オトニッチ

ニッチな音楽情報と捻くれて共感されない音楽コラムと音楽エッセイ

夏フェスで出会ったDragonAshファンの女の子・・・

10年前、初めての夏フェス

2007年。

今から10年前だ。

 

この年は自分が初めて”夏フェス”というものに行った年。

毎年茨城県ひたちなか市で行われている、ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2007。

 

自分が住んでいた場所は千葉。

このフェスに行くまでは、ライブのためにわざわざ高い交通費をかけて遠くまで行こうとは思ってなかった。

しかし、夏フェスには興味があったことと、学校の先輩に「ロッキンに行かない?」と誘われたので行くことにした。

 

会場に到着

朝の9時すぎごろ到着。

初めて来た国営ひたち海浜公園。

自分が想像していた以上に会場は大きく、規模もでかくてビビる。

 

最初に観たいアーティストが先輩とは1組目から違ったので、後で合流することにした。

1組目に観たかったアーティストは、先輩がマキシマムザホルモンで自分はチャットモンチー。

時間がかぶっていたので、どうしても先輩とはいったん別れなければならない。

YO-KINGは二人とも観たかったので、先輩がホルモンが終わったら自分まで電話をすることになった。

 

突然話しかけてきた女の子

1組目に観たチャットモンチー。

当時はデビューしたばかりの若手バンドだった。

それでも素晴らしいパフォーマンスで盛り上がったし演奏もかっこよかった。

 

YO-KINGの出演時間まで、ステージ後方の日陰でタイムテーブルを見ながら休んでいると、横から話しかけられた。

年は自分と同じぐらいの年齢の女の子。

雰囲気は若いころの浜崎あゆみみたいな感じ。

ただし、顔は浜崎あゆみを殴って叩いて引っ張ったぐらい違う顔だったと思う。

 

女の子「タイムテーブルの紙落としちゃったんですよー!見せてもらっていいですかあ」

 

ロックインジャパンでは入場時にタイムテーブルや会場マップが書かれたものがもらえる。

それを落としてしまったらしい。

快く見せてあげた。

 

自分「この後何見るんですか?」

女の子「YO-KINGを観て、PUFFYやトライセラも観たいし~」

観たいアーティストがすべて自分とかぶっていた。

この子、見た目は崩れた浜崎あゆみだけど悪い子じゃなさそうだなと思った。

どんなアーティストが好きだとかどこから来たのかとか、ちょっとした世間話をした。

 

その女の子は20歳で自分よりも年上だった。

住んでいる場所はフェスの開催場所でもある茨城県で、高校の頃から毎年来ているらしい。

周りと音楽の趣味が合わないからいつも1人で来ているらしい。

 

思いの外音楽の趣味も合うし、女の子もタイムテーブルが手元になくて不便なので、この後一緒に行動することになった。

男の先輩と一緒に行動するよりも、初対面でも女の子と行動した方が楽しいと思ったので、ゲスな考えをして、自分も1人で来ていたという設定にした。

ホルモンを観に行った先輩の事は、今日1日忘れる事にした。

 

先輩から着信があった気もしたけど、無視して携帯をサイレントマナーにした。

ごめん。

 

Dragon AshかRADWIMPSか

 

女の子とは観たいアーティストはほぼ一緒だったが、トリに観たいアーティストでは意見が食い違った。

トリはDragonAshとRADWIMPSだった。

同じ時刻に違うステージでパフォーマンスをする。

 

自分はどっちもそれなりに好きだが、どちらかというとRADWIMPSを観たかった。

女の子の方はどうしてもDragonAshを観たかった。

DragonAshの大ファンで、1番の目当てだった。

 

別に最後の出演アーティストだし、お互い違うステージを観ても良かった。

でも、朝からずっと一緒に行動していた。

自然と最後も一緒に観るような流れになっていた。

 

女の子はDragonAshの魅力を熱く語ってくれた。

楽曲のクオリティの高さ、ライブパフォーマンスのかっこよさ、そして何より今年が10周年の記念でフェスの大トリだから、気合いが入ったライブになるぞと。

 

