オトニッチ

ニッチな音楽情報と捻くれて共感されない音楽コラムと音楽エッセイ

第9回アイドル楽曲大賞2020に自分が投票した楽曲を理由と共に晒してみる 

2020年度(2019年12月1日~2020年11月30日)に発表されたアイドル楽曲の内、良かったと思う楽曲を一般投票で集め、ランキングを作るという『アイドル楽曲大賞2020』というイベント。

 

メジャーアイドル楽曲部門、インディーズ/楽曲部門のそれぞれ5曲ずつと、アルバム部門で3枚、推し箱部門で1組参加者は選んで投票することが基本のルールだ。

 

自分も選んで投票してみた。全てのノミネート曲を聴けたわけではないけど、自分が今年聴いたアイドルソングを純粋に楽曲の魅力だけを評価してみた。

 

 

メジャーアイドル楽曲部門 

5位 DIALOGUE + / 好きだよ、好き。

作詞・作曲 田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)
編曲:佐藤純一(fhána)

 

UNISON SQUARE GARDENの田淵智也が作詞作曲をしていることもあり、ユニゾン味がめちゃくちゃ強いメロディと歌詞。聴けばすぐに田淵の顔が頭に思い浮かぶぐらいに田淵な音楽。

 

それをfhánaの佐藤純一が上手い具合にキラキラした編曲でアイドルソングとしてまとめている。

 

そしてDIAROGUE +のメンバーが歌うことで、楽曲がポップで明るい世界観で彩られる。関わった全員で協力してDIALOGUE+の音楽を作っている感じが最高なのだ。

 

このような化学反応が起こるから有名アーティストの楽曲提供は面白い。

 

でもユニゾンがセルフカバーをして、斎藤宏介が「好きだよ、好き♡」と歌っているところも観てみたい。

 

詳細な感想は別の記事に書いているので、そちらを読んで欲しい。

 

4位 lyrical School / OK!

作詞:ALI-KICK・大久保潤也(アナ)
作曲:上田修平・大久保潤也(アナ)
編曲:上田修平

 

リリスクを知らない人が聴いたら、彼女たちをアイドルとは思わないかもしれない。chelmicoのようなアイドルではないヒップホップユニットに思うかもしれない。

 

それぐらいに世間が思い描くアイドル像とは、かけ離れた高いスキルを持っているのだ。

 

リズムの乗り方も凄いし発音も良い。しかもトラックもめちゃくちゃ作り込まれている。どこを切り取ってもハイレベル。

 

韻の踏み方も凄い。ひたすら踏み続けている。しかも「こんなパターンがあったのか」と思うような凝った韻の踏み方。

 

特に〈止まらない Oh! what a night〉というリリックは韻を綺麗に踏んでいるし、〈Oh! what a night〉が「終わらない」にも聞こえるという凝り方をしている。

 

リリスクは個人的にもっと評価されるべきアイドルランキング1位である。

 

3位 NiziU / Make you happy

作詞:J.Y. Park“The Asiansoul”・ Yuka Matsumoto,
作曲・編曲:J.Y. Park“The Asiansoul”・Lee Hae Sol

 

 オーディション番組で話題になっただけではなく、しっかりと高いクオリティでトレンドも押さえた楽曲になっていることが流石。

 

『Make you happy」の詳細な感想は別に記事を書いているのでそちらを読んでほしい。

 

 

2位 でんぱ組.inc / アイノカタチ

作詞・作曲・編曲:玉屋2060%(Winners)

 

 今までめちゃくちゃ愛をふり撒いてきたでんぱ組が、〈愛の形ってどんなの?さあ わたしにゃまだまだわかんない〉と歌うからこそグッとくる。

 

10年以上活動して弱小事務所から成り上がり、女性アイドルシーンを引っ張り続けてきてファンにも後輩アイドルにも夢を与えてきたでんぱ組が歌うからこそ胸に響く楽曲。

 

今の吉田拓郎が『人生を語らず』をライブで歌う時と同じぐらいにエモーショナル。

 

この歌詞を明るくう歌うことこそが「愛の形」だと思ってしまう。

 

でんぱ組と深い関わりがある玉屋2060%の提供作品。玉屋によるグループへの愛は音楽で形にしたように感じる。様々な愛で溢れた素晴らしい楽曲。

 

愛の形が何かはわからないけれど、『アイノカタチ』自体が愛の形かもしれない。

 

1位 乃木坂46 / I see...

