2023-06-01 【ライブレポ・セットリスト】Cody・Lee(李)『こnにちは せいかつ。TOUR』at EX THEATER ROPPONGI 2023年5月25日(木) Cody・Lee (李) ライブのレポート 2022年3月。Cody・Lee(李)はメジャーデビュー発表をした。ワンマンライブのアンコールでその発表はされており、会場は900人キャパの恵比寿リキッドルームだった。その後メジャーデビュー後初の全国ツアーを行ったが、東京公演は1300人キャパの渋谷O-EASTで行われた。 もちろん両公演共にソールドアウト。バンドは着実にファンを増やし人気を獲得している。 そしてメジャーデビュー1周年を記念した全国ツアー『こnにちは せいかつ。TOUR』の 東京公演は、1700人キャパのEX THEATER ROPPONGIで行われた。こちらもチケットは完売。メジャーデビュー1年目のロックバンドとしては、かなり順調に活動が進められているようだ。 バンドにとって過去最大キャパのワンマン。しかし「むしろこのキャパでは小さいのでは?」と思うほどの演奏とパフォーマンスだった。人気の上昇は勢いや運ではなく、実力に裏付けられたものだと実感する。 1曲目に早くも代表曲『我爱你』を披露する思い切りの良さからもそれを感じた。他の曲でも勝負できるからこそのセットリストだろう。高橋響が「東京!」と叫ぶように煽れば、それに応えるような大歓声が客席から響く。高橋や力毅か台に立って煽ったり、高橋か背面ギターをしたりと魅せるパフォーマンスは、大会場だとより映える。1曲目から会場の熱気を最高潮にしてしまった。 演出もこの規模にあった壮大さがある。曲中に今回のツアーグッズにも使われているキャラクター『せいかつくん』と『せいかつちゃん』がステージ後方に登場したりと、会場規模に見合う演出でライブを盛り上げていた。いや、バンドの演奏やパフォーマンスに見合う演出と言った方が正しいかもしれない。 その勢いのまま『愛してますっ!』を続ける。この楽曲でも尾崎リノがタンバリンで手拍子を煽ったりと、観客をさらに盛り上げていた。『異星人と熱帯夜』では尾崎リノが前に出てギターソロを弾く姿が印象的だった。高橋がそのすぐ後ろに立って嬉しそうにニヤニヤしていたのはシュールだった。 観客だけでなくメンバーもテンションが高い。MCで高橋は真っ先に「しツアー初日は毎回うまくいかないんだけど、今日は上手くいってる!」と喜んでいた。序盤から良いライブになることが確定したような空気感だ。 「EX Theaterはフジファブリックのライブでお客さんとして来たことしかなかったけど、フロアだけじゃなくてステージからの景色も最高なんですね」と感慨深そうに話してもいた。少しずつかもしれないが、憧れのフジファブリックにCody・Lee(李)は近づきつつあるのだろう。 そんなMCを挟んでから披露されたのは、アニメ主題歌として話題になっている『おどるひかり』。先程までひたすらに盛り上がるライブ展開だったが、この楽曲は丁寧な演奏でしっかりと聴かせる。 『江ノ島電鉄』は電車が走る音をオケで流して演奏し、観客はそれを聴きながら自然と手拍子を鳴らしていた。Cody・Lee(李)はロックを軸に様々なタイプの楽曲で楽しませてくれるのだ。 高橋がハンドマイクになりパフォーマンスした『冷やしネギ蕎麦』では、観客は心地よさそうに揺れたり腕を上げたりと自由に楽しんでいた。 後半に原原汰輝がステージ前方に出てきて彼の〈あの夏のせいにして〉という歌に〈この夏を乗りこなせ〉と返すコールアンドレスポンスか行われたりと、声出しが可能になったからこそのファンとのやり取りもあった。観客の力によってライブは作られるのだと、改めて感じる。 しかし原は「六本木にはパリピしか集まらない!」と言って煽っていたが、この場にパリピは居ないように見えた。 『トゥートルズ』では客席上のミラーボールが回り、会場を美しい光で包み込む。そして『DANCE風呂a!』と心地よく踊れるナンバーが連続で披露された。 この楽曲では音源でもコラボレーションしているTOKYO HEALTH CLUBのSIKK-Oもサプライズで登場した。SIKK-Oのコールアンドレスポンスやラップによってさらに盛り上がるフロア。この日はメジャーデビュー記念日。だからこその特別な演出だろうか。 MCではSIKK-Oと楽曲制作をした際や銭湯でのライブで共演したエピソードが話された。『DANCE風呂a!』のラップのリリックは依頼してから2時間30分ほどで書き上げられたことや、銭湯で行われたライブで初共演した際はSIKK-Oが後方で出番が来るまで1時間ほど隠れていたことが話された。 