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【ライブレポ・セットリスト】TULIP 50周年記念ツアー “ the TULIP ” アンコール公演 at 東京国際フォーラム ホールA 2024年2月18日(日)

以前別の記事にも書いたが、自分が人生で初めて観たライブは、親に連れられて行ったチューリップだった。

 

 

演奏も歌も素晴らしくて、約20年経った今でも当時の感動を鮮明に思い出せる。あの日チューリップを観てなければ、自分はこれほどまでに音楽を好きにならなかったし、他のライブへも行こうとは思わなかったかもしれない。

 

しかしそれ以降チューリップのライブを観る機会がなかった。バンド自体が数年置きにしか活動しなかったり、予定が合わなかったり、チケットが取れなかったりと、なかなかご縁に恵まれなかったのだ。

 

それがようやく様々な都合が付き、かなり久々にライブを観ることができた。

 

会場は東京国際フォーラムホールA。50周年記念かつ今回が最後のツアーらしい。もしかしたらこれが自分にとって最後に観るチューリップのライブかもしれない。

 

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期待や切なさや懐かしさなどなど、様々な感情を胸に抱き開演を待っていたが、始まった瞬間にメンバーや観客の様子に驚いた。

 

全国を細かく回るとはいえ、今回が最後の全国ツアー。それなのに最初から自然体で楽しさしかない空気になっているのだ。

 

1曲目の『1人がいいさ』ではサポートメンバーのタンバリンの音に合わせ会場に手拍子が響き渡り、続く『セプテンバー』では美しいハーモニーと繊細な演奏で観客に心地良さを与える。

 

最後のツアーを行うバンドとは思えないほどにメンバーも観客もリラックスしていて、全く切なさも悲壮感もない。このまま今後何年もツアーを周りそうな現役のバンドの演奏に聴こえる。

 

東京での追加公演を迎えることができました。

 

見ての通り老人ですが、最後まで頑張って歌い通すのでよろしくお願いします(笑)

 

財津和夫はこのように話していたが、老人とは思えないほどの現役感ある演奏を続けてからのMCなので、「見ての通り老人」という言葉に全く説得力がない。音だけでなく見た目も若々しい。

 

姫野達也と財津和夫のツインボーカルが印象的な『風のメロディ』も、やはり老人とは思えないほどにキレのある演奏と歌声だ。サポートメンバーの演奏も良い。とくにこの楽曲ではサポートギターのギターソロにロックの魂を感じて痺れてしまった。

 

姫野がメインボーカルを務める『見過ごしていた愛』で美しい歌声を響かせてから、昔を懐かしむように姫野が話し始めた。

 

デビューした50年ほど前、南青山というおしゃれな街で合宿生活をしていました。

 

田舎から出てきた自分には、東京の生活は刺激的でした。そんな生活に慣れてきた頃に、故郷のことを懐かしみながら作った曲です

 

そう言ってから披露されたのは『博多っ子純情』。フォーキーなメロディと演奏で、しっとり聴かせる。

 

かと思えば『ここはどこ』では激しい演奏で会場を熱気で包む。それまで座っていた観客が一斉に立ち上がり手拍子していたことも印象的だ。

 

宮城伸一郎のMCでは2014年に亡くなったメンバーである安部俊幸とのエピソードを語っていた。

 

横浜に住んでいた頃、安倍さんが近所に住んでいました。

 

一度だけ自宅に安倍さんが尋ねて来たことがありました。自分は留守だったんですけど近所の女性がそれを見ていて「誰か訪ねてきましたよ」と教えてくれました。

 

もしかして安倍さんかなと思って「その人は髪が長くて、背が高くて、顔が大きくて、アロハシャツを着てましたか?」尋ねたら、そうかもしれないって言っていて(笑)

 

安倍さんに会った時に近所の人に目撃されてましたよって言ったら、照れ臭そうに笑っていました。

 

あの笑顔をたまに思い出します。彼の作った曲を、今日は全員で歌おうと思います。

 

切なくもほっこりとしたエピソードの後に披露されたのは『もしも僕が』。明るい印象を与える演奏で、メンバーが順番に朗なな声色で歌っていく。そんなサウンドが心地よい。

 

チューリップは変わったバンドで、全員が曲を作って全員が歌うバンドです。

 

