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【ライブレポ・セットリスト】櫻坂46『1st TOUR』を観て感じた欅坂46のライブとの違い

10月29日から31日までの3日間、櫻坂46『1st TOUR』のさいたまスーパーアリーナ公演が行われた。自分はその公演の初日に参加した。

 

会場前へ行きビジョンに大きく映し出されたツアーロゴを見て、少しずつライブが当然に行われる日常が戻ってきていると実感した。

 

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コロナ禍になってからのライブは、どのアーティストも看板やフォトスポットを設置しない場合が多かった。駅から近い場所にあり。ライブ以外を目的に出歩く人が多い会場では、特にその傾向が強い。大きな会場だとしても周辺は寂しいものだった。

 

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しかし今回は会場前にフォトスポットがあった。会場周辺にはメンバーの名前が書かれたのぼり旗が並んでおり、推しメンの名前を探して写真を撮る人が沢山いた。

 

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スポンサーであるイオンカードのブースもあった。そこにはファンからメンバーへのメッセージボードもあった。

 

音楽以外でもライブを体感できる環境があった。だからか開場前から周辺は活気があった。密を避けるように気を使ったりマスクを着用はしていたが、会場前は熱気で満ちている。

 

コロナ禍に行われたライブは、粛々と目立たないように開催する場合がほとんどだった。しかし今は感染症対策を行いつつも堂々と楽しめるようになりつつある。この感覚は久々だ。始まる前から胸が熱くなる。

 

開演時間をすぎて『Overture』が流れ、最新仕様の映像が流れると、さらに胸は熱くなった。

 

日本一大きなアリーナ会場であるさいたまスーパーアリーナを埋め尽くす、ペンライトによる光の海。客席から声を出せなくとも、熱気が伝わってきて興奮する。

 

その興奮は1曲目の『Dead end』で最高潮に高まる。

 

カラフルな衣装のメンバーが登場し曲が始まると、「さいたまスーパーアリーナ!行くぞ!」とシャウトし煽るセンターの森田ひかる。火花が飛び出たりと演出も最初から豪華でフルスロットル。

 

ロックバンドのような攻めた姿勢の衝動的なパフォーマンスは、欅坂時代を彷彿とさせる。過去もあった上の「櫻坂46としての1st TOUR」なのだと改めて思う。

 

それでいてパフォーマンス集団にしかできない姿でも魅せる。

 

藤吉夏鈴の幻想的なソロダンスから繋がるように始まった『Plastic regret』は、そんな姿を見せるパフォーマンスだった。繊細な表現で魅せダンスはロックバンドでは観ることができない。

 

この曲ではキラキラと輝く数珠繋の糸が、床から天井まで伸びていく演出も美しかった。これも彼女達のパフォーマンスだからこそ映える演出だろう。

 

表情で引き込むパフォーマンスも、櫻坂46の特徴の1つだ。『半信半疑』でセンターを務めた山﨑天は、特に楽曲の世界観を表情で示すことが得意なメンバーである。

 

この曲でも何かが憑依したかのように鋭い眼差しになったり、時折笑顔を見せたりと楽曲展開に合わせて表情が変わっていた。それによって楽曲の世界観に引き込まれてしまう。

 

前半の3曲で既にグループの深みを伝えるような様々な表現で圧倒させた櫻坂46。ここで「さいたまスーパーアリーナへようこそ!」というキャプテン菅井友香の言葉から最初のMCが始まる。

 

さいたまスーパーアリーナでのワンマンは欅坂時代を含めても初めてだと伝え「メンバーの小林由依が休業していますが、今日は24人で精一杯のライブを届けます」と宣言する。

 

しかし24人だとしても、小林を含めた25人で立っている気持ちのメンバーも多いようだ。守屋麗奈は「初めてツアーに参加して地方のファンの方に出会えたことも嬉しいですが、今日は小林由依さんの出身地である埼玉でライブができて嬉しいです」と小林について言及する。

 

守屋茜「急だったので驚かせてしまったかもしれないですけれど、卒業は前向きな決断です。人生最後のツアーなので、精一杯楽しみます!」

渡辺梨花「残り少ない期間ですが、思い出をたくさん作りたいです」

 

先日卒業を発表した守屋茜と渡辺梨花。彼女たちからの挨拶もあった。2人にとって最初で最後の櫻坂46としての全国ツアー。その姿を見届けたいと思いつつも、少し切なくなる。

 

ここからはアイドルとしての櫻坂46の魅力を、最大限に発揮する可愛らしいパフォーマンが続く。

 

『Microscope』では顕微鏡の中をイメージした映像をバックに、キュートに歌い踊った

 

