オトニッチ

ニッチな音楽情報と捻くれて共感されない音楽コラムと音楽エッセイ

JAPAN JAM終了後にテレビ局のインタビューに答えたけど、印象操作する偏った報道をされた件について

JAPAN JAMの最終日に行ってきた。出演者は誰もが素晴らしいライブを行っていた。参加者も運営から伝えられたルールを守り、制限された中ではあるが、久々の関東圏で行われる野外音楽フェスを楽しんでいた。

 

アーティストと運営と参加者。全員が一心同体となり、運命共同体として、音楽フェスという場を守ろうとしていた。「コロナ禍でも徹底した対策で安全な音楽フェスができました!」と胸を張って言えるように。これが夏以降の音楽フェスや、地方の音楽フェスの開催に繋がるようにと。

 

音楽と参加者の音楽への愛に感動した帰り、テレビ局のインタビューを受けた。

 

カメラとマイクを1人で持った男性。TBSテレビの『あさチャン』という番組の取材と言っていた。JAPAN JAMの会場内の様子や感想について聞きたいと言っていた。他の多くの人に聞いているので、協力して欲しいと言っていた。

 

ここ最近の音楽フェス・ライブへの報道について、個人的に怒りやモヤモヤを持っている。

 

フジテレビはビバラロックに密着し、運営の感染症対策や主催者の想い、ルールを守り楽しむ参加者の様子を報道した。日本テレビはフラットな目線で、良い部分も改善すべき部分も丁寧に伝えてくれた。

 

しかしテレビ朝日は「我慢のGWも大混雑 野外フェスに1万人集結 住民困惑」という見出しをつけ、ほんの一部のルール違反者(アルコールが禁止なのに酒を飲んでいた)を映し、身勝手な若者が多いと思わせるような印象操作をする報道をした。

 

それに怒りを感じる。偏った情報に思う。センセーショナルな話は話題になりやすいのだろう。報道としてのプライドなど皆無で、視聴率が取れれば良いということか。

 

断ろうと思った。しかし目の前のこの人に、参加者から見た事実や真実を伝えれば、少しは現状が変わるかもしれないと思った。

 

自分は「事実や真実をしっかり伝えてくれるならば」と伝え、それに対し『あさチャン』の取材班の方は「わかりました」と応えた。「一部のテレビ局が変な報道してるから、肩身狭いですよね。すみません」と気遣う言葉もくれた。

 

マスコミの人間を簡単に信じるべきではないかもしれない。でも素晴らしい音楽を聴いた後ぐらいは、参加者を信じてリスクを負って開催してくれた運営の優しさに触れた後ぐらいは、人を信じてみたくもなるじゃないか。

 

この番組と、この人を、信じてみようと思った。

 

自分が参加者して感じたこと。この目で見たこと。世間のイメージとは違うライブ・音楽フェスの現状の開催方法や内容について。などなど。

 

 

当日に自分がツイートしたことに加えて、ライブ中も距離をしっかり空けて楽しんでいたことや、誰もが叫ばず歌わず静かに楽しんでいたことを伝えた。

 

そして今すぐ目の前でルールとマナーを守って静かに歩いている参加者の映像を撮って放送して欲しいと伝えた。これを見ればライブやフェスに詳しくない人や関心がない人にも、分かりやすく事実が伝わるからと。

 

こちらの目を見て、しっかり聞いてくれた。少しは伝わったかと思い嬉しかった。良いことも悪いことも忖度なく、事実や真実をしっかり伝えてくれると思った。

 

 

しかし放送で自分のインタビューは使われなかった。

 

その代わりJAPAN JAMの終了時間に、会場付近のコンビニで1人で路上飲みをしている人の映像が流れた。あたかも「JAPAN JAMの参加者が路上飲みしている」と伝えるかのように。

 

結局TBSもテレ朝と同じで「視聴率が取れるセンセーショナルな映像と情報」が欲しかっただけなのだ。

 

失望した。心の底から残念に思った。怒りと悔しさと悲しさで、涙が出てくる。自分が映らなかったことがショックなわけではない。好き好んでテレビに映りたいと思わない。むしろ避けたい方だ。それでも事実と真実を知っていて、きちんと伝えたいから答えたのだ。

 

人のことをバカにしやがって。ライブやフェスをバカにしやがって。音楽をネタにくだらない情報番組を作りやがって。音楽に携わり働き生活する人達の仕事や想いを、軽く扱って面白おかしく取り上げ陥れようとしやがって。

 

路上飲みしていた人はネルシャツにジーパンを履いていた。

 

5月とはいえこの服装で野外フェスに行く客が、どれほどいるのだろうか。報道番組なら野外フェスの定番の服装ぐらい調べろよ。というか歩いている参加者の服装を見て、路上飲みしている人の服装が明らかに違うことがわかるだろうが。

 

そもそも路上飲みしていた人にはインタビューはしたのかよ?

