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平井堅feat.あいみょん『怪物さん』で最も凄いのは編曲のトオミヨウでは?(歌詞・感想・レビュー・評価)

天才が集まって作られた曲

 

天才と天才がコラボレーションしたら、やはり名曲が生まれるのだと実感した。

 

平井堅feat.あいみょんの『怪物さん』を聴いたのだ。素晴らしかった。この二人の才能こそ『怪物さん』ではと思うようなコラボだ。

 

 

作詞作曲は平井堅。コラボレーションは平井堅が主導となって行われている。

 

平井堅は2017年にラジオで気になるアーティストとしてあいみょんを紹介しており、それからずっと気にかけているようだ。あいみょんも自身のルーツの一つに平井堅をあげている。相思相愛だ。その後もライブで共演したりと交流を続け、楽曲でもコラボレーションしたいと平井堅がオファーしたことでコラボが実現した。

 

つまりただの企画でコラボしたわけではなく、お互いにリスペクトし合っているからこそのコラボなのだ。

 

デュエットソングで生まれる歌詞の魅力

 

私をそこらの女と同じ様に扱ってよ
あなたにふさわしいかなんて そんなには賢くなれないわ

 

私が思うカワイイじゃね きっとあなた飽きてしまう
小石蹴るみたいに嘘ついて とりあえず安心させていて

 

知らないって 知らないって 笑っていたい
わからないって わからないって とぼけていたい

 

でも本当は
いなくなれ いなくなれ あなたを好きな私
いっそ いっそ いなくなれ
消えてしまえ 消えてしまえ あなたじゃなきゃ絶対
嫌な 嫌な 嫌な 嫌な 嫌な私

 

ほら 大丈夫?って容易く聞く ぺらっぺらな優しさだけど
とにかく声が聞きたくなる ダメな私
あぁ 説明なんて出来ないから わかってなんて言わないから
とにかく今日も会いたくなる こんな私 いなくなれ

 

私にピンクのフィルターをうまくかけて見ていてよ
喉を鳴らし飲み込んだ水が あたしの真ん中に繋がるの

 

私からは何も聞かない 穴の空いた顔見たくない
あなたが気持ちよくなるのなら よくある嘘も呑み込んでやる

 

知らないって 知らないって 踊っていたい
わからないって わからないって はしゃいでいたい

 

でも本当は
いなくなれ いなくなれ あなたを好きな私
いっそ いっそ いなくなれ
消えてしまえ 消えてしまえ あなたじゃなきゃ絶対
嫌な 嫌な 嫌な 嫌な 嫌な私

 

ほら あたしが歌った鼻歌を あなただけが気付いてくれる
わずかな期待止められない ダメな私
あぁ どっか向いててもそばにいて あなたのままで優しくして
とにかく今日も会いたくなる こんな私 いなくなれ

 

でも本当は
いなくなれ いなくなれ あなたを好きな私
いっそ いっそ いなくなれ
消えてしまえ 消えてしまえ あなたじゃなきゃ絶対
嫌な 嫌な 嫌な 嫌な 嫌な私

 

ほら 大丈夫?って容易く聞く ぺらっぺらな優しさだけど
とにかく声が聞きたくなる ダメな私
あぁ 説明なんて出来ないから わかってなんて言わないから
とにかく今日も会いたくなる こんな私 いなくなれ

 

私がそこらの女と何が違うか教えてよ
あなたがいない私なんて 本当は考えられないの

 

 

〈私をそこらの女と同じように扱ってよ〉というフレーズがあるように女性目線で、一人称に「私」を使っている歌詞だ。平井堅が自身の歌詞を書く際には「私」を使うことは少ない。あいみょんのことをイメージして歌詞を書いたのかもしれない。

 

デュエットソングだが常に一人の女性の感情を歌っている。

 

あいみょんが歌うと現実味が増しリアルに聴こえる。平井堅が歌うと男性だからかリアルさが減少する。映画の登場人物の話に聴こえる。それによってリアルさとファンタジーが組み合わさった不思議な感覚になって印象に残る。

 

これはあえて一人の人物についての歌をデュエットしたことによって生まれた個性と魅力だ。デュエットで歌う意味がある歌詞だ。

 

あいみょんの新しい魅力を感じる曲

 

『怪物さん』はR&Bやソウルミュージックをルーツに持つ平井堅の個性を感じる楽曲だ。

 

しかしメロディはJ-POP的なキャッチーで口ずさみたくなるメロディ。20年以上日本の音楽シーンの中心にいるベテランポップスターの実力も感じる。

 

そのメロディはあいみょんと相性がいい。彼女の作るメロディもキャッチーで口ずさみたくなる。それが老若男女多くの人の心をつかんだ。あいみょんが平井堅から影響を受けている部分はメロディメーカーとしてのセンスの部分に思う。だから平井堅のメロディはあいみょんが歌っても違和感がないのだ。