ビートルズが好きなアマチュアから始まったバンドなので、「俺が作った曲なんだから上手いかどうかは関係なく俺が歌う!」みないた感じで、歌いたい人が歌うような感じでした。

 

次の曲はとても歌が上手い人が歌います。

 

宮城をイジるような財津のトークの後に演奏されたのは『エジプトの風』。

 

財津の言葉通りに宮城は素晴らしい歌声を響かせ盛り上げている。観客も総立ちで勢いある演奏に合わせて手拍子していて楽しそうだ。

 

続く『走れ!ムーン』ではドラムの上田雅利こ歌った。彼も良い声をしている。

 

チューリップのボーカルといえば財津和夫や姫野達也が真っ先に頭に思い浮かぶし、実際にこの2人がバンドの象徴的な存在だとは思う。だか他のメンバーも演奏だけでなく、楽曲制作や歌唱でバンドの魅力を引き立てているのだ。観客が楽しそうに手拍子している景色が、その証拠だ。

 

ここからメンバーが全員前方に出てきて、アコースティックセットで3曲演奏された。

 

男性の歓声が大きくて嬉しいですね。かつては女性ファンの黄色い声ばかりで、男性ファンは隠れキリシタンみたいでしたから(笑)

 

あの頃男性ファンがもっと大きな声で歓声を出してチューリップの魅力を語ってくれていたら、自分達の音楽シーンでの立場も変わっていたかもしれません。今日ももっと大きな会場でライブできてたかも(笑)

 

少し捻くれたトークをして、女性ファンの歓声に「今は黄色ではなく茶色い声援になっている」と言いつつも、笑顔で楽しそうだ。きっと照れ隠しで毒舌を言ってしまうのだろう。

 

アコースティックの1曲目は上田の幼少期のエピソードトークをきっかけに始まった。

 

子どもの頃に家で犬を飼っていました。怖がりな犬だったんです。キャンプ場に連れて行こうとして車に乗せたんですけど、ものすごく怖がっていました。

 

当時は狂犬病のワクチンも義務ではなくて、野良犬もたくさんいました。野良犬が保健所に連れていかれる時に車に乗せられていたので、それを見たことを思い出して、自分も連れていかれると思ったのでしょう。

 

でもキャンプ場に着いたら楽しそうに遊びまわっていました。車に乗ると楽しいところに連れて行ってもらえると思ったのか、怖がっていたのに今度は自分から車に乗ってきました(笑)

 

演奏されたのは『しっぽの丸い子犬』。優しい演奏と歌で、心地よく聴かせてくれた。

 

続く宮城のMCではメンバーの名前に“様”を付けるあだ名があったという話題に。例えば上田のことを上様と呼んだりとだ。

 

だが財津は“様”を付け難い名前なので頭文字のアルファベットを取って、“Z様”と書いて“じい様”と呼ぶと、宮城が財津をイジっていた。『エジプトの風』を歌う前に自身がイジられていたので、その仕返しだろうか。

 

だが財津は“Z様”がお気に入りなようで「自分もZ世代です///」と言って喜んでいた。

 

宮城のトークはまだまだ続く。東京にまつわる言葉で謎かけを行ったのだが「月島とかけてドヤ顔の宮城と解く。どんなもんじゃ」という回答をして、盛大にスベっていた。そして「渋谷とかけて次の曲と解く」と無理矢理な解き方をして、次の曲へ。

 

演奏されたのは『逆回転』。〈公園通り〉という言葉が歌詞に使われている通り、渋谷が舞台の楽曲だ。だから宮城は謎解きで「渋谷」という言葉を使ったのだろう。

 

財津「他の会場ではウケてたのに、今日は全然ウケなかったね。調子悪かった?

