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【ライブレポ・セットリスト】怒髪天 vs GLAY『箭内道彦60年記念企画 風とロック さいしょでさいごの スーパーアリーナ“FURUSATO”北の大地の心優しき漢たち』at さいたまスーパーアリーナ 2024年3月31日(日)

GLAYと怒髪天は以前から交流がある。お互いにライブを観に行き合っていたし、出身は同じ北海道だし、メンバーの世代も近い。

 

だが直接の対バンライブは行ったことがなかった。それぞれの活動規模や活動スタイル的に難しかったのだと思う。観客動員数でギネス記録(当時)を打ち立てた国民的ロックバンドと、ライブハウスを活動拠点としているコアなロックファンに愛されるロックバンドなのだから。

 

だが交流を持ちつつも目指す場所や音楽性が違う2組だからこそ、一緒にライブをやったら今までにない化学反応が起こるかもしれない。そんな期待をしてしまう。

 

3月31日。『風とロック』を主催する箭内道彦の還暦を記念としたイベントが、さいたまスーパーアリーナで開催された。そのイベントのラストを飾る催しとして、怒髪天とGLAYの対バンライブがブッキングされた。

 

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箭内は怒髪天ともGLAYとも交流が深い。彼の主催イベントかつ特別な趣旨があるからこそ、この特別な対バンが実現したのだろう。

 

自分は怒髪天のライブを観たことは何度もある。増子直純が客席に投げた櫛をキャッチしたことは自慢のひとつだ。

 

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だがGLAYのライブは観たことがない。ずっと観てみたいとは思っていたものの、なかなか機会に恵まれなかった。だから自分にとってはGLAYが観れること自体が待望なのだ。

 

↓乃木坂46とサンボマスターの対バンのレポ↓

石川さゆり&亀田誠治&高橋優&TAKURO&箭内道彦

 

オープニングアクトとして石川さゆりが登場した。こんなの前代未聞だ。前座扱いなんて失礼すぎる。この日の出演者で最もキャリアがあるし、誰もが知る超一流歌手なのだから。

 

箭内道彦の呼び込みで登場した石川さゆりは「素敵なイベントがあると聞いて、2週間ぐらい前にに行こうかなと思って来てみました」と話していた。知人の飲み会に参加する時のノリではないか。

 

箭内は「自身の出身地である東北と、本日の出演者2組の出身地である北海道の間にある津軽海峡に橋をかけて欲しい」と言って石川に対して期待を寄せる。無茶振りである。

 

だが石川は「皆さんと一緒に津軽海峡を超えたいです!」と煽ったりと、この無茶振りも満更ではなさそうだ。

 

箭内のアコースティックギターだけをバックに歌われたのは『津軽海峡冬景色』。真っ直ぐ突き抜けるような物凄い声量と、繊細なのに力強い表現に鳥肌が立つ。あまりにも歌が上手すぎる。

 

そんな歌声に感動と興奮を覚えた観客は、石川の「歌ってください」という呼びかけに応えるようにシンガロングを響かせる。石川が〈私も一人連絡船に乗り〉と歌ってからマイクを客席に向けると、観客は〈凍えそうな鴎見つめ泣いていました〉とバカでかい声で歌う。

 

まるで『Don't Look Back in Anger』や『Hey Jude』が演奏されたかのような熱狂ぶりだ。『津軽海峡冬景色』は日本のロックアンセムなのかもしれない。

 

オープニングアクトは石川だけではない。箭内の呼びかけで亀田誠治と高橋優まで登場した。さらには「本当にGLAYが来てるってことを教えて安心させるためにチョイ出しします」と言ってGLAYのTAKUROまで呼び込びこんだ。こんな豪華メンバー、本来ならば大トリを任せるべきだろう。

 

そんなメンバーで歌わたのは、今回のイベントの為に書き下ろした『永遠じゃない』。箭内が歌詞を綴り、TAKUROが曲を創った楽曲だ。TAKUROの美しい音色のピアノと、亀田の繊細なベースと、高橋と箭内の力強いギターの音が響く。そんな演奏に参加メンバーが順番にバトンを繋ぐように歌を乗せる。

