2023-08-24 【ライブレポ・セットリスト】ELLEGARDEN 『Get it Get it Go! SUMMER PARTY 2023』at ZOZOマリンスタジアム 2023年8月17日(木) ELLEGARDEN ライブのレポート 大阪のライブで怪我人が出てしまいました。 ライブ慣れしてない人もいます。あまり前に詰めると内蔵が圧迫されて死んじゃいます。特に俺たちと同じ年代の年寄りは(笑) だから前に集まる程度にしてください。 母親が来てるから言いにくいたくないけど、ダイブは射精と一緒です(笑)我慢して取っておきの時にイクんだ。「危険だし、やっちゃダメだ!でも細美さん、supernovaは我慢できない!ああああああああぁぁぁ!」というダイブだけ許されます。 何も悪くない下にいる人達に「ごめんなさい」と思いながら飛ぶんです。手足もバタバタさせたら危ない。セキュリティが足りないかもしれないから気をつけて。 今回のライブの禁止事項は、明確にあります。それは、他人を怪我させる行為は、絶対に禁止、ということです。 ここに集まった3万5000人のうち3万4999人が楽しくても、1人でも怪我して嫌な気持ちになったら俺たちの負けだ。今日は全員ハッピーな気持ちで家に帰るぞ! よろしくお願いします! 開演10分前。細美武士がステージに登場し、今回のライブの注意事項を話していた。大阪公演で怪我人が出たことや、ライブに慣れていない人や初めて来た人がいるからこその、注意喚起なのだろう。 細美の言葉に観客が歓声を挙げる。それは「任せとけ!」という、観客の頼もしい応えに思えた。自分がELLEGARDENのワンマンライブを観るのは約15年振りだ。それでもバンドとファンの関係性は変わらないのだと、開演前から実感した。 ELLEGARDENのワンマンライブツアー『Get it Get it Go! SUMMER PARTY 2023』の千秋楽であるZOZOマリンスタジアム公演。開演前から会場全体に良い空気が流れていたと思う。 だからバンドのロゴがステージ後方スクリーンに映されメンバーが登場した瞬間から、マリンスタジアムはライブハウスのような熱気で包まれる。それは自分が15年前の活動休止前に観たエルレのライブと、全く変わらない景色と空気だ。 とはいえ「懐メロバンドではなく現役のバンド」としてライブをやる意思も感じる。最新アルバムの1曲目と同じ『Breathing』から始まったからだ。 ミドルテンポの落ち着いた楽曲だが、しっかりと最新曲も観客にしっかりと受け入れられ、じわりと観客の興奮を高めているような雰囲気になっている。むしろ観客は過去の名曲だけでなく、最新アルバムの楽曲も楽しみにして来た人が多いのではないだろうか。 とはいえ過去の名曲はやはりテンションが上がる。『Space Sonic』のイントロが流れると大歓声巻き起こり、サビではダイバーも続々と発生していた。 細美は前説で「ダイブは射精と一緒です。我慢してここぞと言う時にイクんだ」と言っていたとは思えない数のダイバーだ。マリスタジアムの観客は、早漏が多い。 エルレが攻めたライブをやっているから、観客は早漏になってしまうのかもしれない。なんせ続けて演奏さたのは『Supernova』だ。早くも観客の興奮を絶頂に持っていくような選曲である。自分はスタンド席から観ていたが、スタンドから観ても圧巻なほどの人数がダイブしていた。早漏だらけだ。 そんな熱気は最新曲でも生まれる。『チーズケーキ・ファクトリー』では、サビ前に細美がマイクから離れると〈ティダ・ラ・バダ We get it get it go〉という歌詞の大合唱が客席から巻き起こる。サビではやはり早漏たちがダイブしていた。やはりエルレは懐メロバンドではなく現役のロックバンドなのだ。 早漏たちがイったところで最初のMCへ。生形真一は「5年前のマリンスタジアムは夢のような感覚だったけど、今日は違うんだよ。アルバムを作って、全国を回って、現役のバンドとしてここに帰ってきました」と語る。たしかにライブ序盤からその言葉に説得力を感じる盛り上がりだ。 高田雄一は「ツアーで埼玉公演をやらずにシカトしたことに、埼玉県民以外は気づいてないでしょう。千葉県民を代表して埼玉県民に謝罪します」と謎の謝罪をしていた。埼玉県民の自分は快く許そうと思う。 