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【ライブレポ】凛として時雨のライブで見えなかったものについて・・・・・・

東武スカイツリーラインで向かう

 

ピエール中野のことが好きだ。

 

埼玉県越谷市出身だから好きだ。越谷は自分が住んでいる場所。その共通点にバイブスを感じて親近感と好意を持っている。

 

ピエール中野のドラミングが魅力的なことも好きな理由だ。千手観音のような手数のドラム。手数が多いのに叩かれる音は綺麗に響く。バンドに良いバイブスを生み出すドラム。様々なアーティストのサポートドラマーを担当するのも納得。

 

そしてなにより、凛として時雨が大好きなバンドであることが1番の理由。

 

高校の時に初めて聴いた凛として時雨。「#4」というタイトルのアルバム。衝撃的なアルバムだった。

 

ハイトーンで耳をつんざくようなTKの男性ボーカル。真っ直ぐ突き抜けるような345の女性ボーカル。そのツインボーカルの迫力は衝撃だった。

 

演奏も衝撃的だった。テクニカルなTKのギターと身体に響かせ震わせる345のベース。そんな癖の強い歌と演奏を支えるピエール中野のテクニカルなドラム。

 

めちゃくちゃカッコイイ演奏をするバンドなのだ。

 

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そんなカッコいいバンドのライブに自分は10年以上通っている。

 

2019年6月1日。ピエール中野の出身地越谷から、東武スカイツリーラインに乗って向かうZepp Tokyo。

 

ピエール中野も東武スカイツリーラインを使っているのだろうか。そんなことを考えながらライブへの期待は高まる。

 

空気が変わる

 

約3000人収容できるZepp Tokyo。満員のフロア。ライブ前のざわめいているフロアはリラックスしているお客さんも多そうな印象。

 

しかし、メンバーが出てきた瞬間に会場の空気が変わる。

 

ざわついていたフロアが興奮と期待で熱気に満ちる。しかし、メンバーが楽器を手にし準備を始めると一瞬で緊張感で張り詰めた空気になる。客は静まる。

 

ライブでこれほどに緊張感が張り詰めた空気になるバンドは珍しい。それは空気が悪いという意味ではない。メンバーは演奏に対してかなり真剣で集中している。

 

それがメンバーの姿から伝わってくるのだ。真剣な表情でギターの音を確認するTK。集中した表情で精神統一をしているように見える345。

 

下手側の前方にいた自分はピエール中野はよく見えない。

 

自分の場所からは345のベースのヘッドによってピエール中野の顔が隠れてしまう。345のベースのヘッドによりピエール中野の顔と体が隠れ頭部(ヘッド)しか見えない。

 

ピエール中野は頭部しか見えないが、きっと同じように集中力を高めていたのだと思う。

 

演奏が始まった瞬間、身体が震える。

 

演奏が耳に響くのではなく体に響くような音圧。音を聴いているというよりも音を浴びているような感覚。身体が震える。音圧だけでなく演奏のテクニックも凄い。

 

TKのシャウトとテクニカルなギター。345のクールな佇まいと痺れるベースライン。ピエール中野の頭部。

 

そこから放たれる唯一無二の演奏に身体も心も震える。他の客も同じように圧倒されたと思う。これだけ激しく熱い演奏なのに客は傍観している人が多い。圧倒されて身動きすらできないのだ。

 

前半の凛として時雨

 

今回のライブツアーはアルバムのリリースツアーではないため過去にリリースされた作品から満遍なく演奏される。ファン投票で選んだかのような人気曲や珍しい楽曲が並ぶセットリスト。

 

まだツアー中なので曲目については控えるが、ファンならば誰しもが楽しめるようなセットリストだ。自分の好きな曲や思い入れのある楽曲も多く演奏してくれた。

 

特に3曲目で自分にとって大切な曲を演奏してくれて嬉しかった。自分が凛として時雨に出会った楽曲だったからだ。

 

ギターを弾きながらTKが歌い始めた瞬間鳥肌が立った。345のベースを弾く姿を観て涙腺が緩んだ。この曲は自分がベースでコピーしたこともある。以前もライブで聴いたことはあったが、久々にライブで聴いたことで演奏が心に突き刺さった。

 

ピエール中野は頭部しか見えない。

 