 

オープニングアクトなのにライブが大団円したかのような、感動的な空気が流れる。それもそのはずだ。二度と観れることがないであろう豪華メンバーの組み合わせによるコラボレーションなのだから。

 

メインアクトが始まる前からすでに、泣けとばかりに風の音が胸を揺するかのような名演を聴かされてしまった。

 

セットリスト

1.津軽海峡冬景色

2.永遠じゃない

 

怒髪天

 

先攻は怒髪天。箭内道彦の還暦を記念したイベントだからか、登場するや否や「おめでとう!箭内!」と増子直純が叫んでからライブを始めた。

 

1曲目は『酒燃料爆進曲』。いきなりライブ定番曲のキラーチューンをぶち込むあたり、対バン相手がGLAYだけにいつも以上に気合いが入っていることが伺える。歌詞の半分以上を〈おめでとう!箭内!〉という言葉に変えて歌うところも、彼ららしい祝い方でグッとくる。

 

それにしても会場の盛り上がりが凄い。まるで怒髪天のワンマン化のような雰囲気だ。会場はGLAYファンが圧倒的多数こようだが、元々交流がある2組の対バンなので、予習をしてきてくれたのだろうか。

 

続く関ジャニ∞に提供した『あおっぱな』のセルフカバーも大盛り上がりだ。サビでは会場全体が拳を上げている。『令和(狂)哀歌 ~れいわくれいじぃ~』では、サビ前で動きが止まる増子のパフォーマンスで歓声と笑いが巻き起こっていた。怒髪天はカッコいいロックバンドでありつつも、ユーモアを忘れないエンターテイナーでもある。それを実感するようなパフォーマンスだ

 

「ここからアドレナリンが出てテンション上がって言い忘たら困るので、最初に言っておきます。箭内さん誕生日おめでとうございます」と増子が言ってから最初のMCへ。

 

増子は観客の雰囲気の良さを感じているようで「GLAYのお客さんはみなさんは予習をしてきてくれた!そんなことをしてくれるのは、ここに集まってくれた人ぐらいしかいませんよ?他の対バンだと我々のことなんて珍紛漢紛ですからね」と話す。GLAYのファンは優しいし、対バン相手へのリスペクトを持って参加しているのだろう。

 

〈空気ふるわせたまアリまで〉と歌詞を変えた『ジャカジャーン!ブンブン!ドンドコ!イェー!』と、ひたすらに楽しい曲を続ける。拳を上げたり曲に合わせて増子と一緒にピースサインをしたりと、観客のノリ方も完璧だ。本当に怒髪天の曲をしっかり聴いて参加したGLAYファンが多いのだろう。

 

観客にとっては周知の事実だとは思うが、怒髪天はロックバンドだ。それを強く実感させるカッコいい楽曲もしっかり披露された。

 

『HONKAI』はまさにそんな楽曲だ。〈ロックバンドが理想や夢歌わずにどうする どんなクサい台詞でも ロックに乗せりゃ叫べる!〉という歌詞はロックバンドだからこそ歌えるし、なんなら怒髪天が熱く歌うからこそ心に響く。

 

増子が「行くぞぉぉ!」と叫んでから始まった『歩きつづけるかぎり』もそうだ。〈青い春はすぎて〉という歌い出しは、怒髪天が歌うからこそのリアルを感じるし、怒髪天が演奏するからこそ生々しく心に響く。この泥臭くも熱い表現は、GLAYとは違うタイプのカッコよさがある。

 

盛り上がるだけでなくしっかりと聴かせる曲が演奏できることも忘れてはならない。ストリングスのオケが鳴ってから始まった『ひともしごろ』は、感動的なロックバラードだ。感情的に全身で歌う増子と、それを支えるような力強い演奏をするバンド。その音色は壮大で普段のライブハウスの熱量をそのまま拡大させたかのような空気がアリーナを包み込んでいた。

