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〈ライブレポ〉BiSHはこの調子だと今後どうなってしまうの?~中野サンプラザ公演の感想~

中野サンプラザ2DAYS

 

中野サンプラザで2日間行われたBiSHのライブ。両日のライブを観たが、BiSHは2日感で全く違うライブを行った。1日メモ2日目もセットリストもは全く違うし、パフォーマンスの見せ方も全く違う。この2日間のライブは去年までのBiSHならできないパフォーマンスだったのではと思う。今までの良くも悪くもイロモノな雰囲気を感じるBiSHとは明らかに違うステージ。

 

今まではクオリティよりもメンバーとファンの勢いを重視するパフォーマンスでライブが成立していたように思う。それがメンバーのパフォーマンスの力とステージ演出だけで成り立つようになった。

 

素晴らしいライブだったと思う。2日間ともに。メンバーの成長を実感できるライブでもあった。そして、BiSHの変わってしまった部分と変わらない部分をより感じた2日間のライブでもあった。

 

過去のBiSHを感じる1日目

 

中野サンプラザ1日目のライブはインディーズ時代の楽曲が中心のセットリストだった。メジャー2ndアルバム『THE GUERRiLLA BiSH』のリリース後のツアーだったにも関わらず、『THE GUERRiLLA BiSH』からの選曲は2曲のみ。

 

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MCもアンコールもなし。ノンストップで畳がけるように楽曲を投下してエモーショナルにパフォーマンスをした。その姿は活動当初「新生クソアイドル」と名乗っていたり、「楽器を持たないパンクバンド」というフレーズを大々的に打ち出していたころのBiSHに近いステージだった。

 

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客に歩み寄ると言うよりも勢いで圧倒しそれにファンも応えるようなライブ。その姿は売れる前のBiSHを彷彿とさせるようなステージだった。

 

今のBiSHを感じる2日目

 

2日目は最新アルバム『THE GUERRiLLA BiSH』が中心のセットリスト。それ以外の選曲もメジャーデビュー以降に発表された楽曲が多い。

 

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またライブの構成も1日目とは違った。MCや自己紹介もしっかりと挟みライブを進めていた。ファンも苦笑いのコントもあったりして。パフォーマンスもノンストップで畳がけるよりも丁寧にパフォーマンスしファンに歩み寄るようなステージだった。

 

今ではアイドルファンやロックファンだけでなく多くの人を惹きつけているBiSH。誰しもが楽しめるようなエンターテインメント性もあり、「メジャーアイドルのステージ」と言えるような完成されたステージだった。

 

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2日間のステージは昔のBiSHと今のBiSHを対比させたように感じた。それにより今と昔でBiSHの変わってしまった部分がはっきりとわかったようにも思う。

 

BiSHの音楽性は既に変化している

 

BiSHはデビュー当初からギターの音が印象的なバンドサウンドだった。一般的なアイドルが歌いそうな可愛らしい曲は少なく、ロックバンドが歌い演奏するような曲が多い。その方向性は現在も続いているが、音作りや楽器の使い方は大きく変化している。

 

大きく変化したのは2017年にリリースしたメジャー2ndシングルの「プロミスザスター」からかと思う。

 

「プロミスザスター」は方向性としては「オーケストラ」に近い。ミドルテンポの泣きメロのロックチューン。2016年に発表した「オーケストラ」はBiSHの代表曲になるほど多くの人に聴かれた代表曲。しかし、方向性は違い部分があるが、音作りや音のバランスはプロミスザスターとオーケストラでは違うものになっている。

 

「オーケストラ」はストリングスの音を大胆に取り入れた曲だ。しかし、屋台骨を支えているのは歪んだギターの音。曲の始まりもギターの音とチッチのボーカルから始まり、全体を通してもギターの音が印象的だ。ギターロックバンドがストリングスを取り入れた時のような音なのだ。

 

オーケストラ

オーケストラ

  • BiSH
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

それに対して「プロミスザスター」はギターの音はあまり目立たない。ピアノの音から始まり全編ピアノとストリングスの音が印象的な楽曲だ。音作りはJPOPに近い。

 

プロミスザスター

プロミスザスター

  • BiSH
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

また、音のバランスも変わってきている。以前のBiSHはボーカルの音が少し小さめになっていた。その代わり楽器の音が全面に出ていた。メンバーの歌唱力が上がったことも理由の一つだと思うが、今はボーカルが前面に出ている。現在もギターロックやパンクと言える楽曲もあるがボーカルが前面に出ているので耳障りは以前と違うものになっている。 