 

愛を伝えたいだとか

愛を伝えたいだとか

  • あいみょん
  • J-Pop
  • ¥255
タイトルをクリックでダウンロード
  • provided courtesy of iTunes

 

しかしR&Bをあいみょんが歌うことは珍しい。

 

『愛を伝えたいだとか』はR&Bの影響を感じるリズムや編曲ではあるが、J-POPを軸としてR&Bの要素を付け加えたような曲だ。『怪物さん』のようにR&Bの要素が強い曲を歌うことは初めてに思う。

 

サビではオートチューンで歌声にエフェクトがかかっている。歌声に加工をすることで聴こえ方を変化させ、歌を引き立てるというよりも曲の雰囲気に合わせ歌声を楽器のように使っている。

 

GOOD NIGHT BABY

GOOD NIGHT BABY

  • あいみょん
  • J-Pop
  • ¥255
タイトルをクリックでダウンロード
  • provided courtesy of iTunes

 

 

『GOOD NIGHT BABY』の2番Aメロのように一部ラジオボイスを使ったりと声にエフェクトをかけた曲はある。しかしサビなど重要なポイントでは本人の歌の魅力や歌詞の意味が伝わりやすい素の声だ。

 

本格的なR&Bやオートチューンなど、新しいことにあいみょんは挑戦している。それによって隠れていた魅力を発見できた。

 

平井堅とのコラボが隠れた魅力を引き出すきっかけだとは思うが、忘れてはならないことがある。

 

編曲を行なったトオミヨウのことだ。魅力を引き出すきかっけは平井堅だが、魅力を作り出したのはトオミヨウだ。

 

トオミヨウは編曲者としてベストな人選

 

トオミヨウはポルノグラフィティやaikoなど有名アーティストの作品にも参加している売れっ子音楽プロデューサーだ。特に石崎ひゅーいとは関わりが深くほぼ全ての作品に参加し、プロデュースや編曲を行なっている。

 

『ら、のはなし』『ひかりもの』『夢追いベンガル』などあいみょんの楽曲にも何度か参加している。菅田将暉と一緒に歌った『キスだけで』もトオミヨウの編曲だ。

 

そのためあいみょんのボーカリストとしての癖や個性も知っていて、どのようにサウンドを作れば魅力が引き立つかも把握している編曲家である。

 

平井堅の楽曲も編曲している。『#302』の編曲の際には話し合いながら方向性を決めたことを平井堅はインタビューで語っている。

 

ここ数年、ほぼ楽器1本のバラードが続いていて、それは意図的にやっているんですが、そろそろやめようかなと思ったんですよね、今回。それで、4リズムがドーンと入ってくるアレンジも考えたんだけど、この「#302」という曲の性質を考えると、やっぱり削ぎ落としたほうがいいんじゃないかと。アレンジャーのトオミヨウさんと話していたら、とにかく歌詞が聴こえるものにすべきだということになり、今回もこういう感じになりました。

(引用:平井堅「#302」インタビュー|密室のラブソング )

 

トオミヨウはアーティストの特徴を捉えつつも、意向や思想も考慮しつつ編曲しているようだ。『怪物さん』も編曲について話しをしたのかもしれない。

 

同じ曲でも編曲が変われば、ロックにもボサノバにもできる。『怪物さん』はR&Bだが編曲が違えばジャズにすることもできる。

 

音楽を聴いた時にどのように感じるかの印象は編曲家の影響が強い。編曲がダメならば曲や歌詞が優れていても魅力は伝わらない。

 

平井堅とあいみょんという天才二人が揃っても、編曲がダメならば台無しだ。

 

しかしトオミヨウは過去にあいみょんとも平井堅とも関わっている。二人のアーティストとしての特徴や魅力を知っている。それを最大限に伝える方法も理解している。

 

そもそも編曲家としての才能も実力も兼ね備えている。だから『怪物さん』は素晴らしい楽曲になったのだ。

 

アーティスト本人が気づいていない魅力にも気づいて引き出していると思う。実際に『怪物さん』であいみょんの新しい魅力を引き出した。『怪物さん』に関しては最も凄い仕事をしたのはトオミヨウかもしれない。

 

作詞家や作曲家と比べると編曲家は注目されることが少ない。しかし編曲家の仕事は重要なのだ。そのことを忘れてはならない。

 

平井堅もあいみょんも怪物のような才能を持っているが、トオミヨウも怪物のような才能を持っている。そんな「怪物さん」が3人揃った結果、名曲が生まれたのだ。

 

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怪物さん feat.あいみょん

怪物さん feat.あいみょん

  • 発売日: 2020/03/27
  • メディア: MP3 ダウンロード