銭湯ライブでSIKK-Oの登場時は黄色い歓声と言うよりも、変質者が出た時に近い悲鳴が観客から発せられたらしい。SIKK-Oが可哀想である。 高橋の「まだまだ行けますか!?オンベース!ニシマケイ!」と煽りニシマのベースソロから『悶々』が始まると、再びライブは熱気に満ちていく。赤い照明に包まれながら演奏するメンバーの姿がクールだ。 さらに鮮やかなカラフルな照明の中で『W.A.N.』を続けると、観客のボルテージは一気に最高潮に。〈喜びってどんなんだっけ〉という歌詞を〈喜びって今日みたいな日だ〉という言葉に変えた『ボーイズブラボー』も最高だ。 そんな衝動的な演奏を続けたかと思いきや、重厚な演奏の『LOVE SONG』で圧倒させる。勢いだけではなくしっかりと聴かせるロックバンドでもあるのだ。 ちなみに今回のライブのテーマカラーは緑で、メンバーはそれぞれ緑を基調とした衣装を着ていた。しかし高橋は緑の部分が少ない衣装だ。「TシャツのNIKEのロゴが緑」「緑のCONVERSEを履いてる」「Osu Super Idol Unitというアイドルグループの緑のリストバンドをしている」などと、自身も緑取り入れていることを必死に説明していた。 力毅は「お母さんに頼まれたから」と母の緑のエプロンを着用していた。親子仲が良いようだ。お母さんを大切にして欲しい。 話題はメジャーデビュー後の1年間で最も楽しかったことへと移り、メンバーがそれぞれ発表していった。 原は「アラバキロックフェスの後にスナックで顔に卑猥な落書きをされたこと」。力は「他人のライブに行くことが苦手でライブやフェスにくわしくなかったけれど、名前の知っているフジロックに出れたこと」。尾崎リノは「芸人との対バンツアーで、真空ジェシカがネタの途中で照明が暗くなるミスがあったこと」。原と尾崎はシュールなエピソードだった。 ニシマはアジカンとの対バンと話していた。感慨深くて明るい曲よ演奏中でも泣きそうになったという。高橋も憧れのバンドとの対バンが印相だったらしく、フジファブリックとユニコーンとマカロニえんぴつと共演した『LOVE MUSIC FES』を真っ先にあげていた。 ライブも後半。高橋が「この1年、様々な出会いや別れがあったと思います。そのことを想い作った曲をやります」と告げてから『春』が演奏された。高橋と尾崎優しいボーカルが胸に沁みる。繊細な演奏も素晴らしい。春の終わりにこの曲を聴くと、楽曲の魅力がより伝わってくる。 そして心地よい演奏で『drizzle』が続いた。しかし後半に高橋が「東京で1番カッコいいギター!」と力を指さしながら叫び、力が歪んだサウンドのギターソロを掻き鳴らせば、空気は一気にロックバンドのそれとなる。このジャンルレスに音楽を取り込みながらもロックへと昇華させる音楽性が、Cody・Lee(李)のひとつの強みに思う。 本編最後の曲はキーボーディストの中野郁哉がゲストとして演奏に参加した。Cody・Lee(李)のレコーディングに参加しており、メンバーと同じぐらいの密度で会ってスタジオに入っているミュージシャンらしい。 高橋はメンバーのことが大好きだ。ストーカー気質な部分があるようで、メンバー全員のインスタのストーリーまで確認しているらしい。「何をしているかわからない時間が1秒でもあるのが嫌だ!自分と一緒に居ない時も何をしているのか知りたい!」ということが理由らしい。愛が重い。 中野へも高橋は愛を注いでいる。「そろそろ郁哉くんにも異常な愛が注がれるかもしれない...。インスタのストーリー、チェックするから気をつけてね...」と話していた。怖い。 そんなホラーな話を続けていたが、真剣な話もしていた。 僕には故郷の花巻市文化会館でライブをやるという目標があります。それは30歳ぐらいまでバンドを続けたら達成できる目標かもしれないです。 でも、おじいちゃんやおばあちゃん、お父さんやお母さん、彼女、友達、たくさんの大切な人が元気なうちにやらないと、意味が無いと思っています。 次にやる曲のMVは、YouTubeで全然再生されていないんです。でもあのMVができたことは僕にとって重要なんです。 小学生の頃、じいちゃんと「学校が皆勤賞なら旅行に連れていってもらう」という約束をしました。でも1日だけ休んでしまって、旅行には行けませんでした。 でも花巻市文化会館でライブをやるという約束は、絶対に果たしたいです。 3年以内に達成します。一緒に花巻市文化会館へ行きましょう 高橋の言葉は覚悟を持ったものだと思う。期限のある個人的な目標を口にするのは勇気がいることだ。なぜなら達成出来なければダサい言葉になってしまうのだから。でも、今のバンドの勢いや実力なら、その目標はいとも簡単に達成してしまうのではとも思ってしまう。 