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【レビュー・感想】小山田壮平のソロアルバム『THE TRAVELING LIFE』をandymoriのファンは聴くべき

ALもいいのだけども・・・・・・

 

andymoriは解散してもなお日本のロックシーンへの影響力は強い。解散後も日本のロックシーンにおいて重要なバンドとして評価され続けている。

 

SUNNY CAR WASHや東京少年倶楽部、The Songbardsなど影響を受けたであろうバンドも出てきた。むしろ解散後の方が評価されているかと思うほどである。

 

リスナーも強い影響を受けた人が多い。

 

かつてのファンはいまだにandymoriの幻影を追いかける人も多い。ソングライターの小山田壮平にかつてのような活動を求めたり、定期的にandymoriを話題にしたりと思いにふけているのだ。

 

自分もそんな幻影を追いかける1人だ。

 

初期メンバー全員が参加しているバンドALを現在進行形で活動しているが、そちらでは体験できないものをどうしても求めてしまう。

 

ALもめちゃくちゃ良いバンドだが、基本的に楽曲は小山田壮平と長澤知之との共作。小山田壮平のパーソナルな部分を感じる楽曲は少ない。

 

共作だからこその化学反応や、ボーカリストが2人いるからこそのハーモニーを楽しむバンドに思うのだ。

 

しかし、たまには小山田壮平の濃度100%の音楽を聴きたいとも思う。できればandymoriの衝動的で個性的な演奏も聴きたいとも思う。

 

だから初のソロアルバム『THE TRAVELING LIFE』を聴いた時は嬉しかった。久々に小山田壮平の個性が爆発した録音作品を聴けたからだ。

 

andymoriを彷彿とさせる部分

 

小山田壮平のソングライティングの癖はずっと変わっていないとは思う。

 

しかしALでは長澤知之と共に歌うので、メロディラインが2人の個性が組み合わさったものになっていることが多い。そのためandymori時代のメロディとは違う楽曲が中心だった。

 

ソロアルバム『THE TRAVELING LIFE』の楽曲は、andymori時代を彷彿とさせるメロディや歌唱方法が多い。

 

メロディを伸ばす時に母音を強調するようなメロディ。語尾を母音でしゃくり上げるような歌唱。途中で叫ぶように歌う曲も多い。

 

それが懐かしく思った。これはandymori時代の特徴でもあったメロディラインと歌唱だ。

 

OH MY GOD

OH MY GOD

  • 小山田壮平
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

例えば『OH MY GOD』の〈OH MY GOD なんということだ これがさだめなのか 幻なのか〉という部分で、母音を強調させて語尾を伸ばしたり叫ぶように歌う部分は、まさにandymori時代に近い歌唱とメロディ。

 

 またポエトリーリーディングと歌の中間のような独特なメロディを歌うことも、andymori時代からの特徴である。

 

あの日の約束通りに

あの日の約束通りに

  • 小山田壮平
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

『あの日の約束通りに』のようなスローテンポの優しい曲ではそれが顕著だ。

 

〈タオルケットににじむ香りをこんなにも抱きしめている〉という出だしの歌い方からしても、その特徴を感じるはずだ。

 

Kapachino

Kapachino

  • 小山田壮平
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

『Kapachino』の激しいロックサウンドも『FOLLOW ME』など初期のandymori楽曲を思い出してしまう。

 

全体的に落ち着いた雰囲気の楽曲が多いアルバムだが、衝動的に演奏するバンドサウンドにはやはり興奮する。ソロ作品でありながらバンドサウンドもクールだ。

 

これらの特徴はALでもなかったわけではない。『HAPPY BIRTHDAY』はandymoriを彷彿とさせる激しいバンドサウンドだし、『地上の天国なソングライターの歌』はポエトリーリーティングと歌を組み合わせたような独特なメロディ。『ショートナイト』では母音を強調した歌唱も聴ける。

 

地上の天国なソングライターの歌

地上の天国なソングライターの歌

  • AL
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

しかしそれは一部の楽曲。

 

ALはandymoriとは違う魅力を持った新しいバンドとして存在している。そこにandymoriを求めることは間違っているし、ALには違うカッコよさがある。

 

小山田壮平と長澤知之という2人のソングライターによる化学反応で1人では生み出せない新しい楽曲を作っている。

 

それに対して小山田壮平のソロ作品はandymoriの延長にあるように感じるのだ。

 

andymoriとALのどちらが良いかという話ではなく、出会ったときの小山田壮平に近い音楽性にセンチメンタルになってしまい感動してしまうのだ。

 

そのセンチメンタルがいつかお前の身を滅ぼすのかもしれないと言われたとしても、それを求めてしまう。

 

andymoriとは違う部分

 

かといってandymoriの延長にある楽曲ばかりではない。ソロだからこその新しい魅力もある。

 

HIGH WAY

HIGH WAY

  • 小山田壮平
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

『HIGH WAY』はandymori『グロリアス軽トラ』と雰囲気が近いミドルテンポのフォーキーな楽曲だが、バンドサウンドの中に様々な音が使われて厚みと深みのあるサウンドになっている。

 

コーラスの入れ方も繊細だ。バンドの衝動的な演奏ではなく丁寧に作り込まれたソロだからこその楽曲に思う。

 

『旅に出るならどこまでも』では笛が使われていたり『ゆうちゃん』ではスチールギターが使われ、『あの日の約束通りに』ではピアノが使われている。

 

旅に出るならどこまでも

旅に出るならどこまでも

  • 小山田壮平
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

 「バンド」という枠にとらわれずに楽曲が最も魅力的になる編曲や演奏のアンサンブルが考えられている。

 

繊細で複雑。それはandymoriともALとも少し違う。ソロだからこその新しい魅力だ。その魅力にも惹きつけられた。

 

そしてそれぞれが全て違って、それぞれに良い部分があるのだと気づく。それぞれが全て繫っている部分もあるのだとも気づく。

 

andymoriをソロ活動に求めることは違うのかもしれない。繋がっている部分があるとしても、別のものを作っている。

 

そしてそれも素晴らしい音楽なのだ。

 

君の愛する歌

君の愛する歌

  • 小山田壮平
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

君の愛する歌を歌いたい 誰かと誰かが通り過ぎても
君のグッときたメロディに浸りたいんだ
君の愛する歌を歌いたい

(君の愛する歌 / 小山田壮平)

 

『君の愛する歌』で小山田壮平は上記のように歌っている。

 

これは彼の音楽を続ける上でのではないだろうか。活動形態が変わったとしても、この部分は変わらない。

 

だから小山田壮平の作る音楽にはグッときてしまうし、彼の歌声には感動してしまう。

 

そんなことをすごい速さで夏がすぎた9月に思ってしまったので、熱が胸に騒ぐ。

 

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