 

こちらには「JAPAN JAMの帰りですか?」と最初に聞いてきた。路上飲みしていた人はJAPAN JAMの客か確認したのだろうか。インタビューはしたのだろうか。

 

カメラで撮ってるなら、本人に話を聞けよ。「JAPANJAM帰りにコンビニで路上飲みしてるんですか?」と。

 

わざわざ東京のテレビ局が県外移動してまで取材しているならば、適当な仕事をするなよ。報道機関としてのプライドを持って仕事しろよ。

 

自分以外にも参加者へのインタビューはしていたようだが、他の人のインタビューも使われなかった。それも納得ではある。

 

きっと答えた全員が同じように、運営の感染症対策の徹底ぶりの凄さや、参加者のマナーの良さを伝えたのだろう。そんな言葉を放送しても、番組的には面白くないし視聴率は取れないだろうからな。

 

そういえば「BiSHのライブはどうでしたか?」と聞いてきた。自分は「コロナ禍以前なら叫んだり歌ったり、モッシュして騒いだりと激しいお客さんが多かったけれど、今日は誰も声を出さずに立ち位置も動かず、静かに楽しんでいた」と事実を伝えた。

 

きっと真逆の回答を求めていたのだろう。「久々にみんなで叫んで歌って、肩組んで騒いだりして最高でした!」みたいな。

 

出演者までもネタにしたかったんだろうな。音楽フェスの運営や参加者だけでなく、アーティストまで世間に叩かせる方向に持って行きたかったんだろうな。最低だ。

 

BiSHがどんな想いでステージに立ったか想像できないのか。制限がある中でも必死で最高のパフォーマンスを見せていた彼女達がどんな想いなのか考えようともしないのか。

 

BiSHのファンがどんな想いで参加したのかも理解不可能だろう。メンバーの名前を叫んだり、一緒に歌ったり、観客同士で肩組んで騒ぐことを我慢して静かに聴いた理由や想いも、奴らには想像できないし想像する気もないのだろう。

 

他の出演者だってそうだ。

 

フォーリミやUVERworldだって参加者と一緒に歌いたかっただろう。でも煽るようなこともせずルール厳守を訴えた。その意味や想いを考えて欲しい。

 

宮本浩次がマスクをしている参加者に「みんな良い顔してるぜ!」と何度も言っていたのも、奴らにはギャグにしか思えないんだろうね。

 

『あさチャン』なんて朝の暇つぶしに観ている視聴者ばかりかもしれないけれど、ライブ会場には、音楽フェスの会場には、その場所が心の底から好きで大切に思っている人がたくさんいるんだよ。

 

『あさチャン』の関係者は何のプライドも想いもなく、視聴率と金が稼げれば後はどうでも良いのかもしれない。

 

でも音楽に携わる人達は、音楽を愛して仕事にプライドと想いを持っているんだよ。県外移動して適当な取材をするお前らとは違うんだよ。

 

報道番組や情報番組を作っている部署と、音楽番組を作っている部署が違うことは承知ではある。それでも同じ会社の番組なので『CDTVライブ!ライブ!』は、本当に音楽に愛を持って番組制作しているのかと不審に思ってしまう。

 

「ライブハウスに来ているような感覚になるような、アーティストが主体となって作り上げる音楽番組」がコンセプトの番組。だから披露される楽曲は地上波番組としては珍しく基本的にフル尺。

 

それに自分は音楽への愛を感じていた。でもMステなど他の番組への逆バリで、個性を出そうとしていただけなのかもね。

 

 

去年の7月にTBSテレビで放送された『音楽の日』には感動した。特にサンボマスターのパフォーマンスは最高だった。当日に感想をすぐに書きなぐるほどに。

 

音楽の力は凄いと思った。そしてテレビの力は凄いとも思った。テレビだからこそ、この感動を数百万人が共有していることに、テレビの力を感じた。

 

でもそれもサンボマスターの熱い想いを利用して、視聴率を稼ぎたかっただけなのかもね。バンドとそのスタッフは想いを持っていただろうけど、テレビ局は「これは話題になるし視聴率を稼げる」と思っていたのかもね。

 

『あさチャン』だけでなくTBSテレビ全体に不信感を持ってしまった。都合の良い時ばかり音楽を利用しやがって。

 

情報番組や報道番組ならば、プライドを持って番組を作れよ。結論ありきの取材ではなく、取材してわかった事実を伝えろよ。出来の悪いフィクションではなく、価値のあるノンフィクションを放送しろよ。

 

2021年の音楽フェスに関する事実と真実を知っているのは、マスコミではない。

 

運営とスタッフとアーティストと参加者だけが事実と真実を知っている。どうかこの文章を読んだ人だけは、信じる対象を間違えないで欲しい。