「高校生の時に書いた曲です」と告げてから演奏されたのは『1096』。繊細な演奏と美しいメロディとエモーショナルなボーカルが重なる。まだ何者でもなかった高校生の高橋響が作った音楽が、大きなライブハウスに響く。それも大きな規模に見合う壮大なサウンドで。約1700人の観客はそれに感動している。本編最後に演奏されたこの楽曲が、この日のライブのハイライトだった。 アンコールは原が主導となる物販紹介から始まった。パートナーは毎回ジャンケンで負けたメンバーが担当し、今回は高橋がパートナーだった。ジャンケンで負けたら物販紹介とは、まるで罰ゲームのようである。 アンコール1曲目でも中野がキーボードを弾いていた。披露されたのは新曲『在夜市再見』。作曲に中野も参加しているとのことだ。「もう郁弥くんはメンバーだよね」と高橋がつぶやいてから演奏された。レゲエの影響を受けたであろうリズムで、そういった部分に中野のセンスが活かされているのかもしれない。今までのCody・Lee(李)にありそうでなかったタイプの楽曲だ。 中野がステージを去り「こんなに楽しいライブは久々だ。今日が初日だけど1番良いライブだったんじゃない(笑)」と笑う高橋。観客も共感するかのように一緒に笑う。それぐらいに良いライブだったのだ。 残りのアンコールは、全てを出し尽くすように衝動的な演奏がされた。 まずは『初恋・愛情・好き・ラヴ・ゾッコン・ダイバー・ロマンス・君に夢中!!』。曲名にもなっている〈初恋・愛情・好き・ラヴ・ゾッコン・ダイバー・ロマンス・君に夢中!!〉という歌詞を観客に歌って欲しいようだが「声が小さかったらイントロからやり直すシステムを作ったから、大きな声を出してください」と謎のお願いをする高橋。 もちろん最初から観客は大盛り上がりだ。しかし原は歌声が小さく感じたのだろう。高橋が「原ちゃん、どう思う?」と尋ねると「もう1回!」と叫んでもう一度カウントをして最初から演奏がやり直された。 観客はさらに大きな声で叫ぶ。2回目は満足したのか、そのままサビへとなだれ込む。自然と観客のテンションが上がる演出だ。 ラストは『When I Was City Boy』。ライブ定番曲で最後に演奏されることが多い楽曲だ。しかし今回はいつもと少し違う。高橋が「City Boyのギター、弾ける人いる?」と観客に問いかけ、それに弾けると答えた観客をステージに上げたのだ。そして観客に高橋のギターを持たせたのだ。 ステージに上がった観客も興奮した様子で、観客はそれを冷やかすように歓声をあげる。そのままステージに上がったファンと共に『When I Was City Boy』が衝動的に演奏された。 ステージも客席も、この日1番と感じるほどにテンションが高い。一般のファンがギターを弾いているので、演奏は荒々しかった。しかしステージとファンとで作りあげるライブとしては、これ以上はないほどの最高の空気になっている。 最後にマネージャーがメジャーデビュー1周年を記念した誕生日ケーキを持ってきて大団円。ちなみにマネージャーの故郷である苫小牧で行われる公演のチケットが大量に余っているらしく、売れなければマネージャーはおでこに「米」というタトゥーを入れるらしい。次にマネージャーを見る時が楽しみである。 ライブの内容は、最大キャパのワンマンで、最高を更新したのではと感じる圧巻の内容だった。メンバーもやりきった表情をしていたと思う。 しかし自分は次の東京ワンマンはさらに大きな会場で、もっと良い内容のライブをやるのではと思ってしまった。それは今回のライブに不満があるからでは無い。むしろ大満足だ。 それでもそう思うのは、今のCody・Lee(李)から「もっと凄いことになるのでは?」というワクワクを感じさせられるからだ。もっとこのバンドと凄い景色を見たいと思わせる魅力があるからだ。 次にCody・Lee(李)のワンマンを、自分はどの会場で観ることができるだろうか。そして3年以内に花巻市文化会館でライブを観れることを楽しみにしている。 ■Cody・Lee(李)『こnにちは せいかつ。TOUR』at EX THEATER ROPPONGI 2023年5月25日(木) セットリスト 1.我爱你 2.愛してますっ! 3.異星人と熱帯夜 4.おどるひかり 5.江ノ島電鉄 6.冷やしネギ蕎麦 7.トゥートルズ 8.DANCE風呂a! feat. SIKK-O 9.悶々 10.W.A.N. 11.ボーイズブラボー 12.LOVE SONG 13.春 14.drizzle 15.1096 En1.在夜市再見 ※新曲 En2.初恋・愛情・好き・ラヴ・ゾッコン・ダイバー・ロマンス・君に夢中!! En3.When I was cityboy