女の子の情熱に負けて、DragonAshを観ることにした。

 

DragonAshは凄かった

 

開始前、女の子に引っ張られてかなり最前のブロックまで行った。

ステージが近い。

そして、始まる前からファンの熱気がすごい。

女の子はもちろん、みんな目がキラキラしてる。

 

予定時刻を少しすぎて、メンバーが登場した。

全員ロックバンドのオーラがあってかっこいい。

特にkjこと降谷建志は、半端なくかっこいい。

 

1曲目は“陽はまたのぼりくりかえす”。

名曲だ。

イントロから大歓声。

サビはみんなで大合唱。

楽しすぎる。

 

その後もヒット曲や盛り上がる曲を連発。

モッシュも激しくなり、クラウドサーフするお客さんもいた。

楽しい。

Life goes onも聴けた。

懐かしい。

 

心の底から楽しい。

最高のライブだ。

 

モッシュに消えていく女の子

 この日1番の盛り上がりになったのは、“百合の咲く場所”と“Fantasista”の流れだ。

 

百合の咲く場所で

百合の咲く場所で

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Fantasista

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さらにモッシュが激しくなる。

禁止事項なはずなのに、サーファーが上をどんどん流れていく。

 

そして、さっきまで横にいた女の子は笑顔でモッシュの中に入って行った。

そして、自分もモッシュに巻き込まれて、最初にいた場所とは全然違う場所に行ってしまった。

 

女の子を見失った。

 

まあ、近くに居るだろうし、ライブが終わればまた会えると思って、ステージに集中した。

 

女の子は見つからなかった

DragonAshのステージは最後まで素晴らしかった。

周りの人達もみんな笑顔で満足気だった。

そりゃそうだ。

これだけ最高のライブを見せつけられたのだから。

 

でも、女の子は見つからなかった。

 

「最高だったね」

「10周年だけあって気合い入ってたね」

「セットリストが神だったよ」

「モッシュに巻き込まれてヤバかったw」

 

こんなことを話して、ライブの感想を共有したかった。

でも、出口へ向かう人波を見ても見つからなかった。

ステージの前にはすっかり人は居なくなり、退場を催すスタッフのアナウンスが流れていた。

 

 

そういえば、連絡先も聞いていなかったし、名前すらも聞いてなかった。

1日一緒にいたのに、その女の子の好きな音楽しか知ることができなかった。

 

ふと、携帯を見ると、先輩からの不在着信が30件ほどあった。

出なかった自分のせいだけど、なんか気持ち悪かった。

 

携帯を見ていると、ちょうど先輩から電話が来た。

出てみる。

 

先輩「お前は どこにいるの?ラッド最高だっとよー」

 

今自分が話したいことは、RADWIMPSではなく、DragonAshだ。

感想を共有したい相手も先輩ではない。

 

「DragonAsh観てました。出口向かいますねえ」と伝えて電話を切った。

 

20周年のDragonAsh

 

 今年、DragonAshはデビュー20周年だ。

1新しいアルバムもリリースした。

 

 先日は20年で初めてミュージックステーションに出演した。

 ライブのようにお客さんも入れて、生演奏で、10年前にロックインジャパンで観たライブと変わらないかっこよさだった。

20年活動しているロックバンドが、今になってテレビで爪痕残すとか、カッコよすぎだろと。

若手バンド負けてるぞと。

 

今年もDragonAshはロックインジャパンに出演する。

出演日は8月5日。

偶然にも10年前のDragonAshも8月5日に出演していた。

 

今更その女の子に会いたいとも思っていないけども、Mステは観たのかなとか、今年も変わらずロッキンには行ってるのかなと思い出したりする。

1度しか会ったことないし、顔も覚えてないし、名前も知らないし、2度と会うことはないだろうけど、その女の子が居なければ自分はDragonAshの魅力に気づけなかったかもしれない。

 

でも、きっと、今でも音楽が好きで、ロックが好きで、ライブを楽しみに毎日頑張ってるのかなって思ったりする。

 

そんな感じでLife goes on。

なんてね。

 

Life goes on

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