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廣田あいかはエビ中を辞めてもアイドルは辞めない 〜武道館ライブ「私立恵比寿中学迎春大学芸会 ~forever aiai~」感想とライブレポ〜

8人のエビ中、最後のステージ

自分の中で「これは観ることができて本当に良かった」と心の底から思うライブがある。それはパフォーマンスが素晴らしかったりセットリストが自分好みだったりと様々な理由がある。

 

1月3日。自分の中で「観ることができて本当に良かった」と思うライブが1つ増えた。

 

「私立恵比寿中学迎春大学芸会 ~forever aiai~」

 

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日本武道館で行われた私立恵比寿中学のライブ。この日で脱退する廣田あいかことぁぃぁぃの最後のステージであり、8人のエビ中の最後のステージ。もちろんパフォーマンスも良かったし、セットリストも良かった。それに松野莉奈もステージにいたからね。しかし、「このライブを観ることができてほんと良かった」と思える理由は他にある。

  

メンバーの脱退ライブとしてはありえない

アイドルグループからメンバーが脱退する場合、殆どの場合、脱退するメンバーが目立つような演出だったり〝泣かせにくるような演出〟が多いかと思う。最後だから盛大に送り出してあげようと。それによって脱退するメンバーを推していたファンも納得したり満足できる部分があるかと思う。

 

しかし、そのような演出は殆どなかった。むしろ、もうちょい感動的に泣かせてくれよと思うぐらいに。いつもよりも少し豪華な演出や少し変わった演出がある、いつも通りのライブ。最初から最後までいつも通り楽しくて笑顔になれるエビ中のライブ。

 

多少はぁぃぁぃが目立つような演出もあったし、挨拶では今までの感謝も述べていた。でも、全然最後と言う感じがしない。終演後も寂しさも切なさも感じない。会場にはずっとエビ中を応援していたであろうファンがたくさん集まっていた。ぁぃぁぃのことがずっと好きだったであろうぁぃぁぃ推しのファンが特に多かったと思う。

 

それにも関わらず、いつものようなエビ中のライブでファンは満足したのかと言うと、いつものライブ以上に満足していたと思う。あえて特別感を出したり感動的にするよりも多くのファンを感動させたと思う。だって、終わった後、お客さんはみんな楽しそうな笑顔だったから。

 

それはきっと、ぁぃぁぃの大好きなエビ中の姿を最大限に表現してくれたからだと思う。

 

 廣田あいかプロデュース公演

今回のライブは脱退するぁぃぁぃがセットリストから演出まで、ライブに関わる多くの部分をプロデュースした公演だ。スタッフが「脱退するメンバーのため、脱退するメンバーの事を想って作った公演」ではなく、スタッフが「脱退するメンバーのため、脱退するメンバーに好きに作らせてあげた公演」。

 

そして、ぁぃぁぃがコンセプトとしたものは「推し変」 だった。自分以外のメンバーの本人も気づいていないし、ファンも気づいていないであろう魅力を引き立てる事を目標としていたようだ。

 

自分のソロの曲や目立つ曲を多めにセットリストへ入れたり、衣装も自分が1番目立つようにしてもファンも文句は言わなかったと思う。他のメンバーを推しているファンも箱推しのファンも納得するし満足したと思う。

 

しかし、ぁぃぁぃが最後にエビ中でやりたかったライブは自分が目立つよりも、エビ中のメンバー全員の魅力が120%発揮されていて、誰か特定のメンバーが目立つのではなく、全員が同じように目立っていて主役のライブで、グループとしてのエビ中の素晴らしさを120%伝えることだったのだと思う。やっぱり私立恵比寿中学にヴィーナスは必要なかったのだ。

 

そして、それが会場に来た全員に伝わった。それがライブ成功の大きな理由の1つだと感じる。

 

エビ中ってなんか説明しづらいけど見とかなきゃ損なグループ

 私立恵比寿中学というグループがどのようなグループなのかを説明することは難しい。世間のイメージは〝正統派アイドル〟や〝ももクロの妹分〟というイメージかもしれない。

 