中盤にはボールを転がしてメンバーにぶつけて押し出したり、その流れで自転車を漕いだり、空気入れを押してステージが迫り上がったりと、「人間を使ったピタゴラスイッチ」に感じるカオスな演出もあった。でもかわいいから許す。

 

寸劇のような動きで見せた『君と僕と洗濯物』も素晴らしかった。

 

ソファーで寝ている森田ひかるの枕元の目覚まし時計がなり、それを止める彼女の演技から楽曲がスタート。それがかわいい。「パッ!」という効果音の部分で「パッ!」って感じの動きと表情をする森田ひかる。それもかわいい。

 

他のメンバーも日常生活をイメージする寸劇で見せるパフォーマンスをする。それもかわいい。中盤では松田里奈が風船を飛ばし、それをキャッチして喜ぶ田村保乃の姿にほっこりする。それもかわいい。これは可愛さの暴力である。可愛さによるパンチを連発してファンを殴ってくる。

 

可愛さの暴力によってファンをズタボロにするだけでなく、美しさの暴力によってもファンにダメージを与える。

 

天井までの一面が星空をイメージした電飾で彩られた中で、曲繋ぎのダンストラックで藤吉夏鈴がしなやかに踊る姿は美しかった。大園玲と渡邉理佐は黒い傘を持ち、舞うように踊る姿も美しい。これは美しさの暴力である。

 

そのダンスパフォーマンスから繋がるように『偶然の答え』が続く。渋谷の街が映る映像をバックにクールにパフォーマンスするメンバー。この光景は美しい。当然ながらメンバーの顔面も美しい。全てが美しさの暴力である。

 

さらに「可愛さ」と「美しさ」をミックスさせた暴力でファンの脳天に殴るような衝撃を与える。

 

青い月をイメージした大きな球体がステージ上に現れると、その光に照らされながら森田ひかるがソロで舞うように踊る。その動きは美しく、顔面は可愛い。可愛いと美しいのコラボ暴力だ。

 

そして『ブルームンキス』を美しいフォーメーションで披露し、森田ひかるによる「あ、キスしちゃった//////」のセリフによって、可愛いの暴力で殴りかかってくる。

 

その衝撃で「きすきすきすきすきすきいいいいいいいやああああああああああああああjぎrjぎおえrhぎおえてりゅじpbもえrにおあjfぱhふぃ」と叫びたくなる気持ちを抑え、スティックバルーンを叩くファン。

 

ファンは決して声を出さない。変態なファンが集まってはいるが、コロナ対策への意識が高い。

 

2番の「あ、こんなに好き♡」というセリフパートで、再び可愛いの暴力でファンを攻撃する森田ひかる。

 

その衝撃で「をれもおおおおおおおおおおしゅきいいいいいいいいいるんちゃああああああふぃjrjぎおrうぃwrじょじょpじぇgpjうぃお」と叫びたくなる気持ちを抑え、スティックバルーンを叩くファン。

 

ファンは決して声を出さない。変態なファンが集まってはいるが、コロナ対策への意識が高い。

 

ここらから「楽しさの暴力」によってファンにさらなる攻撃を加える。

 

電車の形をしたトロッコに乗って後方まで移動した『最終の地下鉄に乗って』。客席中央でキャンプファイヤーの火を囲みながら踊った『 思ったよりも寂しくない』。

 

この2曲は後方の客席にも近づいてパフォーマンスしたこともあり、会場全体が多幸感で満ちていた。メンバーも他の曲以上に笑顔で楽しんでいる様子だ。

 

ライブで聴いて印象が変わった曲がある。『それが愛なのね』だ。

 

小池美波が「さいたま!櫻坂への愛はそんなもんか!」と煽り、森田ひかるが「もっと盛り上がれるよね!もっと!」とファンに手拍子を煽る。山﨑天は「もっと聞かせてください!アリーナ!2階!3階!」と叫び会場全体を巻き込む。

 

それもあってか、この曲では盛り上がりが爆発していた。音源ではここまでのキラーチューンになるとは想像していなかった。印象が変わる楽曲があることも、ライブを観る醍醐味である。

 

新曲『ソニア』が初披露されるサプライズもあった。

 

センターは小池美波。フロントメンバーの桜エイトを支えるバックスメンバーだけによる楽曲だ。真っ白の衣装で舞う姿に引き込まれる。バックスのメンバーも素晴らしいパフォーマンスをしていることを、改めて実感する。

 

守屋茜「このツアーが最後と思って回ってきたので、後悔しないように丁寧にパフォーマンスしようと思いながらやってきました。あと、みんなと写真を撮りたいなと思って、たくさん写真をとってきた。今まではあまり撮ってなかったなあと思って」

 

