という許ょくがあります」と言って『美しい日』へえと雪崩れ込んだ。

 

観客の手拍子はさらに大きな音になり、サビ

では大合唱が巻き起こった。イエモンは『バラ色の日々』で大合唱を巻き起こしたが、ビーバーは『美しい日』で大合唱を巻き起こした。やはりこの2組は対バンするだけあって、何か通ずるものがある気がする。

 

「もっと盛大にやりませんか?」と渋谷が言ってから始まったのは『東京流星群』。「盛大に」という言葉通りにステージには大きなミラーボールが登場し、その光がアリーナ全体に星を降らせるかのように光をちらばらせた。盛大でド派手な演出だ。

 

渋谷はセンターステージでスタンドマイクで歌っていた。その姿は吉井和哉に負けず劣らずのロックスターぶりだ。やはり「声が小さいですねえ」と挑発的に観客を煽る。だが演奏をかき消すほどの大きな大合唱になると「いいね!全力で行こう!」と嬉しそうに笑みを見せていた。

 

さらに「いつだって始まりは青い春」と言って『青い春』が始まると、観客のボルテージは一気に最高潮に。

 

「手は頭の上で!あたなの手を俺たちが見れるから!」と渋谷が言うと、観客がいっせいに頭の上で手拍子を始める。だんだんと渋谷の煽りが優しい言葉になってきた。最後のフレーズを歌う観客の歌声を聞いて「完璧です!」と言った時も良い笑顔をしていた。今日のメンバーはいつにも増して楽しそうに見える。

 

「吉井さんが好きだと言ってくれた曲をやります」と言ってから演奏されたのは『リビング』。切り絵風のアニメーションがスクリーンに映され、それに合わせて歌い演奏される。基本的に熱い演奏と歌の生々しいライブをするバンドだが、この曲の時は美しい映画を観ているような気持ちになった。

 

20年周年を迎えましたが、20年はやらひ気がする。

 

メンバーとは人生の半分以上の時間を過ごしています。柳沢と、えーと、ドラムを叩いている、名前がわからない人(笑)

 

音楽に対しては真摯で熱いのに、MCではふざけてメンバーをいじる渋谷。その後にきちんと「藤原さんでしたね。ごめんね///」と謝罪していた。

 

土の中にいた期間が長いバンドだったとよく言われます。自分でも本当に思います。30歳手前までアルバイトをしていたし、その頃は車を自分達で運転して全国を回ったりしていたし。

 

その日々の積み重ねの先に、このような日があるなんて思ってもいなかった。イエモンと2マンしている未来は全く想像していなかったです。だって、冷静に考えてみてよ!THE YELLOW MONKEYだよ!想像できるわけないじゃん(笑)

 

4人だけで音楽やっている時間が多かったから、4人だけじゃ面白くないって気づいちゃったんだ。あなたと一緒じゃないと面白くないって気づいたんだ。

 

俺は音楽よりも人が好きです。断言するけれど、俺は音楽以外もやれた。よく「あの人は音楽しかできないから」と言われる人もいるけれど、それってカッコいいのかなと思う。俺は選択肢がある中で、音楽をやりたいと思って選んでやっている。だから音楽しかないからやっている人には負けないと思っている。

 

俺があなたの次に好きな音楽で、あなたの何かを変えられたらと思う

 

活動を振り返りつつ熱い想いを語った後に演奏されたのは『片想い』。スクリーンには歌詞が表示され、楽曲に込められたメッセージがダイレクトに心に響く。

 

尊敬するイエモンと一緒だとしても、2組だけでライブを作っても面白くない!あなたとも一緒に作らなちゃ面白くない!

 

あなたがいるから音楽が鳴ってるんだ。傍観者になるなよ。あなたが音楽を作ってるんだ!

