オトニッチ-音楽の情報.com-

ニッチな音楽情報と捻くれて共感されない音楽コラムと音楽エッセイ

SUPER SONIC2021に延期要請をした千葉市長の発言に憤りを感じる件について

今の時期に音楽フェスを開催することが、必ずしも正解だとは限らない。むしろ間違いになる可能性が高い。だから開催に対して様々な意見が交わされている。

 

新型コロナウイルスの感染状況や医療の逼迫は、ここ1ヶ月ほどで急激に状況が悪化している。いつピークアウトするのかは誰にもわからない。そんな中で不要不急の外出を促進するイベントが開催されることは、批判されても仕方がない。

 

自分は音楽ファンである。ライブやフェスにも頻繁に行く。開催されることは喜ばしいが、全面的に開催を支持しているわけではない。

 

個人的にはフジロックが無事に開催されたことは喜ばしいことだと思っているが、運営方法の全てには賛同できなかった。波物語は何も擁護できないほどに最低な運営だったと思っている。通常のライブでも感染症対策が緩い運営を見ると危機感を覚える。

 

SUPER SONICに対しても、開催することへの不安はある。音楽やライブにさほど興味がない人は、音楽ファン以上に不安な気持ちが強いと思う。

 

 

それでも千葉市長の延期もしくは縮小の要請に対しては、憤りを感じる。それは要請自体に対してではない。要請内容についてだ。

 

「特措法に基づく基本的対処方針の中で、このようなイベントについて有観客で行われるのは、観客数に制限があるものの開催は認められている」と語り、「千葉市が中止を求めた場合は、億単位の経済的補償を求められる場合がある。市税を使えば市民の理解が得られない。あくまで開催の延期をお願いしている」と語った。

 

市長の立場で、定例会見という場で、この言葉を発言したことに驚いた。呆れた。ふざけているとしか思えない。

 

要請に従わなければ後援を取り消すという。しかし延期しても補償をするつもりはないという。権力を使って弱者を従わせようとしている。裏では話し合っているのかもしれないが、一方的な脅しであり強制に感じてしまう。

 

繰り返すが自治体が延期や中止を要請することは理解できる。市民の生活を守ることが仕事であり、市民が快適に暮らす環境を作ることが仕事なのだから。

 

しかしスーパーソニックに関わる人には千葉市民も多い。補償もなしに中止になれば、莫大な損失を被り関係者の生活は危ぶまれることになる。それは市民の生活を壊す結果になるかもしれない。

 

医療を大切にすることは当然だが、経済を蔑ろにしていいわけではない。医療で守られる命もあるが、経済によって守られる命もある。そのバランスを崩してしまうことは、命の選別だとも思う。スーパーソニックが延期や中止で億単位の損失が発生した場合、それで失われる命があるかもしれない。

 

「市税を使えば市民の理解が得られない。あくまで開催の延期をお願いしている」という考えが、自分には理解できない。市民から理解を得る方法を考えることが市長や自治体の仕事ではないのかと。市税を億単位で使わなければ補償できない状態になる前に、自治体が行動できることはあったのではないのかと。

 

スーパーソニックが行われるマリンスタジアムでは、五千人以上の観客を動員してプロ野球の試合が行われている。幕張メッセではテレビ朝日主催の音楽フェスが、スーパーソニックと近い日程と近い規模で行われる予定だ。

 

諸条件の違いはあるので簡単に比較することはできないが、人の移動を促進することや感染リスクが高まる行動を増やすことは、他のイベントも同様である。

 

それなのに要請が出されたのはスーパーソニックだけだ。これは特定のイベントだけを吊し上げているとしか思えない。ここ1ヶ月ほどで「野外の音楽フェス」が世間的にイメージが悪化したので、野外で行われる音楽フェスだからとスーパーソニックにだけ要請を出したと疑ってしまう。

 

波物語とという感染症対策がガバガバの音楽フェスが愛知県で行われた。

 

ニュースとして取り上げられ、社会問題の1つとして扱われている。波物語の運営は自治体のガイドラインに従うポーズを見せながらも、それを守ることはできなかった。守るつもりがなかったのかもしれない。

 

そんな一部の同業者のせいで、ライブエンタメ業界全体の印象が悪化したのだろう。実際に「音楽フェスの運営は信用できない」という意見をSNSなどで発言する人は増えたし、それを理由に中止を求める人も少なくはない。

 

