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男だけどザ・フーパーズのライブでイケメンにときめいた

知らないアーティストのライブで感動した

音楽のコンサートやライブへ行く人は、基本的に自分が好きなアーティストのライブへ行くと思う。曲も知っていてメンバーの顔も名前も知っているアーティスト。知らないアーティストのライブにわざわざ行こうとはあまり思わないだろう。自分も基本的にはそのパターンだ。

 

しかし、曲や顔や名前も知らなくてもライブを観ることもある。例えば音楽フェスで偶然観たり、対バンイベントで観たり。もしくは知人などに誘われてライブを観に行ったり。そして、ライブを観て楽曲やパフォーマンスやメンバーに興味を持ちファンになることもある。

 

1月2日。渋谷のライブハウス、DUO MUSIC EXCHANGE。自分はそんな感じの理由で、殆ど知らないアーティストのワンマンライブを観る機会があった。

 

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そしてパフォーマンスを観て「これは凄い」と思った。約2時間、殆ど曲も知らないかったのに全く飽きず、むしろ「もっと観たい」と思える〝知らなかったアーティスト〟のライブを観た。

 

ザ・フーパーズというグループ。知らない人はメモっておくように。

 

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矛盾した不思議なコンセプト

ザ・フーパーズとは8人組イケメン女子グループ。「イケメン女子グループ」と言うコンセプトを伝えられてもピンとくる人は少ないかもしれない。女子に対して「イケメン」という言葉は、あまり使うことはない。基本的には男性に対して使う言葉だ。女性に対しては「かわいい」や「綺麗」という言葉は使うことは一般的だと思う。「イケメン女子」というコンセプトについて矛盾を感じたり違和感を感じ、どのようなグループか想像がつかない人も多いかもしれない。

 

しかし、この矛盾したような聞きなれないコンセプトも、実際にライブで曲を聴きパフォーマンスを観ることで意味が理解できるのだ。

 

例えば、今飛ぶ鳥を落とす勢いで人気が拡大しているBiSHは「楽器を持たないパンクバンド」というコンセプトである。楽器を持っていないのにバンドと名乗っていることには矛盾がある。しかし、BiSHのパンクバンドと同じぐらい熱く激しいパフォーマンスを観れば、「楽器を持たないパンクバンド」とはどういうことなのかがわかる。矛盾したコンセプトを一瞬で理解させ魅力が伝わってくるような個性や実力があるのだ。

 

それと同じように、ザ・フーパーズも矛盾しているような「イケメン女子」とは何かを一瞬で理解させ、その魅力が伝わってくるステージを魅せてくれた。それはメンバーのルックスだけでなく、パフォーマンスや楽曲、演出などステージに関わる全てのことが合わさって「イケメン女子」の世界観を構築していた。

 

自らのコンセプトをしっかりと表現できるグループは強い。その完成度が高いステージは老若男女問わず、多くの人を惹きつけるような”エンターテイメント”になっているように感じた。

 

実際に、自分も惹きつけられ、魅了され、夢中でステージを観ていた。8人のイケメン女子にときめいていた。

 

完成された世界観

ザ・フーパーズのライブに一瞬で引き込まれた理由の一つに演出のこだわりの強さがある。

 

ライブ開始後、メンバーは薄暗い照明の中、マントと仮面を身に着けたメンバーがろうそくを持ってゆっくりと出てきた。そしてすぐに歌いだすのではなく、台詞を話す。

 

それは音楽のライブのスタートとしては珍しい始まり方だった。まるで演劇やミュージカルのような始まり方。この始まり方で一瞬でザ・フーパーズの世界観に引き込まれた。

 

今回の会場はキャパも700名ほどのライブハウス。会場のお客さん全員を巻き込んで盛り上げるにはライブハウスのキャパはとても良い大きさだと思う。しかし、世界観を構築し”魅せる”ステージは大規模な演出や派手な演出ができるホールやアリーナの方が伝わりやすいのではと思う。

 

それにも関わらず、ザ・フーパーズはライブハウスでしっかり世界観を構築し、曲が始まる前からライブを観ている者を引き込んできた。しっかりと世界観を構築しお客さんに伝えてから歌いだす。

 

1曲目の”ユラメクホノオ”から2曲目の”情熱は枯葉のように”を続けて披露し、華やかでライブハウス全体を余すことなく使ったパフォーマンスでさらにお客さんをザ・フーパーズの深い世界観へ引き込んでくる。その圧巻のステージに序盤から目が離せなかった。

 