前半は久々に演奏する楽曲も多いセットリスト。アップテンポの楽曲も多い。演奏に圧倒され緊張で張り詰めて傍観していた客に、演奏の熱気が伝わる。フロアも少しづつ熱気を帯びて盛り上がっていく。歓声も大きくなっていく。

 

TKのテクニカルなギター。345のクールなプレイ。ピエール中野の頭部。

 

その3人ぶつかり合うような演奏をすることで「凛として時雨にしかできない音楽」を作り上げている。

 

中盤の凛として時雨

 

凛として時雨は激しい演奏だけが強みではない。繊細で聴き入ってしまうような演奏も魅力的だ。ライブの中盤では前半とは違った一面を観せてくれた。

 

中盤で演奏された楽曲はミドルテンポの楽曲が多かった。先ほどまで熱気に包まれていたフロアの客も演奏に聴き入る。前半は音を叩きつけるような演奏だったが、中盤は音で優しく包み込むような演奏。

 

凛として時雨の魅力を語ろうとしても簡単には説明できない。その理由はスリーピースで3つの楽器と限られた音のバンドなのに、一筋縄では説明できないほど様々な顔を見せてくれるバンドだからだ。

 

TKの色気のあるギター。345の心地よいベース。ピエール中野の頭部。

 

そこから発せられる上質な音楽。それでいて「凛として時雨の個性」も感じる演奏。激しさやテクニックで圧倒する演奏だけでなく、優しい音で包み込む演奏も最高だ。

 

ピエール中野のドラムソロ

 

TKと345がステージから捌けた。ステージに残されたピエール中野。ようやく頭部以外の体の部位が見えた。ピエール中野の全身が見えて少し感動する。

 

立ち上がり手拍子を煽るピエール中野。客はそれに応える。客の手拍子が大きくなっていく。それを確認するとピエール中野は座り一呼吸置いてからドラムを叩き始めた。

 

ドラムソロだ。

 

客の手拍子が小さくなる。そのテクニックに圧倒され自然と手拍子すらできなくなったのだ。圧倒された後はドラミングの凄さに対しての感動と興奮の感情が湧き上がる。客は叫ぶ。

 

楽曲中では曲に合わせたドラミングを披露しているが、ドラムソロでの演奏は自由。テクニックを見せ付けるような凄みのあるドラミング。

 

ピエール中野の頭部だけでも音が聞こえれば彼の凄さは伝わった。しかし、全身が見えるとより凄みを感じる。

 

スティックを回しながら叩いたり、腕を上げて客を煽ったりと、パフォーマンスとしても魅せる演奏をしているのだ。それは頭部だけでは気づかなかった。

 

スポットライトがピエール中野を照らす。カラフルな照明で照らされる。

 

照明によって青くなるピエール中野。黄色や赤色にもなるピエール中野。色が変わる都度、客からも歓声が湧き上がる。色が変わる都度に違うプレイスタイルを聴かせてくれる。

 

青い中野と黄色い中野と赤い中野と緑のたぬき。

 

3人の中野と1杯の蕎麦が組み合わさってピエール中野という凄腕ドラマーを作っているのではと錯覚する。複数人で叩いていると思ってしまうような手数の演奏なのだ。

 

自分が唯一ピエール中野の前身を確認できたドラムソロの時間。それ以外は基本的に頭部しか見えなかった。

 

後半の凛として時雨

 

ドラムソロに圧倒され傍観していると、TKと345がステージに戻ってくる。ここから後半戦。

 

 また空気が変わる。ここまでの演奏は肩慣らしだったかと思うぐらいに勢いを増す。 

 

叫びながらギターを弾き倒すTK。髪を振り乱す345。頭部しか見えないピエール中野。

 

ライブの終盤で全ての力を出し尽くそうとしているような激しいパフォーマンス。ピエール中野もドラムスティックを高く上げて客を煽る。ピエール中野の頭部とドラムスティックに興奮し客は叫ぶ。

 

後半に披露される楽曲は人気曲が多い。そしてアップテンポで激しく複雑な楽曲も多い。熱気で客を巻き込みつつも複雑な演奏も見事にこなす。勢いでごまかそうとはしない。ハイレベルな演奏と熱いパフォーマンスが組み合わさっている。

 

畳み掛けるようなライブ展開。ハイクオリティの演奏と熱気と緊張感が入り混じったステージとフロア。ヤバイ。こんなヤバい空間を作る凛として時雨は唯一無二のヤバいバンドだ。

 

345の物販紹介

 