楽曲披露後に行われたMCで、守屋茜が話していた言葉が印象的だった。卒業間近だからこそ、今までとは違う想いを持ってツアーを回ってきたのだろう。

 

その想いは他のメンバーも同じかもしれない。守屋と特に長い時間を過ごした一期生の齋藤冬優花は「寂しくなるから考えないようにしている。でも増本綺良ちゃんが何か数字を数えていて、なんの数字か聞いたら守屋さんと一緒に『それが愛なのね』をやれる回数って言っていて、そんなの寂しくなる数えないでって思った」と話す。

 

武元唯衣は落ち込んでいた時に、守屋にチーズハンバーグを作ってもらって励ましてもらったエピソードを話していた。羨ましい。食べたい。びっくりドンキーのメニューとして出してほしい。

 

松田里奈は「自分は変顔の写真を夏鈴に送って励ました」となぜか張り合う。ハンバーグの方が嬉しい。

 

しんみりした空気になったが、すぐにほっこりとした空気になるメンバー。これは今はグループ内で良い空気が流れていることを示していた場面に思う。

 

トークはツアーで全国を回った話になり、守屋茜に博多弁でセリフを言わせる無茶振りをする流れになった。「わたしのこと、好きなんやろ?知っとるっちゃけんね?」とぶりっ子をして堂々と言う守屋。卒業することが勿体ないほどのアザトカワイイぶりっ子である。オタクの心を代弁して「グフ!グフ!」と言っていた松田里奈。彼女はオタク側の気持ちが強いのかもしれない。

 

ここから後半戦。盛り上がりはさらに加速する。

 

櫻坂46の始まりの曲でもある『Nobody's fault』では、演出による煙の中をキレのあるパフォーマンスで圧倒させ、曲間なしで『なぜ 恋をして来なかったんだろう?』へと雪崩れ込み、さらに熱気を上昇させる。

 

この曲では天井から白い布が垂れ下がり、それを藤吉夏鈴に他のメンバーが巻きつけて揺らしたりとする演出があった。なんか楽しそう。

 

ライブ本編で最も会場が一つになった曲は『Buddies』だ。

 

ファンへのメッセージが込められた楽曲を、笑顔で会場全体を見渡しながら歌い踊るメンバー。センターステージで山﨑天を囲むようにメンバーが回る姿や、最後のサビでメインステージに戻り全員で肩を組む姿が印象的だった。

 

そして何よりも印象深かったのは、白く輝く客席を埋める美しいペンライトの光だ。ライブはファンも一緒に作り上げていることを実感する。

 

櫻坂46はカッコ良さでも魅了してくる。カッコよさの暴力でファンを痺れさせる。

 

大きな桜の木のセットが現れ、それをバックに『BAN』を披露。Mステの嵐かと思うほどに桜色の紙吹雪がステージを飛び交い埋め尽くす。その演出に負けないほどにクールなパフォーマンスで盛り上げるメンバーを観て痺れる。カッコよさの暴力である。

 

ラストは『流れ弾』。センターを務めている田村保乃は、この曲でカッコよさの暴力を体現したような姿を見せる。客席に向けて彼女がピストルを打つ演出から始まった時点で、カッコよすぎて痺れる。

 

この曲は特にダンスが激しい。一つひとつの動きが大きく個性的だ。それをステージ全体をつかったフォーメーションで魅せる。それもカッコよさの暴力である。演出は火花が出たり炎が出たり照明が鮮やかに点滅したりと「盛り上がる要素全部乗せ」といった感じの激しさと豪華さ。演出までもカッコよさの暴力が盛りだくさんである。

 

可愛いと美しいと楽しいとカッコいいの暴力でファンを殴りまくって、最高の盛り上がりをでライブ本編は終わった。

 

その熱気を残したまま始まったアンコールでは、新曲の『無言の宇宙』が初披露された。センターの渡邉理佐の穏やかで優しげな雰囲気が、そのまま反映されたようなパフォーマンス。ビジョンには花火の映像が映り、ライブのフィナーレを感動的に彩っているようにも見える。

 

アンコールでのMCは初披露楽曲やツアーへの想いがメンバーから語られた。

 

小池は初披露した『ソニア』について「かわいい印象がある曲ですが、大切な人に当てた楽曲でもあります。初披露で緊張しましたが、みなさんにとって大切な曲になってほしいと思ってパフォーマンスしました」と初のセンター楽曲への想いを語った。

 

遠藤 光莉も「バックスだけの曲は初めてなので、これからもっと大切な曲に育てていきたい」と想いを伝える。バックスメンバーにとって、特に思い入れが深い曲なのだろう。

 

