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エビ中のMUSiCフェスを一生忘れない〜ライブレポ・感想〜

忘れられないライブ

 

10年前の2009年12月28日。カウントダウンジャパンという音楽フェスが行われた。

 

出演者の奥田民生はフジファブリックの「茜色の夕日」という曲をカバーし歌った。フジファブリックの志村正彦が上京後に最初に作った楽曲。バンドにとっても志村にとっても大切な楽曲。

 

「茜色の夕日」を歌う奥田民生の歌声はとても優しかった。それでいて力強さもあった。心に染み入るような歌声でもあり、心に突き刺さるような歌声でもある。想いがこもっている歌だった。

 

茜色の夕日

茜色の夕日

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  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

「フジファブリック!」

 

曲が終わり奥田民生は叫んだ。フジファブリックについてライブ中に多くは語らなかった。それでも会場にいたフジファブリックのファンに奥田民生の想いは伝わっていた。涙を流しながら拍手するお客さんがたくさんいた。奥田民生のファンにもきっと想いは伝わっていたと思う。

 

自分も涙が止まらなかった。自分はフジファブリックが大好きだ。インディーズの頃から聴いていたバンド。自分にとって大切な音楽を作ってくれた大切なバンド。何度もCDを聴いて、何度もライブに行ったバンド。

 

2009年12月24日。志村正彦は遠くへ行ってしまった。それから4日後に行われたライブ。

 

奥田民生の歌と言葉によって、様々な感情が頭の中を巡ってぐちゃぐちゃになった。その歌は癒しでもあったし、現実を突きつけられるような苦しさもあった。それでも、フジファブリックが大好きだった自分は、この日の奥田民生のライブを観て心の底から良かったと思った。一生忘れられないライブになった。少しだけ前へ進めるような気がした。

 

2019年6月22日。

 

2009年のカウントダウンジャパンと同じぐらいに一生忘れられないライブが1つ増えた。私立恵比寿中学が自身の結成10周年を記念して主催した音楽フェス『MUSiCフェス』だ。

 

全出演者が素晴らしい演奏とパフォーマンスを行なっていたことも一生忘れられない理由の1つではある。

 

しかし、それだけではない。全ての出演者のライブから「想い」を感じたからだ。その想いが自分の心に突き刺さったからだ。10年前のカウントダウンジャパンの奥田民生のライブと同じように。

 

山内総一郎のMCと叫び

 

『MUSiCフェス』に出演していたフジファブリック。10年前にメンバーに悲しい出来事があったバンド。それでも遠くへ行ってしまった志村正彦の想いを受け継ぎ活動を続けているバンド。

 

「エビ中!」

 

フジファブリックが製作しエビ中に提供した『お願いジーザス』という曲をセルフカバーし演奏を終え、山内総一郎はエビ中の名前を叫んだ。

 

その時、10年前のカウントダウンジャパンを思い出した。その叫びに10年前の奥田民生を重ねてしまった。10年前と同じように涙が止まらなくなった。

 

お願いジーザス

お願いジーザス

  • 私立恵比寿中学
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

『お願いジーザス』をライブで山内が歌い忠実にセルフカバーしたことは初めてだ。この日エビ中に招かれたから歌ったのだろう。もしかしたら今後セルフカバーされることはないかもしれない。

 

「エビ中のために想いを込めて歌います」

 

この言葉の後、フジファブリックは『お願いジーザス』を演奏した。どのような想いを込めているのか、詳しくは話さなかった。それでも、会場にいたエビ中のファンには絶対に想いは伝わっていた。フジファブリックのファンにも伝わっていたと思う。

 

とても優しい演奏と歌声だった。あの日の奥田民生の「茜色の夕日」のように。

 

僕たちもそうだったんですけど、大切なメンバーの悲しい出来事もあったりしながら、こうして大きな音楽フェスを開催するエビ中のことを尊敬しています。本当に凄いよ。かっこいいよ。

 

エビ中には松野莉奈という女の子もメンバーにいた。2017年2月8日、悲しい出来事があって、彼女は遠くへ行ってしまった。自分はフジファブリックもエビ中もファンとして、両者の悲しい出来事を体験した。体験したくなかった。

 

山内総一郎のMCの言葉は優しかった。噛みしめるように言葉を選びながら話していた。話し方もとても優しかった。

 

ジーザスお願いだ 苦しくて切ない
どうしようもない心の痛み
取り除いて早く いくつでも何個でも
いいじゃん 夢見たいじゃん きらめく世界に
また明日もその次の日も
例え挫けても 何回も何回も

 

自分の大好きなバンドが自分の大好きなアイドルに向けて音楽を通じてメッセージを送っているように感じた。この日のライブは「いい演奏を届ける」こととともに特別な想いも込めているように思えた。

 

音楽が人の心を動かす理由がわかった気がした。

 

 特別なライブ

 

他の出演者もフジファブリックと同様に「想い」を込めたライブをやっていた。この日の出演者はエビ中に楽曲提供を行ったアーティストが中心。どの出演者も実力も才能もある素晴らしいアーティスト。

 

そんなアーティストがこの日のために、エビ中のために特別なライブを行っていたように思う。

 