他の女性グループにも男性グループにもできないパフォーマンス

ザ・フーパーズのパフォーマンスのクオリティの高さには驚いた。そして、そのパフォーマンスは他の女性グループにも男性グループにもできないようなパフォーマンスに感じた。

 

メンバーのパフォーマンスは華やかで派手な動きが多い。例えば、ライブ中に側転やバク転など他の女性グループはやることがないであろう魅せるような動きも多い。それにも関わらず、それを『見せ場』としてアピールせず、複数の曲でバク転を何度も行っている。

 

他の女性グループが側転やバク転をすれば、それがパフォーマンスで一番目立つ部分になり、一番の見せ場になると思う。しかし、 ザ・フーパーズの場合はそうはならない。それが見せ場というよりもパフォーマンスを盛り立てる一部の動きであり、一番の見せ場ではない。そういった派手な動きを含めたダンス全体のフォーメーションの美しさだったり、ステージ全体を使った魅せるパフォーマンスが強みで見せ場ではと思う。

 

ダンスには派手な動きや大きな動きが多く、男性グループのような激しいダンスもある。しかし、それも他の男性グループとは違う魅力のあるものになっているように感じる。男性グループの場合、派手な動きや大きな動きをすると、かなりダイナミックで圧倒されると思う。しかし、 ザ・フーパーズの場合は少し違う。男性グループのような激しい動きをすると、ダイナミックな部分も残しつつ、女性的な繊細さを感じたり美しさを感じるような動きになっている。これは他の男性グループでは見ることができないパフォーマンスかもしれない。

 

これらのことは「イケメン女子グループ」だからこそできるパフォーマンスであり、他にない個性ではと思う。女性的な部分も男性的な部分も組み合わさた中世的な魅力がパフォーマンスでも表現されている。

 

実際に観たらときめいてしまう

世界観をしっかり構築していることや、「イケメン女子グループ」だからこそできるパフォーマンスなど他にはない個性を持っているが、純粋に楽曲も良い。

 

新曲の「ヴァンパイアキス」のようにストリングスの音が印象的で台詞のパートもある個性的な楽曲もあれば、UVERworldのカバー曲の「SHAMROCK」や千本桜を制作したことで有名な黒うさPが書き下ろした「シロツメクサ」など楽曲の幅も広い。

 



そして音楽グループとして最も重要な歌も上手い。全員上手い。あれだけ激しいパフォーマンスをしていても歌は乱れることがなく、ライブでも生歌。ダンスのクオリティも高い。

 

魅せる曲もあれば聴かせる曲もあり、中盤には「カラオケバトル」など飽きさせない工夫もありった。

”NEW WORLD”や”SHAMROCK”や“GO!GO!ダンスが止まらナイ”など、後半は盛り上がるアップテンポの曲を立て続けに披露したりとライブ全体の構成もこだわっているように思う。

 

何度も言うようだが、男女関係なく多くの人を巻き込むだけの高いクオリティのパフォーマンスをしている。あとは何かしらの”世間に見つかるきっかけ”さえあれば、より多く人を感動させられるのではと思う。実際に全国ツアーを回ったり、東京でも1日2回公演するように少しづつファンは増えているようだ。

 

自分も1回ライブを観てがっつりハートを持ってかれたからね。8人のイケメン女子を「かっこいい」と思ってときめいてしまった。

 

「イケメン女子グループ」とは何か?

ザ・フーパーズにとっての「イケメン女子」とは、ボーイッシュなショートカットでカッコいいルックスをイケメンと感じるということだけではなく、パフォーマンスや表情も含めたかっこよさや美しさこそ「イケメン女子」ということではと感じた。それは他の男性グループには出せないかっこよさやであり、他の女性グループには出せない美しさではと思う。

 

そして、それは実際に楽曲を聴いたりパフォーマンスを観なければ上手く伝わらないかもしれない。自分がこれだけ言葉で伝えようとしても100%は伝わっていない気がするからだ。

 

ザ・フーパーズは1月24日に新曲”ヴァンパイアキス”を発売する。それに伴って東京と兵庫と愛知でリリースイベントを行う。リリースイベントではミニライブも観れる会場がある。

 

ライブハウスとは違う雰囲気かもしれないが、全くグループのことを知らない人でもきっと魅力を感じるパフォーマンスではと思う。日程は公式サイトに載っているので、ぜひ観てもらいないなと思う。

 

観た人は男女関係なく、きっとザ・フーパーズのパフォーマンスにときめいちゃうから。

 

ザ・フーパーズ - 公式サイト