高田の謝罪が済んだところで、細美の「5年前はすげえところでやってる感じがしたけど、今日は全然そんな感じしないな。どこでやっても同じなんだよ!でっかい花火をうちあげようぜ!」という熱量ある言葉から、最新アルバムのリード曲『Mountain Top』へと続く。 今回のライブは映像演出も取り入れられていた。光線が重なり山をイメージした形の幻想的な映像がステージ後方の大型ビジョンに映され、客席に向かって美しい照明が線上になって伸びていく。熱気を生み出すだけでなく、大会場に見合う壮大さもあるライブだ。 外も暗くなってきたので照明の美しさも映える。『Fire Cracker』では真っ赤な照明がステージを包んでいたが、それが夜の暗さと相性が良く演奏の魅力をより引き出している。そんな演出と演奏から『Stereoman』が続くのだから、盛り上がりがひたすらに続いてしまう。 前半のハイライトは『風の日』だ。細美は歌の最初のフレーズからマイクスタンドを離れ、観客が代わりに歌った。その合唱は前半で最も観客が大きな声を出したタイミングだったと思う。演奏も特に熱量が高い。ギターソロが始まる前に細美が「ウブ!行ってこい!」と叫ぶと、生方がステージ前方まで出てきてギターソロを弾き倒す。観客のボルテージは一気に最高潮に。 「まだ行ける?今日は俺たちのピークだから、しっかり見届けてくれよ」と細美が言ってからの『The Autumn Song』にもグッとくる。たしかに今日がピークと言えるほどの名演ではあるが、これがバンドのピークだと本人から言われると少し寂しい気持ちにもなる。だがそれは今回のライブにそれほど強い想いを込めているということを言いたかったのかもしれない。 『No.13』での映像演出は特に印象的だった。海賊船が荒波を超えていく映像で、その海賊船の周りをいくつもの船が一緒に航海している。それはまるでバンドとファンが一緒に歩んできた軌跡を、映像として表現しているようにも見える。バンドにとってファンが必要不可欠ということを、言葉でなくライブで伝えているのだろう。 夜の野外で歌われた『Missing』は〈夜の合図が今日も僕らを駆り立ててく〉という歌詞がぴったりだ。今のELLEGARDENがこの楽曲を演奏すると、演奏に貫禄や渋みが加えられている。それに痺れてしまう。最新アルバム曲『Perfect Summer』も今のエルレだからこその貫禄が生きる楽曲だ。興奮していた観客が、落ち着いて聴いて演奏の深みに感銘しているような空気感である。 ここで再びMCへ。「俺たちはちっぽけな人間だってことはわかっている。でもこうして大きなステージに立つことができていて、それはみんなのおかげだと思います。本当に感謝しています。俺はドラムだから座ってるけどさ(笑)」と笑顔を見せながら話す高橋宏貴。そんな姿からはファンへの感謝が言葉だけでなく本心ということが伝わってきてホッコリする。 その気持ちは他のメンバーもの同じなのだろう。真夏の野外なのに『サンタクロース』が演奏されたことからも、それを感じる。なぜなら細美が「初めて会う人もいると思う。手ぶらじゃなんなんで、クソ暑い真夏になんだけど、千個のプレゼントを用意してきた」と告げてから演奏されたからだ。バンドに撮って最大規模の公演でこの曲をやる必然性があったのだろう。 『Sliding Door』がマリンスタジアムに似合う楽曲として演奏されたことには驚いた。この楽曲は1stアルバムの収録曲。それなのにまるでスタジアム規模のスケールの楽曲として響いている。それは当時からそれだけ多くの人を惹きつける求心力のある楽曲を作っていた証拠かもしれない。 そこから曲間なしで『Salamander』が続きイントロで細美が「やっちまおうぜ!」と叫ぶと、また客席はうねるような盛り上がりとなる。イントロで自分の後ろの席の男性が「うわあ!この曲めっちゃ聴きたかったんだよ!」と興奮しながら大声で言ったことが印象的だった。自分よりも年上でメンバーと同年代ほどの男性だったが、最高のロックは誰もを14歳にしてくれるのだろう。 観客の熱気で熱くなったのか、細美がTシャツを脱いだ。上半氏が裸になる細美。マッチョな上半身に興奮して、観客は歓声をあげている。 活動再開まで10年も待たせて、そこからアルバム出すまでに5年待たせて、こんなに勝手なバンドなのに、たくさん集まってくれて幸せです。 