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岡崎体育がさいたまスーパーアリーナで投げキッスをした件について......〜ライブレポ・感想〜

始まった瞬間に確信したこと

 

鳥肌がたった。会場内の客電が消えた瞬間に。

 

会場に集まった1万8千人の歓声に鳥肌がたったのだ。音が流れてもいないし岡崎体育も出てきていない。それなのに地響きのような歓声だった。

 

アリーナ規模のライブは他のアーティストでも観たことがある。岡崎体育のライブも何度か観たことがある。

 

しかし、この日の岡崎体育のライブでの歓声は今まで自分がアリーナ規模の会場で聞いた中で、最も大きいと感じた。

 

みんなこの日を心の底から楽しみにしていた。特別な想いを持ってこの場に来ている。好きなアーティストの夢が叶う日。それをファンも心待ちにしていた。

 

いつかはさいたまスーパーアリーナで口パクやってやるんだ 絶対

 

「Explain」ではこのように歌っていた。「Explain」の発表以前からも岡崎体育はずっとさいたまスーパーアリーナでのライブを目標としていた。

 

Explain

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きっと一番この日を楽しみにしていて、この日に特別な想いを持っていたのは、ステージに立っていた岡崎体育だろう。

 

「岡崎体育です! よろしく! 夢叶えに来ました!」

 

ステージに貼られた白い幕が落ち、岡崎体育は叫んだ。1万8千人のさいたまスーパーアリーナの客席に響いた。歓声はさらに大きくなる。 

 

また鳥肌が立った。今度はさいたまスーパーアリーナに響く岡崎体育の言葉に鳥肌が立った。

 

夢を叶える瞬間の男の叫びは、いつも以上の気合を感じた。様々な想いを全て吐き出したような、ライブ開始の宣言に思えた。

 

それに対していつも以上にたくさん集まったファンはいつも以上に大きな歓声で応える。

 

ライブが始まって5分も経っていなかった。しかし、この時点で確信した。

 

「この日は素晴らしいライブになるはずだ」と。

 

ライブは客も作るもの

 

ライブの雰囲気はお客さんによって大きく変わる。

 

それによってライブの良し悪しが決まってしまう場合もある。ライブはアーティストだけでなく客もいっしょに作っている。

 

この日のお客さんは、最高だった。

 

それは会場にいた人たちはみんな感じていたはずだ。「ライブを観る気持ち」がお客さん同士で完全に統一されていた。

 

好きなアーティストの夢が叶う瞬間を見届けたいという気持ち。夢が叶う瞬間を最高の時間にしてあげたいという気持ち。夢が叶う瞬間を一緒に喜び楽しみたいという気持ち。

 

アーティストが空気を作って行って盛り上げることがライブの基本だとは思う。しかし、この日は客が最初から空気を作っていた。

 

それをオープニングの歓声からも感じた。だから客の歓声に鳥肌が立った。自分も無意識のうちに叫んでいた。みんな「最高のライブを観よう」としていたのではなく「最高のライブを創ろう」としていた。

 

観客は最初からフルスロットルで岡崎体育を盛り上げようとしていた。さいたまスーパーアリーナがまるでライブハウスのような熱気で満ちていた。

 

いい曲といい歌はいい人といい場所で。これ以上にない最高の環境が整った。観客のテンションに比例して岡崎体育も登場からテンションが高い。

 

岡崎体育はライブ中に客席へ向かって投げキッスもしていた。最高のお客さん達に感謝の気持ちを込めていたのだろう。

 

でも、投げキッスはちょっと、止めて欲しかった。

 

いつも通りの岡崎体育

 

客のテンションはいつも以上に最初から高かった。岡崎体育もいつも以上に気合が入っているようだった。岡崎体育のパフォーマンスによってさらにテンションが上がる客席。

 

しかし、この日のライブは「いつものライブ」とほとんど変わりないように思えた。いつものライブの延長にあるような感じ。

 

大きなスクリーンや花道やセンターステージはあった。センターステージがせり上がったり、トロッコに乗って客席をまわったりと派手な演出もあった。

 

それは特別なことをやろうとしているわけではなかったと思う。「さいたまスーパーアリーナでいつも通りのライブ」をやっていたと自分は受け取った。

 

岡崎体育は会場に合わせて演出やパフォーマンスを変える。同じ曲でも違う景色を見せてくれる。

 

ライブハウスならば全員をぶち上げて盛り上げ、ホールならば椅子があることを活かした演出を行い、フェスならば一見さんを巻き込むような工夫を凝らしている。

 

それでもブレずに貫いていると感じることがある。

 

それは「くだらないように感じることを真剣にやり、音楽を届けていること」だ。

 

さいたまスーパーアリーナでは派手な演出は多かった。しかし、どれもがくだらない。

 

花道の幅が狭いからゆっくり歩かなければならないというバカバカしさ。歌詞を忘れて歌えなかった時にせり上がり晒し者のようになる岡崎体育。センターステージに生えるえのき。

 

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全てがバカバカしい。お金をかけているのに全然かっこよくない演出。でも、全員を楽しませることに全てを賭けているようなライブ。

 

小さなライブハウスでやる時でも、1万8千人のアリーナでやる時でも変わらない、岡崎体育はいつものやり方。いつも通りのライブをやり、いつも通りの最高のパフォーマンスをすることで夢を叶えた。

 

「1曲やるごとに喋って、ダラダラとライブをやるスタイルなんですけど、これをさいたまスーパーアリーナでやれることを誇りに思います」

 

岡崎体育はさいたまスーパーアリーナでライブをやること自体を夢にしていたわけではないのかもしれない。

 