作詞:秋元康
作曲:youth case
編曲:佐々木博史

 

「SMAPぽい」と話題になり大きなバズに繋がった乃木坂4期生の楽曲。

 

それによって乃木坂4期生の人気が急上昇し、今までの乃木坂46とは違う層のファンも獲得できたように思う。

 

しかし楽曲自体がめちゃくちゃ良いからこそバズっし、SMAPファンにも好意的に受け入れられたのだと思う。

 

メロディと歌詞はキャッチーで口ずさみたくなる。誰もが良い音楽と感じるようそが「これでもか」と言うぐらいに詰まっているのだ。

 

そしてMVのダンスも可愛らしくメンバーも魅力的に映っている。ここ最近の乃木坂46の楽曲でダントツで素晴らしいがっに思う。

 

「SMAPぽい」と言われる理由については、別の記事で考察をしたので読んで欲しい。

 

インディーズ/地方アイドル楽曲部門

5位 Task have Fun / 星フルWISH

作詞:MIZUE
作曲:すみだしんや
編曲:華原大輔

 

超王道のアイドルソング。キラキラしたサウンドと切なくも明るい曲調とメロディ。良い意味で予想通りな定番の楽曲展開と編曲。どことなく懐かしさすら感じる。

 

でもこれほどベタなアイドルソングなのに古さを感じない。むしろ新鮮で純粋に良いと感じてしまう。そう感じさせる楽曲を作ったクリエイター陣の手腕は流石。

 

そしてしっかりとメンバーが歌いこなしているからこそ、楽曲が魅力的になっていると感じる。

 

4位SAKA-SAMA /或る日の出来事

作詞:シマダマユミ
作曲・編曲:teoremaa

 

レトロでチープな音色が心地よい。懐かしい音色ではあるが、今の時代に新曲として出てくると新鮮に感じる。

 

90年代の雰囲気も感じるのは渋谷系の要素も加わっているからだろうか。シンセサイザーの音やスネアの音がカラフルで聴いていて楽しい。

 

メロディがシンプルで心地よく流れるようなリズムだから気付きづらいが、穏やかかと思いきや突然激しくなったりと演奏は複雑。

 

それに不思議な中毒性があって、惹きつけられてしまう。

 

3位 われらがプワプワプーワプワ / ベランダから始めるセカイセイフク 

作詞 ヨロコビ(No.000)fromどっちて爆撃ッズ
作曲 四市田雲豹

 

ふざけた感じのグループ名と曲名なのに、めちゃくちゃ名曲である。

 

シティポップ風味な演奏が心地よい。特にメロディを奏でるような動き回るラインを弾くベースが最高。シンセサイザーとエレキギターのカッティングもいい味を出している。時折入るクラップの音も聴いていて楽しい。

 

サビの〈ベランダからじゃなきゃダメみたい 君と僕のラブストーリー〉というフレーズのパンチラインが強くて、一度聞いたら忘れられない。使われている言葉も歌詞の世界観も独特で個性的。

 

グループ自体の知名度がまだ低いので気づかれていないのかもしれないが、音楽にめちゃくちゃこだわっているグループに思う。

 

 

2位 Negicco / 午前0時のシンパシー 

作詞:一十三十一
作曲:一十三十一、 PARKGOLF
編曲:PARKGOLF

 

アイドルソングは基本的には歌っているアイドルが主役で、歌声が最も目立つように作曲や編曲がされていることが多い。

 

しかしNegicco『午前0時のシンパシー』は演奏が主役と感じる。

 

斬新で細かい部分まで作り込まれたトラックで、展開も複雑。インストゥメンタルとしても通用するような曲である。

 

そこにNegiccoの歌声が重なると、声までも楽器として機能しているように聴こえるのだ。もちろん歌としても良いのだが、声を音として捉えているような編曲で、それが心地よくて聴き入ってしむう。

 

今までも作り込まれた完成度の高い楽曲を量産してきたグループだが、ここにきて新境地の名曲を作ってしまった。

  

1位 ukka / 恋、いちばんめ

作詞:MICO・ヤマモトショウ
作曲:ヤマモトショウ 
編曲:宮野弦士

 

作詞作曲で元ふぇのたすの2人が再び揃ったこと自体が尊くて感動的。

 

そんな2人がポップで明るくて多幸感に満ちた名曲をukkaに提供した。そして宮野弦士が最高の編曲をしてより魅力的な楽曲にさせた。

 

それをukkaが歌うわけだが、彼女たちの歌唱力や表現力が去年と比べても段違いに成長していて、その歌声にも感動してしまう。

 

詳しい感想は別の記事に書いたのでそちらを読んで欲しい。

 

コロナ禍なのに人気が上昇しているのは、楽曲に恵まれていることとメンバーのスキルが成長したことが理由に思う。

 

 

アルバム部門

3位 眉村ちあき / 劇団オギャリズム

劇団オギャリズム[限定盤]