それが間違っている訳ではないが、それこそがエビ中かと言うとそれは的外れとも思う部分はある。しかし、ファンの思い描いているエビ中のイメージを知らない人に伝えても上手くは伝わらないと思う。

 

そんな説明しづらいエビ中の魅力が、今回の公演には「エビ中ってなんか説明しづらいけど見とかなきゃ損なグループ」である理由が全て詰まっていた。

 

楽しいエビ中も、かわいいエビ中も、かっこいいエビ中も、他にもたくさんのエビ中が詰まっていた。それはセットリストやライブの構成や演出から感じる部分だとは思う。もちろん普段のライブからそういった部分はこだわっているとは思う。しかし、今回は「エビ中に関わっているスタッフ」ではなく「エビ中のメンバー」がプロデュースしたライブだ。プロが作った完成度の高いステージではないかもしれないが、メンバーだからこそ伝えられる魅力や凄さが詰まっていたように感じる。

 

主要メンバーの脱退ライブにもかかわらず、もしも今回のライブがBlu-ray作品として発売されたら、エビ中を知らない人に「これを観ればエビ中の魅力がわかるから」と貸してあげたくなるような「入門編」のようなライブにも感じた。しかし、それと同時に長年応援してきたファンも納得できるようなエビ中の魅力が詰まっていて、しかも新しい魅力も感じるようなライブだった。

 

ぁぃぁぃが最後にやりたかったライブは、いつもと同じようなみんなを笑顔にするエビ中のライブで「最強のアイドル」のライブで、いつものライブをさらにアップデートしたものだったのかなと思う。そして、何だかんだでファンが求めているエビ中もそれだったのではとも思う。

 

 「6人は自分のかわいさに気づいていない」

 廣田あいかはライブのMCでライブのコンセプトやメンバーについてこのように話していた。

 

「6人はアイドルなのに自分のかわいさに気づいていないんですよ!」

 

この言葉が印象的だった。今回の公演ではそれを形にしたかったとも話していた。この点に関しては成功していたと思う。たぶん。あえてぁぃぁぃがこのような言葉を言うことでファンも違う見方をしたり、メンバーも少し意識したり考えたりすると思う。

 

この発言には自分のことを推していたファンに「これからもエビ中応援してね」という意味も込められていると思う。この言葉はライブの前からトークショーなどでも話していたようだ。卒業発表後は自分がアイドルを辞めたら他のアイドルに推し変して欲しいとも語っていた。そして、それができればエビ中の他のメンバーであって欲しいとも。

 

ところで、ライブを観て少し思ったことがある。それは、自分のかわいさに気づいていないのは、脱退するぁぃぁぃ自身も同じなのではないだろうか?

 

”職業”がアイドル

 脱退が決まってから、ぁぃぁぃはアイドルを辞めると話したり、「アイドルという職業」という表現も今まで以上に使っていたようにも感じる。Mrs. GREEN APPLEの大森元貴との対談では「誰かを笑顔にできればそれはアイドル」とも語っているが、本人は「職業としてのアイドル」にプライドや特別な想いを持っているようにも感じる。職業としてアイドルをやっているので、仕事をしているときは常に人を笑顔にしなければと思っていたのかもしれない。

 

ぁぃぁぃは全然泣かないのだ。

 

10代前半の昔の映像ではすぐに泣いたりしていたし、泣き虫なのかなと思うこともあった。でも、ある時期から全く泣かなくなった。例えば、勝敗を決める対決イベントで後輩のチームしゃちほこに負けてしまって他のメンバーが悔しくて泣いているときも笑顔でいた。松野莉奈の歌う感情電車を聴いて他のメンバーが泣いているときも明るくふるまっていた。

 

目に涙をためたり、声が震えることはあっても、ステージやカメラの前で泣く姿はいつからか見なくなった。

 

アイドルという職業を続けていくうちに、プロ意識やプライドが芽生えてきて、自分の思い描くアイドル像が生まれたのかもしれない。人を笑顔にするために、その思い描いているアイドルに仕事中は常になっていようとしていたのかもしれない。

 