 

そんな感動的な余韻が残る中、カッコよく次の曲が始まるかと思いきや「ポン!」という変な音がしてドラムの方から聴こえた。どうやらドラムの坂詰克彦がミスをしたらしい。演奏が止まり、客席からどよめきの声と笑い声が響く。

 

「一番いいところだぞ......。飯ばっかり食ってんじゃねえぞ......。夕飯抜きだからな......」どドスの効いた声で怒る増子。坂詰はニヤニヤしている。夕飯が食べれなくなったというのに。

 

気を取り直して演奏が再開すると、この日一番の大歓声が会場に響いた。GLAY『Winter agein』のカバーが演奏されたからだ。

 

原曲ではTERUがイントロで美しい裏声を響かせる箇所を、増子は「ウォウウォウウォオオ」と低い声で唸るように歌っていた。怒髪天の個性が滲み出たカバーになっている。演奏も真っ直ぐなロックで、歌唱は全編に渡り熱くて男臭い。雪も溶けそうなほどの熱量があった。演奏者が変わると、これほどまでに印象が変わるのかと驚いた。

 

この日限りのサプライズを終えて再び怒髪天の曲へ。キャッチーなメロディと優しい歌詞が印象的な『孤独のエール』を心地よい演奏で聴かせて、ギターの上原子友康が繊細なタッチでアルペジオを弾いてから始まった『そのともしびをてがかりに』で再び感動させる。このような落ち着いた曲も観客にしっかり伝わっているような空気感で、いつか怒髪天がアリーナでワンマンをしたらこんな空気になるのかなと想像してしまう。

 

増子「今日は戦国武将のGLAYと足軽の我々が戦うみたいな感じです。GLAYは本気で来てますからね。足軽が相手なのに。GLAYは持ちこんでる機材も凄いですから。我々はステージに出てるこれだけと、あと自分の麦茶だけしかないですから」

観客「wwwwww」

 

先程まで最高にカッコいい演奏をしていたのに、MCになると爆笑を取る怒髪天。このギャップも彼らの魅力だ。

 

ここでメンバー紹介がされたが、普段の怒髪天のライブよりも歓声が大きい。上原子は「人気あると勘違いしちゃうねw」と言ってニヤニヤしていた。坂詰も人気があると勘違いしたのか、増子のことを「埼玉を超都市にするボーカリスト!増子直純!」と謎の紹介をしていた。増子は「俺が???」と言って珍しく動揺していた。

 

TAKUROくんは地方まで我々のライブを観に来てくれます。地方まで来たらTAKUROくんに会えるかもしれないから来てください(笑)

 

お互いに曲をカバーしようと言ってやることになった。GLAYとは同じ北海道出身なんです。俺は札幌だから函館よりシティボーイなんですけども(笑)

 

北海道出身としては〈生まれた街のあの白さをあなたにも見せたい〉って歌いたいじゃん。

 

でもなんで誰も俺に歌うのが難しいって言ってくれなかったんだよ!もっと勢いで誤魔化せる曲があっただろう!

 

俺が裏声でフゥゥとか言ってたら変だろ!だからウォウォウって歌ったけど、長渕剛じゃないんだから!最初のリハでマネージャーも真っ青になって大事故になりますよとか言いやがって!

 

カバーをした経緯の裏話をするかと思いきや、周囲の人間や曲の難しさに対して文句を言う増子。

 

『Winter agein』空間系の演奏で音の隙間があるんだけど、TERUくんの歌の上手さがその隙間を埋めて楽曲として成立させている。それかが凄いんだよ。

 

カラオケで歌えてるつもりになってる奴もいるけど、そいつらは全然ちゃんと歌えてないからな!俺も荻窪のカラオケで2時間練習したから。店員さんにGLAYファンだと思われてるよ。しかも同じ曲ばかり歌う変なファンだって。

 