 

観客に訴えかけるように話してから『小さな革命』が演奏されると、この日一番に感じる大きさの観客の合唱が響く。バンドの演奏はそれに連られてかだんだん激しくなっていく。まさにバンドだけでは作れないライブだからこその空間になっていた。

 

「届いてますか!?」と言ってから始まった『アイラブユー』では、ステージと客席とで「愛してる」を叫び合うかのような、渋谷も歌い観客も歌う多幸感に満ちた空間になっていた。

 

吉井和哉がライブ中に言っていた「SUPER BEAVERが次のロックスターだ!」という言葉へのアンサーとして「ロックスターを任されましたSUPER BEAVERです」と言って自分の背中を両親指で指差す渋谷の姿には痺れた。まるで背中に羽が生えているように見えた。

 

今日はイエモンと一緒にやれて、あなたと音楽を作れて、本当によかった。20年やって後輩とかも出てきているけれど、イエモンとやって俺たちはまだまだ若手なんだって今日思い知った。20年やってるのにまだ上がいるのかと(笑)

 

語弊があるかもしれないけれど、フェスが嫌いな訳ではないけれど、フェスでは得られない何かを今日は感じた。本気の音楽好きの前で音楽ができて幸せです。今日で俺たちの何かが変わった気がする。これからも地に足つけてカッコよくなっていくんで、よろくお願いします。

 

一個だけお願いがあります。ライブハウスで会いましょう。

 

20周年にして改めての決意表明に感じる言葉を渋谷が話してから演奏されたのは『切望』。火花の特効が飛び出たりとド派手な演出が印象的だ。〈笑顔の渦を作りたい〉という歌詞の言葉通りに、客席には笑顔の観客がたくさんいた。

 

「これからも一緒に音楽やろうぜ!」と渋谷が叫び『最前線』が演奏されると、客席から大合唱が響く。本当にSUPER BEAVERとイエモンファンを含めた観客とで、一緒に音楽をやっている。そう感じるほどに多幸感に満ちている凄い光景だった。

 

大団円な空気が流れる中、渋谷が「ありがとうございました!」と言って帰ろうとするメンバー。観客も温かな拍手を贈るが、その拍手を遮るように「やっぱ帰らないでください!もう一曲やっていいですか!」という渋谷。観客の拍手は歓喜に満ちたものへと変わる。

 

そして「フロムライブハウス!SUPER BEAVER!俺たちはあなたのことを邪魔する奴は絶対に許さない!だからコンプラとか厳しい現代に、あなたができないことを代わりにしてあげます!」と言って渋谷が「厄祓い!厄祓い!」と言って中指を立てる。その様子も会場のスクリーンにしっかりと映っていた。テレビでは絶対に流れない、現場だからこそのSUPER BEAVERの姿だ。

 

「アンコールはありません!」と言って最後に演奏されたのは『さよなら絶望』。観客は中指を立てる代わりに歌声と拳で厄祓いをするかのように騒いでいた。バンドはそれを受け止めるように熱い演奏をしていた。

 

最後に「THE YELLOW MONKEYに拍手を!あなた自身にも拍手を!」と渋谷が言った時、それに応えるように観客は拍手をしていた。その拍手はとても大きくて、その拍手にはSUPER BEAVERに対してや今回のライブに関わったスタッフに対する想いも込められていたように感じる。それほどに大きくて温かな拍手だった。

 

音楽は録音されたものを聴いても感動できる。フェスでたくさんの音楽を聴くのも楽しい。だがこうして音楽好きが集まって、音楽へ真摯に向き合い、ガチンコの熱い2マンライブを見届けることは、やはり至高だなとも思う。現場だからこそ受け取れる感情や感動があるのだとも思う。

 

『現場至上主義』というライブタイトルに納得してしまうような、両者ともにアイラブユーを叫び合うようなLOVELOVESHOWと言える、最高の対バンだった。

 

■セットリスト

1.人として
2.ひたむき
3.美しい日
4.東京流星群
5.青い春
6.リビング
7.片想い
8.小さな革命
9.アイラヴユー
10.切望
11.最前線
12.さよなら絶望