宮城「スベるのはわかってた。全然思いつかなくて適当やっちゃったから」

財津「どれが一番酷かった?」

姫野「どんなもんじゃでしょう」

財津「どんなもんじゃは酷かった......」

 

ひたすらにディスられる宮城。だが本人も謎解きが酷かったことは自覚しているようだった。

 

みなさんに良いお知らせがあります!なんと、次の曲が終わったらトイレ休憩です(笑)

 

次の曲は時代錯誤な歌詞かもしれないです。でも当時の男心だと思って許してください。私はZ世代ですから今の時代がどんな価値観か知っているので、時代錯誤だとわかるのです

 

自身をZ世代と思い込む財津の言葉から演奏された第一部最後の曲は『街は黄昏がれに抱かれて』。確かに時代錯誤な歌かもしれないが、耳に残るメロディは普遍的で時代を超えるものだと思う。

 

温かな拍手を浴びながらステージを後にするメンバー。前半の第一部はコアなファンが喜ぶであろう濃い選曲だったと思う。そんなセットリストなのは、50周年かつラストツアーだからこそ、コアなファンを喜ばせたい選曲なのかもしれない。

 

15分の休憩を挟み『あの子は魔法使い』からライブが再開されると、観客も体力を回復させたどころか、開演直後よりも元気になっているのではと感じる盛り上がりになる。

 

続く『ブルー・スカイ』でもその勢いは止まらない。美しいコーラスと同じぐらいに、照明の青色が美しかった。

 

ここで観客の年齢調査が行われた。10代から順番に80代以上まで幅広く聞いて街頭の年齢の時に拍手をさせていたが、以外にも10代や20代の若者も少ないものの参加している。80代以上も元気に参加しているようだ。メンバーも「元気ですねえ」と言って驚いていた。

 

だがやはり一番多いのは60代だった。若い頃にチューリップに夢中になった世代なのだろう。もしかしたら初めて出会った素晴らしいバンドがチューリップの観客もいるのかもしれない。

 

「永遠のアイドル!姫野達也!」という財津の言葉から演奏されたのは『夏色の思い出』。もちろんボーカルは姫野だ。

 

彼の澄んだ美しい声色が観客を魅了する。その歌も演奏も現役感があるからこそ令和の10代や20代の心にも響き、若者もライブに参加するのだろう。

 

続く『神様に感謝しなければ』はスローテンポのバラードだ。今度は切ない歌と演奏が胸に沁みる。

 

デビューして1枚目も2枚目もシングルが売れなくて、3枚目に作った曲(心の旅)が「これで売れなければ田舎に帰らなければならない」と覚悟していた曲でした。

 

当時は売れてなかったので、自分達に権力はなかったです。だから3枚目のシングルも自分が歌うと思っていたんですけど、1人のスタッフが「これは姫野に歌わせよう」と言い出しました。そうしたら他のスタッフも同調して、姫野が歌うことになって。これは前日からスタッフで打合せていたんじゃないかと(笑)

 

姫野の歌を聞いたら緊張で全然良くなくて「これはダメだ」と思って絶望したんですけど、スタッフはみんな「姫野の歌がいいじゃないか」と言って。そんなわけないと思っていたんですけど、じわじわと売れて行って6ヶ月後にオリコンで1位になりました。

 

それから人気バンドになって、毎日のように全国を回って、たくさんの人の前でライブをやれるようになりました。でも嬉しさと共に「なんで俺が歌ってない曲でヒットしたんだ」という悔しさもありました(笑)

 

デビュー当時を振り返りながら、感慨深そうに語る財津。昔話に花が咲いてしまい、今度は当時のファンについても語り始めた。

 

当時は東京でも今ほど警戒せずに過ごせました。

 

自分は高円寺のマンションに住んでいたんですけど、高い建物もなかったからドアを開けるから富士山が見えてね。気持ちよくてドアを開けっぱなしにして寝ていたら、知らない女子高生が「財津さん、起きて!」と言って起こしてきて。ファンの女の子が勝手に部屋に侵入してきたんですね。

 

「家に帰りなさい」と言って帰らせたんですけど、あれは怖かったですね。もしかして、その子、今日もライブを観にきてたりしますか......?