本物に近づけようとするとどんどん俺たちのキャラから離れていって、優しく歌ってたらスタッフが「自信ないんですか?」とか言いやがって(笑)

 

さらにTERUの歌唱力の高さを自身のエピソードを交えて語っていた。あなたもタイプが違うだけでめちゃくちゃ歌が上手いのだから、自信を持って欲しい。

 

ライブも後半。キレッキレなギターリフから『ザ・リローテッド』が始まり、まだライブ序盤と同じようにひたすらに盛り上げ、ひたすらに楽しい空間を作り出す。

 

ラストは『オトナノススメ』。明るいメッセージが込められた楽曲だからか、客席の電気も明るく点灯し、演出も状況も何もかもか明るい空間になっていた。

 

メンバーも楽しそうに演奏しているし、増子は上手や下手のステージ端まで来て観客を煽ったりと、最後に最高に盛り上げている。観客もめちゃくちゃ楽しそうにしている。ステージも客席も「オトナはサイコー」ということを、体現しているかのようだ。

 

ひたすらに楽しいライブをやりきって、ステージを去っていくメンバー。増子がステージを去る時、とても長い時間、頭を下げていたことが印象的だった。盛り上がってくれたGLAYファンへの感謝の気持ちや、いつもよりも大舞台に足を運んでくれた自身のファンや、この場を用意してくれた箭内道彦など、様々な感謝を込めていたように思う。

 

GLAYと怒髪天はメンバー同士で交流があるものの、ファン層は違うとは思う。それでも会場はひとつになって盛り上がっていたし、怒髪天の音楽は確実にこの会場の全員に届いていた。

 

これはロックバンドがLOVE&Peaceを叫んだ結果、ロックで起こったミラクルなのだと思う。

 

■セットリスト

1.酒燃料爆進曲
2.あおっぱな
3.令和(狂)哀歌 ~れいわくれいじぃ~
4.ジャカジャーン!ブンブン!ドンドコ!イェー!
5.HONKAI
6.歩きつづけるかぎり
7.ひともしごろ
8.Winter agein ※GLAYカバー
9.孤独のエール
10.そのともしびをてがかりに
11.ザ・リローテッド
12.オトナノススメ

 

GLAY

 

ずっと観たいと思っていた。それなのに様々なタイミング合わず、なかなか観る機会に恵まれなかった。だから自分はGLAYのライブを初めて観た。待望のライブであるが故に、期待しすぎてハードルも上がっていた。

 

それなのにGLAYは期待に応えるどころか、期待を超えるパフォーマンスをしてくれた。しかも登場した瞬間から期待を超えてきた。なぜならTERUが両腕を広げて、ファン以外でも誰もが想像するTERUのポーズをしていたからだ。TERUは本当にTERUのポーズをしてくれるのかと思って感動したのだ。TERUがTERUのポーズをすることで、怒髪天ファンの心も一瞬で掴んでしまった。

 

もちろん歌も演奏も最高だ。TERUが「楽しんでいきましょう!箭内さん60歳おめでとう!風とロック!GLYA!行きます!」と挨拶して始まった1曲目は『生きてく強さ』。メンバー全員がステージを動き回り、TERUがマイクを客席に向けてサビを歌わせたりと、会場は初っ端から熱気で満ち溢れていた。

 

さらに畳み掛けるように『SOUL LOVE』を続けるのだから、会場はワンマンのような盛り上がりになってしまう。〈新しい日々の始まり 春の風に吹かれていた〉という最初の歌詞は、この季節にピッタリでグッとくる。

 

『サバイバル』と超大ヒット曲を早くも披露したりと、自分のような初めてライブを観た観客も喜んでしまう楽曲が続く。こんな横綱相撲なセットリストをできるのは、GLAYを含む一部の国民的アーティストだけだろう。

 

TERU「箭内さんは60歳で、GLAYは30周年で、怒髪天は35周年ですね」

観客「怒髪天は40周年!」

TERU「あ、え、40周年、あ、そうだったくぁwせdrftgyふじこlprp......。失礼しました.....」

 