大阪でやった時の気温は39度。東京は昨日まで雨が降ってたのに今日は32度。うちの奥さんに言われたんだよ。「神様にあんたらは守られてるんだよ」って。でも俺は違うと思う。 神様に守られてるのは、俺たちじゃなくてお前らだと思う。だから、自分の信じた道を、石橋を踏み抜くつもりで進んでくれ! そんな細美の言葉から雪崩れ込むように『ジターバグ』が続くと、観客のボルテージは一気に最高潮に。もともと高い熱気のライブではあったが、もう一段階ギアが上がったような盛り上がりだ。 細美は何度も「行こうぜ!」と叫び、それに呼応するようにスタンディングエリアではダイバーが大量発生している。スタンド席も一緒に大合唱してながら、拳を上げたり手拍子している人がたくさんいる。 そんな最高な景色を見た細美は、演奏後に「スタンド席もありがとな!後ろの方もありがとうな!」と叫んでいた。 その言葉から『虹』が続く。この楽曲も盛り上がりは凄まじかったし、細美が「ウブ!キメてこい!」と言ってからギターソロを掻き鳴らす生方には痺れた。 でもそれ以上に、この日の『虹』は温かな音色に聴こえた。盛り上がるだけでなく、この空間を全員が愛しんで大切にして楽しんでいる空気感だ。 そんな空気の中で夜の野外がベストマッチな『スターフィッシュ』で盛り上げ、最新アルバムからの『瓶に入れた手紙』を重厚な音色で演奏し圧倒させる。 細美「雄一!最後だぞ!何か喋れ!はっきり喋れば伝わるから!」 高田「え?このタイミングでですか?人選ミスじゃないですか?でも最後に細美さんから一言ありますから」 細美「そんなことはいいんだよ!これからどうするの?ここでツアーが終わるぞ!」 高田「僕は皆さんに従うだけです」 観客「wwwwww」 細美「そうじゃなくてお前はどうしたいんだよ!?」 高田「じゃあ、またやりましょう」 細美「じゃあってなんだよ(笑) 」 最後まではっきりと喋らない高田。しかし今のバンドは良い関係で活動していることが伝わるようなやり取りではある。 死ぬまでにあと1回だけ、マリンスタジアムでやろう! それまではライブハウスばっかりでやるから、チケットが取れなくてなかなか会えなくなる人がいる思う。でもまた会える時まで、勝っても負けてもかまわないから、戦って戦って、また会いましょう。 ふらっと違う場所へ行きたくなったら、そっちへ行ってもいいからな。俺の願いはそれだけ。 細美の言葉から続いたのは『Make A Wish』。最初の歌い始めから観客も一緒に合唱している。そして演奏が止まると、細美と観客の歌声だけがマリンスタジアムに響く。観客の歌声は細美の歌声をかき消すほどに大きい。 スクリーンに観客の表情が映されているが、みんな良い顔をしている。暴れている人も、叫んでいる人も、静かに観ている人も。もちろん、メンバーたちも。 そして後半にバンドの轟音が加わると、全てを出し切るかのように暴れ回る観客。ダイバーもこの日1番と言えるほどの数だ。取っておきのタイミングまで我慢していた観客も多いのだろう。みんな気持ちよさそうに飛んでいる。 「これにてサマーパーティ終演です!ありがとうございました!」と細美が叫び、ラストソング『Strawberry Margarita』へ。ラストは最新アルバムの中のとっておきの楽曲で、しっかりと最後に相応しい多幸感に満ちた盛り上がりを作っていた。 「ありがとうございました!ELLEGARDENでした!」と細美が叫び、ステージを後にするメンバー。しかしすぐにアンコールの拍手が会場に響き、ほとんど休まずに再登場した。 今年の3月から金にならないツアーに関わってくれた全てのスタッフ、ありがとうございました。 柵の前に立っているガタイの良いお兄さん、うちの暴れるバカどもがお世話になりました(笑) そして、今日たくさん観に来てくれたバカども!ありがとう! 真っ先にELLEGARDENに関わる全ての人への感謝を伝える細美。音楽だけでなくバンドのこのような姿勢に惹かれるファンも少なくはないはずだ。 そして最新アルバムのエンジニアを務めたRobbie Hiserがライブを観に来ていることに触れ、アンコール1曲目には「Robbieへの感謝を込めて」と話し『Goodbye Los Angeles』が演奏された。