2018-10-08 the pillowsのファンは変な人ばかり コラム・エッセイ the pillows アウイエ! the pillowsというバンドが好きだ。 大ヒット曲があるわけではない。世間的には知られてる曲なんてない。誰もが知っている人気バンドでもないし、日本のロック好きでも名前しか知らないという人も多いと思う。 それでも紆余曲折ありながらも長年活動を続け、2019年で結成30周年を迎えるバンド。今でもほぼ毎年アルバムを作り全国ツアーもそれなりに大きな規模で行なっている。今年は海外でもツアーを行った。 実力もあるしファンも少ないわけではない。多くの後輩バンドにも影響を残している。しかし、個人的にはもっと売れても良いと思っている。それこそミスチルみたいにドームやスタジアムをやれるだけのポテンシャルがあるのではと思っている。 そう思うのはファンである自分の贔屓目だとは思う。それでも良いバンドであることは間違いない。 しかし、the pillowsが老若男女誰もが知っているヒットソングを作ることも、ドームでライブをやることは無謀だとは思っている。これ以上ファンが急激に増えることはないと思っている。 だって、the pillowsのファン、変な人ばかりだから。まともな人が殆どいない。自分も含めて変な人ばかり。ライブでも宗教のように全員「アウイエ!」と謎の言葉を叫ぶ。 the pillowsはなぜか変な人に好かれる音楽なのかもしれない。 まともな人間が多い世の中。the pillowsの音楽は受け入れられない世の中なのだろうか。 あういえ! メロディやサビの歌詞をきくと、ヒット曲を多く出しているバンドにも負けないだけのキャッチーさがある。一度聴くと覚えてしまうような親しみやすいフレーズもある。 例えば代表曲の1つでありアニメで使用されたり他のアーティストにもカバーされている『Funny Bunny』。 Funny Bunnythe pillowsロック¥255provided courtesy of iTunes キミの夢が叶うのは誰かのおかげじゃないぜ 風の強い日を選んで走ってきた このフレーズは変な人が多いthe pillowsファンだけでなく、まともな一般人でも共感するフレーズで、メロディもキャッチー。多くの人に気に入ってもらえるフレーズだと思う。 the pillowsのトリビュートアルバムでBUMP OF CHICKENがカバーしていた『ハイブリッドレインボウ』も邦楽ロックが好きな人にはたまらないギターの音とメロディだ。 ハイブリッド レインボウthe pillowsロック¥255provided courtesy of iTunes the pillowsの歌はポップスが好きな人も気に入ってしまうようなキャッチーなメロディであったり、ロックが好きな人を唸らせるようなセンスある演奏をしている。 しかし、普段JPOPを楽しく聴いている普通の人達や「#日曜日だし邦rock好きと繋がりたい」とツイートする邦ロック好きのファンは少ない。 やはりファンは変な人ばかり。音楽は好きなのだろうけど、ひねくれてる人や多くの人とは違う感性の人が多い気がする。 アウイエ the pillowsの楽曲は多くの人に受け入れられる要素はある。バンドも唯一無二の個性がある。 しかし、一般人も何かを感じ取って良いとは思ってもガッツリとハマってファンになる人は少ない。変な人が何かを感じ取って熱狂的なバスターズになっている。 その理由はthe pillowsが多くの人に音楽を届けようとしているのではなく「一部の変な人」に向けて音楽を届けようとしているからではと思う。 the pillowsの歌詞はひねくれ者やはみ出し者に向けているように感じる。それも「ただひねくれてるだけの人」には向けていないから、余計にややこしい。 王様の声に逆らって ばれちゃった夜に キミは笑っていた 代表曲の『Funny Bunny』の最初の歌詞のフレーズ。サビの歌詞は前向きで多くの人が共感するかもしれない。しかし、冒頭で歌の主人公の「キミ」は多くの人が逆らわずに従う「王様」に逆らっている。それがバレても気にしないフリをしている。 キミの夢が叶うのは誰かのおかげじゃないぜ 風の強い日を選んで走ってきた ひねくれてるけど、自分の想いには真っ直ぐな「キミ」。the pillowsはそんなキミを応援してくれる。ただの応援ソングではない。まわりの色に馴染まない出来損ないのカメレオンのような、「変な人」に向けての応援ソングなのだ。 昨日は近くまで希望の船が来たけど 僕らを迎えに来たんじゃない。 上記はもう1つの代表曲である『ハイブリッドレインボウ』の歌詞。この歌詞ではまわりの色に馴染まない「変な人」に共感し寄り添ってくれている。絶望している「変な人」にもthe pillowsは寄り添ってくれる。 Can you feel?Can you feel that hybrid rainbow?昨日まで選ばれなかった僕らでも明日を待ってる 荒々しいギターの音をバックに叫ぶように歌うサビ。このサビの歌詞では「変な人」と寄り添い、その上で希望を与えてくれている。そして、一緒に明日を待ってくれている。 the pillowsはひねくれ者の中でも「ひねくれ者なのに自分の想いや信じたものには真っ直ぐな人」や「まわりの色に馴染めないけど認められたいと思っている人」のために歌っているように思う。 そういった人たちに希望を与え、それも間違っていないと認めてくれる。 そして、バンド自体もファンと同じようにひねくれ者なのに真っ直ぐなバンドなのだ。 あういえ... the pillowsもひねくれ者のバンドかもしれない。ファンと同じでひねくれ者だけど真っ直ぐで、ひねくれ者なのに認められたいと思っていたバンドに思う。 バンドの活動は順風満帆ではなかった。紆余曲折あり、解散してもおかしくない危機も乗り越えて29年間音楽を続けている。 