曲中はロックスターのオーラを放っていたのに、MCはゆるい。そんなギャップに親近感がわく。

 

今日のライブは愛情を込めて届けたいと思っています。

 

GLAYの大切な曲ですが、今日は福島や東北、北陸のみなさんにまで届けるつもりで、大切に歌います。

 

だが本気で伝えたい想いは、しっかりと言葉を選びながら丁寧に話す。そんな姿には尊敬してしまう。

 

演奏れたのは代表曲のひとつ『HOWEVER』。

村潤のピアノと息を合わせるようにTERUが丁寧に歌い、そこからバンドの演奏が重なる。誰もが知る名曲を、誰もが感動する名演で届けていた。

 

続く『春を愛する人』も大名曲だ。シングル曲ではないのに知名度が高い楽曲である。季節的にもピッタリな楽曲を、心地よい演奏で届けていた。序盤で一気に盛り上げてから、しっかり聴かせる曲を続けるライブ構成も、ライブバンドとしての経験があるから成せるのだろう。

 

僕らも怒髪天の曲をやろうと思います。ちょうどこの季節にぴったりの曲です。

 

冷たいものを突き抜けて、負けずに割いてほしいという思いを込めて歌います

 

TERUが怒髪天の曲をカバーすることを告げてから演奏されたのは『雪割り桜』。こちらもこの時期にピッタリの楽曲だ。

 

TAKUROのギターのカッティングが煌びやかで耳に残る。このギターの音色がこのカバーの要であり、GLAYの色に染った『雪割り桜』になった所以だ。怒髪天のバージョンはライブハウスが似合う熱さを感じるのに、GLAYの演奏はアリーナが似合うロックアンセムとしての壮大さがある。

 

後半のサビで演奏が止まりTERUが客席にマイクを向けた時、ものすごい声量の大合唱が会場に響いた。その声の大きさはこの日1番だったように思う。怒髪天の楽曲でこのような景色になったことも含め感動的だ。

 

「30年前の曲をやろうと思います」とTERUが言って、サポートドラムのToshiに合図を送ってから演奏されたのは『More than Love』。疾走感ある演奏で、再び会場に熱気を生み出す。メンバーはステージを縦横無尽に動き回り煽る姿も印象的だ。

 

さらに『彼女の"Modern』で観客のぼるてーは一気に最高潮に。TERUのテンションも観客以上に高まっているようで「100レベル!200レベル!全員でいこうぜ!と叫んでいた。

 

さいたまスーパーアリーナは階層ごとに200レベルや300レベルと分けられているが、100レベルは存在しない。TERUは天然なのか。思わずほっこりしてしまう。

 

さらにはステージから炎が噴き出る演出もされている。演奏やパフォーマンスだけでなく、ステージ演出も盛り上がりには重要なのだ。

 

TERUは歌い終わってから「火が怖かったよう...」と言って怯えていた。アリーナやドームでやるバンドなのだから、炎の演出は初めてではないだろうに。

 

『BEAUTIFUL DREAMER』では夢の続きを引きずる日々にKissを〉という歌詞でTERUが投げキッスをしたりと、観客をときめかせる。自分もキュンとした。それでも〈確かに今灯がともる〉という歌詞で大合唱が巻き起こったりと、盛り上がりも留まることはない。

 

TERU「大好きな怒髪天とステージに立てて嬉しかったです。TAKUROは元気がない時は怒髪天のライブを観にいくぐらいに大好きで...」

TAKURO「怒髪天とthe pillowsね」

JIRO「俺より先に言うな!俺の方が好きや!!!」

 

個人的にはthe pillowsのフォンなので、国民的ロックバンドがステージで名前を出してくれたことが、心の底から嬉しかった。子どものように張り合ってアピールするJIROにはキュンとした。

 

GLAYは人気や立場や知名度など関係なく、良い音楽はきちんと評価しリスペクトする。彼らはモンスターバンドとしてステージに立ちつつも、普段はライブに参加する観客と同じような純粋に音楽を愛する音楽好きなのかしれない。