 

PAiNT it BLACK

PAiNT it BLACK

  • BiSH
  • ロック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

アルバム『THE GUERRiLLA BiSH』以降の曲はアイドルソングには定番と言えるファンの掛け声やファンの声援を曲間に入れることが難しい構成の曲も増えた。アイドルファンだけでなく多くの音楽ファンを巻き込んでいこうとしているのではと思う。

 

中野サンプラザの1日目はインディーズ時代の楽曲が中心のセットリスト。2日目は最新アルバムを中心としたセットリスト。2日間続けてライブを観ることで楽曲の方向性の変化やファンの乗り方の違いを感じた。

 

それはBiSHがイロモノの地下アイドルではなく多くの人に受け入れられるアイドルやアーティストになったともいえる。BiSHに限らずアイドルもバンドも売れてくると新しいファンが入ってくる代わりに昔からのファンが離れてしまう状況になることがある。音楽性もファンのノリも変化しつつあるBiSH。そんなBiSHも昔からのファンが離れてしまう状況になってもおかしくないかもしれない。

  

BiSHのメンバーも変化した

 

しかし、BiSHの音楽性や方向性が変化しても離れないファンが多いように感じる。あくまで自分の感覚ではあるが、他のアイドルグループと比べると昔から離れずにずっと応援しているファンがBiSHには多いように思う。

 

その理由の一つはBiSHのメンバー自身が大きく変わったからだと思う。

 



上の映像は2017年の幕張メッセイベントホールで行われたプロミスザスターのライブ映像だ。正直、メンバー全員の歌が上手いわけではない。声も出ていなかったり音も外しているメンバーもいる。エモさはあっても技術があるとは言えない。

 

 

 上記の映像は中野サンプラザ2日目のライブでの「PAiNT it BLACK」の映像だ。メンバーの歌唱力が上がっていることがわかる。上手いわけではないかもしれない。しかし、去年よりも全員声量は上がっているし少しずつ表現力や技術もついてきている。とくにモモコグミカンパニーの声量の増加ととアユニ・Dの表現力の進化は目を見張るものがある。ダンスのキレも去年と比べると段違いだ。

 

たった1年でもBiSHのメンバーはこれだけ変わったのだ。成長したのだ。その成長に比例してCDの売上やオリコン順位、ライブの規模も大きくなっていく。しかもメンバーの成長も人気の拡大も伸びしろがありそう。

 

そんな姿をリアルタイムで観てしまったら、グループから目を離すことができない。メンバーがこの先どこまで上がっていくのかを見届けたくなる。もちろん他のアイドルでも成長はする。しかしBiSHの場合そのスピードが特に早いからワクワクするし目が離せないのだ。

 

そしてグループの音楽性や活動する環境が変わっても、中野サンプラザでの1日目のようにインディーズ時代の楽曲を中心のライブを行い昔からのファンの求めているライブも定期的に行ってくれる。それも成長したメンバーがパフォーマンスするのだ。今のBiSHも昔と同じぐらい目が離せない面白さと魅力があるのだ。

 

その魅力はファンを離さないだけでなく、新しいファンも呼び寄せて人気が拡大しているのだと思う。

 

 BiSHは今後どうなってしまうの?

 

BiSHは横浜アリーナでのワンマンライブのチケットを即日ソールドアウトするほどの人気を獲得している。それでもなお人気の上昇に伸びしろがあるようにも思う。そしてメンバーの歌もダンスも表現力も伸びしろがまだまだある。

 

この調子で活動を続けていったらBiSHはどうなってしまうのだろうか。どれほど人気が上昇するのだろうか。どれだけ実力をつけるのだろうか。さらにクオリティの高いパフォーマンスができるようになるのだろうか。

 

今のBiSHの勢いを考えるとファンの期待も大きいはずだ。しかし、期待が大きくなればなるほど、求められるハードルは高くなる。今のBiSHは求められたハードルを越え続けた結果、今の人気を手に入れたのだと思う。しかし、そのハードルを越えられなかった時、期待を下回るパフォーマンスをしてしまったとき、ファンが離れてしまってもおかしくない。

 

今後もBiSHはファンの期待を上回るライブを続けることができるのだろうか。ファンの想像を超えた場所まで上り詰めることができるのだろうか。想像するとワクワクする。それがBiSHの魅力の1つでたり、リアルタイムで追いかけたくなる理由の一つ1つだと思う。BiSHが今後どうなってしまうのかが楽しみだ。

 

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