 

当時は熱狂的なファンが多かったんですよ。地方でもライブをやると人が集まるのに、3枚目以降あまり曲が売れなかったんです。こんなにライブは盛況なのになぜレコードが売れないのかと思っていたんですけど、よくよく客席を見るとどの地方に行っても同じ人が客席にいるんですよ(笑)でもそういった熱狂的なファンに支えられたから音楽を続けられたんですよね。

 

そんな頃に出して久々にヒットした曲があります。次はそれを演奏します。これも今は時代錯誤な歌詞かもしれません。自分はZ世代だから、そういうのわかるんです(笑)でも、こちらも当時世代の男心だと思って許してください。

 

演奏されたのは『虹とスニーカーの頃』。たしかに歌詞は時代錯誤かもしれないが、それを差し置いても耳から離れないメロディの強さがある。それを迫力ある演奏で表現されているのを聴くと、音楽としては今も通用する名曲としか思えない。

 

そこから姫野がボーカルの『悲しきレイン・トレイン』が続く。美しいメロディと切ない歌詞を、繊細に表現する歌声が沁みる。照明は雨をイメージしたのだろうか、青い光がステージを照らす景色もグッとくる。

 

僕たちはビートルズが好きで、売れたことでアビーロードスタジオでもレコーディングができました。ポールが弾いたピアノか、リンゴが叩いたドラムか、ジョンが座った便座か、と勝手に思いながらレコーディングしました(笑)

 

そこで『ぼくがつくった愛のうた』というアルバムを作りました。この曲の表題曲を歌った姫野くんは、当時20歳ぐらいでした。当時はまだ若くて痩せていて可愛くてね。

 

そんな彼も今では大きな孫がいるおじいちゃんです。孫がかわいんでしょうね。見たくもないのに孫の写真をこちらに見せてきて(笑)

 

そんな彼が歌うこの曲は、当時の20歳の彼が歌うよりも、今の彼が歌っている姿の方が好きだなと思います。

 

財津のMCから続いたのは『ぼくがつくった愛のうた~いとしのEmily~』。アビーロードスタジオで制作された、姫野がボーカルの楽曲だ。この歌は年を取っても愛し続けるという永遠の愛を誓うような楽曲だ。

 

長い月日が風に流れ

ぼくらの子供も恋をして

家を離れていったとき

小さなシワがまたひとつ

 

この歌詞は実際に歳を重ねて、歌と同じように人生を歩んできた姫野が歌うからこそ、説得力が増している。

 

年齢を重ねると若い頃に難なくできたことも、簡単にはできなくなることも多い。だが歳を重ねるからこそ生まれる凄みや魅力もある。そんなことを感じる名演だった。

 

そんな感動的な余韻に浸っていると、さらなる感動が押し寄せてくる。次に演奏されたのが『青春の影』だからだ。バンドの代表曲かつ日本を代表する名曲である。

 

音源よりも少し長いイントロから、財津が丁寧に優しく歌う。バンドはそれを最高の演奏で支える。名曲を名演で届けることの素晴らしさを改めて感じた。

 

本編最後の楽曲は『Shooting Star』。最後は観客も立ち上がり手拍子で盛り上がる。感動的な泣ける演奏があるライブではあったが、最後は爽快感が残るような盛り上がりで本編は締められた。

 

アンコールもひたすらに盛り上げる。AORの影響を感じる『2222年のピクニック』で演奏を始めると、やはり観客は立ち上がり手拍子をしながら楽しんでいた。

 

こうしてライブで様々な楽曲を聴くと、ビートルズの影響を受けた楽曲だけでなく、様々な音楽を取り入れた音楽性の幅が広いバンドなのだとわかる。

 

続く『銀の指輪』も最高の盛り上がりだ。ドラムのイントロが響いた瞬間に「この日一番では?」と思うほどの手拍子が会場に響く。バンドも盛り上がりすぎたのだろうか。上手や下手に移動して姫野が煽る。

 

だがテンションがあがりすぎてしまったのか、姫野はつまずいてこけてしまった。頬から少しだけ血が出る怪我を負ってしまったが。パフォーマンスには支障なく素晴らしい歌と演奏を届けてしまった。これぞプロである。自分は銀杏BOYZ以外のライブでメンバーが血を流す姿を初めて見た。

 

財津に「大丈夫?」と聞かれ、笑顔で「大丈夫!」と答える姫野。「長くやっていると色々なことがありますね......」と言って、姫野の怪我についても感慨深くなる財津。とにかく軽傷で良かった。

 

気を取り直し「行ってみよう!」という財津の煽りから始まったのは『私のアイドル』。この曲も観客は総立ちだ。手拍子したり手を振ったり踊ったりと、それぞれが自由に楽しんでいる。若手バンドにも負けない熱気で会場が包まれる。今回のツアーがラストツアーになることが勿体無いほどの熱気だ。