こちらも初披露楽曲である『無言の宇宙』でセンターを務めた渡邉理佐は、この楽曲について「優しい気持ちになれる曲だと思います。これからもっと披露していって育てていきたい大切な楽曲です」と語る。その言葉通りに、優しい気持ちになれるようなパフォーマンスだった

 

そして田村保乃は『流れ弾』について、「衣装が違うだけでも見え方も届け方も変わってくる楽曲だし、毎回違う流れ弾を見せたいと思います」と語った。この日のパフォーマンスでも完璧と思えるほどに圧巻だったが、メンバーはこの曲で見せたい景色がまだあるのだろう。

 

原田葵は「会場の近くにあるイオンモールにある紀伊国屋書店にサインを書きました!」と言っていたが、そのショッピングモールはイオンではなくコクーンだ。コロナ禍でなければ客席のさいたま市民が全力でツッコんでいただろう。

 

森田ひかる「今日は特にたくさんの人が見てくれていると思うんですけど、今日はペンライトの色が揃っていて、すごく綺麗で感動しました。ありがとうございます!」

松田里奈「『最終の地下鉄に乗って』の時に黄色のサイリウムの色で揃っていて、映像や照明の色が黄色だったからそれに合わせてくれたのかなと思って嬉しかったです!」

菅井友香「次の曲ではサイリウムを桜色に揃えてくれたら嬉しいです!」

 

そう言ってから「せーの!櫻坂の唄!」とメンバー全員で声を揃えて曲紹介をしてから、桜木のセットをバックに『櫻坂の詩』始まる。これがこの日、最後の曲だ。

 

客席一面が桜色の光で染まる。その景色を見渡して笑顔になるメンバー。優しくて温かい音色と歌声が会場に響き渡る。幸せで満ちた空間が、ファンも含めた全員で作られていく。

 

改名前の欅坂46時代もメンバーは素晴らしいライブをやっていた。欅坂46のパフォーマンスは衝撃的で、彼女たちの登場により女性アイドルシーンは大きく変わったと思っている。

 

しかし個人的に『不協和音』リリース以降は、常に緊張した空気がステージにはあった。脆くて壊れそうな、危うい雰囲気があった。

 

そんなヒリヒリした感じも魅力ではあったが、そのせいで心配になることも多いグループではあった。ライブを観終えた後は「楽しかった!」という気持ち以外の、複雑な感情になることも多かった。

 

自分は櫻坂46になってからこの日初めて生のパフォーマンスを観たが、以前のように不安な気持ちや複雑な感情にはなることはなかった。

 

『流れ弾』や『Nobody's fault』のように緊張感のあるヒリヒリしたパフォーマンスもあって、それは欅坂時代を彷彿とさせる部分ではある。しかし『不協和音』をライブで観た時のように、心配になるような危うさはなかった。その代わり安心して見守れるような力強さがあった。

 

MC中もメンバー間には穏やかな空気が流れていた。グループが良い状態なのだと実感するような雰囲気である。だからライブ後には「楽しかった!」という感情が最も強く生まれた。胸がいっぱいになって、幸せな余韻がずっと続いた。彼女たちから元気や希望をもらった。それは自分が櫻坂46になってから初めて自分が感じたものであり、欅坂46のライブを観た後には感じなかったことである。

 

できればこの空気がずっと続いてほしいと思う。アイドルにはやはり笑顔でいて欲しいし、幸せであって欲しい。その姿を見て応援して、ファンとして幸せな気持ちを共有したい。

 

メンバーが歌い踊りファンがペンライトを輝かせる姿は〈一つひとつの花びらが肩を組むように桜は満開になるのさ〉という『櫻坂の詩』の歌詞を体現しているようだった。この幸せがずっと続いて欲しい。

 

桜はすぐに散ってしまうし、儚いものだ。

 

でも、だとしても、彼女たちの咲かせる桜はずっと咲き続けて欲しい。もしも散ってしまったとしても、春が毎年来るように、彼女たちが歌い踊る都度に桜が咲いて欲しいと思う。

 

また次に櫻坂46のライブを観た時も、素晴らしいパフォーマンスに胸を打たれて、心に満開の桜が咲くような幸せな気持ちになれますように。

 

■2021年10月29日 櫻坂46『1st TOUR』at さいたまスーパーアリーナ セットリスト

01.Dead end
02.Plastic regret
03.半信半疑
04.Microscope
05.君と僕と洗濯物
06.偶然の答え
07.ブルームーンキス
08.最終の地下鉄に乗って
09.思ったよりも寂しくない
10.それが愛なのね
11.ソニア
12.Nobody's fault
13.なぜ 恋をして来なかったんだろう?
14.Buddies
15.BAN
16.流れ弾

EN1.無言の宇宙
EN2.櫻坂の詩

 

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