活動初期に当時のコンポーザーでリーダーだったメンバーの脱退もあった。売上として結果が出せずレコード会社の契約を切られることもあった。ひねくれ者なのに結果を出したいと思って「売れることを意識した曲作り」をして失敗したこともある。自分達ののこだわりのためにレコード会社とぶつかったり音楽雑誌と喧嘩したりもあった。 the pillowsはひねくれ者だったかもしれない。それでもバンドとして音を鳴らし続け、自分たちの信じる良い音楽を作り続けた。変な人が多いけども、少しづつバンドや音楽に惹かれてファンは増えていった。 売れる前からthe pillowsはずっとひねくれ者のためにメッセージを送り、寄り添い応援をしていた。それはファンに向けたいた部分が大きいとは思うが、もしかしたら自分たちに向けても演奏し歌ったいたのかもしれない。 きっとthe pillowsもバスターズも似た者どうしのストレンジカメレオンなんだ。 アウイエ!!! 大ヒット曲を出したアーティストやバンドでも、30年近く人気を維持したり、第一線で活動し続けることは難しい。活動を終えてしまったり、全盛期と比べるとずっと小さなキャパでライブを行っているアーティストも少なくはない。 the pillowsは大ヒット曲はない。しかし、今でも新譜を出して全国ツアーで細かく全国を回ってライブを行う。海外公演も全公演ソールドアウトした。来年の30周年にはアリーナ規模でライブを行う予定だ。 今はバンドとして申し分ないぐらいの成功をしている。 その理由はthe pillowsが今でも昔と変わらずにひねくれつつも自分たちの音楽やメッセージを真っ直ぐ届けているからだも思う。 誰もが忘れても 僕は忘れたりしないぜ 世界が笑っても 自分を疑わない 時代が望んでも 流されて歌ったりしないぜ 全てが変わっても 僕は変わらない my song is your song 17年前に発表された『Fool on the planet』でthe pillowsはこのように歌っていた。これは17年前のthe pillowsが今後も変わらないという決意の歌にも感じる。 Fool on the planet the pillows アニメ ¥250 provided courtesy of iTunes それから17年経ち『Rebroadcast』というアルバムをリリースした。 ふり返ったらちゃんとあった夢遊病で残した足跡も生きざまって呼べるもんだな 独りよがりの孤軍奮闘後悔しかけた崖っぷちキミがそこに立っていたリターン RebroadcastMay I wish to redo again?May I wish for a chance again? 上記は新譜の表題曲でもある『Rebroadcast』の歌詞だ。 そこには昔から変わらないthe pillowsがいる。ひねくれ者だけど真っ直ぐなthe pillowsが、同じようにひねくれ者だけど真っ直ぐなファンに間違っていないとメッセージを送り、希望を与えてくれている。 人気が出たとしても、歳をとったとしても、時代が変わっても変わらないバンドだからこそファンも信用しずっと付いてきているのだと思う。 『Fool on the planet』で歌った時と変わらず、今も「my song is your song」というメッセージが新曲にも込められている。 それでも1つだけ変わった部分もある。 それは、the pillowsが「きっと自分たちは間違っていないから上手く行く」ではなく「自分たちは間違っていなかったから上手く行ったしこれからも上手く行く」と自分たちのやってきたことにより自信を持ち始め、楽曲のメッセージもより説得力を増したことだ。 29年間の活動で紆余曲折ありながらも結果を出てきた。聴いた人を感動させ続けたことはもちろん、売上としてもある程度の結果を出した。 その姿を長年追ってきたファンは知っている。最近のファンもその歴史を知っている人も多い。だからこそ経験を積み結果を出したthe pillowsの音楽はより説得力を増している。 the pillowsはひねくれ者で音楽が好きな変な人達に居場所を作ってくれた。ストレンジカメレオンな生き方でも正しいと認めてくれた。これからもthe pillowsはそんな音楽を続けてくれるはずだ。 May I wish to redo again?May I wish for a chance again? 『Rebroadcast』のサビでは上記のように歌っている。日本語にすると「もう一度やり直したいか?もう一度チャンスが欲しいか?」という意味。それに対して歌詞では答えを出していない。 しかし、the pillowsもファンもきっと同じ答えを出すのではと思う。 タイトルの『Rebroadcast』は日本語で「再放送」という意味。もしもやり直すとしても今と同じで構わない。むしろ再放送で良い。 ひねくれ者でまわりに馴染めなかったりして生きづらさを感じても、自分たちのやってきたことや、やろうとしていることは間違いではないはずだから。 the pillowsのファンは変な人が多い。しかし、ストレンジカメレオンな生き方でも間違っていないし、人から流されるのではなく自分で決めた自分の信じる生き方が正しいのではとも思う。 変な人の自分は何があっても一生the pillowsの音楽を聴き続ける。きっと同じような気持ちのファンは沢山いるだろう。ひねくれ者でも間違ってはいないし、音楽なら繋がれるし1つになることができる。それを自分に教えてくれたのはthe pillowsだ。 ファンにひねくれ者で変な人が多いバンド、最高じゃないか。 アウイエ!!! 関連記事 ⚫︎〈ライブレポ〉なぜthe pillowsは今になって19年前のアルバムを再現するツアーを行ったのか? 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