吉澤嘉代子はエビ中の小林歌穂に喜んでもらうことを考えてセットリストを組んだと話していた。小林歌穂は吉澤嘉代子のファンでもある。彼女の最も好きな曲の「えらばれし子供たちの密話」とソロライブでカバーしていた「泣き虫ジュゴン」を入れたセットリストを組んでいた。

 

岡崎体育はエビ中の「あるあるフラダンス」という曲をファンでなければ知らないようなエピソードを取り入れてカバーしていた。

 

他の出演者もエビ中とコラボをしたり、セルフカバーをしたり、MCでエビ中とのエピソードを語ったり、10周年を祝ったりと、この日だからこその特別なライブを行っていた。

 

エビ中と過去に関わりがあり、集まった出演者たち。他の音楽フェスに出演するときとは違った想いを持って 出演を決めライブを行っていたように感じた。

 

このフェスに集まったお客さんの多くがエビ中のファンだと思う。他の出演者のことを詳しく知らない人も多かったかもしれない。それでも、その想いは伝わっていて、出演者の想いも音楽もしっかり受け取って楽しんでいたように思う。

 

エビ中の音楽

 

「ここからありがとうを返していきます!」

 

主催のエビ中も「想い」を込めたライブをやっていた。エビ中の結成10周年を祝うためフェスに集まったアーティストに向けて「ありがとう」を返していくという想い。

 

そのことについて多くの言葉を語ったわけではない。言葉ではなく音楽で「ありがとう」を返していた。他の出演者に負けないような素晴らしいライブをやることで返していた。

 

私立恵比寿中学はアイドルだ。自分たちで歌詞を書いているわけでも曲を作っているわけでも演奏しているわけでもない。与えられた楽曲を歌い踊って表現している。バンドとは表現方法も違う。シンガーソングライターとも音楽の伝え方は違う。

 

その代わり、提供された楽曲をとても大切に想いを込めて歌っていた。アイドルも表現者でありアーティストなのだ。素晴らしいパフォーマンスで多くの人を感動させている。

 

「エビ中とはレコーディングも立ち会ったんですけど、バンドマンよりも歌を練習してレコーディングに臨んでいて、本気をぶつけられた気がしました」

 

『MUSiCフェス』に出演していたゲスの極み乙女の川谷絵音は、MCでこのように話していた。エビ中は普段からバンドマンに負けないぐらいに音楽に真剣なのだ。本気で音楽をやっているのだ。

 

特にこの日のエビ中はいつも以上に音楽に対して真摯に向き合い本気で表現していたように感じた。『MUSiCフェス』に出演していたアーティストは全員本気で音楽をやっている。それに負けないぐらい本気のライブに感じた。

 

 他にも特別な想いを感じる場面はあった。パフォーマンスだけでなくセットリストからも。

 

「幸せの貼り紙はいつも背中に」を歌ったこと。横浜で行われたエビ中の主催フェスで「なないろ」を歌ったこと。「フレ!フレ!サイリウム」を歌ったこと。この3曲を続けて歌ったこと。

 

幸せの貼り紙はいつも背中に

幸せの貼り紙はいつも背中に

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なないろ

なないろ

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フレ!フレ!サイリウム(中辛ver.)

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そのセットリストの意図はエビ中のことを詳しく知っているファンにしか伝わらないかとは思う。それでも特別な想いを込めた楽曲で大切な想いが込められた歌であることは、エビ中ファン以外にも伝わっていたのではと思う。エビ中ファン以外もエビ中のステージを楽しんでいたように感じた。

 

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音楽には技術やセンスも大切だと思う。エビ中を含め『MUSiCフェス』の出演者は全員それを持ち合わせている。しかし、自分はそれ以上に音楽には「想い」が大切だと思う。

 

そして「想い」も『MUSiCフェス』の出演者は全員持っている。もちろん、エビ中も持っている。

 

 一生忘れない理由

 

 1日で何度も心が動かされた。笑ったり泣いたり、様々な感情を1日のうちに何度も繰り返した。

 

それは出演アーティストが特別な想いをもって演奏をしてくれたり、想いを込めた言葉を発してくれたからだ。出演者も普通の音楽フェスとは受け取らず、エビ中が主催していることに対して意味を感じてライブをしていたように思う。

 

そして、エビ中も主催フェスを行うことに特別な想いを持っていたのではとも思う。

 

「きっとわたしは忘れないです。今まで色々なステージに立ってきたけど、今日はすげえ嬉しかった。アイドルなのに汚い言葉使いでごめんなさい」

 

メンバーの真山りかは最後のあいさつでこのように話していた。メンバーにとってもたくさんの「想い」を感じるフェスだったのだと思う。主催者がこのように感じるフェスは最高であるに決まっている。

 

自分もこの日をきっと忘れない。フェスに来た1人の客にすぎないかもしれないけど、その想いに心をめちゃくちゃ動かされて、心の底から感動したから。

 

音楽の素晴らしさを『MUSiCフェス』は改めて教えてくれた。そんな素晴らしいフェスのことを忘れることはできない。

 

そして、最後にエビ中へ一言。

 

エビ中10周年おめでとう。最高の音楽をありがとう。これからも心を動かす想いのこもった音楽を楽しみにしてるね。

 

そして、りななんは「エビ中フェスをやりたい!」という夢が叶ったね。やったね。おめでとう。

 

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