そんなぁぃぁぃはかっこよかった。常に笑顔でかわいかったと思う。でも、それ故に「自分のかわいさ」に気づいていないのかもしれない。そして、実はファンはぁぃぁぃが見せようとしていない部分に、ぁぃぁぃ本人が気づいていないかわいさに気づいているのかもしれない。

 

”存在”がアイドル

 他のメンバーも私立恵比寿中学のメンバーであることに誇りを持っていると思うし、プロ意識を持っていると思う。アイドルという職業に就いているということも理解しているとは思う。

 

でも、「誰かを笑顔にさせる人がアイドル」だとすると、メンバーはみんな存在自体がアイドルになっていると思う。

 

かっこつけて名言を言おうとして滑っちゃう真山りかは見ていて笑顔になる。

MCで司会なのにグダグダになる安本彩花も見ていて笑顔になる。

文春砲でファンを苦笑いさせる色々と自由な星名美怜も何だかんだ見てると笑顔になる。(今年は砲撃を喰らわないでください?)

もう会えなくても松野の映像を観れば笑顔になる。

ライブ中に感極まって泣いている柏木ひなたを見ても笑顔になる。

オフショットでも人懐っこそうな小林歌穂も見ていて笑顔になる。

中山莉子は何をしていても中山莉子だから笑顔になる。

 

プロとしてステージに立っているときも、ステージに立っていない時も、ファンの前で失敗したり気が抜けてしまっているときも、どんな時も魅力があるのだ。存在自体がアイドルなのだ。

 

それは廣田あいかも同じだと思う。そういった姿を見せないように我慢していただけで。

 

1月3日の最後のステージでも声が震えたり、目に涙をためることはあっても、最後の最後まで泣かなかった。ずっと最初から最後まで笑顔だった。ステージを降りるまで、ずっと職業のアイドルであり続けた。 そのプロ意識は尊敬できるし、かっこいいと思う。心の底から想う。

 

 

 

 でも、今のぁぃぁぃもずっと笑顔でいられるわけでもないのだと思う。泣いちゃうときもあるんだと思う。1月3日も泣いたのかなって思う。だって、ライブを終えた後の写真の目が少し腫れてるし、少し赤くなっているから。ファンが見ていない場所で、様々な想いがあふれてきたんだろうなと思う。

 

ファンにばれちゃってるんだよ。どれだけプロフェッショナルでいようとしても、どれだけ「職業アイドル」でいようとしても。頑張ってアイドルでいようとしていることが気づかれちゃってるんだよ。ぁぃぁぃが見せようとしない部分にもかわいさがあることも気づかれていて、それに魅力を感じてファンになっている人もたくさんいるんだと思う。

 

ぁぃぁぃも自分のかわいさに気づいてない!

 

そしてその魅力はエビ中を辞めても、アイドルという職業を辞めても、決してなくなるものではないんだよ。存在としてはずっと廣田あいかはアイドルで居続けるのだ。今後の活動がしばらくはインスタグラマーとしての活動しかないとしても。

 

このライブを観れて良かったと思う理由

メンバーが脱退してしまうライブで寂しさや悲しさを感じてもおかしくないライブだったにも関わらず、最初から最後までメンバーも会場のお客さんもみんな笑顔でいられたことも良かったと思う。(ひなたは泣いてたけどそれはそれでファンも笑顔になるからOK)

 

そして、ぁぃぁぃを含めたメンバー全員の魅力やエビ中の魅力を再確認できるライブだった。これだけ素晴らしいライブをやれるメンバーだから、今後のエビ中の活動も廣田あいかの活動も心配はいらないんだろうなと思った。

 

それが今回のライブを観ることができて本当に良かったと思う理由だ。

 

そういえば、記事の前半にも書いたが、今回の公演のコンセプトは「推し変」だったらしい。ぁぃぁぃの言葉に従って、自分も推し変をしようと思う。

 

ちなみに、自分の席は関係者席の近くでたくさんのアイドルが座っていた。その中でももクロのあーりんもいて、自分が手を振ったら振り返してくれた。嬉しいよね。

というわけで、エビ中の箱推しからももクロの佐々木彩夏さんに推し変します。

 

嘘です。推し増しします。