 

最高の盛り上がりでアンコールを終えたものの、ダブルアンコールを求める拍手が鳴り響く。それに応えて再登場するメンバー。そして真っ先に「大丈夫だよ!」という姫野。流血箇所には絆創膏が貼ってあった。観客も笑いながら拍手で迎え入れる。

 

ダブルアンコール1曲目は『心の旅』。この楽曲がチューリップにとって最初のヒット曲で、バンドの人気を決定付けた大切な楽曲だ。そんな大切な曲を丁寧に歌う姫野。メンバーの美しいコーラスも繊細で心地よい。きっと大切な曲だからこそ、大切に歌い続けているのだろう。

 

メンバー紹介してそのまま最後の曲を演奏するかと思いきや、財津を除くメンバーで童謡の『Happy birthday to you』を演奏した。ライブ翌日の2月19日が財津和夫の76歳の誕生日だからだ。財津は「誕生日のことを忘れていました。サプライズは良いですね/////」と照れくさそうに笑う。

 

次が最後の曲ですが、みなさんに一緒に歌ってもらわないと困ります。

 

なぜなら年を取ってこの歌のキーがでなくなったので(笑)あとは最後はみんなで歌って大盛り上がりで一つになって終わるという魂胆もあります(笑)

 

若い頃とかコロナの前は大きな声で歌ってたでしょ?その頃を思い出しましょう!マスクをしている人はマスクを突き破る声を出して!上の階の人も遠いけれどしっかり歌うんだよ!

 

長いお付き合い、ありがとうございました!

 

財津が最後の挨拶をして披露されたのは『魔法の黄色い靴』。

 

Aメロの歌い出しからずっと、手拍子と観客の合唱がひたすらに続く。財津は「声がでない」と言ってはいたものの、それが嘘だと思うほどの力強い声で歌っている。サビで客席に財津がマイクを向けると、演奏をかきけすほどの大きな観客の歌声が会場に響く。

 

会場には10代もいれば80代以上もいる。国際フォーラムを埋める約5000人の観客が、世代も関係なくひとつになって歌っている。その歌声も景色も空気も、何もかもが楽しすぎて、全てが感動的だ。

 

財津は何曲か演奏する前に「これは時代錯誤な歌ですが」と話してから歌っていたが、チューリップというバンド自体は時代錯誤ではなく今も通用する一流のバンドだと思う。そうでなければ、これほど会場をひとつにできるはずがない。

 

最後のツアーなのに悲壮感などない。切なさよりも楽しさが勝っている。大歓声に見送られながらステージを去るメンバーもみんな笑顔だ。

 

むしろ「こんな明るい終わり方で本当にラストツアーなの?」と思ってしまうほどだし、来年新しいツアーをやると言われても違和感を覚えないほどに爽快な終演だった。

 

でもこうして「続きがあるのでは?」と思わせて終わるのが粋なのかもしれない。音楽は人に希望を与えるものだし、力をくれるものだからだ。

 

「最後のツアーは最後っぽくなかったけど、最高に楽しくて感動的だったな」という思い出が、チューリップの最後のツアーを観た人の心に残り続ける。そんな思い出が、これからもファンを勇気づけるはずだ。

 

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TULIP 50周年記念ツアー “ the TULIP ” アンコール公演 at 東京国際フォーラム ホールA 2024年2月18日(日) セットリスト

1.1人がいいさ

2.セプテンバー

3.風のメロディ

4.見過ごしていた愛

5.博多っ子純情

6.ここはどこ

7.もしも僕が

8.エジプトの風

9.走れ!ムーン

10.しっぽの丸い子犬

11.逆回転

12.街は黄昏がれに抱かれて

13.あの娘は魔法使い

14.ブルー・スカイ

15.夏色の思い出

16.神様に感謝しなければ

17.虹とスニーカーの頃

18.悲しきレイン・トレイン

19.ぼくがつくった愛のうた~いとしのEmily~

20.青春の影

21.Shooting Star

 

22.2222年のピクニック

23.銀の指輪

24.私のアイドル

 

25.心の旅

26.魔法の黄色い靴