 凛として時雨のライブで唯一ほのぼのできる時間がある。

 

それはベースの345の物販紹介だ。たどたとしく物販を紹介する345は先ほどまで熱い演奏をしていたとは思えないギャップがある。

 

後半の熱くてヤバい演奏を終えてから、一生懸命物販を紹介する345。それを優しく見守るTK。そしてピエール中野の頭部。

 

「おしゃれなタオルを作ってもらいました」

 

そう言って345がタオルを広げる。ピエール中野の頭部が広げられたタオルで隠れる。自分の視界からピエール中野が消える。

 

「タンブラーも作ってもらいました」

 

タオルを畳んでピエール中野の頭部がまた見えたかと思うと、すぐに345がタンブラーを高くかかげる。ピエール中野の頭部がタンブラーと345の腕によって隠れる。視界からピエール中野が消える。

 

「中野くんがなんかめちゃくちゃ笑ってるんだけど」

 

345はこのように話していたが、視界からピエール中野は消えている。中野くんの笑顔が見えない。

 

ほのぼのとした癒される物販紹介。しかし、この空気はまた一瞬で粉々にぶち壊される。

 

次が最後の曲。最後の曲はここまで演奏された楽曲とは少しだけタイプが違う。激しさも繊細さも組み合わさっていて、熱さもあるのにクールで緊張感で張り詰めたような曲。

 

この演奏こそが凛として時雨の真骨頂かもしれない。

 

 傍観

 

演奏を聴いて、3人のパフォーマンスを観て、身動きが取れなくなった。ただただ傍観していた。

 

スローテンポなのに激しい演奏。メンバーが他の楽曲以上に激しく動く。 音を全身で浴びせられているような爆音。圧倒された。圧倒されて身動きが取れなくなった。

 

最後に演奏された曲は「傍観」。凛として時雨のライブでは最後に演奏されることが定番の楽曲。

 

傍観

傍観

  • 凛として時雨
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

定番だからと言って、毎回同じ演奏にならない。同じように演奏しているのかもしれないが、毎回この曲だけは全然違うように聴こえる。

 

ものすごく生々しいのだ。

 

CDでは体感できない生演奏だからこその感覚。3人が呼吸を合わせるように演奏する姿。客はそれを全員同じ方向を向いて真剣に見つめる。バンドも客も含めて人間が作っている空間。それに生々しさを感じる。バンドは生き物ということを実感させられるような演奏。

 

激しくギターを弾きながら歌うTK。激しく動きながらベースを弾く345。ピエール中野の頭部。その3人から放たれる音はライブだからこそ聴くことができる演奏かつ、ライブだからこそ心が動く演奏。

 

この生々しさと衝撃はライブを言葉では伝えきれない。ぜひライブで体感してほしい。

 

曲が終わりメンバーはステージから去って行った。

 

ライブが終わってから数秒、客は拍手もせずその場に傍観していた。他のバンドのライブならば歓声や大きな拍手が起こるタイミング。みんな圧倒されて動けなかったのだ。しばらくしてから拍手と歓声が起こる。

 

凛として時雨のライブはそんなライブだその独特な余韻はライブ後しばらく醒めない。

 

 東武スカイツリーラインで帰る

 

ライブが終わってから抜け殻になったように、ぽかんとしながら電車に乗って帰る。爆音による少しの耳鳴りと、凄まじいライブの余韻のせいだ。

 

「楽しかった」「面白かった」「感動した」

 

そのような他のバンドやアーティストんライブで感じるような余韻とは少しだけ違う。もちろん楽しかったのだが、それ以上に「やばかった」という感想が出てくる。

 

TKのキレッキレのギターとボーカル。345のクールなベースと真っ直ぐな歌声。ピエール中野の頭部。

 

そんな凛として時雨に想いを馳せながら電車で帰る。自分の住む埼玉県越谷市へ。ピエール中野の出身地と同じ場所へ。頭部スカイツリーライン東武スカイツリーラインを使って。

 

ピエール中野も自分と同じように頭部スカイツリーライン東武スカイツリーラインに乗っていたのだろうか。

 

そんなことを思いながら今日も自分は東武スカイツリーラインに乗っている。iPhoneで凛として時雨を聴きながら。もちろん使っているイヤホンはピ様オススメのAVIOT TE-D01d。

 

頭部動物公園東武動物公園行きの電車はピエール中野の地元へ向かう。

 

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