劇団オギャリズム[限定盤]

  • アーティスト:眉村ちあき
  • 発売日: 2020/01/08
  • メディア: CD
  •  
 

 

『劇団オギャリズム』は眉村ちあきの音楽の魅力が伝わりやすい作品だと思う。

 

彼女のポップでキャッチーな部分が過去作よりも強調されているので聴きやすい。それでいて唯一無二の個性やぶっ飛んだセンスはしっかり残されている。

 

バラエティ番組のイメージでイロモノ扱いされることが多いが、きちんと聴けばアイドルとしてもミュージシャンとしても才能が溢れていることが伝わるはずだ。

 

詳しい感想は別の記事に書いたのでそちらを読んで欲しい。

 

2位 RYUTist / ファルセット

ファルセット

ファルセット

  • アーティスト:RYUTist
  • 発売日: 2020/07/14
  • メディア: CD
 

 

 めちゃくちゃ凝っているし、めちゃくちゃ作り込まれているアルバムだ。

 

少しマニアックな方向性ではあるが、RYUTistがアイドルとして明るく歌うことでバランスが取れている。マニアックではあるが大衆にもしっかり向いた音楽で、大衆に向いているが媚びているわけではない。

 

そんなコアな音楽ファンを唸らせるような、ハイクオリティの楽曲が揃っている。

 

サブスク全盛期で短い曲が好まれるご時世で、7分の楽曲をアイドルに歌わせたりとぶっ飛んではいる。しかしそれでもポップスとして成立させる力を持っていることが、RYUtistの魅力に感じる。

 

詳しい感想は別の記事に書いたのでそちらを読んで欲しい。

 

1位 私立恵比寿中学 / PLAYLIST

playlist(初回生産限定盤A)(Blu-ray Disc付)(特典なし)

playlist(初回生産限定盤A)(Blu-ray Disc付)(特典なし)

 

 

 「アイドルが歌うJ-POP」としては、究極の完成形と思えるぐらいに隙がない。

 

メンバーはシンガーとして高いスキルの歌唱をして、アイドルとしては明るく魅力的に表現する。高いスキルと個性的な歌声によって、どんな曲もエビ中として唯一無二の歌にしてしまうのだ。

 

楽曲提供陣は実力派の作曲家や、脂が乗っている旬のアーティストが多い。そのため純粋に良い曲を揃えているだけでなくフレッシュさもある。

 

「楽曲派」と呼ばれるアイドルはマニア受けするコアな音楽性に向かうことが多い。

 

エビ中も「音楽が良いアイドル」と評価されることは多いが、最近は王道なJ-POPで勝負している。そしてアイドルファン以外にもしっかり評価されている。

 

これは珍しいことで音楽にこだわり続けてきたエビ中だから成立していることかもしれない。

 

変わったことで目立つよりも、王道を極めて評価されることが最も凄いことなのだ。そういう意味では他のアイドルよりも頭ひとつ抜けていると思うし、格が違うとも感じる。

 

推し箱部門

sora tob sakana

 

推し箱部門は「これから伸びて欲しい」「来年は飛躍して欲しい」と思うアイドルを毎年選んでいる。だから去年はukkaを選んだ。

 

でも、今年だけは、解散したアイドルを選ぼうと思う。

 

sora tob sakanaは偉大なグループだと思うし、今のアイドルシーンに大きな影響を残したグループに思うから。

 

自分にとっても大切なグループだ。オサカナの曲やライブには何度も衝撃を受けて感動した。

 

メンバーと運営と応援し続けたファンへの敬意と感謝を込めて、今年の推し箱部門はsora tobu sakanaを選んだ。

 

ラストライブでメンバーはファンに対して「出会ってくれてありがとうございました」と言っていたけれども、こちらこそ出会わせてくれてありがとうございました。

 

 

まとめ

メジャーアイドル楽曲部門 

1位 乃木坂46 / I see...
2位 でんぱ組.inc / アイノカタチ
3位 NiziU / Make you happy
4位 lyrical School / OK!
5位 DIALOGUE + / 好きだよ、好き。

 

インディーズ/地方アイドル楽曲部門  

1位 ukka / 恋、いちばんめ
2位 Negicco / 午前0時のシンパシー 
3位 われらがプワプワプーワプワ / ベランダから始めるセカイセイフク
4位SAKA-SAMA /或る日の出来事
5位 Task have Fun / 星フルWISH

 

アルバム部門

1位 私立恵比寿中学 / PLAYLIST
2位 RYUTist / ファルセット
3位 眉村ちあき / 劇団オギャリズム

 

推し箱部門
sora tob sakana  

 

↓去年の投票についてはこちら↓