 

TERU「次が最後の曲になります!みなさん、力を余らせてください!」

観客「??????」

TERU「違う違う!ごめんなさいGLAYはいつもこんな感じなんです(笑)」

観客「wwwwww」

 

謎発言をして観客を混乱させるTERU。歌っている時はカッコイイのに喋り出すと天然で可愛い。何を言いたかったのかは、結局よくわからなかった。

 

そんな観客の混乱は演奏が始まれば興奮へと変わる。最後の曲が誰もが知る名曲『誘惑』だったからだ。最後に全てを出し切るように、ステージを上手下手へと移動し煽りまくるメンバー。観客の盛り上がりもこの日一番に感じるほどだ。

 

モンスターバンドが横綱相撲するかのようなセットリストだった。演奏曲のほとんどが90年台のシングルの大ヒット曲だったのだから。きっとこの日限りの一見客へのサービスなのだろう。しかし懐メロで盛り上げたと言うわけではない。

 

今のGLAYが過去の曲をあえて披露することで貫禄を見せつけ、ハイレベルな演奏とパフォーマンスによって観客を熱狂させた感じだ。自分はGLAYのライブを初めて観たが、次は最新の曲を演奏する今のGLAYも観てみたいと思った。それほどにGLAYは今でも凄いバンドだということを、これでもかと見せつけられて魅了させられてしまったのだ。

 

ライブはこれで終わりではなかった。「ここからはスペシャルバージョン」とTERUが告げ、怒髪天と箭内道彦を呼び込んだのだ。どうやら最後にコラボレーションをして終わるらしい。

 

だが増子だけがなかなか現れず、数分遅れて登場した。彼はGLAYのライブを良い音で聴きたいからと客席に出て行ったせいで、ステージへの関係者通路の場所を見失いステージへの戻り方がわからなくなったという。増子は観客の立場になって今回の対バンライブを楽しんでいる。彼も音楽やロックやGLAYが大好きなのだろう。

 

増子「GLAYの曲として『雪割り桜』が出てたら大ヒット曲になってたよ」

箭内「怒髪天の『雪割り桜』も良いですよ」

増子「怒髪天の“も”って言っちゃう感じだからな(笑)」

箭内「怒髪天の“が”良いですよ(笑)」

増子「GLAYの次のアルバムに入れてよ!俺らはその印税で生活するから!」

 

新たな食い扶持を発見した増子。だがGLAYの『雪割り桜』も素晴らしかったので、是非とも音源化して欲しいとは思う。

 

ラストは松山千春『長い夜』のカバー。2組の故郷である北海道出身の先輩の楽曲ということで、カバーすることを決めたらしい。

 

増子は松山千春の歌唱の癖を真似しながら歌っていたし、TERUなんて歌声だけでなくマイクの持ち方やマイクの口へのくっつけ方まで真似していた。本気のライブをロックバンドが、打ち上げでカラオケをやっているようなノリだ。

 

しかし演奏はロックバンド2組のコラボということもあり、疾走感あるロックサウンドになっている。それは彼らがカバーしなければ生まれなかったアレンジだ。それにモノマネという普段とは違う声色や歌唱法で歌う増子とTERUが見れたことは貴重だし、なによりも観ていて楽しい。

 

ライブハウスの熱量をそのままアリーナ規模に持ってきて熱狂させた怒髪天と、スタジアム規模の壮大さをアリーナに詰め込み圧倒させたGLAY。

 

表現方法や普段の活動規模は違えど、どちらも最高で最強のロックバンドだった。

 

■セットリスト

1.生きてく強さ
2.SOUL LOVE
3.サバイバル
4.HOWEVER
5.春を愛する人
6.雪割り桜 ※怒髪天カバー
7.More than Love
8.彼女の"Modern…"
9.BEAUTIFUL DREAMER
10.誘惑

 

アンコール

11.長い夜/怒髪天・箭内道彦 ※松山千春カバー