しかし問題を起こしたフェスとスーパーソニックの運営会社は全く別の会社だ。だから「同じ業界だから」と連帯責任にさせる理由にはならないし、同様に酷い運営だと認識することはおかしい。

 

それが罷り通るならば「市長になる人間はみんな他人の金メダルを噛むような奴らだ」という話になってしまう。それが間違っていることと同じように、同じ業界や職業だからと一緒くたにしてはならない。

 

千葉市の神谷市長に対して「お前も市長だから金メダルを噛むぐらいに衛生意識が低いんだろ?そんな奴が感染リスクについて語るな」と言う人は誰もいないだろう。それなのに「波物語がガイドラインを無視したから、スーパーソニックも問題があるはずだ」という意見は当然のように発する人は少なくない。それぞれ個別に考えて評価するべきだ。

 

 

 

しかし世間のイメージは簡単には変わらない。例えば日本では血液型で人の印象を決める人は少なくないように、偏ったイメージや情報で判断されがちなのだ。思考や思想の根っこの部分にそのような価値観を持つ人がいるのだから、業種や職業によって偏見の目で見られることは仕方がないかもしれない。

 

だからこそ業界として問題意識を持つことが必要だ。説明し続けるしかない。それでも伝わらないならば、結果で示すしかない。

 

しかしライブやフェスの中止が相次いでいる状況では、結果で示す場も奪われつつある。だからこそ1回のライブやフェスで関係者や客がどのような行動をするかが、物凄く重要になってくる。

 

それによってイメージが良くなることもあるが、問題があれば簡単に拡散し批判され無関係の同業者へも飛び火し悪影響を与えてしまう。

 

現時点でスーパーソニックの運営会社であるクリエイティブマンは、開催の意志を表明している。おそらく予定通り開催されるだろう。

 

徹底的に対策をするならば応援したいが、一抹の不安はある。それは主催のクリエイティブマンに対して、多少の不信感を持っているからだ。

 

自分はクリエイティブマンが主催する音楽フェスの『サマーソニック』や『ソニックマニア』に何度か参加したことがある。そこでの運営方法や客のマナーに疑問を感じることが何度もあった。

 

会場内にはごみが散乱していることがあった。スタッフは注意せずにスルーしていた。客のマナーが最低であることは当然だが、ゴミ箱の数が規模に対して少なすぎることも原因だろう。歩きタバコをしている客も見た。仕方がない事情があるとしても、設営が遅れて複数のライブがキャンセルになった過去もある。

 

殆どの客がルールやマナーを守っていて、運営も基本は適切に対応していたかもしれない。自分が行った時に、偶然そのような状況を見ただけかもしれないが、複数回行ったうちの全てで同じ場面に出くわした。クリエイティブマンの運営方法に対しては、以前から批判的な立場の音楽ファンは少なくないようだ。

 

f:id:houroukamome121:20210903222916j:image

 

大阪で開催される『MUSIC CIRCUS』という音楽フェスが、このような入場条件を発表した。

 

賛否は分かれるかもしれないが、徹底した対策を撮るためには、ここまでやr必要があるのだろう。スーパーソニックもこのレベルの対策が必要かもしらないが、そのような発表はしていない。

 

今は雑な運営やルールを破る客をきっかけに、全てが終わる可能性もある。次はスーパーソニックが音楽業界を苦しめる憎きフェスになる可能性もある。過去と同じ運営方法をしていれば、大きな問題が発生してしまうかもしれない。別の記事では1日あたり1万3千人を集客予定と書かれていた。今の時期にその人数を集客することにも疑問を感じる。

 

スーパーソニックは開催を決行するならば、徹底的に対策をして「これなら安心だ」と思われるほどの運営をしてほしい。客として参加する人たちも「これなら問題ない」と思われるぐらいにルールの徹底をしてマナーを守ってほしい。

 

そうでなければ、今度こそ全てが終わるかもしれない。もちろんこれは他のイベントでも同じである。

 

「市税を使えば市民の理解が得られない。あくまで開催の延期をお願いしている」なんて舐めたことを言われずに、「この業界ならば補償しても市民の理解を得られる」と思われるような状態を目指すべきだ。なぜこの状況でもリスクがあるのに有観客で開催するかというと、ライブエンタメを生業として生活している人がいるからだ。補償があれば状況は変わるし、客の協力があれば世間の印象も変わる。

 

マイナスからのスタートかもしれないが、少しずつ積み重ねて信頼を回復するしかない。ライブやフェスの参加者も、関係者と同様に当事者であることを忘れてはならない。

 

↓関連記事↓