2020-04-13 星野源『うちで踊ろう』に安倍晋三さんが参加したことは悪いとは思わない コラム・エッセイ 星野源 安倍首相の『うちで踊ろう』 『うちで踊ろう』は誰にでも開かれた企画だと思う。 プロのアーティストだけでなくファンも気軽に参加して楽しんでいた。基本的には歌や伴奏、ダンス、イラストなどを重ねる企画として始まったが、広まるにつれ様々なコラボが行われた。 手話を重ねる一般のファンもいた。神戸どうぶつ王国は動物の映像と重ねた。様々な人の「アイデア」によって広がりを見せていた。 当初の趣旨とは違う動画ではあったと思うが、それも受け入れられ、多くの人に癒しと安らぎをくれた。この企画やコラボ相手に対しての否定的な意見はほとんどなかった。 それが、安倍首相の投稿によって、変わってしまった。 友達と会えない。飲み会もできない。ただ、皆さんのこうした行動によって、多くの命が確実に救われています。そして、今この瞬間も、過酷を極める現場で奮闘して下さっている、医療従事者の皆さんの負担の軽減につながります。お一人お一人のご協力に、心より感謝申し上げます。 pic.twitter.com/VEq1P7EvnL — 安倍晋三 (@AbeShinzo) 2020年4月12日 この投稿には多くの否定的な意見が殺到した。 否定する意見に対して「誰がコラボしても問題ない企画では?」という安倍首相の投稿を肯定する意見もあった。争いとは無縁だった企画だったのに、賛否両論様々な意見が集まった。それは他のコラボ動画に集まった反応とは全く違う。 個人的な政治的思想のことは置いておいて(この記事でも触れるつもりはない)、自分は安倍首相の投稿には残念に思った。不快に思った。他のコラボ動画のように楽しむことができなかった。 この件に対して「音楽家からの視点」として意見を書いている記事を見つけた。個人的には納得できる内容の記事で、共感できる部分もあった。 ただ自分はこれほど複雑なことや難しいことを考えたり思ったりして、悲しくなったわけでも残念に感じたわけでもない。 投稿されたことによって『うちで踊ろう』の企画が壊れてしまったように感じたので、悲しくなったのだ。 安倍首相が悪いとは思わない 安倍首相は真っ当な文章をツイートしている。自粛に協力している国民に感謝を告げている。自分は”投稿内容”に問題があるは思わない。悪意はない投稿に感じる。善意のつもりで投稿したのだとも感じる。 高感度の高い人気タレントが同じような内容の動画とメッセージを添えてツイートすれば、炎上はせず多くの人が受け入れたと感じる。 ただ他の投稿者と大きく違ったことは、総理大臣という立場であることだ。一般人とも芸能人とも著名人とも違う。影響力の問題や知名度の問題ではなく、立場が特殊すぎる人物による投稿だったことが違うのだ。 そのため「星野源や事務所のアミューズも国と政治的な繋がりがあって協力しているのでは?」と憶測をされたり「音楽文化を軽視していた安倍総理が乗っかるのか」と批判が巻き起こったり「音楽の政治利用では?」と音楽と政治の関係性についてSNS上で討論されていたりと、明らかに他の動画とは違う意味で話題になっていた。 これまで『うちで踊ろう』で話題になった出来事といえば「まさかこの人が参加するとは!」という喜びや「こんなアイデアがあるのか!」という驚きについてだ。 批判意見などほぼなかったし平和だった。新型コロナにより不安が募る中で、安らぎをくれる優しい企画だった。 それが変わってしまった。 安らぎをくれるハッピーな企画だったはずなのに、ギスギスした意見が飛び交うことになってしまった。それが悲しかった。自分は説明のできない不快さを感じた。 個人的には音楽を政治利用しようが、それが世の中をよくする目的ならば良いのではと思う。だから自分は安倍首相の投稿に思うところもあったが、安倍首相の『うちで踊ろう』を責めようとは思わない。 国の政策や行動や活動に対して意見をしたい部分はあるが、『うちで踊ろう』はもともと「誰もが自由に参加できる企画」だったので、企画参加したことに対して責めることは違うのかもしれないと思う。 誰も悪意がないのに「新しい一つの文化活動」が壊れてしまた気がするのだ。個人的には責める気にもなれない。責めたいとも思う気持ちは正直あるが、責めるべき理由が自分には見つけられない。 だから余計に残念に思うし、悲しく思う。 どうすれば炎上しなかったのか? 星野源がインスタストーリーに安倍首相の投稿について言及していた。内容は「首相の動画について事前にも事後にも連絡や確認がなかった」ことを告げる内容だ。アミューズや星野源は安倍首相とは政治的な繋がりはないことを伝えることが目的に思う。 また「安倍晋三さん」と個人の名前で呼んでいることや「これまで沢山の動画をアップしている皆さんと同じように」と記載されていることから、個人の投稿としては尊重しているように思う。 しかし他の参加者と違い動画を紹介しなかった。感謝の言葉などを記載していない。1日で消えるインスタストーリーにあえて「リポストやツイート等していただいて構いません」と記載している。それらのことから想像すると、星野源も今回の騒動について何かしら思う部分があるのではと感じた。 勝手に星野源の政治的思想や考えを想像したり妄想するのはよくはないかもしれない。しかし彼が何を考えているのかは気になってしまう。 星野源が安倍首相の『うちで踊ろう』を投稿したことにどう思ったのだろうそれに対しての世間の反応に対してどのように思ったのだろう。とても頭が良い人だから、人を傷つけないように波風を立てないように意見を言える人だからこそ、気になってしまう。 しかし、それが気になってしまう自分が嫌だ。 そんなことを気にせずに『うちで踊ってみた』を楽しんでいたかった。気にせずに楽しめば良いのかもしれないので、あくまで自分の問題ではある。でもどうしてもこの件が頭から離れなくなってしまい楽しめなくなってしまった。 これでは『うちで踊ろう』ではなく、安倍首相に『うちで踊らされている』気持ちになってしまう。 どうせなら安倍首相も踊ってくれればよかったのに。そうすれば楽しめたかもしれないのに。 蔡英文総統とトランプ大統領と習近平国家主席が踊ったみたいに。 ↓他の星野源関連の記事はこちら↓ DOME TOUR“POP VIRUS”at TOKYO DOME【初回限定盤】/Blu-ray Disc 楽天市場 Amazon