さいたまスーパーアリーナの規模でも、自分の今まで貫いたスタイルでライブをやり成功させることを夢にしていたのかもしれない。

 

3時間行われた岡崎体育のさいたまスーパーアリーナ公演。しっかりと「いつも通りの岡崎体育のライブ」で1万8千人を楽しませていた。ファンが少なかった頃から貫いたライブのスタイルは、いつしか多くの人の心を動かすライブになっていた。

 

それは演出や次々と繰り出されるネタの面白さだけが理由ではない。音楽もしっかりと届いていて、多くの人の心を動かしていた。

 

岡崎体育はそのことを実感していたと思う。だから喜びのあまり、投げキッスを客席にしてしまったのだろう。

 

でも、投げキッスはちょっと、止めて欲しかった。

 

岡崎体育は「音楽」で1万8千人を集めた

 

世間が持つ岡崎体育のイメージは「イロモノミュージシャン」かもしれない。

 

テレビに出れば芸人のような笑いの要素が強い演出をする。世間に知られた代表曲はネタ曲。アーティスト写真もふざけたものが多いし、本人のルックスは太っちょマーガリン。

 

それによってファンになったり興味を持った人は多いと思う。しかし、岡崎体育をさらば知るほど音楽の魅力にも気づく。

 

ライブでの客席の反応を見れば音楽に魅了されて岡崎体育を支持しているとわかる。

 

子どもにも岡崎体育は人気だ。この日も多くの子ども連れのお客さんがいた。ちびっこのファンも「岡崎体育の音楽」に惹かれたのだと思う。

 

見たことない やったことないを恐れないで
さあフューチャーヒーロー 走るんだ 追い風を受けて
その夢は いつまでも忘れないで
さあリュックサックは準備OK 行かなくちゃ
誰にも描けない キミの冒険だ 一歩踏み出そう

 

ポケモンの主題歌である「キミの冒険」という曲。この曲が演奏された時、自分の近くにいた子どもは楽しそうにペンライトを振って歌っていた。

 

キミの冒険

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笑わせようとはしていない楽曲。音楽でメッセージを伝えようとしている。

 

夢を叶えた男が音楽に込めたメッセージは、きっと子ども達に届いていたはず。もちろん、大人の自分にも届いていた。

 

でも、投げキッスはちょっと、届けないで欲しかった。

 

ライブのハイライト

 

アンコールで歌われた2曲。この2曲が忘れられない。さいたまスーパーアリーナ公演のハイライトはこの2曲だと思う。

 

『鴨川等間隔』と『エクレア』の2曲だ。

 

「一緒に歌ってください」と話してから岡崎体育は『鴨川等間隔』を歌った。会場に集まった1万8千人の歌声が響く。スクリーンには歌っているお客さんが何人も映る。

 

鴨川等間隔

鴨川等間隔

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ネタ曲ではない曲をみんなが歌っている。岡崎体育の出身地京都が舞台の曲がアンセムになっている。

 

笑いの要素が注目されがちな岡崎体育だが、きちんと「音楽」で1万8千人の心を掴んでいる。誰が何と言おうと、岡崎体育の音楽は多くの人を感動させている。それを実感した。

 

エクレア

エクレア

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今まで誰かに憧れてた 壊れた傘を振り回してた
感動的なフィナーレと 感動的なクラップヤヘンズ
いけるとこまでいこう

 

いい曲はいい人と共に いい曲はいい人と共に
いい曲といい歌はいい人といい場所で
いい曲はいい人と

 

この日のこの瞬間を歌っているように思えた『エクレア』。

 

鳥肌が立った。自然と涙が出てきた。この1曲に込められた想いが胸に突き刺さった。この日のライブの最初から最後まで、ハイライトのように頭に浮かんだ。

 

夢を叶えた岡崎体育に感動したことはもちろん、純粋に音楽に対して感動した。岡崎体育の音楽に心を動かされた。

 

ダブルアンコールで『Explain』を披露し、さいたまスーパーアリーナで通用するアーティストである事をExplainしたカッコよさにも鳥肌が立った。

 

ステージから去る時の投げキッスには、悪い意味で鳥肌が立った。

 

投げキッスはちょっと、止めて欲しかった。

 

岡崎体育の今後

 

岡崎体育は夢を叶えたことで燃え尽きてしまわないだろうか。ファンも夢が叶う瞬間を見届けて満足してしまわないないだろうか。

 

ライブが始まる前、岡崎体育の今後について少し不安に思っていた。しかし、ライブを見終わった後、それは心配する必要はないと確信した。

 

岡崎体育は2020年にエディオンアリーナ大阪(大阪府立体育館)でライブを行うことを発表した。関西でもアリーナ規模のライブを行う。

 

この日のライブは「集大成」と言えるようなライブではなかった。感動的な演出なんてほとんどなかった。良い意味で「いつも通りの岡崎体育」だった。

 

いつものスタンスでいつもの雰囲気で楽しませていた。これからも同じように楽しませてくれるだろうし、感動させてくれると思う。

 

むしろ大きな舞台を経験してさらにレベルアップしたステージを見せてくれるはずだ。もっと素晴らしい楽曲を聴かせてくれるだろう。

 

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さいたまスーパーアリーナ公演を観た後、不安になるどころかワクワクしていた。

 

次はどのような音楽を聴かせてくれるのだろう。どのようなライブで楽しませてくれるのだろう。

 

これからの岡崎体育の音楽やライブ活動に期待したい。これからもいい曲をいい人と共に聴いていきたい。

 

でも、投げキッスはちょっと、止めて欲しい......。

 

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