そのような説明をしてから演奏したということは、最新アルバムのレコーディングが、再始動後のバンドにとって特に大きな出来事のひとつということなのだろう。 「今日はこの曲を歌いたいと思って」と語ってから演奏された『高架線』も印象的だった。 この、楽曲には〈I am dreaming of a girl rocked my world〉という歌詞がある。「日本語で僕の価値を揺るがすような女の子との恋を夢見てる」という意味だ。もしかしたらファンにとっては「自分の価値を揺るがしたバンド」がELLEGARDENであり、バンドにとっては「バンドの価値を揺るがした存在」がファンなのかもしれない。 「もう一曲やらせて!」と告げてから演奏されたのは『Pizza Man』。アンコール序盤の2曲は落ち着いて聴いて浸っている観客が多かったが、この曲は違う。細美の「やっちまおうぜ!」という煽りに応えるように、みんなが興奮し熱狂している。 メンバーも気持ちが昂っているようだ。細美はステージ下手側に走って行き観客を煽っていたせいで、歌い出しまでにマイクまで戻ることができなかった。テンションが上がりすぎたのだろう。おっちょこちょいである。 対して観客におっちょこちょいはいない。〈Pepperoni Quattro〉という歌詞を、綺麗に声を揃えて大声で叫んでいた。マリンスタジアムに響く観客の叫び声にグッとくる。最高の一体感だ。 やりきった表情でステージを後にするメンバー。しかしまだ観客の熱は収まらない。ダブルアンコールを求める盛大な拍手が響く。 再びファンの想いに応えてステージに立つ4人。そして細美が改まった様子で、丁寧に話し始めた。 エルレの活動休止を決めた時、世界が止まった気がした。でもこうして再開することができて、今はめちゃくちゃ仲が良いんだよ。 だから俺は学んだんだ。どんなクズでも人は変われるって。 いつかこんな曲を歌う必要が、なくなる日が来ると思う。愛してるぜ。またやろう! 再始動後の心境の変化について語ってから、最後に『金星』が演奏された。 この歌は多くを語らない歌詞だ。だから様々な解釈ができると思う。個人的な解釈ではあるが、ダメな部分がある自身を受け入れつつも、正直にまっすぐ生きようというメッセージが含まれているのではと思う。だからこそ「どんなクズでも人は変われるんだ」という話をしてから演奏したのかもしれない。 間奏で細美は「頑張ろうぜ!クズども!」と、笑顔で叫んでいた。これはファンへの悪口ではなく、愛のある言葉だと思う。「どんなクズでも人は変われる」と思っているバンドマンの言葉なのだから。 最高の大団円でライブは終演した。メンバーが去った後に打ち上げられた花火は美しくて、何年経っても思い出してしまうと思う。 自分が次にELLEGARDENを観れる日が、いつになるかはわからない。ワンマンライブなんて観れる機会はほとんどないだろう。でもあと1回だけ、マリンスタジアムでライブをやるとバンドは約束してくれた。最後に「また会おうぜ!幕張!」と細美武士は言っていた。 その言葉を信じて、クズな自分は頑張ろうと思う。少なくとも再びマリンスタジアムで、ELLEGARDENのライブを観る日までは。 『金星』を歌う前に細美は「いつかこんな曲を歌う必要がなくなる日が来ると思う」と言っていたけれど、自分にはまだELLEGARDENの音楽が必要だ。そんなことを実感するライブだった。 ■ELLEGARDEN 『Get it Get it Go! SUMMER PARTY 2023』at ZOZOマリンスタジアム 2023年8月17日(木) セットリスト 1.Breathing2.Space Sonic3.Supernova4.チーズケーキ・ファクトリー5.Mountain Top6.Fire Cracker7.Stereoman8.風の日9.The Autumn Song10.No.1311.Missing12.Perfect Summer13.サンタクロース14.Sliding Door15.Salamander16.ジターバグ17.虹18.スターフィッシュ19.瓶に入れた手紙20.Make A Wish21.Strawberry Margarita アンコール21.Goodbye Los Angeles22.高架線23.Pizza Man ダブルアンコール24.金星