2021-09-01 波物語について想うこと NAMIMONOGATARI2021に関して、個人的に「ダサい」と思う。ダサい部分が多すぎる。 観客が3密になった状態を放置し、物議を醸しているHIPHOPフェス。テレビやラジオでも取り上げられ、音楽ファン以外にも注目される社会問題となってしまった。 感染症対策の適当さや酷さは参加者を含め、多くの人が語っている。県知事や市長まで発言をしている。 だからその部分について、参加者ではない自分が今更語る必要はないだろう。多くの人が語った意見と、全く同じ内容を繰り返すだけになるだけだから。 そんな感じに多くの人に批判され、出演していないHIPHOPアーティストには苦言を言われ、それにぐうの音も出ない状態なのが、波物語のダサいところである。 信念がブレブレなことが、ダサさの根本に思う。根っこから腐っているから、全てがダサくなってしまっている。 波物語の運営は謝罪文を掲載したが、愛知県の大村知事が「事実と異なる」と相違点を示した内容のツイートをしていた。 ①「NAMIMONOGATARI2021」の開催について、愛知県は昨日8月30日付で、抗議文を送付させて頂き、実行委員会側に対し、早急に事実関係の報告としかるべき対応を求めているところです。 pic.twitter.com/4hUYtAuYW0 — 大村秀章 (@ohmura_hideaki) 2021年8月31日 ②そうした状況の中で、昨夜、突然主催者側から「お詫びと経緯のご説明」という文書が配信されました。しかしながら、その内容には、自分達に都合の良いように事実と異なる記述がなされていますので、ここに指摘をさせて頂きます。 pic.twitter.com/65oBKeSSjI — 大村秀章 (@ohmura_hideaki) 2021年8月31日 ③また、このような対応は、事実を捻じ曲げるものであり、到底看過することはできません。なお、愛知県と主催者との折衝の状況は次のとおりであります。改めて厳重に抗議するとともに、早急に誠意ある対応を求めるものであります。 pic.twitter.com/2AzQj7qmgi — 大村秀章 (@ohmura_hideaki) 2021年8月31日 これがダサさの根本的理由だ。 愛知県側の意見が正しいとしたら、波物語は嘘をついたことになる。県からの要請内容を受け入れたポーズをしておいて、約束を破ったのだ。それがダサい。 HIPHOPがレベルミュージックだとしたら、権威への反抗としての意味は持っているかもしれない。しかし良い子ぶって従ったポーズを取った後に反抗するのは、ただただダサい。信用も信頼もできない。 愛知県側は文化やエンタメに対して協力的な自治体に思う。県の病床使用率が過去最大になっても中止を要請するのではなく、開催が実現する道を考え提示していた。文化や経済についても考えてくれた。 愛知県はライブエンタメの敵ではなく仲間だ。それを裏切った。だからダサい。 納得できないのならば抗議すべきだ。真剣に話し合い意見をぶつけるべきだ。 なんなら「この要請は受けることができない」と突っぱねて開催し、謝罪文ではなく抗議文でも出せば良かった。共感も擁護もできないが、その方が信念は感じた。 昨日のNAMIMONOGATARI、県のルールに則ってると聞いていたので出演しましたが、開けてみたら危険な状況でした。会場に向かう最中SNSで会場の写真を見て、すぐにスタッフに連絡をし、司会からマスクの着用を徹底させる様に伝えました。— Zeebra (@zeebrathedaddy) 2021年8月30日 ZEEBRAの言っていることも本当だとしたら、主催者は出演者に対しても嘘をついたことになる。それもフェスの主催としてダサいし信用できない。 ステージ上から注意喚起したアーティストもいたらしい。かといって出演アーティストの全員に非がないとは思えない。県の定めたルールに従って開催すると伝えられていたのならば、客を煽ったり歌わせたアーティストもいたことは批判されても仕方がない。彼らも県を騙して約束を破った一員だ。ダサい。 謝罪文を出した出演アーティストもいる。反省して出したものであって欲しい。もしも形式だけのものならば、余計にダサい。自身を偽り出した答えならばダサすぎる。フェイク野郎に思う。それなら反省文など出さない方がマシだ。 煽られてルールを無視した客も同様にダサい。 客も感染症対策をすべきことは理解していたはずだ。なぜこの場でフェスが開催できているかを、想像し理解してから参加すべきだ。自分自身と自身の好きなカルチャーを、ダサいものにしていると気づいて欲しい。 今回の事件をきっかけに、なぜか「HIPHOPは何か?」という議論をしている人もいる。「HIPHOPのイメージなど悪いままでいい」「誰に何を言われても気にしない」と言う人もいる。 しかし今回の事件はそれ以前の問題だ。「HIPHOPがどうなのか?」ではなく「人としてどうなのか?」の問題だ。その上での余談だが、自分はダサい人間がやるHIPHOPをカッコイイとは思えない。 波物語の1週間前には、新潟でフジロックフェスティバルが開催された。こちらも物議を醸し開催への賛否が大きく分かれていたし、個人的にも全てには賛同はできない。しかしできる限りの感染症対策を実施して、リスクを減らして開催しようとしていた。 このフェスにはTHE BLUE HARBが出演していた。20年以上のキャリアを持つヒップホップグループだ。 そこでメンバーのBOSSが話した言葉が、大きな話題になっている。フジロックの公式が文字起こししているので読んで欲しい。 この言葉に自分は共感した。感動した。音楽やライブエンタメを愛する人の気持ちを、代弁していると思った。カッコイイと思った。 HIPHOPは自身の生き様や思考や思想を、嘘偽りない真っ直ぐな言葉で表現する音楽だと思う。それがHIPHOPの強みで魅力だと思う。 だからフジロックでのBOSSの言葉は、多くの人に届いたのだ。他のジャンルのアーティストならば、ここまで上手く伝えることができなかったかもしれない。 HIPHOPがダサいわけではない。波物語のようなフェスがダサいのだ。そこは勘違いしてはいけない。本来のHIPHOPはカッコイイのだ。 これはHIPHOPのイメージを向上させるべきという話ではない。一部の関係者やアーティストやファンのせいで、ダサいジャンルになってしまうことが残念という話だ。 HIPHOPが好きな人こそ、音楽を愛する人こそ、波物語がこれほどまでに批判された意味を、真剣に考えて欲しい。普段のライブについてもどうなのか、このままでいいのか、真剣に考えて欲しい。 そしてカッコいい音楽が鳴らされるべきカッコいい現場は、どのような場所なのかを考えて欲しい。 外部から叩かれ致し方がなく変わるのではなく、ファンも含めた内部の人間が必死に考え良い方向に変えていくべきだ。ダサいままで終わらせたくない。 ↓関連記事↓